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1月2日
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年末年始となった病院。
カズくんの治療は点滴と、ゼリーの食事と酸素と、お腹に入っている膿を出す管と、透析のみとなった。
年が明け、状態が良くなったら手術をする・・・。
誰もがそう思っていた。
酸素も5から2リットルまで下がり、マスクがカヌラ(鼻に当てるタイプ)へと、徐々に良くなっていく。
そして、新年。
2020年の年が始まり、誰もが
「あけましておめでとう」
と、新年を喜んでいた。
2020年1月1日、元旦。
私は、知人の家に招かれ新年を祝っていた。
みんな、カズくんの回復を祝って喜んでいた。
そしてその足で、私はカズくんのいる病院に面会に行った。
「カズくん!」
病室に行くと、カズくんはベットの上に座っていた。
しかし・・・
カズくんはカヌラからマスクに代わっていた。
「来たか・・・」
少し苦しそうに息をしながら笑っているカズくん。
「な、なに?どうしたの?!」
私が走り寄ると、カズくんは笑いながらこう囁いた。
「看護師さんが(マスク)していった。」
肩で息をし、ゼイゼイと喘鳴が聞こえる。
「大丈夫なの?!苦しいの?!」
私は、心配でそう言うと、
「大丈夫だって。病院の看護師が大袈裟なんだよ」
と、カズくんはおどけてみせる。
一番状態の悪い時に比べれば、顔色はまだいいが、爪の色が明らかに白っぽくなっていた。
私は不安で胸が押しつぶされそうになる。
時々、看護師さんが来て、パルスオキシメーターを装着しては、酸素を上げていく。
私が見ていた限り、5Lまで酸素は上がっていた。
「大丈夫だって、俺が嘘言ったことあるかぁ?」
・・・。
『嘘つき、苦しいくせに・・・』
私は心の中でそう呟いたが、カズくんには言わなかった。
結局、面会時間いっぱいいたが、看護師さんも特に何も言ってこず。
カズくんも、
「早く帰れ、大丈夫だから」
と、繰り返し言うため、病院を後にした。
そして、1月2日の2時の事。
けたたましく、スマホのベルが鳴って、私は急いで電話に出た。病棟の看護師さんからの電話だった。
「今すぐ来られますか?」
私はすぐに返事をして、電話を切った。
服をぱっぱっと着替えると、車に乗って病院へと向かった。
病院の病棟へ着くと、看護師さんが待っていた。
「今、医師が治療中なので、少しお待ちください」
そう言うと、リカバリールームへと看護師は消えていった。
嫌な予感しかしない・・・
私はリカバリールームの前で、一点を見つめ、不安な気持ちを抑えながら待った。
「奥さん、お待たせしました」
主治医の医師がリカバリールームから出てく来たのは約30分後のことだった。
「夜中に再び呼吸困難になったので、今人工呼吸器をつけています。やれる事は今、全てやっています。」
私は一瞬、全身の力が抜けてその場に倒れ込みそうになった。
「大丈夫ですか?!」
いつのまにかいた看護師が私の体を支える。
私は、どうしていいか分からず、ただただ
その場に立ち尽くした。
カズくんの治療は点滴と、ゼリーの食事と酸素と、お腹に入っている膿を出す管と、透析のみとなった。
年が明け、状態が良くなったら手術をする・・・。
誰もがそう思っていた。
酸素も5から2リットルまで下がり、マスクがカヌラ(鼻に当てるタイプ)へと、徐々に良くなっていく。
そして、新年。
2020年の年が始まり、誰もが
「あけましておめでとう」
と、新年を喜んでいた。
2020年1月1日、元旦。
私は、知人の家に招かれ新年を祝っていた。
みんな、カズくんの回復を祝って喜んでいた。
そしてその足で、私はカズくんのいる病院に面会に行った。
「カズくん!」
病室に行くと、カズくんはベットの上に座っていた。
しかし・・・
カズくんはカヌラからマスクに代わっていた。
「来たか・・・」
少し苦しそうに息をしながら笑っているカズくん。
「な、なに?どうしたの?!」
私が走り寄ると、カズくんは笑いながらこう囁いた。
「看護師さんが(マスク)していった。」
肩で息をし、ゼイゼイと喘鳴が聞こえる。
「大丈夫なの?!苦しいの?!」
私は、心配でそう言うと、
「大丈夫だって。病院の看護師が大袈裟なんだよ」
と、カズくんはおどけてみせる。
一番状態の悪い時に比べれば、顔色はまだいいが、爪の色が明らかに白っぽくなっていた。
私は不安で胸が押しつぶされそうになる。
時々、看護師さんが来て、パルスオキシメーターを装着しては、酸素を上げていく。
私が見ていた限り、5Lまで酸素は上がっていた。
「大丈夫だって、俺が嘘言ったことあるかぁ?」
・・・。
『嘘つき、苦しいくせに・・・』
私は心の中でそう呟いたが、カズくんには言わなかった。
結局、面会時間いっぱいいたが、看護師さんも特に何も言ってこず。
カズくんも、
「早く帰れ、大丈夫だから」
と、繰り返し言うため、病院を後にした。
そして、1月2日の2時の事。
けたたましく、スマホのベルが鳴って、私は急いで電話に出た。病棟の看護師さんからの電話だった。
「今すぐ来られますか?」
私はすぐに返事をして、電話を切った。
服をぱっぱっと着替えると、車に乗って病院へと向かった。
病院の病棟へ着くと、看護師さんが待っていた。
「今、医師が治療中なので、少しお待ちください」
そう言うと、リカバリールームへと看護師は消えていった。
嫌な予感しかしない・・・
私はリカバリールームの前で、一点を見つめ、不安な気持ちを抑えながら待った。
「奥さん、お待たせしました」
主治医の医師がリカバリールームから出てく来たのは約30分後のことだった。
「夜中に再び呼吸困難になったので、今人工呼吸器をつけています。やれる事は今、全てやっています。」
私は一瞬、全身の力が抜けてその場に倒れ込みそうになった。
「大丈夫ですか?!」
いつのまにかいた看護師が私の体を支える。
私は、どうしていいか分からず、ただただ
その場に立ち尽くした。
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