35 / 155
フューマン11
しおりを挟む
「子供は、会えているのか?」
「うん。実を言うとね、訳あって親権を取り返したんだよ。だから今、家には一人息子がいるんだ。名前は宙光と言ってね、今年大学を卒業する年さ」
「そんなに大きな子供がいるのか」
「そりゃあ僕だって48だよ。言っとくけど、父さんはお爺ちゃんだからね」
「そう言うことになるのか。俺としてはまだ38なのに、もう大学生のお爺ちゃんか」
「仲良くしてくれたら嬉しいよ」
「そりゃあもう。目に入れても痛くないって言うもんな、孫は」
「それは小さいうちだけだよ。それに、どうだろう……ちょっと複雑だな」
「上手く行ってないのか?」
「嘘をついてもバレるからね、正直に言うとそれほど良くはないな。苗字にしたって未だ元妻の姓を名乗っているくらいだから。少し付き合い方に戸惑ってる」
「荒れてるのか?」
「いや。外では穏やかな子だろうね。ただ、僕の方針が気に入らないのかも知れない。僕は僕なりにあいつのためを思ってはいるつもりなんだけど」
「そうか……多感な時期だろうからな。よし! なら尚更お爺ちゃんが一肌脱ぐかな」
「大丈夫かい?」
「まずはやってみるさ。大丈夫だ、父さんが何とかしてやる」
「はは。それ、お父さんっぽい台詞だね」
「どれ、まずは挨拶からだな。家に着くのが楽しみだ」
車は静かに昴流の居宅へ向かっていた。
「うん。実を言うとね、訳あって親権を取り返したんだよ。だから今、家には一人息子がいるんだ。名前は宙光と言ってね、今年大学を卒業する年さ」
「そんなに大きな子供がいるのか」
「そりゃあ僕だって48だよ。言っとくけど、父さんはお爺ちゃんだからね」
「そう言うことになるのか。俺としてはまだ38なのに、もう大学生のお爺ちゃんか」
「仲良くしてくれたら嬉しいよ」
「そりゃあもう。目に入れても痛くないって言うもんな、孫は」
「それは小さいうちだけだよ。それに、どうだろう……ちょっと複雑だな」
「上手く行ってないのか?」
「嘘をついてもバレるからね、正直に言うとそれほど良くはないな。苗字にしたって未だ元妻の姓を名乗っているくらいだから。少し付き合い方に戸惑ってる」
「荒れてるのか?」
「いや。外では穏やかな子だろうね。ただ、僕の方針が気に入らないのかも知れない。僕は僕なりにあいつのためを思ってはいるつもりなんだけど」
「そうか……多感な時期だろうからな。よし! なら尚更お爺ちゃんが一肌脱ぐかな」
「大丈夫かい?」
「まずはやってみるさ。大丈夫だ、父さんが何とかしてやる」
「はは。それ、お父さんっぽい台詞だね」
「どれ、まずは挨拶からだな。家に着くのが楽しみだ」
車は静かに昴流の居宅へ向かっていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
甘い誘惑
さつらぎ結雛
恋愛
幼馴染だった3人がある日突然イケナイ関係に…
どんどん深まっていく。
こんなにも身近に甘い罠があったなんて
あの日まで思いもしなかった。
3人の関係にライバルも続出。
どんどん甘い誘惑の罠にハマっていく胡桃。
一体この罠から抜け出せる事は出来るのか。
※だいぶ性描写、R18、R15要素入ります。
自己責任でお願い致します。
正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
二度の世界大戦を無事戦勝国として過ごすことに成功した大日本帝国。同盟国であるはずのドイツ第三帝国が敗北していることを考えたらそのさじ加減は奇跡的といえた。後に行われた国際裁判において白人種が今でも「復讐裁判」となじるそれは、その実白人種のみが断罪されたわけではないのだが、白人種に下った有罪判決が大多数に上ったことからそうなじる者が多いのだろう。だが、それはクリストバル・コロンからの歴史的経緯を考えれば自業自得といえた。
昭和十九年四月二日。ある人物が連合艦隊司令長官に着任した。その人物は、時の皇帝の弟であり、階級だけを見れば抜擢人事であったのだが誰も異を唱えることはなく、むしろその采配に感嘆の声をもらした。
その人物の名は宣仁、高松宮という雅号で知られる彼は皇室が最終兵器としてとっておいたといっても過言ではない秘蔵の人物であった。着任前の階級こそ大佐であったが、事実上の日本のトップ2である。誰が反対できようものか。
そして、まもなく史実は回天する。悪のはびこり今なお不正が当たり前のようにまかり通る一人種や少数の金持ちによる腐敗の世ではなく、神聖不可侵である善君達が差配しながらも、なお公平公正である、善が悪と罵られない、誰もに報いがある清く正しく美しい理想郷へと。
そう、すなわちアメリカ合衆国という傲慢不遜にして善を僭称する古今未曾有の悪徳企業ではなく、神聖不可侵な皇室を主軸に回る、正義そのものを体現しつつも奥ゆかしくそれを主張しない大日本帝国という国家が勝った世界へと。
……少々前説が過ぎたが、本作品ではそこに至るまでの、すなわち大日本帝国がいかにして勝利したかを記したいと思う。
それでは。
とざいとーざい、語り手はそれがし、神前成潔、底本は大東亜戦記。
どなた様も何卒、ご堪能あれー……
ああ、草々。累計ポイントがそろそろ10万を突破するので、それを記念して一度大規模な増補改訂を予定しております。やっぱり、今のままでは文字数が余り多くはありませんし、第一書籍化する際には華の十万文字は越える必要があるようですからね。その際、此方にかぶせる形で公開するか別個枠を作って「改二」として公開するか、それとも同人誌などの自費出版という形で発表するかは、まだ未定では御座いますが。
なお、その際に「完結」を外すかどうかも、まだ未定で御座います。未定だらけながら、「このままでは突破は難しいか」と思っていた数字が見えてきたので、一度きちんと構えを作り直す必要があると思い、記載致しました。
→ひとまず、「改二」としてカクヨムに公開。向こうで試し刷りをしつつ、此方も近いうちに改訂を考えておきます。
New Page on-line
腹減り雀
SF
細かい処まで徹底的に作り込み、既存の物を遥かに凌駕すると豪語したVRmmoがサービスを開始する。
友達に誘われて始める、どこまでも自分の道を行く無自覚暴走娘のVRmmoプレイ日記。
いざ、暴走開始。
アラロワ おぼろ世界の学園譚
水本茱萸
SF
——目覚めたら、すべてが「おぼろげ」な世界——
ある日を境に、生徒たちは気づく。自分たちの記憶が「二重」に重なり合っていることに。前の世界の記憶と、今の世界の記憶。しかし、その記憶は完全なものではなく、断片的で曖昧で「おぼろげ」なものだった。
謎の存在「管理者」により、失われた世界から転生した彼らを待っていたのは、不安定な現実。そこでは街並みが変わり、人々の繋がりが揺らぎ、時には大切な人の存在さえも「おぼろげ」になっていく。
「前の世界」での記憶に苦しむ者、現実から目を背ける者、真実を追い求める者——。様々な想いを抱えながら、彼らの高校生活が始まる。これは、世界の片隅で紡がれる、いつか明晰となる青春の群像劇。
◎他サイトにも同時掲載中です。
刹那奇譚
防人
SF
時は現代、人は欲に飲まれると「悩者」と言われる怪物になる。
悩者から民衆を守るために存在している武力組織「煉啓」。
その兵士の1人である鞍戸八雲は古の悩者の魂が宿って悩者に、、
彼は矛盾した存在である自分をどう受け止めるのか、自分の宿命とは何か。
彼に待ち受ける数多の戦いが始まる。
SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀
黴男
SF
数百万のプレイヤー人口を誇るオンラインゲーム『SSC(Star System Conquest)』。
数千数万の艦が存在するこのゲームでは、プレイヤーが所有する構造物「ホールドスター」が活動の主軸となっていた。
『Shin』という名前で活動をしていた黒川新輝(くろかわ しんき)は自らが保有する巨大ホールドスター、『Noa-Tun』の防衛戦の最中に寝落ちしてしまう。
次に目を覚ましたシンの目の前には、知らない天井があった。
夢のような転移を経験したシンだったが、深刻な問題に直面する。
ノーアトゥーンは戦いによってほぼ全壊! 物資も燃料も殆どない!
生き残るためにシンの手にある選択肢とは....?
異世界に転移したシンキと、何故か一緒に付いてきた『Noa-Tun』、そして個性派AIであるオーロラと共に、異世界宇宙の開拓が始まる!
※小説家になろう/カクヨムでも連載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる