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玉生ホーム探検隊
玉生ホーム探検隊 3
しおりを挟むそして玄関からずっと続いていた壁の端、電話のあった突き当りの壁沿いに回り込んだ先にあるのが裏玄関なのは、窓からプールが見えた事で確認できた。
電話機の置かれたテーブル側には部屋一つ分はある広めの土間があり、階段状の床と表現したくなる様な僅かな段差が白い自然石と木目のフローリングの居間とを分かりやすく区切っている。
そのフローリングの床を見て、玉生はやっと家の中にいるという実感が湧いた気がするのだった。
しかしフローリング部分で普通の家っぽい、と思ったのは茶色の木目が目に入った一瞬だけで、その造りは再び玉生の口をあんぐりと開けさせた。
「なんて言うか、随分とハイセンスなデザインだな」
その場所は玉生だけではなく、芸術家の感性でも一般の家として見ると風変わりという判断だったらしく、顎に手を当てた駆が感嘆の声を上げる。
一言で言うと”豪華な造りの舞台セット"といったイメージで壁の仕切りが極端に少なく、あえて分かりやすく言うならば"こちら側一面に壁が無い”のだ。
そのせいで、手前側にはダイニングテーブルが置かれその奥にカウンターを挟んでキッチンが、ダイニングのスペースの隣にはチェストを挟んで大きなモニターに向いたロータイプのソファーの背などが目視できてしまうのだ。
とはいえキッチンは普通に壁で囲まれている様で、カウンター周辺から覗ける内部は他よりも薄暗い。
ちなみにダイニング側の上部は天窓なのでその真下は室内内部でも昼下がりの陽光で眩しい程に明るく、キッチンやリビングが明かり無しでも見通せるのはその光のおかげだ。
さらに天窓の光から離れ、ダイニングのモニター向こうにチェストが並んでいるのも薄暗いながら認められる。
おそらく、感覚的にはその近くに例の縁側付きの和室があるのではないかと思われるのだが、どこでつながるかはここからではまだ予想がつかない。
とにかく目の前のダイニングテーブルはともかく、大きく取られた面積の中に余裕を持って配置された家具類が、直視を阻む様に上手い具合に目隠しになっているのだ。
さらに裏玄関の向かいに距離を置いて、オープンな一階の中で島状態に四方を覆われた部屋と思しき部分があり、その部屋と壁との間がやはり廊下になっている。
こちらの廊下の部分にも壁収納の棚などはあるが、余裕を持って人がすれ違える幅が取られていて特に狭苦しくは感じない。
この部屋の壁が仕切りの役目を果たして、裏玄関を開けてすぐに室内の大部分を見通せるという状態も防がれているのだ。
そして廊下はその先にも何かある様なので駆が少し進んでみると、さらに地下へと続く階段があったという。
せっかく落ち着きかけていた玉生が再び顔を引き攣らせるのに、友人たちは目で合図しあい「まずは住空間の確認が先だろう」という事にして、そこは「後で改めて」と今は素通りする事にした。
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