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第八十二話
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旦那の冬物のコートをクリーニングに出そうと思ってポケットを調べていると、内ポケットからカードの形をした会員証がでてきました。
どうせレンタルビデオ屋のカードだと思って、気にもしてませんでしたが捨てる訳にもいかないので、旦那の部屋のパソコンの前にでも置いておこうと思いました。
しかし、部屋に入ってパソコンの前に置いてよくよく見ると、どうも怪しい会員証に見えました。
電話番号が書いてあったので、さっそく電話して見ると、受付の女性の声が聞こえました。
「あのどうゆう店なんですか」と何も考えもしないで聞いてみると、「あ、内はお客さんの身元みんな確かめてますから、だいじょぶですよ」
「普通の人妻の方でも安心してご入会できますから」と返事がきました。
どうやら、人妻も入会するクラブというのでこれはどう考えても怪しいとぴんと来ました。
「あの、私でも入会できますか」と聞いてみると、「あ、会員の方の紹介がないとだめなんですが、あと身元がわかる運転免許証とかも必要です」と明るい声の返事がきました。
私は「じゃ、これから行きますから」と言って電話を切りました。
免許を取ってから一度も車に乗っていない、免許証も役に立つことがあるんだと思い、免許証を引き出しの奧から探すと、教えられた場所に行くことにしました。
池袋の裏手にはいると、小さい路地の奧にマンションがありその裏に小さなビルがありました。
「さっき電話したんですが、それでどんな風になってるんですか」とさりげなく聞いてみると、
「うちは人妻専門のセリクラなんです、セリクラってご存じですよね、女の子競売にかけて、男性が競り落とすというあれですが」
「うちでもらうのは、競り落とすところまでで、あとはお客さんが交際したいなり希望があれば、あとはご自分でやってくださいね」
「うちではそうゆうことはやってないので、あくまでも紹介だけで、デート一時間分のお金もらうだけですから」
「そのあとは、まあ相手が気に入らなければそのまま帰っていただいて、一日何度でも競りに来て頂いてかまいません」と慣れた様子で説明をしてくれました。
「会員の紹介がないと、だめなんですが、誰のご紹介ですか」と聞かれて、私は旦那の会員証を見せました。
すると、デジカメで顔写真を撮ってそのままプリンターで会員証を作ってくれました。
女性は無料だというので、お金もかからずほっとしました。
旦那がこの店に来ると言うことは、旦那が人妻を誰か競り落として、しかも、どっかの近くのラブホテルにでも行っているのには間違いないと思いました。
私は、「また今度来ます」と言って店をでました。
ちょうど細い路地を曲がったとき、反対側から旦那らしい人影が今来た道に入って行くのが見えました。
私はあわてて電柱の陰に隠れて様子をうかがいながら、旦那の後をつけました。
旦那が入ったのは私がさっきでてきたセリクラのビルでした。
私は旦那が仕事をさぼってセリクラに来たのに違いないとすぐ分かりました。
旦那の仕事は深夜が多くて昼間は暇なはずなのに、最近でるのが早い理由がやっと分かりました。
昼間は人妻が暇なので、人妻専用セリクラなら不倫相手は見つけられるはずです。
私は腹の底から怒りがこみ上げてくると、裏の女性専用の受付に戻りました。
「いまお客さん何人ですか」と聞いてみると、「いまお客さん見えられた所です、まだ一人ですが、少し待てば増えると思います」という返事だった。
やっぱり旦那が客に来てるんだと私は直感しました。
客は旦那一人、これはいいことをきいた、私がセリクラに出てやろう、そうすれば旦那は私がでてきてびっくりするはずだ。
「今日ひまなので、出たいんですがいいですか」とさっきの受付の女性に頼みました。
すると「よろしいですよ、」と返事が返ってきました。
そう思うと胸がドキドキして止まらなくなりました。
案内されて中に入るとまた細い通路を曲がりくねって進み、小さな待合室につきました。
待合室には椅子が数個おいてあり、その正面は大きな鏡でした。
鏡はマジックミラーになっていて、こちらからは男性側の様子はわからないようになっていました。
きっと旦那は私がセリに出てきたのを見て、びっくりしているに違いありませんでした。
隣の部屋のマイクの音が聞こえてきましたが、どうやらすぐに落札されたようでした。
私はまた細い通路を通って、男と待ち合わせる出口まで来ました。
セリにかけられる女性は、競り落とした男性としか顔が合わないようになっていて、ほかにどんな男性達がきているのかは全然わからない仕組みでした。
また女の子の方も別々に部屋で待たされて、女の子同士が顔を合わせることがないようになっていました。
そのために、あんなに細い通路を延々と通って案内されたのだと分かりました。
これでは、店にどんな人妻や、男性が来ているのか様子が分からなくて、ちょっとがっかりな気分でした。
すぐにドアがあいたので私は旦那が慌てて私に言い訳をするに違いないと思って待ち構えていました。
ドアの中から背広を着たサラリーマンらしい男性が私に歩み寄ってきました。
男の顔はどこか見覚えがありましたが、すぐには思い出せませんでした。
「いや、奥さん久しぶりだね」と男が私に挨拶をしたのでどこかで見た顔だと思ってまじまじと男の顔を見ると、男はいかにもいやらしい笑いを口元に浮かべて、私に軽く会釈をしました。
見覚えのある顔はよくよく思い出してみると旦那の会社の上司の課長さんでした。
「こんなところで奥さんに会えるとはね、いや本当にびっくりした」と課長さんに言われて私は競りで私を落札したのはこの課長さんらしいと気がつきました。
私はいったいどう言い訳をしようかと一瞬慌てましたが、なんとか気分を落ち着かせました。
私はひとまず課長さんを近くの喫茶店に誘うと、窓際のスタンドの席に並んで座りました。
事情を話した方がいいと思って「私旦那の様子が最近どうもおかしいので、様子を探りに来たんです。それでたまたま旦那が店に入るの見たので、旦那にわざと見つかるように店にでたんです」と正直に話しました。
「あ、中谷君ならぼくより少し前に来てね、それで君の前の女の子落札したよ。なんでも新婚ほやほやの20歳の新妻で、旦那は大阪に単身赴任中だそうだ」と課長さんが教えてくれました。
試しに落札した値段を聞いてみると、私の値段より数倍も高かったのでまた怒りがこみ上げてきました。
「それで旦那はいつ頃からここに来るようになったんですか」と私が聞くと、「あ、結婚してからすぐだとかいっていた、嫁さんマグロでとてもやってられないそうだ」そう聞いて私は怒りがこみ上げてきました。
私が誘っても気の乗らない振りで断るのに、外では私がマグロだとか言ってたんだわ、と思うともう怒りが収まりませんでした。
コーヒーを飲みながら私はそれとなく旦那の話を聞き出そうと「旦那は本当に不倫してるんですか。この店って落札した女性と喫茶店でお茶を飲むだけだって聞いてますけど。他になにかしてるんですか」とわざと何も知らない振りをして課長さんに話を向けました。
「そんなことはないよ、奥さんが知らないだけで、下谷君はなかなか女の子にモテモテでね。会社でも女の子のお尻を触りまくってるんだよ」と課長さんが言い出しました。
私は旦那がそんなに女の子にもてるはずはないので、誰か別の人と勘違いしてるのではと不審な思いで課長さんの話を聞いていました。
「嘘だと思うなら、証拠のビデオがあるよ、それを見ればきっと奥さんも納得するはず。下谷君は絶倫で社内でも有名でね、つき合った女子社員は一人や二人じゃないんだ」と課長さんに言われてそんなはずは絶対にないと思いましたが、証拠のビデオを確かめないことには確信が持てませんでした。
「そのビデオ見せて貰えませんか」と私が恐る恐る言ってみると、課長さんは「ここじゃ見せられないから、どっか二人っきりに成れる所に行こう、そうすればゆっくりビデオを見られし誰にも見つからずに済むよ」と私に提案してきました。
二人っきりに成る場所というのはきっとラブホテルの事だと私はすぐに気がつきました。
いくら旦那の上司とは言え課長さんとラブホテルで二人っきりに成るなんて危ない気がしましたが、ビデオを確かめるにはそれしかないと思い直しました。
喫茶店を出て、裏道をしばらく歩くとラブホテルらしい看板が見えました。
課長さんはラブホテルの入り口の前で立ち止まると私の顔色を伺いながら「いやなら帰りなさい。無理には誘わないよ」と聞いてきました。
私は旦那の映っているビデオを確かめないことには帰るわけにはいかないと思って「私、いやだなんて言ってません」と小声で返事をしました。
それほど広くない部屋には大きなダブルベッドが置いてあって、ベッドの横に大きな液晶テレビがおいてありました。
「奥さん、ホテルの部屋に旦那以外の男と一緒に入るなんて、勇気あるんだね。旦那にばれたら大変だね」と課長さんに言われて私は困った事にならなければ良いと心配な気持ちになりました。
課長さんは鞄から小さなタブレットを取り出すと、液晶テレビにつなげました。
すぐに液晶テレビに画面が映し出されて、ホテルの部屋で男と一緒にベッドの端に座っている女の姿が目に入りました。
私はこれが旦那の不倫ビデオだと思って男の顔を確かめてみましたが男の顔にはモザイクが掛けてあって顔ははっきりとは判りませんでした。
課長さんがタブレットを操作すると、画面が変わって女の顔が大写しになるとスピーカーからはいきなり「あぁん、あぁーーー」と女の大きな声が響いてきました。
私は女の顔に見覚えがあるのに気がついて、びっくりしてビデオに映った女の顔を確かめました。
髪型をショートカットにしてお化粧も濃いので最初見たときには気がつきませんでしたが大学の時の親友の礼子さんに間違いありませんでした。
礼子さんは性格も真面目で男の子とつき合った経験などほとんどなかったはずなのに、ビデオに映っている礼子さんはまるで別人のように大きな声を上げていました。
そういえば随分前に礼子さんから最近不倫してると打ち明けられたのを思い出しました。
相手は年上の男性でセックスのテクニックが抜群なので、一度つき合ったらとても別れられないと礼子さん話していました。
もしかして礼子さんが話していたのは旦那の事かもしれないと思いましたが、旦那がテクニック抜群なんて有るはずがない話。
旦那が礼子さんとつき合ってるなんてとても考えられないし、それに旦那相手に礼子さんがこんなに狂ったように声を上げるなんてとてもあり得ないと思いました。
礼子さんの相手の男性は本当に旦那なのだろうか、それとも別の男の人とセックスしてるビデオなのか私には確信が持てませんでした。
私がじっとビデオに見入っていると、不意に課長さんが私に肩をすり寄せてきました。
課長さんの手が私の膝に伸びると、私の膝頭の感触を楽しむように動き始めました。
微妙な感覚に私の膝が震えると、課長さんの指先はさらに大胆に巧みな動きを始めました。
思いもかけない感触が私の体の芯から広がり、泉のように溢れだしました。
頭の中まで熱い奔流が流れこみ、私は半分夢のなかにいるかのように体が重くなりました。
突然「凄いの、逝っちゃう、礼ちゃん逝く逝くーー」とスピーカーから女の大きな声が聞こえてきました。
液晶テレビの画面に目をやるとたったいま男に逝かされた女の顔が画面いっぱいに映し出されていました。
口が半分開いて涎をたらしながら、目が半分白目になっている女の顔を見て、私は女が羨ましくて体が一気に燃え上がりました。
男がテレビカメラの位置を動かしたので、画面が変わると男の顔がはっきりと映りました。
旦那ではなかったので私は一安心しましたが、すぐに画面の男が課長さんだと気がついて体中に寒気がしてきました。
課長さんが私をこのまま何もせずに帰すわけはないと思うと怖くて体が震えてきました。
「このビデオの女と同じ目に遭わせてやるぜ、女の喜びを体験すれば、どんな女だってただの雌豚になるんだぜ」と課長さんが私の耳もとで囁いてきました。
私は怖くて返事ができずに、体を震えが止まらなくなりました。
課長さんは私をベッドに押し倒すとすぐに体を重ねてきました。
欲望の嵐が激しい竜巻となって私の体に襲いかかってきました。
私の身体を包み込んだ欲望の渦は、すぐには激しくならずに、私の感触を楽しんでいるようでした。
逃げることの出来ない快楽の時が始まったことを私は思い知らされました。
信じられない感触が私の体中に広がると許しを請うことさえできなくなりました。
時計の針が止まると、永遠の時間が私の体を支配していました。
空高く飛ばされた私の身体は、最後の瞬間を求めて宙をさまよい続けました。
支配者の剣は私の体を十分に楽しむと、ようやく最後の一撃で私を貫きました。
どうせレンタルビデオ屋のカードだと思って、気にもしてませんでしたが捨てる訳にもいかないので、旦那の部屋のパソコンの前にでも置いておこうと思いました。
しかし、部屋に入ってパソコンの前に置いてよくよく見ると、どうも怪しい会員証に見えました。
電話番号が書いてあったので、さっそく電話して見ると、受付の女性の声が聞こえました。
「あのどうゆう店なんですか」と何も考えもしないで聞いてみると、「あ、内はお客さんの身元みんな確かめてますから、だいじょぶですよ」
「普通の人妻の方でも安心してご入会できますから」と返事がきました。
どうやら、人妻も入会するクラブというのでこれはどう考えても怪しいとぴんと来ました。
「あの、私でも入会できますか」と聞いてみると、「あ、会員の方の紹介がないとだめなんですが、あと身元がわかる運転免許証とかも必要です」と明るい声の返事がきました。
私は「じゃ、これから行きますから」と言って電話を切りました。
免許を取ってから一度も車に乗っていない、免許証も役に立つことがあるんだと思い、免許証を引き出しの奧から探すと、教えられた場所に行くことにしました。
池袋の裏手にはいると、小さい路地の奧にマンションがありその裏に小さなビルがありました。
「さっき電話したんですが、それでどんな風になってるんですか」とさりげなく聞いてみると、
「うちは人妻専門のセリクラなんです、セリクラってご存じですよね、女の子競売にかけて、男性が競り落とすというあれですが」
「うちでもらうのは、競り落とすところまでで、あとはお客さんが交際したいなり希望があれば、あとはご自分でやってくださいね」
「うちではそうゆうことはやってないので、あくまでも紹介だけで、デート一時間分のお金もらうだけですから」
「そのあとは、まあ相手が気に入らなければそのまま帰っていただいて、一日何度でも競りに来て頂いてかまいません」と慣れた様子で説明をしてくれました。
「会員の紹介がないと、だめなんですが、誰のご紹介ですか」と聞かれて、私は旦那の会員証を見せました。
すると、デジカメで顔写真を撮ってそのままプリンターで会員証を作ってくれました。
女性は無料だというので、お金もかからずほっとしました。
旦那がこの店に来ると言うことは、旦那が人妻を誰か競り落として、しかも、どっかの近くのラブホテルにでも行っているのには間違いないと思いました。
私は、「また今度来ます」と言って店をでました。
ちょうど細い路地を曲がったとき、反対側から旦那らしい人影が今来た道に入って行くのが見えました。
私はあわてて電柱の陰に隠れて様子をうかがいながら、旦那の後をつけました。
旦那が入ったのは私がさっきでてきたセリクラのビルでした。
私は旦那が仕事をさぼってセリクラに来たのに違いないとすぐ分かりました。
旦那の仕事は深夜が多くて昼間は暇なはずなのに、最近でるのが早い理由がやっと分かりました。
昼間は人妻が暇なので、人妻専用セリクラなら不倫相手は見つけられるはずです。
私は腹の底から怒りがこみ上げてくると、裏の女性専用の受付に戻りました。
「いまお客さん何人ですか」と聞いてみると、「いまお客さん見えられた所です、まだ一人ですが、少し待てば増えると思います」という返事だった。
やっぱり旦那が客に来てるんだと私は直感しました。
客は旦那一人、これはいいことをきいた、私がセリクラに出てやろう、そうすれば旦那は私がでてきてびっくりするはずだ。
「今日ひまなので、出たいんですがいいですか」とさっきの受付の女性に頼みました。
すると「よろしいですよ、」と返事が返ってきました。
そう思うと胸がドキドキして止まらなくなりました。
案内されて中に入るとまた細い通路を曲がりくねって進み、小さな待合室につきました。
待合室には椅子が数個おいてあり、その正面は大きな鏡でした。
鏡はマジックミラーになっていて、こちらからは男性側の様子はわからないようになっていました。
きっと旦那は私がセリに出てきたのを見て、びっくりしているに違いありませんでした。
隣の部屋のマイクの音が聞こえてきましたが、どうやらすぐに落札されたようでした。
私はまた細い通路を通って、男と待ち合わせる出口まで来ました。
セリにかけられる女性は、競り落とした男性としか顔が合わないようになっていて、ほかにどんな男性達がきているのかは全然わからない仕組みでした。
また女の子の方も別々に部屋で待たされて、女の子同士が顔を合わせることがないようになっていました。
そのために、あんなに細い通路を延々と通って案内されたのだと分かりました。
これでは、店にどんな人妻や、男性が来ているのか様子が分からなくて、ちょっとがっかりな気分でした。
すぐにドアがあいたので私は旦那が慌てて私に言い訳をするに違いないと思って待ち構えていました。
ドアの中から背広を着たサラリーマンらしい男性が私に歩み寄ってきました。
男の顔はどこか見覚えがありましたが、すぐには思い出せませんでした。
「いや、奥さん久しぶりだね」と男が私に挨拶をしたのでどこかで見た顔だと思ってまじまじと男の顔を見ると、男はいかにもいやらしい笑いを口元に浮かべて、私に軽く会釈をしました。
見覚えのある顔はよくよく思い出してみると旦那の会社の上司の課長さんでした。
「こんなところで奥さんに会えるとはね、いや本当にびっくりした」と課長さんに言われて私は競りで私を落札したのはこの課長さんらしいと気がつきました。
私はいったいどう言い訳をしようかと一瞬慌てましたが、なんとか気分を落ち着かせました。
私はひとまず課長さんを近くの喫茶店に誘うと、窓際のスタンドの席に並んで座りました。
事情を話した方がいいと思って「私旦那の様子が最近どうもおかしいので、様子を探りに来たんです。それでたまたま旦那が店に入るの見たので、旦那にわざと見つかるように店にでたんです」と正直に話しました。
「あ、中谷君ならぼくより少し前に来てね、それで君の前の女の子落札したよ。なんでも新婚ほやほやの20歳の新妻で、旦那は大阪に単身赴任中だそうだ」と課長さんが教えてくれました。
試しに落札した値段を聞いてみると、私の値段より数倍も高かったのでまた怒りがこみ上げてきました。
「それで旦那はいつ頃からここに来るようになったんですか」と私が聞くと、「あ、結婚してからすぐだとかいっていた、嫁さんマグロでとてもやってられないそうだ」そう聞いて私は怒りがこみ上げてきました。
私が誘っても気の乗らない振りで断るのに、外では私がマグロだとか言ってたんだわ、と思うともう怒りが収まりませんでした。
コーヒーを飲みながら私はそれとなく旦那の話を聞き出そうと「旦那は本当に不倫してるんですか。この店って落札した女性と喫茶店でお茶を飲むだけだって聞いてますけど。他になにかしてるんですか」とわざと何も知らない振りをして課長さんに話を向けました。
「そんなことはないよ、奥さんが知らないだけで、下谷君はなかなか女の子にモテモテでね。会社でも女の子のお尻を触りまくってるんだよ」と課長さんが言い出しました。
私は旦那がそんなに女の子にもてるはずはないので、誰か別の人と勘違いしてるのではと不審な思いで課長さんの話を聞いていました。
「嘘だと思うなら、証拠のビデオがあるよ、それを見ればきっと奥さんも納得するはず。下谷君は絶倫で社内でも有名でね、つき合った女子社員は一人や二人じゃないんだ」と課長さんに言われてそんなはずは絶対にないと思いましたが、証拠のビデオを確かめないことには確信が持てませんでした。
「そのビデオ見せて貰えませんか」と私が恐る恐る言ってみると、課長さんは「ここじゃ見せられないから、どっか二人っきりに成れる所に行こう、そうすればゆっくりビデオを見られし誰にも見つからずに済むよ」と私に提案してきました。
二人っきりに成る場所というのはきっとラブホテルの事だと私はすぐに気がつきました。
いくら旦那の上司とは言え課長さんとラブホテルで二人っきりに成るなんて危ない気がしましたが、ビデオを確かめるにはそれしかないと思い直しました。
喫茶店を出て、裏道をしばらく歩くとラブホテルらしい看板が見えました。
課長さんはラブホテルの入り口の前で立ち止まると私の顔色を伺いながら「いやなら帰りなさい。無理には誘わないよ」と聞いてきました。
私は旦那の映っているビデオを確かめないことには帰るわけにはいかないと思って「私、いやだなんて言ってません」と小声で返事をしました。
それほど広くない部屋には大きなダブルベッドが置いてあって、ベッドの横に大きな液晶テレビがおいてありました。
「奥さん、ホテルの部屋に旦那以外の男と一緒に入るなんて、勇気あるんだね。旦那にばれたら大変だね」と課長さんに言われて私は困った事にならなければ良いと心配な気持ちになりました。
課長さんは鞄から小さなタブレットを取り出すと、液晶テレビにつなげました。
すぐに液晶テレビに画面が映し出されて、ホテルの部屋で男と一緒にベッドの端に座っている女の姿が目に入りました。
私はこれが旦那の不倫ビデオだと思って男の顔を確かめてみましたが男の顔にはモザイクが掛けてあって顔ははっきりとは判りませんでした。
課長さんがタブレットを操作すると、画面が変わって女の顔が大写しになるとスピーカーからはいきなり「あぁん、あぁーーー」と女の大きな声が響いてきました。
私は女の顔に見覚えがあるのに気がついて、びっくりしてビデオに映った女の顔を確かめました。
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礼子さんは性格も真面目で男の子とつき合った経験などほとんどなかったはずなのに、ビデオに映っている礼子さんはまるで別人のように大きな声を上げていました。
そういえば随分前に礼子さんから最近不倫してると打ち明けられたのを思い出しました。
相手は年上の男性でセックスのテクニックが抜群なので、一度つき合ったらとても別れられないと礼子さん話していました。
もしかして礼子さんが話していたのは旦那の事かもしれないと思いましたが、旦那がテクニック抜群なんて有るはずがない話。
旦那が礼子さんとつき合ってるなんてとても考えられないし、それに旦那相手に礼子さんがこんなに狂ったように声を上げるなんてとてもあり得ないと思いました。
礼子さんの相手の男性は本当に旦那なのだろうか、それとも別の男の人とセックスしてるビデオなのか私には確信が持てませんでした。
私がじっとビデオに見入っていると、不意に課長さんが私に肩をすり寄せてきました。
課長さんの手が私の膝に伸びると、私の膝頭の感触を楽しむように動き始めました。
微妙な感覚に私の膝が震えると、課長さんの指先はさらに大胆に巧みな動きを始めました。
思いもかけない感触が私の体の芯から広がり、泉のように溢れだしました。
頭の中まで熱い奔流が流れこみ、私は半分夢のなかにいるかのように体が重くなりました。
突然「凄いの、逝っちゃう、礼ちゃん逝く逝くーー」とスピーカーから女の大きな声が聞こえてきました。
液晶テレビの画面に目をやるとたったいま男に逝かされた女の顔が画面いっぱいに映し出されていました。
口が半分開いて涎をたらしながら、目が半分白目になっている女の顔を見て、私は女が羨ましくて体が一気に燃え上がりました。
男がテレビカメラの位置を動かしたので、画面が変わると男の顔がはっきりと映りました。
旦那ではなかったので私は一安心しましたが、すぐに画面の男が課長さんだと気がついて体中に寒気がしてきました。
課長さんが私をこのまま何もせずに帰すわけはないと思うと怖くて体が震えてきました。
「このビデオの女と同じ目に遭わせてやるぜ、女の喜びを体験すれば、どんな女だってただの雌豚になるんだぜ」と課長さんが私の耳もとで囁いてきました。
私は怖くて返事ができずに、体を震えが止まらなくなりました。
課長さんは私をベッドに押し倒すとすぐに体を重ねてきました。
欲望の嵐が激しい竜巻となって私の体に襲いかかってきました。
私の身体を包み込んだ欲望の渦は、すぐには激しくならずに、私の感触を楽しんでいるようでした。
逃げることの出来ない快楽の時が始まったことを私は思い知らされました。
信じられない感触が私の体中に広がると許しを請うことさえできなくなりました。
時計の針が止まると、永遠の時間が私の体を支配していました。
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