【完結】令嬢はされるがままに

asami

文字の大きさ
上 下
61 / 122

第六十一話

しおりを挟む
 いつも遊びに来ている近所の和恵さんと、いつものように居間でテレビをつけてお茶を飲んでいると「ところで有紀ちゃんフリーマーケットに出す物何かない」と聞かれました。
「何でもいいのよ、いらない物なんでも出せばいいの、使わないタオルとか、コップとか、何でも売れるから」と言われて、全然使っていないオルゴール付の宝石箱を奧から出してきました。
結婚するとき旦那の叔母がお祝いに買ってくれたんですが、ずっと使わないままになっていました。
「あ、これならすぐ売れるわよ600円でどう」と言われてちょっと安すぎる気がしましたが、もう古いものなのでお金になるならいいかと思いました。
「売れたらお金もってくるわね」と言って和恵さんはオルゴール付の宝石箱を持っていきました。
フリーマーケットの当日に朝和恵さんから電話があって、「ちょっとフリーマーケットの売り子手伝ってくれない、一人だとさ、トイレにもいけないじゃない、友達頼んどいたんだけど急に用事できちゃったの」と言われました。
私もせっかくのオルゴール付の宝石箱が売れないと困るので渋谷の代々木公園まで行くことにしました。



 フリーマーケットの会場の公園に行くと、車が沢山ならんでいて出店の準備をしていました。
しばらく出店予定の場所で待っていると和恵さんの車がフリーマーケットで売る品をいっぱい載せて到着しました。
私達はさっそく車から荷物を降ろすと地面にシートを敷いて衣類やタオルなどを見栄え良く並べて客を待ちました。
まだ朝早いせいか客も少なくて見ていってくれる人はほとんどいませんでした。
昼近くになって人通りも増えて人の波がだんだんと多くなってきましたがどうゆうわけか私達の店とは反対側の店に人が流れていってしまいました。
どうしてかしらとよくよく見ると、売り手の女の子が派手な超ミニの服を着て、しきりに客に声をかけていました。
これでは客を取られてしまうはずだと思い和恵さんとも相談して、持ってきたスカートの中から見栄えの言いミニのスカートを選んで着替えることにしました。
和恵さんが「これがいんじゃないの」と言って渡してくれたスカートは高校生が着るようなチェックのミニスカートでした。
私はこんなスカート着てもいいのかしらと思いましたが「売ろうと思ったらこのくらいのスカートははかなきゃダメよ」と言われてそれもそうだと納得しました。
隣の車の陰で着替えてから、今度は「スカートいかがですか、安いですよ、おしゃれなスカートいっぱいありますよ」と客に声を掛けてみると、今度は私達の店の方に客が一杯押し寄せてきました。
私はフリーマーケットにも商売のこつがあるのだと気が付いてなんだか面白くなりました。
「そろそろお昼ご飯を食べたほうがいい時間だと思うけど」と私が言うと、何か買ってきてと頼まれました。
その辺に露天でもでていないかと探してみましたが、どこを見てもフリーマーケットの店ばかりで食べ物の店はありませんでした。
あちこち歩いて、とうとう入り口近くに来て、私はフリーマーケットの事務局に食べ物屋はでていないかと聞いてみました。
すると「フリーマーケットは食べ物屋はでていないから、お弁当を用意ししてきたほうがいいよ、買いに行くならこの先に交差点わたるとウェンディーズがあるから」と教えられました。
私は時間がかかると思いましたが他にしょうがないのでウェンディーズでお昼に食べるものを買いました。
店を出ようとしたとき大きなカメラを持った男性に「ちょっとすみません」と声を掛けられました。
「すいません、写真のモデルお願いしたいんですが、お願いできませんでしょうか」とやけに丁寧な口調で言いながら出した名刺にはフリーカメラマンの肩書きが付いていました。
「よかったら、雑誌に載せる写真撮らせていただきたいんですが、あの読談社の出しているジュニアモードという雑誌なんですけど、すぐ済みますからお願いします」
「いや、雑誌にぴったりですよお嬢さんはほんと、高校生には見えないな、大人びていて」と言われ高校生と間違えられていると気が付きました。
しかしまあ写真が雑誌に載れば話しの種に位はなると思って、写真を撮ってもらうことにしました。
「じゃ、部屋用意してありますからちょっと来て下さいね、いやこのすぐ先だから」と言われて着いていくとラブホテルらしい建物の前に来ました。
「いや、この辺じゃこうゆう所しかなくてね、いや大丈夫写真撮るだけだから」と言われてそれもそうかと思って部屋に入りました。
「じゃ、まず正面向いてね、それからちょっと右足だして、じゃそのまま横向いて」といろいろポーズを取らされて「いや、可愛いね、ほんと可愛い、サイコーだよ」とおだてられながら写真を撮られました。
もうこれだけ撮れば終わりかしらと思っていると「じゃ、もっと可愛い写真撮ろうね、そのスカートちょっと脱いでみよう、大胆な写真も撮ってみようね」と男が言い出すので、どうもこれはおかしいと私は気が付きました。
「私、もう帰りますから」と言って部屋を出ようとすると「ドスケベ女のくせしやがって、このまま帰れるわけねえだろう」と言いながら男が私をベッドに押し倒してきました。
欲望の儀式が始まる予感が、私の身体を襲いました。
私の期待を裏切るように、ゆっくりとした波が私の感触を楽しむように打ち寄せてきました。
これが運命の決めた時だとあきらめの気持ちは、やがてあふれ出る泉を呼び起こしました。
竜巻のような激しい勢いで吹き抜ける嵐の中では、もう逃げることもできませんでした。
時計の針が止まると、永遠の時間が私の体を支配していました。
天国にめがけて投げ上げられた私の体は、果てしない天空を昇り続けました。
心を失って燃え続ける私の身体を、男は最後の一撃きで貫きました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...