淫獄の玩具箱

asami

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第十九話

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 学校の帰りに地下鉄を降りて家まで歩いているとすぐ目の前に女の子がゆっくりした足どりで歩いている。
追い越そうと思って急ぎ足で横を通りすぎようとしたとき「あら、信夫ちゃんじゃないの」と女の子に声を掛けられた。
聞き覚えのある声は幼馴染みの麻耶ちゃんだ。
麻耶ちゃんは住まいが近所なので、小学校と中学校は同じ学校だった。
クラスも何度か同じクラスになった事があるが高校生になってからは学校が別であまりつき合いはない。
「信夫ちゃんあいかわらず毎日ゲームばかりしてるんでしょう、たまには勉強しなさいよ」と麻耶ちゃんに言われたが余計なお世話だ。
「俺だって勉強くらいはしてるぜ、もう大学受験を考えなきゃいけない時期だしね」と麻耶ちゃんに言い返した。
二人でおしゃべりをしながら歩いていると近所の神社の近くまで来た。
子供の頃よくかくれんぼをした神社だ。
その時空が急に暗くなったのに気がついた。
あっというまに空が真っ暗になると大粒のヒョウが降り始めた。
握り拳くらいの大きさのヒョウはまともにあたったら命がない。
俺たちは慌てて神社の軒下まで走って逃げ出した。
なんとか神社の鳥居をくぐったとき急に激しい雷の音がして俺の体に激しい衝撃が襲った。
目が醒めたとき俺はベッドに寝ていた。
「麻耶ちゃん大丈夫」とベッドの側にいた女性に声を掛けられたが俺の母親ではない。
どっかで見た顔だと思ってよくよく思い出してみると麻耶ちゃんのお母さんらしい。
以前あったのは随分昔で麻耶ちゃんのお誕生会の時だったとなんとなく覚えている。
そのときよりはかなり老けた顔つきだが麻耶ちゃんのお母さんに間違いはない。
「麻耶ちゃんしっかりして、大丈夫よすぐ元気になれるから心配いらないわ」とまた麻耶ちゃんのお母さんが俺に声をかけてきた。
俺は麻耶ちゃんのお母さんが人違いをしているんだと思った。
「信夫ちゃん目をさまして、しっかりして」と俺のすぐ近くで俺のお母さんの声が聞こえて俺は何だか変だと思った。
俺の寝ているベッドのすぐ横に並んだベッドの周りを俺のお母さんとお父さんが立っていて白衣をきた医者らしい男性がなにか話している。
「残念ですが、ご臨終です」と言っているように聞こえた。
神社の境内で雷にあったことは覚えている。
そのあと病院に運ばれたのなら俺の隣で寝ているのは麻耶ちゃんなはずだ。
だが隣のベッドの周りを取り囲んでいるのは俺のお母さんとお父さんなので話が合わない。
俺はベッドから起き上がろうとしたが体に力が入らない。
なんどか試してみたが体はまったく動かなかった。
なんとか声を出そうとしたが声もでない。
俺はいつの間にか気をうしなってしまった。
気がついたときは朝らしくて小鳥の声が聞こえた。
病室には誰もいない。
体を起こしてみると昨日は動かなかった体が不思議と自然に動いた。
隣のベッドを確かめてみたがやはり誰もいない。
体を起こしてみると何だか変だ。
俺はさっきから胸の上になにか乗っているような息苦しさを感じて変だと思って胸を触ってみた。
手の平に柔らかくて大きな肉の塊の感触がある。
俺は自分の胸が大きくなってるのに気がついた。
俺は変だと思って、下着の中に手を入れて確かめてみたがやっぱりあるはずの物がない。
どうやら俺は麻耶ちゃんの体に転生してしまったらしい。
そんなことあるはずがないと何度も思ったが他に説明がつかない。


 数日たって退院前に担当の医者の先生に診察を受けた。
「名前を言って貰えますか」と最初に先生に聞かれて俺は梅川信夫と答えそうになったがそんな返事をしたら退院させて貰えないかもしれない。
俺は麻耶ちゃんの名前を言うしかないと思って「菅原麻耶」ですと答えた。
「生年月日は」と聞かれたが、俺は麻耶ちゃんの誕生会には何度も呼ばれていたので麻耶ちゃんの誕生日は覚えていた。
「4月7日」ですと答えると次は住所を聞かれた。
俺は答えられなかった。
お母さんの名前とお父さんの名前も聞かれたがやはり答えられない。
「事故の時に頭を打った衝撃で、記憶を失っているようですね。大丈夫しばらくしたら元にもどると思います」と先生が母親に答えていた。
退院すると麻耶ちゃんの家に連れて行かれた。
麻耶ちゃんの部屋に入ると綺麗に片づいていて、前来たときと変わらない。



 翌日学校に行こうと思って制服を着ようとすると女物のセーラー服を渡された。
俺は学園祭の余興で女装したときにセーラー服を来たことがあるがまさか本当にセーラー服を着て学校に行くとは思わなかった。
翌日学校に行くことになったが俺は困ってしまった。
麻耶ちゃんが通っていたのは大妻女子学院だとは知っていたが場所が分からない。
定期券を見て地下鉄に乗ればいいらしいと気がついた。
駅まで行って電車を待っていると同じ制服を着た女の子がちらほらとホームに見えた。
少し待つと電車が来たので俺は電車に乗ると降りやすいようにドアの近くに立った。
学校のある駅に着くと電車を降りたがどこに行けばいいのか分からない。
電車で一緒だった女の子たちの後をつけるとどうやら俺の学校らしい建物の前まで来た。
どこの教室に行けばいいのか分からない。
学生証を見るとクラスの名前は分かったが場所は分からない。
順番に校舎の廊下を歩いてやっと自分の教室を見つけた。
教室のドアを開けると遅刻してしまったらしくてホームルームはもう始まっていた。
空いてる席が一つあったのでどうやらそこが俺の席らしい。
出席をとるとき先生が「菅原麻耶」と呼んだとき俺はすぐには自分の名前だとは気がつかなかった。
先生は俺が返事をしないのを不審に思ったのかもう一度大きな声で「菅原麻耶」と呼んでくれた。
俺は慌てて自分が呼ばれたのに気がついて「はい」と返事をした。
授業が始まっても先生の顔に見覚えもないし、教科書のどこを開けばいいのかも分からなかった。


 一週間程毎日学校に通って次第に新しい生活にも慣れてきた。
だが俺は相変わらず自分が梅川信夫だったときの記憶しかなかった。
どう考えても今の生活が自分の本来の姿だとはとても思えない。
このまま自分が自分自身ではないと思いながら生きていかなければ行けないと思うと将来が不安だ。
俺は自分が梅川信夫だったときの叔父に相談してみようと思いついた。
叔父とは子供の頃から可愛がってもらっていて一緒に旅行に行ったことも何度もある。
携帯のメールアドレスも覚えていたので俺は叔父にメールを送ることにした。
だが俺は叔父にどうやって事情を説明すればいいのか困ってしまった。
「亡くなった梅川信夫さんの事で相談したいことがあるので、会っていただけないでしょうか」と菅原麻耶の名前でメールを送った。
すぐにメールに返事が来て、放課後に叔父と渋谷で待ち合わせる約束をした。
地下鉄で渋谷に出てハチ公前で待っていると叔父らしい姿を見つけた。
「あの私が菅原麻耶です、わざわざ呼び出したりして申し訳ありません」と俺は叔父に声をかけた。
「いや、初めまして。話があるんだってね。とりあえずどっかでお茶でも飲もうか」と叔父は俺に返事をしたがなんだかよそよそしい雰囲気だ。
「私達お会いするのは初めてじゃないんです。大事な話なので二人だけでお話できませんか」と俺は叔父に言った。
「はじめてじゃないって」と叔父は半分言いかけて俺の顔を見つめてから服装を足元から頭のてっぺんまで眺めた。
「どこでお会いしましたかね」と叔父が不審そうな顔で聞くので「私梅川信夫さんと同じ病院に入院してたんです」と俺は叔父に言ってみた。
「ああ、あの時の、」と叔父は半分思い出したような顔をした。
「それで大事な話しというのはなんの事なんでしょうか」と叔父に言われて「ここでは話ができませんから」と俺は叔父を促した。
「それじゃあ、ちょうどいい、二人きりでゆっくり出来る所があるからこれから一緒に来てもらえますよね」と叔父が言ってくれたので俺は「そうして下さるととっても有り難いです」と返事をした。
ハチ公前から交差点を渡ってセンター街に入ると大通りをしばらく歩いた。
裏道の角を曲がると目の前にラブホテルらしい建物が見えた。
叔父がさっき言っていた二人きりでゆっくり出来る場所というのはラブホテルの事だったらしい。
いくら相手が叔父とはいえ、俺は今は女の身体だ。
うっかり一緒にラブホテルになんかに入れば何が起きてもおかしくない。
だが俺が自分から二人だけで話がしたいと言い出したのだからラブホテルに連れ込まれても仕方がない。
もしかして叔父は援助交際の相談だと思い込んだのかもしれないと俺は心配になった。
だが今更断るわけにもいかないと思って俺は叔父とラブホテルに入る事にした。
エレベータに乗って二階に上がると俺は男の後から部屋に入った。
部屋の中を見回してみると、大きなベッドの横に大きな液晶テレビが置いてあり他には自動販売機らしい機械が置いてあるだけ。
特段に変な物が備えてある訳でもない。
俺はとりあえず一安心した。
俺は気を利かせてテーブルの上にある電気ポットのスイッチを入れてお茶の支度をはじめた。
電気ポットの横には湯のみ茶碗が二つあって、ウーロン茶のティーバッグが二つ置いてある。
俺は自分でお茶などいれたことはないが、男に気に入られるにはお茶の支度くらいはした方がいいと思った。
「ここなら何でも話せるからね、相談したいことがあるんだろう。なんでも聞いてあげるよ」と叔父が先に口を開いた。
俺はどう説明していいのか困ってしまった。
身体が入れ替わったなんて話を信じて貰えるはずはない。
だが言うしかない。
「じつは梅川信夫さんの事なんですけど」と途中までいって俺は言葉に詰まった。
「梅川信夫さんは死んでいないんです、私が梅川信夫なんです」と続けて言うと俺は叔父の顔色を伺った。
叔父は不審そうな顔で俺の様子を伺うだけで何も言おうとはしない。
「本当なんです、子供の頃一緒に温泉に行ったことも覚えています。入学祝いにパソコンをプレゼントしてもらったのもちゃんと覚えているんです」と俺は言うだけ言ってみた。
「信夫は亡くなったよ、葬式も済んで納骨も済ませた」と叔父が言うのを聞いて俺はやっぱり信じて貰えないと分かってがっかりした。
「麻耶ちゃんは事故のとき頭を打ったからきっとそのせいだよ。男の子と女の子の身体が入れ代わったりするのは映画や小説なんかではよくあるけど実際に起きる事はないんだ」
「すこし時間がたてば麻耶ちゃんも自分の事を思い出すから心配はいらないよ」と叔父に言われて俺はもう言い返す言葉がなかった。
「麻耶ちゃん、彼氏はいるのかな」と不意に叔父が話題を変えた。
「それが分からないんです、付き合っている男の人がいるのかいないのか自分でも記憶がなくて」と俺は正直に話した。
「まだ男性経験はないのかな、それとももう済んでるのかどっちなのか分かるかな」と叔父に言われて私は返事に困った。
「私全然記憶がなくて、ごめんなさい」と俺途中まで言いかけて口を閉じた。
「大丈夫麻耶ちゃんは女の子なんだから初体験の事は絶対に忘れないはずだよ、男性と交際すればすぐに記憶は取り戻すはずだ、心配いらない」と叔父に言われて確かにそうだと俺も思った。
「でも私自分が男の人と交際するなんてとても想像できなくて」と俺は正直な気持ちを叔父に話した。
「麻耶ちゃん援助交際って知ってるかな」と叔父に言われて私は返事に困った。
援助交際が何かはしってるがどうして叔父が援助交際の話を持ち出したのか理由が分からない。
「なんの事でしょうか」と俺はわざととぼけて知らない振りをした。
「麻耶ちゃんももう年頃の女の子なんだから援助交際が何なのか知らないはずはないよね」と叔父に言われて俺はしかたなく「ええまあそうですね」と曖昧に答えた。
「麻耶ちゃんの友達なんかでも援助交際をしている子は一杯いるよね」と叔父に言われて確かにそうかもしれないと思った。
「よく知りませんけど」と答えると「麻耶ちゃんも援助交際の経験があるんじゃないのかな、いやきっとそうだよ」と叔父に勝手に決めつけられてしまった。
俺は自分が麻耶だった時の記憶は全然ない。
もしかして援助交際をしていたのかもしれないが覚えていないので確信はない。
「援助交際のビデオがあるから見てみないか、そうすれば麻耶ちゃんが援助交際をしていたときの事を思い出すかもしれないよ」と叔父に言われてたしかにそうかもしれないと俺は思った。
叔父が部屋に置いてある大きな液晶テレビのリモコンを操作すると画面が映し出された。
なんどか画面を切り換えるとラブホテルの部屋で女子高生らしい女が中年の男と一緒にいる姿が映し出された。
どうやら援助交際をしている女子高生を盗撮したビデオらしい。
それもモザイクなしの裏ビデオだ。
女子高生の身体の上に中年の男が身体を重ねて腰を動かしているのがはっきりと見えた。
裏ビデオなんて珍しくもないがいつもはパソコンの小さな画面で見てるだけだ。
家に置いてある液晶テレビの倍くらいもある巨大な液晶テレビで見ると迫力が全然ちがう。
まるで目の前で実際に男と女が居るみたいに見える。
俺はビデオを見ていて変なことに気がついた。
女子高生が着ている制服が俺と同じだ。
それに顔つきもなんだか俺によく似ているような気がした。
「このビデオに映っているは麻耶ちゃんだよね」と叔父に言われて俺はびっくりして腰を抜かしそうになった。
「最初に会ったときから変だと思ってたんだけど麻耶ちゃんはいつも援助交際してお金を貰ってたんだね」と叔父に言われて俺は自分していたことが信じられなかった。
「いくら欲しいんだ。お金が欲しいんだろう。お金だったらいくらでも出すよ。麻耶ちゃんは可愛いからね」と叔父に言われて俺はどうしていいのか分からなくなった。
「俺が麻耶ちゃんをたっぷり可愛がってやるよ。そうすれば必ず記憶を取り戻すはずだ。それしか方法はないんだよ」と叔父に言われて確かに叔父の言う通りかもしれないと俺は思った。
叔父が俺をベッドに押し倒して来たとき俺は叔父に逆らうわけにはいかないと思った。
欲望の嵐が激しい竜巻となって俺の体に襲いかかってきた。
浜辺におしよせる波のように、欲望は繰り返し俺の体に押し寄せては退いていった。
激しい渦の流れに俺の体は飲み込まれ、体ごと深く沈み込んで浮き上がる望みもなくなった。
支配者に従属するのが女の宿命だと俺は心のそこから思い知らされた。
このままずっと奧まで責められたら、俺の体は暴君に屈服するよりないと覚悟した。
叔父は俺の身体を一撃で貫き通すと、最後の望みを打ち砕いた。
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