フューマン

nandemoE

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安楽死7

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「でも……ずっと、こういう本音を言わないで来たんですよね」

「ま、社会で生きてる人間は殆ど本音言えませんからね」

「じゃあ、私が今聞いてるのは人間の生の声なんだ」

「そりゃあ死ぬ前ですからね」

「見栄も、保身も、立場も。恥もへったくれも無い人間の心の内側、か」

「他の人間のことは知りません。でも、紛れも無く俺も普通の人間のはずです、普通の」

「そうですね。そう考えると、私、案外貴重な話を聞いてるのかも知れないですね。何か、今になってようやく喜屋武さんの話を本心で聞いてみたいと思えて来ました」

「遅いな」

「あはは、ごめんなさい。でも、私も腹を括りました。気が済むまで何時間でも付き合いますよ、喜屋武さんの最期の話。あ、ちょっと待ってください。ビール持って来ても良いですか?」

「死神さん自由だなあ」

「生きるって、良いものですよ?」

 そうして暫くの間、大君は死神を名乗る女性と生涯を振り返って語り明かしたのだった。
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