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本編

3 変わり者の錬金術師

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「ハハ、いいカモにされちゃったか」

 青年は苦笑したが、そう腹をたてた様子でもなかった。
 市場では、冷たいのか暖かいのかよく解らない人だと思ったが、背中ごしに伝わる雰囲気は、今では混じりけなしに暖かいものになっていた。

「ええと……そういえば、君の名前をまだ聞いてなかった。俺はルーディだよ」

「……ラヴィです。ご主人さま」

 正確には、フラヴィアーナ・ベラルディだ。
 しかし、そんなご大層な名前を奴隷が名乗ったら笑われそうな気がして、短くそう答えた。

「ラヴィか、可愛いね。でも『ご主人様』は止めて欲しいな。ただのルーディだ」

「でも……いえ、ですが私は、貴方に買われました……」

「慣れてないなら、堅苦しい言葉も無理使わなくていいよ」

 可笑しくてたまらないというように、小刻みに喉を震わせてルーディは笑う。

「正直言えば、俺も苦手でね。気楽に話してよ」

「え……ええ」

「俺さ、フリーの錬金術師なんだ。機械より、薬品調合が専門。そりゃ、貴族のお抱えほど裕福ってわけにいかないけど、そこそこは喰ってける。今頼まれてるのは、新しい媚薬の調合なんだけど、処女でも十分効くようにって条件つきで……」

 そこまで聞いて、もしかしてと思ったが……悪い予感はやはりあたった。

「君に頼みたいのは、媚薬の体感なんだ。俺の知り合いには、経験豊富なお姉さんしかいなくってね。相談したら、奴隷市場で一人処女を買えばって言われて……」

「っ!?」

 あっけらかんと言われ、しがみついている手が震えた。

「ああ、大丈夫だよ。中和剤もあるし、本当に抱くわけじゃない。それに催淫効果だけで、人体に害が無いのは保証するから」

 この青年はやはり、頭のネジがどこか緩んでるのだろうか?
 それとも錬金術師というのは皆こうなのか……。

 錬金術師にもフロッケンベルク人にも知り合いはいなかったから、判断できないが、どう控えめに見ても変わり者には違いないだろう。

「……そういう……問題じゃ……」

 ようやく調子の戻りつつある声で、そっと抗議した。

「え?」

 ルーディが首をよじって、目端の視線をラヴィへ向けた。

「うーん、そっか……よく考えたら、やっぱ無神経な話だな。」

「……」

「ごめん。俺は思い込むと、どうも回りに目がいかなくなるみたいで……」

 出会ってから一時間足らずの間、ルーディは幾度と無くラヴィを驚愕させたが、次の言葉は更に耳を疑うものだった。

「じゃぁ、媚薬の開発が終わったら、君をその場で自由にするって条件で、協力してくれないか?」

「……自由に?」

「そもそも、君に頼みたい仕事はそれだけだしね」

「あなたって……変……」

 信じられない。
 いくら低ランクの奴隷だったとはいえ、それなりの金を払ったのに。
 それとも……口先で言っているだけかもしれないと思った。
 どんなに優しそうに見えても、人間がどれほど醜い本性を内側に隠しているか、思い知ったばかりだ。

「だいたい、頼む必要なんか……命令すればいいのに……それに、処女の奴隷を探しているだなんていうから、てっきりそういう目的なんだと……」

 そこまで言って、ラヴィは赤面して言葉を切った。驚いて呆れた拍子とはいえ、さすがに言い過ぎた。

「え? ああ、そりゃそうだな。命令するって手もあったし、個人的な娯楽目的で買ったと思われても無理はない」

 くくくっと、喉を鳴らして愉快そうにルーディは笑った。

「安心していいよ。俺の尊敬する人が、『世界で一番、見下げはてた行為は、女性を力づくで抱く事だ』って言っててね。あの人を失望させる真似はしたくない」

「……そう」

「けど、発言には気をつけるべきだね。あんな事言ったら、合意だと受け取られかねないよ」

 ルーディは本当に陽気で、よくしゃべる。おどけた調子で、歌うように付け加えられた。

「よく言うだろ?男はみんな狼だって」

「!!!」

 ルーディの肩に、思わず食い込みそうなくらい爪を立ててしがみついてしまった。

「っ!どうした?」

「狼は大っ嫌い……犬も……怖いの」

「へぇ……そっか」

 短い返答は、なんとなく寂しそうに聞えた。
 それきりルーディは、黙りこくってしまった。

「――ここだよ」

 細い路地を通り、やがて一軒の家の前で、彼は足を止めた。
 二階建ての古い小さな家だったが、都心に近いにもかかわらず、狭い庭までついている。
 庭に植えられている草花が、どれも薬草や香草なのがちらりと見えた。
 玄関に入り、いそいで背中から降りた。

「そうだな……まず、風呂でも貸そうか?それから傷の手当てをしよう」

 高級娼婦用ならともかく、市場では普通の奴隷に風呂など提供されない。
 思わず、埃と垢にまみれた手足を隠そうとしたが、ルーディはもうさっさと奥に行って湯の準備をしていた。
 逞しい腕でポンプを動かして水を張り、呪文を唱える。

「俺は錬金術師のクセに、魔法が苦手でね。なんとか出来るのは、これくらいなんだ」

 ルーディは苦笑したが、一瞬で湯になった風呂桶の中身を見て、ラヴィは唖然とした。

「すごい……」

 魔法を実際に見たのは、生まれて初めてだった。

「だって、こんな量のお湯……普通に沸かしたらすごく大変なのに……」
「光栄ですね。お嬢さん」

 冗談めかした口調で、ルーディはタオルと衣服を一そろい持ってきた。そしてご丁寧に、古い革靴までも。

「服のサイズが合うといいんだけど……クツはもう数日、これで我慢してくれるかな」

 黙って受け取ってしまい、ルーディが風呂場を出て行く時になって、あわてて声を絞り出した。

「あ、あ、ありがとう……っ」

 ルーディは振り返って、あの太陽みたいな笑顔で笑った。

「どういたしまして」

 何週間ぶりかにお湯を使い、薬草石鹸で身体を洗った。
 無数についていた傷やアザが痛かったけど、清潔にするというのが、これほど気分がいいものだと、心底思い知った。
  奴隷市場で過ごした数週間で、数キロは体重が減ったらしい。元から貧相な胸も腰も、さらに一回りやせ細ってアバラが浮き出ていた。
 タオルで身体を拭き、用意されたライラック色のワンピースを着て、靴を履く。
 どう見ても男モノの靴は、ルーディのものなのかもしれない。ぶかぶかだったが、それでも裸足よりずっとマシだ。

 身支度を整えてさっぱりしたものの、なんと声をかけていいかわからず、ラヴィはおそるおそる狭い廊下に出た。
 玄関から入ってすぐ、風呂場と反対側がキッチンらしい。
 ルーディはそこにいた。……床に倒れて。

「なっ!?」

 ぎょっとして駆け寄ろうとしたが、一瞬足が止る。

(このまま、こっそり逃げちゃいなさい)

 そんな囁き声が脳裏に聞える。
 媚薬の体感なんて言っても、結局は人体実験だ。害はないだなんて、信用できるもんか。
 とんでもない副作用とか、ヘタしたらものすごく苦しんで死ぬかもしれない……。

「……ぅ」

 無意識にスカートの布を握り締めた。そろそろと玄関に一歩近づく。

「……っ……ルーディ!」

 ――――結局、倒れている大きな身体に、駆け寄った。
ぐぅぅーーー
 間の抜けた空腹の音に、ラヴィは眉をしかめる。

「え?」

「ぅ……そういや……おとといから……何にも喰ってなかった……魔法使ったら……体力切れて……」

 床に倒れたまま、ルーディが情けない声で呻いた。

「お腹が空いてただけ!?」

 ラヴィはキッチンを見渡した。

「だって……卵も小麦粉も……食べものならちゃんと、あるじゃない!」

 ちらかり気味の台所には、かくれんぼしているように、食材がチラホラ置かれている。

「それが、ここん所忙しくてさ……料理するの面倒だとか思ってるうちにどうでも良くなって……」

 あきれ返り、ラヴィはため息をついた。

「何か、食事をつくりましょうか?」

「ハハ……ありがたいな……」

 とにかく床から引き起こそうと、力なく笑う青年に手を差し出した。

「っ!?」

 一瞬、何が起こったのかわからなかった。
 気づいたら、床に仰向けに倒れているのはラヴィのほうで、身動き一つ出来ないほどしっかり組み敷かれていた。
 優しげだった琥珀の瞳が、飢えた獣のようにギラギラ光っている。

「ぐ……」

 低い唸り声が、青年の喉からかすかに聞えた。
 まさに獲物に喰いつこうとしている狼のように、ラヴィの首筋に顔をうずめ、ルーディはペロリと皮膚を舐め上げる。

「や、やぁ!!」

 思わず、恐怖に引きつった悲鳴が喉から飛び出た。

「っ!!!!ご、ごめんっ!!」

 弾かれたようにルーディが飛びのき、のしかかっていた重みが消える。
 あわてて身を起したラヴィの前で、顔を真っ赤にしたルーディが、座り込んだまま手を振って言い訳した。

「いや……その……そういうつもりじゃなくて…………良いにおいがして……つい……」

「匂い?」

 あわてて、くんくん自分の腕の匂いをかいでみた。さきほど使った薬草石鹸の清涼な香りが、かすかに香ってくる。

「きっと、使わせてもらった石鹸の匂いだわ」

「ハ……ハハ……そっか……っ……!」

 そしてルーディは崩れるように、また後ろへひっくり返ってしまった。

「……ラヴィ…………ごはん……お願い……」

 急ごしらえで作った食事は、ごく簡単な田舎の家庭料理だったが、テーブルに並んだ料理に、ルーディは目を輝かせた。
 向かいの椅子に座り、彼の飢えた狼のような食欲ぶりを、呆れを通り越して感心して眺めた。
 そうはいっても、ラヴィとてまともな食事は久しぶりだから、温かい食物に心が躍る。熱心にさじを口に運んだ。

 奴隷という立場からすれば、こんな風に主人と一緒にテーブルにつくなど、許されないはずだ。
 ルーディが食べ終わったら、残り物を貰おうかと思っていた。
 だが、『一人で食べるより、二人の方が楽しい』。
 そう言ってくれたので、つい空腹の誘惑にまけ、好意に甘えてしまった。

 料理に前髪が入ってしまわないように、仕方なく後に避けて束ねているが、ルーディは目下のところラヴィの顔より食事に全神経を集中させているようで、ほっとした。

 全ての皿をすっかり空にすると、ルーディは満足気に感想をのべた。

「はー、こんな旨いメシ、久しぶりに喰ったよ。料理が得意なんだね」

「……普通よ」

 さっき一瞬、約束を破って逃げ出そうとしたのが後ろめたくて、ついソッポを向いてしまった。
 実を言えば、料理はたった一つ得意なものだ。

「ねぇ、ひょっとしてさ……」

 テーブルの向かいから、ルーディが身を乗り出す。

「な、なに……?」

 目鼻立ちのハッキリした、まちがいなく美形の部類に入る青年の顔が、急に間近に迫り、驚いてのけぞった。

「フロッケンベルクの焼き菓子は作れる?」

「――――え?」

 一瞬間を置いてから、言われた意味を理解し、おずおずと答えた。

「レシピと材料があれば……作れると思うけど……」

 そう答えると、ルーディの少しとがった耳がピクリと動いた気がした。

「じゃあさ、今度作ってよ!」

 子どもみたいにねだられ、つい頷いてしまった。
 ルーディを動物にたとえたら、人懐こい大型犬という表現がピッタリだろう。パタパタ振っている尻尾が見えるような気さえした。
 それでも、犬は大嫌いなはずなのに、なぜかルーディに嫌悪感は覚えない。

「あの……お菓子が好きなの?」

「ハハ、やっぱ変かな?こんな図体なのに甘いものが好きなんて。」

 ルーディは苦笑し、照れたように頭をかいた。

「……身長で食べるんじゃないもの。何が好きでも変じゃないわ」

 小声で呟いた。
 焼き菓子なら、ラヴィだって大好物だ。
 家にいた頃は自分でもよく作ったし、甘くて香ばしい焼きたての菓子を口に入れる瞬間は、幸せそのもの。

 全ての辛い事を忘れてしまう。

「へぇ。これを言って、女の子に笑われなかったのは初めてだ」

 琥珀の瞳が驚いたように軽く見開き、それから嬉しそうにせばめられた。

「ラヴィは優しいね」

「……」

 無言でラヴィは、前髪を戻して顔を隠し、皿を片付け始めた。
 こんな事を言われて真っ赤になった顔なんて、とても見せられやしない。

「そういえば、料理を作った時、胡椒が見当たらなかったのだけれど……」

 流しで皿を洗いながら、ルーディにふと尋ねてみた。
 彼は洗い終わった皿を拭いている。

「ああ、ちょっと苦手でね、置いてないんだ。好きなの?」

「好きというか……もし良ければ、お守りに少しもらえないかと思って……」

「胡椒を?」

 思ったとおり、面食らった顔で聞き返され、また赤面した。

「えっと……あの、この傷……狼にやられたの……」

 無意識に、濡れた指で頬の爪痕を押さえた。

 ラヴィが暮らしていたのは田舎とはいえ、森の奥までいかなければ、狼やクマの危険はないはずだった。
 しかし、その狼はたまたま、獲物を探してさまよい出てきたのだ。
 そして『運悪く』幼かったラヴィを見つけた。
 飢えた獣を前に、恐怖で足が動かなくなった。唸り声とともに、頬に焼け付く痛みが走り、視界一面に赤が散った。
 喉にとどめの一噛みをされる寸前、通りかかった猟師が矢を射って、狼を追い払ってくれた。
 あれ以来、どんなに小さな子犬だろうと、恐怖で足がすくんでしまう。

「狼が怖くて、しばらく家から外にも出れなかったわ。そうしたら、おば様が……私を育ててくれた親戚の人が、胡椒の入った小瓶をくれたの。狼は鼻が良いから、胡椒をかけてやれば逃げますよって……」

 狼が出たら、そんなものをかける前に喰われるぞ。

 近所の子には、そうからかわれて笑われた。
 けれど、それをポケットに入れているだけで、ラヴィはまた家の外に出る事が出来たのだ。
 ずっと大事に持っていたその小瓶も、奴隷市場で他の所持品と一緒に取り上げられてしまった。

「こんな都会に狼なんかいるはずないのに……可笑しいでしょうけど……」

 しかし、ルーディは真面目くさった顔で答えた。

「持ってる事で安心できるなら、十字架だって胡椒だって立派なお守りだよ」

 そして、クシュンと小さくクシャミをした。

「あー、想像しただけでクシャミが出た。そんなものかけられたら、飛んで逃げる」

「貴方にかけるつもりはないわ。人間だって、胡椒は料理の時だけで十分よ」

 なんだかラヴィのほうが笑ってしまった。

「えっ!?あ、そりゃそうだ。」

 ルーディは、少しあわてた様子で頭をかいて苦笑した。

「そういう事なら、用意するよ。」

「本当!?でも……胡椒は嫌いなんでしょう?」

「さっきのメシのお礼。それと、俺にかけないって約束してくれるんならね」

 そのセリフに、さっきより大笑いしてしまった。そして、そっと小声で付け加えた。

「これを言って笑わなかった男の人も、貴方が初めてよ」



 錬金術師の部屋というのは、怪しげなドクロや薄気味悪い剥製などがいっぱいあるものだと、ラヴィは勝手に想像していた。
 しかしルーディの部屋にあったのは、机とベッド、本棚から溢れ出た本の海と、ところせましと置かれている薬草やガラスの実験器具たちだった。

 部屋の一面には、大きな窓が有り、庭に直接出て行けるようになっていた。
 その庭も夜の闇が覆いはじめ、登ってきた細い月が銀色の光を降り注ぐ準備をしている。
 食事の後、ルーディはラヴィの体中についた傷に薬を塗り、丁寧に手当てしてくれた。
 そうしたら、もうこんな時間になってしまったのだ。
 媚薬の体感など、できれば明日に……いや、本当を言えば出来るだけ先延ばしにしたかったが、そうはさせてもらえなかった。

「――香水にしたんだ」

 書き物机の近くにねじ込まれている椅子に腰かけ、差し出された香水のビンを、恐る恐るラヴィは受け取る。
 さっきからルーディは、別人のように見えた。
 優しげな基本はかわらないものの……少し冷たい印象というか……
 市場で「確かに処女だね。」と言った時の、冷静な錬金術師になっていた。

「この香りを嗅いで欲しいんだけど……ああ、ちょっと待って」

 引き出しから紙バサミを取り出し、ルーディは手を伸ばす。

「悪いけど、前髪をあげてくれるかな。顔色の変化も見たいから」

 パチン、パチン。
 紙バサミが、ラヴィの前髪を挟んで後へ持ち上げる。

「この髪形は傷を隠すため?十分可愛い顔してるのに、隠しちゃうのは勿体無い気もするね」

「……」

 半面の傷が晒されるのは嫌だったが、すでにルーディはこれを見ているのだ。
 それに、どのみち彼はラヴィを女性として見ているわけじゃない。

「それじゃ、嗅いでみて」

 香水瓶に入っていた薄紫の水が、霧状になって吹き付けられる。
 目を瞑って、ラベンダーに似た甘い香りを深く吸い込んだ。

「……特に変らないみたい」

 十分ほど経ってから、ラヴィは遠慮がちに言った。

「はぁー、失敗かぁ……」

 残念そうにため息をつき、ルーディはノートに何か書き込む。

「それじゃ、明日はまた少し調合を変えたのを試してくれる?今日はもういいから」

「ええ」

 なんとなくほっとして、ラヴィは立ち上がった。
 ルーディはラヴィの部屋まで用意してくれてあった。二階にある小さな部屋で、きちんとベッドも置かれている。
 久しぶりにまともな寝台で眠れると思うと、嬉しくてたまらない。

「おやすみなさい」

 熱心に本をめくるルーディに、そっと声をかけた。

「おやすみ」

 返事なんか期待してなかったのに、ルーディは本から目をあげ、ラヴィを見てちょっと笑った。

「ハハ、忘れてた」

 長身の青年は立ち上がり、ラヴィの髪を留めていた紙バサミへ手を伸ばす。
 その変化は、突然起こった。

「っん!」

 髪に触れられた瞬間、意志とは無関係に裏返った声が喉をついて出た。

「え?」

「ぁ……ぁ……」

 ドクドクと、体中の血液が流れる速度を急激に増し、額にじわりと汗が滲む。

「は……あ……ぁ」

 瞳に涙の膜が張って、ルーディの顔がぼやけた。
 もどかしいような熱が肺の奥からせりあがり、力が抜けていく。
 足がもつれて転びそうになり、ルーディに支えられた。

「ふぁぁっん!」

 自分の口から、発情期のネコみたいな声があがるのが、信じられない。

「成功……してたのかな?」

 困惑気味に呟くルーディを、精一杯睨んだ。

「ん、んん……害はないって……言ったのに……ぃ……嘘つ……き……」

「いっ、いや……催淫効果はあるけど……辛い?」

「は……あ……これっ…いや……」

「中和剤を飲めば、すぐ治るから」

 身体中がジクジクした熱に侵されて、辛くてたまらない。
 ルーディの逞しい腕から伝わる体温が、ラヴィを蝕む熱に追い討ちをかける。
 腕から逃れようともがいた拍子に、机にぶつかった。

「あっ!」

 机の端に置かれていた薬ビンが床に落ち、あっけなく割り砕ける。

「うわ!まずい……」

 額に手をあて、ルーディが呻いた。

「ご、ごめんなさい……」
「いや、こんな場所に置いたのが悪いんだし……それに、君に申し訳ない事になるというか……」

 すまなそうな表情で、ルーディはラヴィを見下ろす。

「割れたのは、媚薬の中和剤なんだよ」

「…中和剤?」

「つまり、媚薬の効果を消す薬が無くなっちゃったんだ」

「嘘……じゃ、どうなるの!?ん…っ!」

「夜明けくらいまで我慢すれば、効果は自然に消えるけど……」

「……」

 ルーディの言葉に、絶句した。
 こうしている今も、むず痒いような耐えがたい疼きが、どんどん強くなる。
 夜明けまでこのままだなんて……!

 しかし、薬が割れた原因は、どう考えてもラヴィだ。文句を言える筋合いではない。

「ぅ……んぅ……薬の効果を見たかったんでしょぅ?なら……ぁ、がまんするっ……ん……」

 ヤケになって強がりを口にする。
 弱りきった顔で、ルーディが頭をかいた。

「まぁ、効果は見たかったけど……」

 ふらついて言う事を聞かない身体は、しっかり自分で立てない。
 これ以上なにかをひっくり返すのも怖くて、不本意ながらルーディにしがみついたままになる。

「ん……ぁ……ぁ……」

 少しでも熱に耐えようと硬く瞑った目尻から、生理的な涙が零れた。
 頬を伝うそれを指先で拭われ、ビクリと身体が震える。

「ラヴィ、怖がらないで気持ちを楽にして……これは本来、相手を楽しませる薬なんだから」

 優しい声が耳元をくすぐり、軽々と抱き上げられてベットに降ろされた。

「や……!?力づく……しないって……あ……」

「うん。薬を早く消すために触るけど、犯したりしないから、安心して」

 ルーディが苦笑し、そっと指先でラヴィの頬を撫でる。

「ひ、んっ!?」

 首筋から鎖骨までなぞられ、身体が勝手にビクビク跳ねる。
 恐怖とわけのわからない感覚が入り混じり、涙が止らない。

 他に娯楽の少ない田舎では、性的な話題には事欠かず、周りの子ども達も興味津々だったから、早いうちから知識だけはある。
 初体験を自慢しあう女の子たちを横目で見ながら、表立っては興味のないふりをし続けていた。
 顔の傷が引け目になり、男の子に対して積極的になれなかったし、ラヴィを育ててくれた老婦人は、むやみに身体を許さないよう厳しく禁じていた。
 それでも、話しに聞いていただけだった頃は、性行為に少々憧れと夢を抱いていた。
 いつか一生を添い遂げる相手が出来たら、その人に抱かれたいと密かに思っていた。

 だが、実際に一度見た他人の行為は、凄まじく酷い陵辱だった。
 歪んだ暴力と薄汚い欲望にまみれた、汚れきったケダモノの所業だった。
 骨の髄まで恐怖を叩き込んだあの光景が、脳裏に蘇る。

「ぁ…………………………」

 恐怖に声も出ない。
 熱に悶えて震えながらも、身体はガチガチに強張って、呼吸すら上手くできず、酸欠の魚のように喘いだ。
 それを見たルーディが、一度指を離した。

「ラヴィ……約束する……酷い目にはあわせない」

 頬の爪痕に、軽く触れるだけのキスをされた。
 ぞくり、と何かが身体の奥から競りあがってきた。
 琥珀の瞳から目が離せない。
 動悸は先ほど以上に跳ね上がっているのに、恐怖の強張りが溶けていく。

「安心してくれ……」

 宥めるように囁かれた言葉は、まるで魔法だった。
 ラヴィの恐怖も羞恥も、グズグズに解かして消し去ってしまう。

 もう一度ゆっくり、指が首筋にふれた。

「ふ……ぁんっ!」

 零れた声は、今度はひきつった悲鳴ではなく、甘い吐息混じりのものに変わっていた。
 安心したように、ルーディがほっとため息をつく。
 わき腹をなで、服の上からでもはっきり尖っているのが解る乳首を軽くつつき、ゆっくりゆっくりと、慎重な愛撫が施される。

「や、あ、あ、あ、あ……ルー……でぃっ……ぁ!」

 きもちいい。きもちいい!
 壊れ物でも扱うような、もどかしい丁寧な刺激に、狂いそうになる。
 くちゅ……
 いつのまにか足の間に差し込まれた指が、濡れた音をたてて粘膜をすりあげた。

「あぁぁっ!!」

 下腹部から競りあがる甘い快楽が、恐怖を誤魔化して忘れさせようと攻めたてる。
 指は差し込まれることもなく、淫らな水音を立てながら媚肉をなで上げるだけで、ひたすらラヴィに快楽を与え続ける。

「や、やぁっ……ん、んん……」

 今まで、自慰をした事もなかった。
 昔、一度だけ夜中にこっそり自分でそこに触ったとき、なんだか悪い事をしているような罪悪感に苛まれ、すぐやめた。
 それきり身体を洗うとき以外、決して触れなかった。

「あ、あ、や、はぁっ……はぁ、あ、あ…………!!」

 痛い事をされてるわけでなく、ただ触れられているだけなのに、経験した事のない感覚に、追い詰められる。
 触れられている場所から伝わって、もっと身体の深い部分に、快楽がどんどん溜まっていく。
 ぬめりをまとった指が、つと前の部分へ移動した。
 ただでさえ敏感な肉芽に触れられ、ビリッと全身に衝撃が走る。

「あ!?く、う、ぅぅんっ!!!!」

 甲高い悲鳴と共に、弓なりに背が大きくのけぞった。どっと汗が吹き出て、心臓がドクドクと壊れそうなほど脈打つ。
 ちらちら小耳に挟んでいた『イク』というのは、ひょっとしてこれなのだろうか……と、余韻に痺れる脳内でぼんやり考える。

「あ……ぁふ……」

 開放感にほっとしたのもつかの間だった。
 先ほど以上の飢餓感に苦しめられる。あの感覚をもっと味わいたいと、全身の熱が叫ぶ。

「あと、もう何回かすれば、治まるはずだから……」

 我慢してくれと、小さく囁かれる声にも煽られる。
 わけがわからないグチャグチャの頭で、思わずルーディの首に両手を伸ばして、引き寄せるように抱きついた。

「――ル……ディ?」

 密着した腰に、固い熱の感触があたった。

「っ……あー、これは……生理現象で……その、ラヴィは可愛いから……」

 ルーディが気まずそうに視線をそらして身体を離す。

「けど、本当に無理やりする気はないよ」

 男の人の『生理現象』というのが、どういうものかくらいは知っている。
 辛そうなルーディの表情から、かなり無理をして我慢しているのもわかる。

「ぁ……」

 このまま目をそらしてしまえば良い。
 できる権限を持っているクセに放棄する変わり者なんだから。
 そう思うのに……

「ね……どしたらいいか……ルーディは楽になれるか……ぁ……おしえて……」

 羞恥で顔をいっそう赤くしながら、思い切って尋ねた。
 これはまぎれもなく、ラヴィの引き起こした事態なのだ。
 またやってしまった。
――私は、皆を不幸にする。
 せめて何かできる事があるなら、少しでも償わなくては……

「こら。発言には気をつけるべきだって、言っただろ?君を抱いても良いってカン違いしそうだよ」

 苦笑まじりに言われ、抱きしめられた。

「あっ!だ、だって……わたし……薬割っちゃったから……ぁ……」

「ラヴィ……」

 唇が重なった。
 生まれて初めてのキスは、とても穏やかで優しくて、真っ黒に尖った心臓も穏やかにしてくれるような気がした。
 麻薬を欲しがる中毒者のように、夢中になって何度も何度もキスを強請った。
 ルーディは欲しがるだけくれた。
 互いの吐息が温度を増して交じり合って、溶け合う。

「は……ん、ん……」

 再び身体の奥に、快楽が溜まり始めた。
 暴力的なほど性急だった先ほどより、ずいぶん穏やかなものだったが、更に甘苦しく強烈な誘惑を帯びていて、ラヴィの身も心もグズグズに蕩かす。
 優しいだけだった口付けが、激しく貪るようなものになっても、もう怖くなかった。
 唇をこじ開けられ、舌を吸い上げられる快楽にひたすら溺れる。

「あっ!あっ!ま、またっ……ん、あああっ!!」

 乳首を舌で舐めあげられ、切ないような快楽が、子宮の周辺をひくつかせた。恥も外聞もなく叫びながら、暗灰色の硬い髪をかき抱いて、何度も絶頂に達する。
 閉じた太ももの隙間に、火傷しそうなほど熱い塊が挟み込まれた。

「挿れるわけにはいかないし」

 そう言われ、ほっとした。
 こんな太いものが女の身体に入るなど、信じられない。少なくとも自分のそこでは裂けてしまいそうだ。

「は、ぁ、ああ……」

 たぎった男の熱が、ぬりゅぬりゅと花弁を摩擦する。

「んっ……んんっ……は……きもち……いい……」

 いつのまにか、自分から積極的に腰をくねらせ、良い場所へ導いていた。

「あ、ぁ、ぁ」

 時折、先端が膣口をかすめて入ってしまいそうになる。
 ルーディがその気にさえなれば、このまま貫かれてしまうのだ。
 そうされた所で、ラヴィには拒否する権利などない。彼に金でこの身を買われたのだから。
 恐怖感はあった。
 だが、媚薬で判断が鈍っているせいか、それでもいいと思う自分もいた。

「はぁっ!!ぁ、ああっ!!」

 何度も何度も熱い肉で花弁をすり上げられ、ぷくりと膨らんだ淫核も一緒に刺激されると、もうたまらなかった。
 刺激的すぎる快楽に泣き叫びながら、ルーディにすがりつく。

「んっ!んんっ!!あ、あああっ!!るーでぃっ!!!」

 気絶しそうな快楽に、つま先から天辺まで串刺しにされ、ほとんど全ての感覚が麻痺しかけた頃、ルーディが顔をしかめて低く呻いた。

「っ!」

 腹の上に、生暖かい液体がぶちまけられる。

「あ……あ……」

 ドロリと肌を垂れていくそれが精液だと理解したが、屈辱とは思わなかった。

「っは……ラヴィ……」

 啄ばむような穏やかな口付けを、ルーディはもう一度くれた。
 キスをしたのは今夜が初めてなのに、どこかよく知った感覚だと、ぼんやりした頭で考える。
 そして、意識が混濁する寸前に、その感覚の正体に思い当たった。
 大好きな焼き菓子をほおばった時の感覚だった。

 ――もう二度とないと思っていた、“幸福”という感情だった。


 
 媚薬の発情がおちついた途端、ラヴィは死んだように眠ってしまった。
 市場の生活で疲労が溜まっていただろうに、無理をさせてしまったのだから、当然だろう。

「はー……ヤバかった……」

 眠ったままのラヴィを二階の部屋に運び、大慌て研究室に戻ってルーディは呻く。
 鎮静剤を飲んでいなければ、あのまま確実に抱いてしまっていた。

 床に散らばったガラスの欠片を広い集め、零れた中和剤をふき取る。
 媚薬の開発など、もともと気の進まない仕事だったが“裏の仕事”で懇意にしてる相手からの紹介で、断りきれなかった。
 だが、やはり失敗だったと、いまさら後悔した。
 手早く済ませたいなら、奴隷市場で体感を頼む処女を買えば、などという意見に耳を貸したのも失敗だった。
 あの子を選んだのも失敗だった。
 今回は、嫌になるほど失敗と後悔の連続だ。

 鎮静剤の瓶も空になりかけている事に気付き、部屋の大きな窓から庭に降りた。
 垣根で覆われた庭は狭いが、意外と日当たりも良く、薬草の育ちも良い。
 周囲の家々は、ひっそり静まり返り、灯りもとっくに消えている。
 この周囲の住人は、田舎から出稼ぎに来た労働者たちばかりで、大抵この時間は寝静まっているからだ。
 そして住人自体もころころ変わるから、必要以上の関与をされたりもしない。

 夜風の中に、何種類もの薬草の香りが入り混じり、鼻腔をくすぐる。
 必要な薬草を摘み取り、部屋に戻ってすり潰してから、ろ過器に放り込んだ。
 この鎮静剤は、ルーディが開発したものだった。
 効果は数時間だが、凶暴すぎる血のたぎりを抑制できるのだ。
 欠点としては、嗅覚がだいぶ落ちてしまう事。
 それともう一つ。他人から指摘されてわかったが、あれを飲んでいる時のルーディは、少々冷たくなってしまうらしい。

 かといって、欠点は時に長所にもなる。
 たとえば今日、奴隷市場に行く時には、嗅覚をダウンさせる目的で鎮静剤を飲んだ。
 普段の嗅覚だったら、あそこの酷い匂いで、しばらく頭痛に悩まされただろう。
 『人型』をとっている時は、やはり嗅覚の好みも人間に近くなる。
 それに、物のように売り買いされている人達を見るのも、冷めた目でなければ、さぞ憂鬱になったに違いない。

 市場でラヴィの顔を見た時は、なかなか可愛い女の子だなと思うくらいだった。
 かといって本当にいかがわしい思いもなく、薬の開発が終わったら、てきとうに受け入れ先を探してあげ、さよならしようと思っていた。

 実のところ、ラヴィを買った代金で、媚薬開発の収入は無くなったも同然だ。
 だが、こういう仕事を請けるのは、フリーの錬金術師という顔を保つのに必要なだけだから、少々の赤字くらいは問題ない。
 それより、誰かと深いかかわりを持つほうが、よほどまずい。

「深入りしちゃ、まずいんだよ……」

 自分に言い聞かせるため、独り言を呟く。
 間抜けにも空腹の体力切れで倒れてしまったルーディを、ラヴィが小さな身体で一生懸命に助け起こしてくれた時は、律儀な子だと感心した。
 金で彼女の身を買い、無神経な頼みごとを提示した男なんか、放って逃げてしまっても不思議じゃなかったのに……。
 ルーディはお人よしに見られるが、口約束の空しさを知ってるくらいには、世の中にすれている。
 逃げられたら逃げられた時、と軽く思っていただけだ。

 その頃には、鎮静剤の効果はとっくに切れていた。
 取り戻した鋭い嗅覚が、薬草石鹸の匂いの向こうから漂ったラヴィの匂いを嗅いだ瞬間、何かが狂ってしまった。
 頭が真っ白になるほど欲情して、気づいたら押し倒して貪ろうとしていた。
 このメスをつがいにし、自分の種を植え付けたいと、その欲求しか頭になかった。
 彼女の悲鳴に我に帰らなかったらと思うと、ぞっとする。

 なんとか誤魔化し、作ってもらった美味しい料理を食べながら、更に思い違いしていた事にも気付いた。
 風呂に入ってこざっぱりし、食事のために前髪を上げていたラヴィは、なかなかどころか、メチャクチャ可愛かった。

 はっきり言えば、好みのど真ん中。

 頬の傷なんか、まるで気にならない。
 むしろ、あれはあれで宜しい。
 胸だって、あれくらいのサイズが俺は好みだ!と、心の中で叫んでいたのは内緒だ。
……かと言っても、親密になる事など無理。

 もうあんな事がないように、一刻も早く媚薬を試し、どこか働き口の世話をしたら、体よく出て行ってもらおうと思った。
 それで、無理をさせて今夜すぐに体感して貰ったのに……

「はぁーー……」

 深い深いため息をついて、うな垂れた。
『どうしたらいいか、教えて』だって?
 あれを計算でやってるんだとしたら、とんでもない妖女だ。天然だったら、タチが悪いにもほどがある。
 なんだってあんなに俺の好みなんだと、いっそ腹がたつほどだ。
 あのまま抱いてしまおうかと、どんなに思ったか!

 幸か不幸か、媚薬の効果に不足は無い事は十分解った。
 中和剤の験しがまだだが、あれはもう他の人を探そう。

 とにかく、明日の朝一にでも、つてをたどってラヴィをひきとってくれる人を探す!

「すぐお別れだ。…………絶対、明日の朝一番で」

(中和剤が出来るまで、もう少しの間、ラヴィをここに引き止められるじゃないか)
 という誘惑の声に抗うため、ブンブンと、激しく頭をふった。

『じゃあさ、今度作ってよ!』

 不意に、昼間の会話が脳裏に蘇った。
 つい口にしてしまった、果たされるはずもない口約束。レシピも材料も、簡単に手に入るけど……
 “今度”だって?あまりのアホらしさに笑いたくなる。

「……いつのつもりだよ。もう二度と会わないのに」

 仕事柄とはいえ、俺はつくづく嘘つきだなぁ、と思う。

「明日にはお別れだ……まぁ、明後日でも…………もう少し後かもしれないけど……」

 窓から夜空を見れば、夜空に慎ましやかな細い月が輝いている。
 普段であれば、鎮静剤すらいらないほどの月だ。
 それでも、今夜は一走りして来なければ、とても眠れそうに無い。
 
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