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プロローグ

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「――というわけで、私はそなたを王太子妃に迎えるが、愛するつもりは一切ない」



 キッパリと言い切った王子――アルベルトが、エステルに冷ややかな目を向ける。

 それもまぁ仕方がないと、エステルは納得した。



 何しろ、彼はどうしようもない理由で、自分の意志とは無関係の女性を妃に迎えなければいけないのだ。

 しかも、政略結婚など国の為であれば、それなりに身分が高く洗練された女性が選ばれた可能性があるのに、相手はエステル。

 社交界で落ちぶれ令嬢と揶揄され、両親も今はない孤児の身のエステルなのだ。

 なので、エステルにできるのは粛々と一礼し、にこやかにこう告げることだった。



「承知いたしました。いつか殿下の愛する人ができましたら、私は精一杯に陰から応援させて頂きますので、どうぞご安心を!」
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