フューマン

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フューマン11

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「子供は、会えているのか?」

「うん。実を言うとね、訳あって親権を取り返したんだよ。だから今、家には一人息子がいるんだ。名前は宙光ひろみつと言ってね、今年大学を卒業する年さ」

「そんなに大きな子供がいるのか」

「そりゃあ僕だって48だよ。言っとくけど、父さんはお爺ちゃんだからね」

「そう言うことになるのか。俺としてはまだ38なのに、もう大学生のお爺ちゃんか」

「仲良くしてくれたら嬉しいよ」

「そりゃあもう。目に入れても痛くないって言うもんな、孫は」

「それは小さいうちだけだよ。それに、どうだろう……ちょっと複雑だな」

「上手く行ってないのか?」

「嘘をついてもバレるからね、正直に言うとそれほど良くはないな。苗字にしたって未だ元妻の姓を名乗っているくらいだから。少し付き合い方に戸惑ってる」

「荒れてるのか?」

「いや。外では穏やかな子だろうね。ただ、僕の方針が気に入らないのかも知れない。僕は僕なりにあいつのためを思ってはいるつもりなんだけど」

「そうか……多感な時期だろうからな。よし! なら尚更お爺ちゃんが一肌脱ぐかな」

「大丈夫かい?」

「まずはやってみるさ。大丈夫だ、父さんが何とかしてやる」

「はは。それ、お父さんっぽい台詞だね」

「どれ、まずは挨拶からだな。家に着くのが楽しみだ」

 車は静かに昴流の居宅へ向かっていた。
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