フューマン

nandemoE

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彼女9

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 戸惑いつつも、その場から逃げるように大君は和上の手を引いた。

「本当にいいの? こんな何処の誰かも解らない俺で」

「大丈夫です。それに、喜屋武昴流さんのご親族の方、ですよね? それじゃあ最早何処の誰かも解らなくないです」

「でもオジサンだよ?」

「でも、ビビッ! って運命を感じました」

「それ、失敗するヤツだよ。あのね、正直に言うけど、俺バツイチで子供いるよ?」

「えっ? 幾つくらいのお子さんなんですか?」

「うん、まあ普通はまだ小さな子供だと思うよね。……解った。信じるかは解らないけど、全部正直に話す」

 そうして大君は全てを打ち明けた。

「と、言う訳で、正直、俺は俺自身を貴女にお勧めしない」

「解りました。でも、私、今の話を聞いてもっと好きになれそうって思いました」

「何処でだよ! 聞いてた? 実は年金受給者のお爺ちゃんよ俺。昴流のような超富豪とは切り離して考えてもらわないといけないよ? 和上さん、若い。メリット、無い」

「優しそう……だったから」

「そんなんじゃ駄目だよ。男が女に優しそうに振舞うなんて当たり前のことだろ」

「そんなことないですっ!」

「うお、どうしたの急に」

「大君さん、今度は私のお話も聞いてくれますか?」
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