偶像は堕ちていく

asami

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第七話

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 新曲の録音が終わった後に海外でPVの撮影をする事になった。
場所はタイのプーケット島だ。
プーケット島にはまだ一度も行ったことが無いので、話を聞いたときは嬉しくて飛び上がった。
出発の当日は現地は暑いと言う話なので、みんなショートパンツにタンクトップというラフなスタイルで朝早く空港まで来た。
飛行機に乗ってる間中はみんなでお喋りをして、時間が経つのも忘れていた。
空港に着くと日本とは空の色も空気の香りも違っていて何を見ても新鮮なきがした。
撮影は一日で終わらせる予定で、翌日にはもう帰りの飛行機の予約を取ってある。
とりあえず撮影の前に昼の食事を済ませようという話になった。
私はきっと美味しいタイ料理が食べられるんだと期待したが入った店はマクドナルド。
マクドナルドだったら日本にもあるのにと思ってがっかりした。
マネージャーの話では「食べなれないタイ料理で、お腹を壊すと撮影に支障が出るから」との事だった。
まあそれも仕方ない話なので私たちは我慢してビッグマックを食べた。
食事の後はすぐに撮影のために浜辺に移動した。
真っ白い砂浜の向こうは真っ青な海が何処までも続いていて、日本の海とは大違い。
撮影は昼間天気のいい時にしないといけなので時間はあまりない。
さっそく撮影の準備に取り掛かった。
スタッフが大きな三脚を浜辺に立てて、カメラを用意するとその後ろに着替え用のテントを作ってくれた。
急いで水着に着替えたが、用意された水着はどれも大胆なデザインで肌の露出も多いい。
こんな水着でとても人前には出られないと思ったが、撮影の為だから文句など言ってる暇はない。
ラジカセから流れてくる音楽に合わせてダンスをしていると、いつの間にか見物客が集まり始めた。
海外の観光客らしくて私たちが日本のアイドルグループだとは知らない様子。
三回ほど歌に合わせて浜辺で踊ると、撮影は終了した。
急いで着替えを済ませると、みんなでホテルにもどって一日の予定は終わり。
ホテルでシャワーを浴びて一休みするとマネージャーが夕食の誘いに来た。
私はてっきりホテルの外でタイ料理を食べに行くとばかり思っていたが、案内されたのはホテルのレストラン。
ウェイトレスの女の子にメニューを渡されたけど英語で書いてあって何がなんだか分からない。
日本のレストランだったら料理の写真がメニューに載ってるのが普通だけど、ここのメニューには写真がない。
何を頼んでいいのか分からないのでマネージャーが適当に注文した。
しばらく待って出てきたのは大きなビフテキだった。
日本で食べるビフテキの三倍くらいある大きさだ。
ナイフで切ろうと思ったけど硬くてなかなか切れない。
なんとかやっと一口切って口に入れたけど硬くてかんでも噛み切れない。
私はビフテキを食べるのは諦めて、付け合わせのサラダとポテトだけ食べた。
他の女の子達もビフテキを食べるのは諦めてサラダとポテトだけ食べた。
スタッフの男の人たちは頑張ってビフテキを食べたけどやっぱりとても食べきれなくて半分くらいは残してしまった。
ビフテキの後にコーヒーが出たのでなんとか食べた気分にはなった。
食事のあと私はせっかくタイに来たんだからどこか行ってみたいとそれとなくマネージャーに言ってみた。
マネージャーからは撮影が終わったらホテルからでないようにと言われてしまった。
観光旅行に来たんじゃないんだから撮影が終わったらすぐ日本に帰るんだ。次の仕事の予定が一杯あるから遊んでる暇なんかないとマネージャーに言われてみんながっかりした顔だった。



 ホテルの部屋でテレビを見て時間を潰そうと思ったけど、テレビ番組はみなタイ語なので聞いていても全然訳が分からない。
しばらく歌番組を見ていたが、知らない歌手ばかりで見ていても全然面白くない。
仕方がないから寝ようと思ったがお腹が空いてきた。
ホテルのケータリングを頼めないかと思って、部屋に置いてあるパンフレットを見るとピザが頼めるらしい。
ピザなら硬くて食べれないなんてことは無いはず。
英語が通じるかどうか自信はなかったけど、お腹が空いてるのはどうにもならない。
だけど英語でピザを頼むには何て言っていいのかすぐには思い浮かばない。
どうしようかと思っていると電話のベルが鳴った。
電話に出てみると「ピザ頼んだから食べに来ない、お腹空いてるでしょう」と彩香ちゃんの声が聞こえてきた。
彩香ちゃんが私より先にケータリングでピザを頼んだらしい。
私はさっそく彩香ちゃんの部屋に行った。
部屋には大きなピザと缶ビールが置いてあった。
さっそく二人でピザを食べ始めると「有紀ちゃんこの部屋の液晶テレビで面白いもの見られるのよ」と言い出した。
私はきっとテレビでお笑い番組をやっているんだと思ったけど言葉が分からないので見てもしょうがないと思った。
彩香ちゃんが液晶テレビをつけると、男と女が裸で体を重ねている場面が映った。
アダルトビデオらしい。
スピーカーからは女の喘ぎ声が聞こえてきた。
日本のホテルでも部屋でアダルトビデオが見れるのはよくあるけど、外国でも同じらしい。
適当にテレビのチャンネルを切り替えていると外国映画らしい画像が映った。
ホテルの部屋で外人の女性が電話をしてる。
マッサージを呼んでいるらしくて、すこし待つとマッサージ師らしい白衣をきた男性が部屋に現れた。
私は映画にしてはなんだか変なのに気が付いた。
さっきからずっと画像が同じ角度で、カメラの位置が固定されているみたいだ。
女性がベッドに寝るとマッサージ師がマッサージを始めたがやっぱりなんだか変だ。
マッサージ師の手が、女性の足を左右に開かせて敏感な所を責めている。
私はどうやら盗撮ビデオらしいと気が付いた。
やがてマッサージ師が白衣を脱ぐと、女に体を重ねた。
女が信じられないような大声をだして逝きまくるのを見て私はとても演技とは思えなかった。
「有紀ちゃん私マッサージ得意なの」と彩香ちゃんが私の耳元で囁いてきた。
彩香ちゃんが言ってるのは普通のマッサージの事ではないと私はすぐに気が付いた。
今見てるアダルトビデオでやってるマッサージを女同士でやりたいと彩香ちゃんが誘ってるらしい。
「私もマッサージは得意なの」と私が彩香ちゃんにそれとなく答えると「今すぐ気持ちよくしてあげるね」と言いながら彩香ちゃんが私をベッドに押し倒してきた。
急に部屋のドアをドンドンと叩く音が聞こえて彩香ちゃんが体を起こした。
ドアの向こうから「うるせえんだよ、何時だと思ってるんだ」と男の声が聞こえてきた。
彩香ちゃんがドアを開けてみると日本人らしいが一緒にきたスタッフではない。
「こんな夜中になにやってるんだうるさくて寝られないだろう、静かにしろ」と男が大声でわめきたててきた。
私はさっきからアダルトビデオの音が出しっぱなしになっているのに気が付いた。
女の絶叫する声が隣の部屋にも聞こえたらしい。
「すみません」と彩香ちゃんが謝ってドアを閉めようとしたとき、男の視線が私に向けられてきた。
ショートパンツがめくれあがってピンクのレース模様のパンティーが丸見えになっているのに気が付いて私は慌ててショートパンツの裾をひっぱった。
男は部屋に彩香ちゃんと私しかいないのに気が付いたらしくて、ドアを押しのけて部屋に入ってきた。
すぐうしろからもう一人男が部屋に入ってくるのが見えて私はこれは不味い事になりそうだと気が付いた。
男が彩香ちゃんをベッドに押し倒すと、私はもう逃げられない。
私の身体を襲う欲望は、嵐のような激しさだった。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがあった。
許されない喜びの深い淵に私の体は沈み込んで戻ることができなくなった。
竜巻のような激しい勢いで吹き抜ける嵐の中では、もう逃げることもできなかった。
いつまで続くともわからない時間が私の心の中で凍り付いていた。
このままずっと責め続けられたら、私は支配者に従うしかないと覚悟した。
男は私の身体を征服すると最後の望みを遂げた。
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