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第九十六話

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 旦那が珍しく、会社の同僚の噂話しを私に聞かせてくれました。
結婚してもう5年立って、奥さんは子供が欲しくししょうがなくて、
それで産婦人科まで行って、旦那も調べてもらったらしいとの話しでした。
結局、奥さんも旦那も、二人とも異常はなくてどうもタイミングというか、
やり方が下手なんではという話しだったそうです。
それで会社では、同僚で金を出し合って、いい物を買ってプレゼントすることにしたんだといいます。
私はいい物ってなんなのと聞いてみましたが、それは秘密だといって教えてくれませんでした。
旦那は部屋にこもるとインターネットでなにかやっていました。
数日たって、午後宅急便が届くと、包みには英語が書いてありました。
宛名は確かに旦那の名前でしたが、一応は中身を確かめたほうがいいと思って、包みをほどいてみました。
すると中からでてきたのは小さな薬の瓶でした。
なんの薬か分かりませんでしたが、旦那が帰ってきたら聞いてみようと思って玄関に置いたままにしておきました。
居間でお茶を飲んでいると、富山の置き薬のセールスマンから電話があり、これから集金に来るといいます。
私は押入から置き薬の箱をだして、玄関に用意しました。
すこし待つと、セールスマンがチャイムを鳴らす音がしました。
セールスマンは私が待っている間に、薬を調べて金額を合計していました。
私はお金を払ったあと、さっきの薬をセールスマンに見せて、「あの、この薬なんだか分かりますか、旦那が注文したらしいんですが」と聞いてみました。
するとセールスマンはすこし口元をゆがめて笑いながら「ああこれはバイアグラですよ、あの男性の勃起をさせる」とはずかしげもなく言いました。
私は思わず笑い出すと、次の瞬間に恥ずかしくて顔が赤くなりました。
「それで、効くんですか、バイアグラって」と試しに効いてみると、「そりゃあききますよ、元気な人が飲んだら一晩たちっぱなしですよ」と言ってまた笑いました。
「そうだ奥さん、バイアグラは男性用なんだけど、女性用もあるんですよ、」
「普段はお客さんには見せないんだけどね、いろいろあるんですよ」とカバンの中から、小さな薬を数錠だしてきました。
「よかったら今晩試してみませんか旦那が喜びますよ、いや内緒ですよ、内緒」と言いながら私の手に薬を2つほど渡してくれました。
「奥さん奥さんだまされたと思って一錠飲んでみてごらんなさいよ、どうなるか分かるから」
「もう今晩は感じまくりますよもう、旦那が呆れるくらいに」と一錠を私に渡してくれました。
この薬はね効くのに時間がかかるから、夜10時くらいに効いてくるようにするには、ちょうど今飲んだ方がいいですよ、ほんと旦那喜びますよ」
とさんざんおせいじを言われて、セールスマンは私の口に一錠無理矢理入れました。
私はどうせ効くのは夜だからと思って、台所に行って水を飲んで薬を飲み込みました。
玄関まで戻ってみると、急にからだが熱くなって目眩がしてきました。
「奥さんホントはね、この薬は飲んだ途端に、すぐ効くんですよ」とセールスマンの声が聞こえましたが、半分夢のなかで誰の声かもわかりませんでした。
熱く煮えたぎった欲望を前にして、私の心は逆らう気力を失いました。
私の身体はゆっくりとした動きで、永遠の時の底に沈み始めました。
竜巻のような激しい勢いで吹き抜ける嵐の中では、もう逃げることもできませんでした。
私の体中に欲望の電流が流し込まれて止まらなくなり、体中が許しを求めて震え始めました。
男の繰り返す律動は最後の時が近いことを私の身体に告げると、準備のための痙攣を繰り返しました。
廃墟となって燃え続ける私の身体を、男はとどめの一突きで貫き通しました。
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