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第二十九話

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 買い物の帰りに、郵便受けを見ると見かけない葉書が入っていました。
居間でお茶を飲みながらよくよく見ると、絵の展覧会の招待状でした。
どうして私の所にこんな葉書が来るのかしらと思ってよくよく名前を見ると、大学の時の先輩の名前でした。
大学を卒業したあと、絵を描き始めた事は聞いていたのですが、銀座で個展と聞いてびっくりしてしまいました。
当日、近くのデパートでクッキーの詰め合わせを買って会場に行きました。
展覧会の会場には、大学の時のコーラス部の同級生が大勢詰めかけていました。
狭い会場を一回りして絵を見た後、居合わせていた旧友と近所のロッテリアでしばらくおしゃべりを続けました。
大学時代に戻ったような気分で、時間のたつのを忘れていましたが、やがて一人が用事があるからと言って席を立ったのでお開きになりました。
私は帰りにどこかデパートにでも寄って行こうかしらと思って通りを歩きはじめました。
そのとき、中年の女性が声をかけてきました。
「すぐに済みますからアンケートをお願いできませんか、抽選で海外旅行が当ります、ぜひお願いします」と頼まれました。
抽選で海外旅行というのも気になったので、私はアンケートに答えることにしました。
近くのビルの上の階に連れて行かれると小さな小部屋に通されました。
女性はアンケート用紙になにか書き込みながら「朝ご飯はいつも食べてますか」とか、
「野菜はどんなものが好きですか」とか食べ物の話しを色々と質問してきました。
一通りアンケートが済むと急に女性は口調を変えて「大変ですね、この食生活だとあと5年で肝臓病になりますよ、こんな結果の悪い人は始めてですね」と言い出しました。
私がびっくりして理由を聞くと、「あなたの、食生活はもう大変悪くて、これでは肝臓に負担がかかるんです今の内なんとかしないとホント大変ですよ」
「そうだ、ちょうどいいダイエットプログラムがありますからそれをしてみたらいいです、いえしなかったらもう間違いなく肝臓癌になりますからするしかないですよ」
「そうそう、いまこのクジ引いて下さいな、クジに当たると料金がただになるんですよ、ただですよ」
と言われて私は差し出された箱から三角クジを一つ取り出して開けてみました。
そこにはなにか記号で書いてありましたが、それがはずれなのか当たりなのか私には分かりませんでした。
「うわー、、たいへん当たりですよ、なんて運がいい方なんでしょう、当たった人は滅多にいなくて、今月はあなたで最初ですよ」と言われて私はなるほど本当に運良く肝臓病にならずに済んだと喜びました。
よくよく説明を聞いてみると、ダイエットプログラムというのはお寺でやる断食修行のことで、一週間泊まり込みで断食をするという修行でした。
私は家に戻って旦那に「断食道場に友達に誘われたんだけど」と言ってみました。
すると旦那は「俺だったらべつに気にしなくていいよ、行きたいならいっといで」とやけに物わかりのいい答えでした。
私は旦那の気分が変わらない内に断食道場に行くことにしました。



 着替えを用意して当日、約束の場所に行くと車で山奥に案内されました。
民宿の様な建物があり、断食道場と看板がでていました。
中に入ってみると、建物は奧に続いていてかなり広い様子でした。
部屋に通されて着替えをすると、道場に案内されました。
大勢の男女が座って、一斉になにか唱えていました。
私はどうも断食のダイエット道場にしては変な気がしました。
小太りの男性が、正面に現れるとなにやら説法を始めました。
「断食をすれば、身体の汚れがみんなでていくんだよ、」
「ありがたいことだ、ありがたいことだ、汚れが綺麗になって、生まれたままになるんだ」
と訳の分からない説法が続きました。
私はとんでもない所に来てしまったと思いました。
夜になって、女の子が数人部屋に来て、一緒に布団を敷き始めました。
やや小柄の女の子の様子が見ていても少し変でした。
どこか身体の具合が悪いらしくて、布団を敷き終わると眉をゆがめてしゃがみ込んでしまいました。
私はこれは大変だとほかの女の子達に言いましたが、全然相手にもしてくれませんでした。
このままには出来ないと思い私は携帯電話で救急車を呼びました。
山の奥なので救急車が来るには時間がかかりましたが、しばらく待っていると救急車のサイレンの音がしました。
しかし道場の入り口でなにやら様子が変でした。
道場の男の子達が救急車を囲んで、帰れといいながら小競り合いをしていました。
私は救急車の担架を部屋まで案内して、倒れ込んだままの女の子を連れていってもらいました。
救急車が帰ると、男の子達が「いったい誰が救急車なんか呼んだんだ、けしからん、修行中に救急車呼ぶなんてとんでもない」といってあちこちを探して回り始めました。
同じ部屋の女の子の一人が私が救急車を呼んだのをみていて、告げ口をしました。
私は男の子達に囲まれて、教祖の部屋に連れて行かれました。
「教えを汚す、とんでもない女だ、天罰を受けなさい、いますぐだ」と教祖が言うと男の子達が私を押し倒してきました。
激しい嵐の中に浮かぶ小舟のように、私の肉体は波間に真っ逆さまに落ちていきました。
時間が止まったまま、征服の杭が私の体をもてあそび続けました。
繰り返される律動は、やがて稲妻にかわり私の体を引き裂きました。
満足する間もなくすぐに次の杭が私に打ち込まれ、また今度も激しい律動が私の体を突き抜けました。
繰り返される欲望の儀式は、何度も繰り返しては私の身体を引き裂きました。
逃げられない時は従うしかないと、子宮が命じる声が私の身体に響いてきました。
これが運命の決めた時だとあきらめの気持ちは、やがてあふれ出る泉を呼び起こしました。
激しい渦の流れに私の体は飲み込まれ、体ごと深く沈み込んで浮き上がる望みもなくなりました。
私の体は意志のない人形のようにもてあそばれて引き裂かれました。
このままずっと責め続けられたら、私は支配者に屈服するよりないと覚悟を決めました。
男は私の身体を征服すると最後の欲望を遂げました。
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