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元カノ3
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「なるほど繋がった。つまりはそこに昴流が絡んでくる訳だな。確か昴流は途中で親権を取り返したと言っていたが、その頃なのか」
「そこまで気付いちゃったなら隠しても意味無いよね……そうだよ。親父には散々な目に合わされたよ。自分も母親に父さんを奪われたとか言っておきながらさ。どうやって母さんから親権を奪ったと思う? 母さんがどんな気持ちで親権を譲ると言ったと思う? そこに俺の意思なんか関係あったと思う? 友達は? ……そして明日葉は?」
「そう言うことだったのか」
「親父はやると決めたら手段を選ばない奴さ。感情の無い、本当にえげつない人間だよ」
「さっき、彼女だったら絶対に別れたくないって言ったのは本当のことだったんだな」
「でも、中学生にはどうにもできないじゃんか。遠く離れ離れにされちゃってさ。急に携帯まで新しく替えられちゃってさ。母さんに連絡させたくないのは解るよ? でもさ、そのせいで俺、明日葉や友達とも会えなくなっちゃってさ……」
「そんなことがあったのか……」
「しかも親父の奴、抗議に来てくれた明日葉を一瞥して酷いこと言いやがったんだ」
「……それは明日葉ちゃんから聞いた。でもまさか、それを言ったのが昴流だとは思わなかった。ゴメンな。お爺ちゃんがちゃんと昴流を導いてあげられていればこんなことにはならなかったはずなのに」
「あんなこと言われてさ。明日葉がどんなに傷付いたか……俺、合わせる顔がねぇよ」
「今でも好きか?」
「……嫌いになって別れた訳じゃない。でも今は、お爺ちゃんの彼女なんだろ?」
「お爺ちゃん自身、今ほど奥手で良かったと思う事はないよ。まだ間に合う。こうやって再会できたのは奇跡だよ。二人の運命なんだと思う……だから、お爺ちゃんは身を引くよ」
「でもさ、お爺ちゃんを好きな明日葉の気持ちはどうなるのさ」
「それはお爺ちゃんがちゃんと話をしてケリをつける」
「それに、俺にだってプライドはある」
「気をつけなよ? そんなことを言っていたから昔、お爺ちゃんは大事なものを失ったし、大切な人に大事なもの失わせたことがあるんだからな」
「自分だけが失ったんじゃなくて?」
「そう。自分自身が相手の大事な人であった自覚はあるのか?」
「……あるよ」
「なら、後悔の無いようにした方が良い」
宙光は深く考えた後、少し顔を上げて答えた。
「ありがとうお爺ちゃん。本当のこと言うと、俺、明日葉とやり直したい」
「そこまで気付いちゃったなら隠しても意味無いよね……そうだよ。親父には散々な目に合わされたよ。自分も母親に父さんを奪われたとか言っておきながらさ。どうやって母さんから親権を奪ったと思う? 母さんがどんな気持ちで親権を譲ると言ったと思う? そこに俺の意思なんか関係あったと思う? 友達は? ……そして明日葉は?」
「そう言うことだったのか」
「親父はやると決めたら手段を選ばない奴さ。感情の無い、本当にえげつない人間だよ」
「さっき、彼女だったら絶対に別れたくないって言ったのは本当のことだったんだな」
「でも、中学生にはどうにもできないじゃんか。遠く離れ離れにされちゃってさ。急に携帯まで新しく替えられちゃってさ。母さんに連絡させたくないのは解るよ? でもさ、そのせいで俺、明日葉や友達とも会えなくなっちゃってさ……」
「そんなことがあったのか……」
「しかも親父の奴、抗議に来てくれた明日葉を一瞥して酷いこと言いやがったんだ」
「……それは明日葉ちゃんから聞いた。でもまさか、それを言ったのが昴流だとは思わなかった。ゴメンな。お爺ちゃんがちゃんと昴流を導いてあげられていればこんなことにはならなかったはずなのに」
「あんなこと言われてさ。明日葉がどんなに傷付いたか……俺、合わせる顔がねぇよ」
「今でも好きか?」
「……嫌いになって別れた訳じゃない。でも今は、お爺ちゃんの彼女なんだろ?」
「お爺ちゃん自身、今ほど奥手で良かったと思う事はないよ。まだ間に合う。こうやって再会できたのは奇跡だよ。二人の運命なんだと思う……だから、お爺ちゃんは身を引くよ」
「でもさ、お爺ちゃんを好きな明日葉の気持ちはどうなるのさ」
「それはお爺ちゃんがちゃんと話をしてケリをつける」
「それに、俺にだってプライドはある」
「気をつけなよ? そんなことを言っていたから昔、お爺ちゃんは大事なものを失ったし、大切な人に大事なもの失わせたことがあるんだからな」
「自分だけが失ったんじゃなくて?」
「そう。自分自身が相手の大事な人であった自覚はあるのか?」
「……あるよ」
「なら、後悔の無いようにした方が良い」
宙光は深く考えた後、少し顔を上げて答えた。
「ありがとうお爺ちゃん。本当のこと言うと、俺、明日葉とやり直したい」
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