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おとぎ話7
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「どういうことですか?」
尋ねる大君の手を取って、御面は小さなケースを握らせた。
「こんなお話もあったわね、浦島太郎。助けた亀に連れられて海の底の竜宮上へ招かれたのだけれど、彼が地上に戻ると長い年月が過ぎており……今の貴方に似てるわね」
「つまりこれは?」
「薬品名スコロリン。飲めば苦しまず十秒で眠るように死ねるわ。これを、玉手箱として貴方に渡しておきますからね」
「大丈夫なんですか、これ」
「ええ。内臓類にも一切影響を残さず、死後にも何ら反応を残さない。死因は心臓麻痺になるのかしらね」
「凄い薬があったものですね」
「ええ、伊達に貴方が眠りに就いてから35年も経ってないわ。だから安心して、服用してもご家族に変な疑いが向くようなことは無いはずよ。でもそうね、他人には使っちゃダメよ? 特に殺したい程恨んでいるという元奥様などには決して」
「使いませんよ、あんな人間に勿体ない」
尋ねる大君の手を取って、御面は小さなケースを握らせた。
「こんなお話もあったわね、浦島太郎。助けた亀に連れられて海の底の竜宮上へ招かれたのだけれど、彼が地上に戻ると長い年月が過ぎており……今の貴方に似てるわね」
「つまりこれは?」
「薬品名スコロリン。飲めば苦しまず十秒で眠るように死ねるわ。これを、玉手箱として貴方に渡しておきますからね」
「大丈夫なんですか、これ」
「ええ。内臓類にも一切影響を残さず、死後にも何ら反応を残さない。死因は心臓麻痺になるのかしらね」
「凄い薬があったものですね」
「ええ、伊達に貴方が眠りに就いてから35年も経ってないわ。だから安心して、服用してもご家族に変な疑いが向くようなことは無いはずよ。でもそうね、他人には使っちゃダメよ? 特に殺したい程恨んでいるという元奥様などには決して」
「使いませんよ、あんな人間に勿体ない」
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