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おとぎ話6

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「そうね。でも、例えその裏話が真実であったとしても、誰もそれを正さないし何も起こらないでしょう。仮に正したとするならば、きっとそのつまらない物語は消えてしまうでしょうから。だから、私は別に昴流君の作り上げたものを直していこうとは思わない」

「では結局、貴女は俺に何をさせたいのですか?」

「何も。だって貴方はもう彼によって私から買い戻された身、自由なのよ。だから生まれ変わったこの世界で、好きなように生きて、感じて欲しいとも思うし、まだ35年前と同じように目的を見出せず死を選ぶと言うのなら、今度こそそれを止める術はないわ」

「……自由、ですか」

「ええ。ただ、また死を選ぶと言うのなら、貴方のために大変な努力を払った昴流君があまりにも不幸だと思ったから、老婆心で貴方の前にこうして釘を刺しに来たのよ」

「ああ、そうか」

「そして、もう一つ。今度は私の矜持として、貴方からの依頼に反した、これを正しにも来たという訳よ」

「もしかして今更俺を殺しに来たんですか?」

「いいえ、それを決めるのは貴方に委ねようと思うの」
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