【完結】偶像は堕ちていく

asami

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第十一話

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 新曲のプロモーションが一通り終わった後、マネージャーからテレビドラマにゲスト出演する話を聞かされた。
人気テレビドラマの最終回に私がヒロインとして登場するという話だ。
主演の河田純二さんが特別に私を指名してくれたらしい。
純二さんとは会ったことも無いのでなぜ私を指名してくれたのか理由は判らなかった。
マネージャーの話では、たまたまたプロモーションでテレビのワイドショーにでたとき番組の収録をスタジオで見ていたらしい。
河田純二さんといえばテレビドラマの俳優さんとしては超有名だ。
これまでに出演したテレビドラマはどれも視聴率が高くて大評判だ。
純二さんに気に入られたら、私だってテレビドラマの主演女優をまかされるのも夢じゃない。
私は急に降ってわいたチャンスに期待で胸が一杯になった。
ラブエンジェルズの他のメンバーは私だけテレビドラマに出演することになって羨ましくてしかたないらしい。
撮影はスタジオでやることになっていて、当日は早めに控室に入って台詞の練習をした。
テレビドラマは初めてだったので、台詞を暗記しようとしてもなかなか覚えられない。
メイクさんにメイクしてもらいながら必死で台詞を覚えた。
衣装に着替えて準備も済んだ後、他の俳優さんにも挨拶したほうがいいと思ってマネージャーと一緒に新曲のサイン入りのCDを持って控室を訪ねて回った。
純二さんの控室のドアをノックする時は、緊張して足が震えてしまった。
マネージャーが先に「この度は有難うございます」と礼を言うと私が「ラブエンジェルズの有紀です。よろしくお願いします」と挨拶した。
純二さんは明るい笑顔で「初めまして、こちらこそ宜しく。有紀ちゃんは本当に可愛いね。歌も踊りも上手だし」とすぐに私を褒めてくれた。
予定の時間になって、スタジオに入ると公園の噴水のセットが組んである。
噴水はちゃんと水が噴き出していて、本物らしく見えるけど発泡スチロールで作ってあるらしい。
ベンチの裏には植木が並んでいるけど、植木鉢が見えないように隠してある。
リハーサルを何度かしたあと、いよいよ本番だ。
噴水の前で待ち合わせをして、主人公の純二さんにキスされるシーンだった。
リハーサルでは口を少し近づけるだけだったのに本番では本当にキスをされたので私は本当にびっくりしてしまった。



 撮影のあと、帰り支度をしていると純二さんが控室に入ってきた。
このあとホテルの宴会場で打ち上げパーティーをやるので私にも出席して欲しいとの事だった。
打ち上げパーティーにはスタッフの他に出演した俳優さんや脚本家の人達も参加するとのこと。
私は他の俳優さんと親しくなるチャンスだと思って、打ち上げパーティーに出ることにした。
車で純二さんとすぐ近くのホテルの宴会場に行くと、入り口には「河田純二様御一行」の看板がでていた。
中に入ると思ったより広い。
丸いテーブルが一杯あって、結婚式の披露宴の会場みたいな雰囲気だった。
放送局のスタッフや俳優さん以外にも背広をきちんと来た人が何人かいて、スポンサーや広告代理店の人らしかった。
中央にテーブルが並べられていて軽食と飲み物が沢山用意されていた。
最初に純二さんが乾杯の音頭を取ると、その後は無礼講のパーティーになった。
純二さんは私に気を使ってくれて、他の俳優さんや脚本家に私を紹介してくれた。
背広を着た人には名刺をもらったが、私は名刺を持っていないので名刺交換はしなかった。
純二さんが「有紀ちゃんは顔が名刺だから、名刺はいらないよ」と言ってくれたのでほっとした。
普段はマネージャーにお酒を飲まないようにと注意されていたけど純二さんにワインを勧められてついつい飲み過ぎてしまった。
食べ物も残り少なくなったとき純二さんの音頭で三本締めをしてやっとパーティーが終わった。
純二さんが帰りを送ってくれるというので、私は純二さんと一緒にタクシーに乗った。
タクシーが動き出すと純二さんが「大事な話があるから、二人っきりで話せる所に行かないか」と私を誘った。
私はきっとテレビドラマの共演の話だと思って「はい」と返事をした。
タクシーが止まって純二さんと一緒に降りるとラブホテルに連れて来られたらしいと判って私は胸がどきどきしてきた。
純二さんは共演した女優さんと浮名を流すのが有名だ。
そうは言っても私がテレビドラマで純二さんと共演できるなら、願ってもないチャンスだ。
私は一応はアイドルグループラブエンジェルズのメンバーだけど、アイドルはいつまで続けられるのか判らない。
今はそこそこの人気だけど、人気が落ちればいずれ解散だ。
ドラマの俳優なら人気が、歳をとってもなんとか続けられる。
将来のことを考えると、純二さんに気に入られた方がいいに決まってる。
純二さんと一緒にラブホテルの部屋に入ると、私は初体験の時の事を思い出して胸が熱くなった。
私がまだラブエンジェルズのデビュー前にダンスのレッスンを受けていたダンスの先生が相手だった。
ダンスが上手にできなくてとてもアイドルになんか成れないと思いつめてダンスの先生に相談したのがきっかけだ。
他のメンバーはみな有名なタレントスクールの出身で子供の頃からダンスのレッスンを受けてる。
ダンスが踊れないのは私だけだ。
私がいたら他のメンバーの邪魔になるだけと思いつめて食事も喉を通らなくなるほど悩んだことがあった。
だけどダンスの先生は私にはとっても優しくてくれて決して叱ったりはしなかった。
だから辞めたい思った時相談する相手はダンスの先生しか思いつかなかった。
ダンスの先生は私の話を全部聞いてくれてとっても優しくしてくれた。
「誰だって最初は上手にできないのが当たり前、他の女の子がみんな上手に見えるけど気にしなくていいんだ」とダンスの先生に言われて私はダンスの先生に相談してよかったと心底思った。
その夜に初めてお酒を飲んで二人きりでラブホテルに行ったのは私にとっては大事な思い出だ。
ダンスの先生と付き合ったのはそれが一度きりで、私の方から何度かそれとなく誘ってみたが相手にはしてくれなかった。
私がソファーに座ると純二さんが私の隣に腰を降ろした。
「有紀ちゃん今日の演技はとっても上手だったよ。初めてであれだけ演技ができる女の子は滅多にいない。有紀ちゃんは才能があるよ。お世辞なんかじゃない本当だよ」と純二さんが言いながら私の膝の上に手を載せてきた。
私はきっと純二さんがテレビドラマに出演する話を私に切り出すはずだと思って純二さんにされるままになっていた。
「こんど始まるドラマだけど、まだ主演女優がきまってなくてね。有紀ちゃんにぴったしの役なんだ」と純二さんが言い出したので私はヤッターと心の中で叫んだ。
「清純な女子高生の役なんだけど、結構際どいシーンもっあってね。初体験のシーンとか、輪姦のシーンとかもあるけど有紀ちゃんならできるよね」と純二さんが言うと私の膝を指先でくすぐった。
私は心地よい感触に半分夢心地だった。
不意に「止めて下さい」と叫ぶ女の声が聞こえてきて、私は目が覚めたように気持ちがはっきりとした。
声は隣の部屋から聞こえてくるらしい。
純二さんは「大丈夫、こうゆう所ではよくある事なんだ、気にしなくていいんだよ」と言って平然とした顔をしている。
私はもし自分が助けを呼んでも、知らん顔をされるだけだと思うと心配な気持ちになった。
うっかりこんな所で純二さんの言いなりになったら、この先どんな目に会わされるのか判らない。
私は「私帰ります」と言うと純二さんの手を振り払って立ち上がろうとした。
純二さんが私の手を掴もうとしたので私は手を振りほどいてドアまで走り寄った。
私が部屋のドアを開けた時、すぐ目の前に見慣れぬ女が立ちはだかると「お願い助けて下さい」と言って部屋の中に入ってきた。
女はまだ中学生らしくてセーラー服を着ていて、髪の毛もお下げにしている。
だけどスカートの丈が随分と短くて、お化粧も随分と濃くてなんだか変だ。
女のすぐ後から全裸の男が部屋に入ってきたので私は思わず男の下半身を見つめた。
「金はちゃんと払ってあるんだ、つべこべ言うんじゃない」と男が言うと純二さんと言い争いになった。
男が純二さんを殴り倒すと「おい、ついでだお前も金が欲しいんだろう」と言いながら私をベッドに押し倒してきた。
欲望の儀式が始まる予感が、私の身体を襲った。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがあった。
竜巻のような激しい勢いで吹き抜ける嵐の中では、もう逃げることもできなかった。
信じられない感触が私の体中に広がると許しを請うことさえできなくなった。
時計の針が止まると、永遠の時間が私の体を支配していた。
至上の楽園に投げ上げられた私の体は、果てしない空を昇り続けた。
純二さんは私の身体を征服すると私の身体は震え続けたまま止まらなくなりました。
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