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番外編
お泊まりデートの密かな欲求
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「お風呂、お先に失礼しました!」
エメリナが浴室から出てきた。可愛い星柄のパジャマを着て、頬をピンク色に蒸気させている。
「あ、ああ……俺も入ってくる」
湯上り特有の三段階は色気の上がった姿に、ギルベルトは目を泳がせた。
うっかりこのまま襲ってしまいそうになるのを堪え、そそくさと浴室に逃げ込む。
(まいったな……)
湯船にちゃぷんと口元まで沈み、眉を寄せた。
エメリナは時おり、ギルベルトの家に泊まるようになった。もう人狼ということを隠す必要はないし、彼女が泊まるのはむしろ大歓迎だ。
しかし困るのは、その度に募っていく欲求だった。
……こんな事を求めたら、軽蔑されるだろうか。
不安で堪らず、結局はいつも口に出すのを諦めていた。
こんなにも自分を満たしてくれる彼女に、欲望を満たす身勝手な要求をするのは、あまりに躊躇われる。
それでもギルベルトの内に潜む貪欲な獣は、脳裏に焼きつく彼女の艶姿に、欲しければ手仕入れろと唆し続ける。
――我慢がついに限界を超えた。
灯りを細くした寝室で彼女を抱き締め、パジャマのボタンを外していく。前を全てはだけ、滑らかな肌へ手を滑らせた。胸の先端を摘むと、可愛らしい声をあげて身体を捩る。
「エメリナ……」
反り返った喉に唇を滑らせて囁くが、まだ寸前で踏みとどまってしまいそうになる。ゴクリと唾を飲み、抑えがたい欲求を恐る恐る口にした。
「今度泊まる時は……俺のシャツを貸す」
「――え?」
キョトンと自分を見つめるエメリナから飛び離れ、ギルベルトは慌てて両手を振った。
「い、いや、やっぱり何でもない!!!」
「先生……?」
不審そうな視線を向けられ、叱られた犬のようにガックリとうな垂れる。まともにエメリナの顔を見ることができず、顔を背けて早口で白状した
「その……ドラゴン騒動の次の日、俺のシャツを着たエメリナくんが、非常に可愛かったから……良ければもう一度着て欲しいと……」
ブカブカのシャツに包まれた、あの艶姿が忘れられない。
自棄になってそこまで言ったところで、ギルベルトはエメリナの様子に気づいた。
「せ、せんせい……」
顔を真っ赤にしてプルプル震えている彼女を前に、やはり軽蔑されたかと、全身が強張る。
「もちろん、嫌なら無理にとは……」
慌てふためくギルベルトに、エメリナがひしっと飛びついた。
「今すぐ着ます!!いえ、ぜひとも着させてください!! Tシャツだけでいいですか!? なんならYシャツも着たいんですが!!」
「ちょ……エメリナくん!?」
押し倒されんばかりの勢いに気圧されつつ、内心の嬉しさは隠せない。
(エメリナくんは、やっぱり可愛いなぁ……)
***
一方。
『彼シャツ』の魅力に目覚めてしまい照れるギルベルトなど、まさかお目にかかれるとは思いもしなかった。
(先生ってば、可愛すぎる!!!)
エメリナの頭はオーバーヒート寸前だ。
「私、先生がお望みなら、コスプレでも何でも、どんとこいですよ!!!」
「い、いや、そこまでは……とりあえず深呼吸しようか?」
エメリナが浴室から出てきた。可愛い星柄のパジャマを着て、頬をピンク色に蒸気させている。
「あ、ああ……俺も入ってくる」
湯上り特有の三段階は色気の上がった姿に、ギルベルトは目を泳がせた。
うっかりこのまま襲ってしまいそうになるのを堪え、そそくさと浴室に逃げ込む。
(まいったな……)
湯船にちゃぷんと口元まで沈み、眉を寄せた。
エメリナは時おり、ギルベルトの家に泊まるようになった。もう人狼ということを隠す必要はないし、彼女が泊まるのはむしろ大歓迎だ。
しかし困るのは、その度に募っていく欲求だった。
……こんな事を求めたら、軽蔑されるだろうか。
不安で堪らず、結局はいつも口に出すのを諦めていた。
こんなにも自分を満たしてくれる彼女に、欲望を満たす身勝手な要求をするのは、あまりに躊躇われる。
それでもギルベルトの内に潜む貪欲な獣は、脳裏に焼きつく彼女の艶姿に、欲しければ手仕入れろと唆し続ける。
――我慢がついに限界を超えた。
灯りを細くした寝室で彼女を抱き締め、パジャマのボタンを外していく。前を全てはだけ、滑らかな肌へ手を滑らせた。胸の先端を摘むと、可愛らしい声をあげて身体を捩る。
「エメリナ……」
反り返った喉に唇を滑らせて囁くが、まだ寸前で踏みとどまってしまいそうになる。ゴクリと唾を飲み、抑えがたい欲求を恐る恐る口にした。
「今度泊まる時は……俺のシャツを貸す」
「――え?」
キョトンと自分を見つめるエメリナから飛び離れ、ギルベルトは慌てて両手を振った。
「い、いや、やっぱり何でもない!!!」
「先生……?」
不審そうな視線を向けられ、叱られた犬のようにガックリとうな垂れる。まともにエメリナの顔を見ることができず、顔を背けて早口で白状した
「その……ドラゴン騒動の次の日、俺のシャツを着たエメリナくんが、非常に可愛かったから……良ければもう一度着て欲しいと……」
ブカブカのシャツに包まれた、あの艶姿が忘れられない。
自棄になってそこまで言ったところで、ギルベルトはエメリナの様子に気づいた。
「せ、せんせい……」
顔を真っ赤にしてプルプル震えている彼女を前に、やはり軽蔑されたかと、全身が強張る。
「もちろん、嫌なら無理にとは……」
慌てふためくギルベルトに、エメリナがひしっと飛びついた。
「今すぐ着ます!!いえ、ぜひとも着させてください!! Tシャツだけでいいですか!? なんならYシャツも着たいんですが!!」
「ちょ……エメリナくん!?」
押し倒されんばかりの勢いに気圧されつつ、内心の嬉しさは隠せない。
(エメリナくんは、やっぱり可愛いなぁ……)
***
一方。
『彼シャツ』の魅力に目覚めてしまい照れるギルベルトなど、まさかお目にかかれるとは思いもしなかった。
(先生ってば、可愛すぎる!!!)
エメリナの頭はオーバーヒート寸前だ。
「私、先生がお望みなら、コスプレでも何でも、どんとこいですよ!!!」
「い、いや、そこまでは……とりあえず深呼吸しようか?」
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