【完結】令嬢はされるがままに

asami

文字の大きさ
上 下
78 / 122

第七十八話

しおりを挟む
 旦那の背広をクリーニング店に取りに行くと、店番の女の子に「ポケットにこれ入ってました」と言って小さなカードを渡されました。
見たところクレジットカードではなく、なにかの会員証の用でした。
どうせレンタルビデオ屋のカードだと思って、気にもしてませんでしたが捨てる訳にもいかないので、旦那の部屋のパソコンの前にでも置いておこうと思いました。
しかし、部屋に入ってパソコンの前に置いてよくよく見ると、どうも怪しい会員証に見えました。
電話番号が書いてあったので、さっそく電話して見ると、受付の女性の声が聞こえました。
「あのどうゆう店なんですか」と何も考えもしないで聞いてみると、「あ、内はお客さんの身元みんな確かめてますから、だいじょぶですよ」
「普通の人妻の方でも安心してご入会できますから」と返事がきました。
どうやら、人妻も入会するクラブというのでこれはどう考えても怪しいとぴんと来ました。
「あの、私でも入会できますか」と聞いてみると、「あ、会員の方の紹介がないとだめなんですが、あと身元がわかる運転免許証とかも必要です」と明るい声の返事がきました。
私は「じゃ、これから行きますから」と言って電話を切りました。
免許を取ってから一度も車に乗っていない、免許証も役に立つことがあるんだと思い、免許証を引き出しの奧から探すと、教えられた場所に行くことにしました。
池袋の裏手にはいると、小さい路地の奧にマンションがありその裏に小さなビルがありました。
「さっき電話したんですが、それでどんな風になってるんですか」とさりげなく聞いてみると、
「うちは人妻専門のセリクラなんです、セリクラってご存じですよね、女の子競売にかけて、男性が競り落とすというあれですが」
「うちでもらうのは、競り落とすところまでで、あとはお客さんが交際したいなり希望があれば、あとはご自分でやってくださいね」
「うちではそうゆうことはやってないので、あくまでも紹介だけで、デート一時間分のお金もらうだけですから」
「そのあとは、まあ相手が気に入らなければそのまま帰っていただいて、一日何度でも競りに来て頂いてかまいません」と慣れた様子で説明をしてくれました。
「会員の紹介がないと、だめなんですが、誰のご紹介ですか」と聞かれて、私は旦那の会員証を見せました。
すると、デジカメで顔写真を撮ってそのままプリンターで会員証を作ってくれました。
女性は無料だというので、お金もかからずほっとしました。
旦那がこの店に来ると言うことは、旦那が人妻を誰か競り落として、しかも、どっかの近くのラブホテルにでも行っているのには間違いないと思いました。
私は、「また今度来ます」と言って店をでました。



 ちょうど入り口のドアを開けて出ようとすると、もう一つのドアにすれ違いで男が入ってきました。
背の低い、頭のはげ上がった、お腹の大きくせりだした男の様子が目に入った瞬間に私の膝が震えてきました。
まだ大学生だったころ、合コンのあとナンパされてカラオケに誘われ、そのあとラブホテルに連れ込まれた時の男性と雰囲気がそっくりでした。
あのときは、両手を縛られて責められて、朝まで泣き続けたのを体が覚えていました。
一度きりの体験と思っていたあのときの感触が体によみがえってくると、私はもう自分の気持ちに逆らえなくなりました。
私はさっきの受付に戻ると、今すれ違った男性の事を聞いてみました。
すると「常連のお客さんで、いつも今頃店に来るんですよ」という返事でした。
私は「今セリにでれば落札されますか」と聞いてみました。
すると「ああ、頼んでおきましょうか、落札されたい人妻がいるって」と受付の男性がいうので、私は何も考えずに「お願いします」と小さい声で答えました。
マジックミラーのついた小部屋に通されるとセリが始まりました。
お客はほかにも数人いるようでしたが、きっとさっきの男性が落札したのに違いありませんでした。
落札がすんで、出口に案内されると、私を待っていたのはやはりさっきの男性でした。
「とりあえず、二人でゆっくりできる場所に行きませんか」と男に誘われて私は「そうですね」と曖昧に答えました。
小さい路地をしばらくあるくと、紫色の看板のでている建物の前につきました。
「ご休憩」と光る文字が看板に浮き上がるのを見てラブホテルだとすぐに判りました。
「いやだったら帰りなさい。無理には誘わないよ」と言われて私は男のあとについて中にはいりました。
部屋に入ると「奥さんセリクラで遊ぶのは今度が初めてじゃないんだろう」と男に言われました。
私が黙っていると「旦那さんが相手にしてくれなくて、寂しかったんだろう。ちょうどいい俺がたっぷり楽しませてやるぜ」と男が話を続けました。
「奥さんみたいな美人は久しぶりだぜ、スタイルも良いし。あそこの締まりも良さそうだし」と男に言われて私はなんと答えていいのか判らなくて返事ができませんでした。
「疲れてるんじゃないか」と言うと男は小さなドリンク剤の瓶を二つ取り出しました。
ドリンク剤には赤いラベルが貼ってあって漢方薬の名前らしい漢字がいっぱい並んでいました。
男は私にドリンク剤の蓋を取って私に一本渡すと、もう一本を自分で飲み干しました。
私は少し疲れていたのでドリンク剤を飲んだ方がいいかと思って、試しに少しだけ口に含んでみました。
漢方薬の苦みと他の成分が混じり合って疲労回復には効き目がありそうな味がしたので、私は一本をすぐに飲み干しました。
男は私がドリンク剤を飲むのを見て、口元に怪しげな笑みを浮かべていました。
「奥さん、このドリンク剤はね、特別に精力が高まる成分が入っていてね。男が飲んでも効くし、女が飲んでも効くんですよ」と男に言われて私は男が笑みを浮かべた理由に気がつきました。
「この薬を飲んでセックスするとどうなるのか、ビデオが有るので今見せますよ」と男が言うとビデオのリモコンを操作しました。
液晶テレビの画面いっぱいに男女が体を重ねる場面が映し出されると、女の喘ぎ声がスピーカーから大きな音で聞こえてきました。
男が力強いリズムで腰を動かすのに合わせて、女が頭を仰け反らせて体を震わせる場面を見て私は思わず身震いがしてきました。
今まで私が体験してきた男と女の世界とはまるで違う、別世界のセックスを目の当たりにして私は身がすくんで声もだせませんでした。
液晶テレビに映った男が顔を上げるのを見て、私はすぐにその男が今私のすぐ隣に座っている男だと気がつきました。
「この女はセリクラで遊ぶのは初めてだったんだ。お茶を飲んでおしゃべるするだけだと本気で思いこんんでたらしくてね」
「すぐにラブホテルに誘われるとは思ってなかったらしくてね。不倫も初めてだとぬかしやがってね。この薬を飲ませたんだ。最初は嫌がっていたけど、すぐに体が反応してね。終わったあとは泣きじゃくっていたよ。『こんなの初めて』て言ってね」と男が得意そうに言うのを聞いて私は寒気がして体が震えてきました。
男が私の膝の上に手を載せてきたとき、私は逃げだそうと思って立ち上がるとドアまで駈け寄ろうとしました。
足を数歩動かしたとき、私は急に目眩がして床に倒れ込んでしまいました。
「奥さん、この薬は男性より女性によく効くんですよ。男性が飲むとあそこが立つだけだけど。女性が飲むとね、体が思い通りには動かせなくなるんですよ」と男が言うと私の体を抱え上げてベッドに押し倒してきました。
欲望の嵐が激しい竜巻となって私の体に襲いかかってきました。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがありました。
許されない喜びの深い淵に私の体は沈み込んで戻ることができなくなりました。
私の体は空高く放り上げられたまま、落ちることを許されずに回り続けました。
支配者に従属するのが女の宿命だと私は心のそこから思い知らされました。
支配者が最後の満足の時を告げるのを待つしかもう望みはなくなりました。
廃墟となって燃え続ける私の身体に、男は所有者の刃を誇らしげに打ち込み続けました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...