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第四十一話

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 春先になってすこし暖かくなってきたころ、母から手紙がありました。
なんだろうと思って開けてみると、父が入院したとの知らせでした。
バイクで配達の途中に、出会い頭に自転車とぶつかったとかの話でした。
よけようと思って、ハンドルを切ったときに、電信柱に激突して倒れ、足を骨折してしまったそうです。
命には別状はないのですが、入院費も結構かかるし、配達ができないので、商売もできないので、家計は火の車になっているそうでした。
今月はどうにも仕送りができないので、自分でなんとかするようにと書いてありました。
私は一晩考えましたが結局アルバイトをするしかないと思いました。
一応は名門の女子大なので家庭教師をするのが一番だと思いました。
学生課で探してみると、家庭教師の斡旋をしている学生援助会で募集していしました。
ちょうど近所で家庭教師の口があるからと言われ、これからすぐ行って下さいと言われました。
教えられた道順をたどっていくと、大きなマンションにつきました。
随分と立派な作りで、かなり高級なマンションのようでした。
なかに入ってお母さまと少し話をしました。
出身地とか、クラブ活動とか、あとは両親のことをいろいろ聞かれました。
話がなかなか終わらないので私はなんだか不安な気持ちになりました。
やっと最後に「じゃあお願いしますね」と言われて、私はやっと気持ちが楽になりました。
次の週になって私はその家に行きました。
私を待っていたのは高校2年生の女の子でした。
名前は由希子さんといって、眼鏡をかけておとなしそうな女の子でした。
小柄な割には太っていて、大きく飛び出した胸の大きさにはびっくりしました。
一見すると真面目そうで成績もよさそうな感じでした。
しかし成績表を見せてもらうと、どうもあまり思わしくありませんでした。
お母さまの話では勉強はとても好きでとてもよくしているとの話でした。
最近のテストも見せてもらいましたが、簡単な問題も間違いだらけでした。
これは大変なことになりそうだと思い、私は気が重くなりました。
要領よく勉強するように指導するのはとても無理なので、基礎的な事を繰り返し練習させるしかないと思いました。
何度か教えに通ったあと、由希子さんの誕生日のパーティーに招かれました。
由希子さんの学校の友達が何人かと、あとは別の日に数学を教えている高典さんがいました。
高典さんとは教える曜日が違うので、今まであまり話をしたことがありませんでした。
パーティのあと私は高典さんと途中まで一緒に帰りながらいろいろと話をしました。
高典さんに「東京の名所めぐりはましたのか」と聞かれました。
私は「東京に出てきてから勉強とクラブがとても大変で名所巡りはしていません」と答えました。
すると「今度一緒に東京タワーに行きませんか」と誘われました。
高典さんは修学旅行で一度来たことがあり懐かしいのでもう一度いってみたいと話してくれました。



 近くの地下鉄の駅で待ち合わせをして二人で東京タワーに行きました。
地下鉄の駅を降りてしばらく歩くと町並みの間から東京タワーの姿が見えてきました。
すぐ近くだと思ったのですが歩いてみるとなかなか東京タワーにはつきませんでした。
歩いている内どんどんタワーが大きく見えてきて、頭を上に見上げるといっぱいに大きな骨組みが見えてきました。
東京タワーの下まで来て上を見上げると私はあまりの大きさにびっくりしました。
中に入るとエレベータの前に行列ができていました。
私と高典さんは二人で並んで、順番を待ちました。
エレベータでしばらく上がると展望台につきました。
ガラス張りの下には東京の町並みがいっぱいに広がっていました。
お金を入れて5分だけ見られる望遠鏡が空いていたので私はお財布からお金をだして300円入れるとさっそく望遠鏡に目を当ててしたの景色を眺めました。
私の通っている大学もきっとここから見えるはずだと一生懸命探してみましたが、どこにあるのかはいくら探しても見当たりませんでした。
急に私の膝の内側に何かが触れる感触がありました。
後ろの人の鞄でも当たったのかしらと思っていると、何かが軽く触れながらくすぐるように膝の内側を動いてきました。
小刻みに動く感触は誰かが後ろから指で触っているのに間違いありませんでした。
高典さんが私を後ろから指で触ってるんだと気が付いた途端私の体は寒気がして震えてきました。
ゆっくりとくすぐるように動きながら指先は膝の内側からすこしづつ腿の内側へと動くと今度は腿の上の方までゆっくりと動いてきました。
いったいなにがどうなっているのか訳が分からなくなって私は頭の中が熱くなり何も考えられなくなって腿の内側に伝わってくる感触に神経が集中しました。
急に目の前が暗くなり、望遠鏡の時間が終わったと判って急に気持ちがはっきりとしてきました。
高典さんに何を言おうかしらと迷いながら後ろを振り返ると、私の後ろにいたのは高典さんではなく見知らぬ男性でした。
口元が変にゆがんで笑っているのと、その男が私を後ろから触ったのに間違いはないと思いました。
私はあわてて高典さんを探しましたが高典さんは別の望遠鏡覗いていて、私の事には気が付いていないようでした。
私は何も言わずに高典さんとしばらく展望台を歩いて回りましたが少し離れてさっきの男が付いてくるのが判りました。
これ以上また変な事されても困ると思いましたが高典さんには何も言い出せませんでした。
展望台を一回りしたあとは、またエレベーターで下に下りると今度は蝋人形館に二人で入りました。
気持ち悪い人形が一杯あって、すぐ目の前で女の子が男の子にしがみつくのが見えました。
蝋人形館を出て、喫茶店でお茶を飲んだ後、地下鉄の駅まで戻るとお財布がないのに気が付きました。
喫茶店で食券を買ったときはお財布からお金をだしたので、その時お財布を落としたらしいと気が付いて私は東京タワーに戻るしかないと思いました。
しかし高典さんは「これから家庭教師のアルバイトがあるんだ」と言うだけで一緒に来てはくれませんでした。
高典さんは時間がない様子で「じゃあ、また今度電話する」と言って地下鉄の切符を買って階段を降りていきました。
私はしかたなく一人で東京タワーに戻ることにしましたが、二人で東京タワーまで歩いたときはお喋りをしながら歩いたので道順をよく覚えていませんでした。
なんとかなると思って駅から東京タワーの方に向かって歩き出すと、携帯がなって知らない男性からでした。
私のお財布を拾ったので、これから届けに来てくれるというので私はこっちから行きますからと返事をしました。
いま近くの公園に居るというので道順を聞いて、少し歩いた先の角を曲がって小さな公園に出ました。
しかし公園を見回しても誰もそれらしい人影はなく、入り口近くにトイレがあるので、もしかしてトイレかもしれないと思い、トイレの中に入ってみました。
中の個室にも誰かいる気配はなく私は諦めて外に出ました。
トイレからでると、出入り口のすぐ目の前に立っている男性がいて私はあやうくぶつかりそうになりました。
男の手が私の両方のお尻に回されるといきなり引き寄せてきました。
指先が私の腿の間に差し入れられると、指の動きが腿の内側にそって震えながら伝わってきました。
さっと展望台で私を後ろから触ったのと同じ感触だと判って私はすぐに膝が震えて止まらなくなりました。
私が夢中になって男にしがみつくと、男は私のお尻をしたから持ち上げながら指を使ってきました。
膝ががたがたと震えてしゃがみ込みそうになるのを必死で堪えていると、男は私はトイレの中に抱きかかえたまま引きずり込みました。
男は私の体を後ろから抱え込んで押さえつけてきました。
逃げられない時は従うしかないと、子宮が命じる声が私の身体に響いてきました。
支配者の許しがなければ、私は涙を流すことさえできなくなりました。
激しい渦の流れに私の体は飲み込まれ、体ごと深く沈み込んで浮き上がる望みもなくなりました。
意志を失った人形の体を女の宿命が支配し続けました。
天国にめがけて投げ上げられた私の身体は、至福の時を求めて空を舞い続けました。
心を失って獣となった私の身体を、男は最後の一撃きで貫きました。
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