45 / 66
玉生ホームで朝食を
玉生ホームで朝食を 7
しおりを挟む「外の回廊も余裕があるな。お? こんな所にもベンチがある」
ここも段差を緩やかにするためか二階までに折り返しで踊り場のある階段を上った先、左右に延びるベランダの角にピッタリのベンチがあるのを見た駆が感心した様に言ってから、「でも、なんだこの既視感は?」と首を捻った。
「商業施設ではよく見る」
「それか!」
「君はよく美術展に行ってるのに、その注意力はどうなんだい?」
詠の言葉にポンと手を打って納得する駆に、寿尚が呆れた声で半眼になる。
「こいつの事だ。椅子も展示物として見るか、目に入ってないか」それにフォローのつもりがあるのかないのか詠はしれっと言ったが、言われた方も「それな」と笑って肯定するのだった。
「まあ、なんといっても広いっすから、途中で荷物置いたり休憩したりする場所があるのも悪くないっすよ。で、次は一応ベランダの両端、見に行くんすか?」
ベランダの両側を伸び上がる様に見ていた翠星が、「それともそのまま上に行くんすか?」と目線を階段の先へと向けて尋ねてくる。
家主の玉生は、ここのベランダは自分以外の部屋の住人の物だと思っている様で、完全に寿尚たちの返事待ちで「どうするの?」という目で彼らを見ているばかりだ。
実際に、どうやら各自の部屋にある掃き出し窓はこのベランダに面していて、そこから出入りできる造りになっている様である。
「う~ん、左側ってこの辺は多分オレの青い部屋でこの辺が廊下の突き当りで、あそこに見えるのがヨーミンの黄色い部屋の窓だろ? 多分、もっと先には二階の風呂トイレ前の廊下の窓があるはずだな」
駆にそこが自分の部屋だと言われた詠が、一番近くの人が出入りできる大きな窓に近寄って中を覗き込むと、「確かに奥に天蓋付きの寝台がある」と頷いて戻って来た。
「右側は、ミミ先輩・自分・スナ先輩の部屋の窓ってわけっすね」
「だろうな、多分。ま、気になるなら屋上の帰りにそっちにも寄ればいいし、上に行くって事でいいか?」
返事を聞く前にもう階段の上り口に足を向けた駆に、みんなも特に異論はない様で「いい加減、昼になりそうっすからね」「ちいたまの事もそろそろ気になるし」と言いながらぞろぞろ後に続く。
そして、ようやく辿り着いた屋上である。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる