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ぼくは帰って来た男 8
これっくらいのお社作るよ
しおりを挟むどうやら形式がきっちりしていると霊験あらたかな状態を安定させる効果があるらしく、さっきの水晶を収めるためのお社を設置したいのだそうだ。
「これから先に神頼みをする様な機会があれば、まとまった力を必要とする可能性もあるし備えておきたいんだ。魔道具よりはこういう、いかにも神具的な物が効果があると思うからね」
勇としては『こっちの神社で頼むならこっちの神様がその相手になるのかな?』と思い、それに納得した。
「はーい、この小さいおうちだよね」
中に居る勇者の技術や理解力も当然本体の勇に作用するので、家のミニチュアの外見をした木箱位は積み木感覚で組んでしまえる。
何といってもこの勇者、戦闘中でも状況に合わせて武具を変形させる事もあった位に器用だったのだ。
本人が言うには「討伐対象によって、刃が薄い・厚い・長い・小回りが利くとかのそれぞれで違いがある」そうで、それと手に馴染むなどの条件を追及して、結局は変化に強い鉱物で専用の武器を造るに至ったと言うのだから随分な凝り性である。
次元倉庫があるので、何種類かの武器を入れ替えて使い分けたらどうだとも言われたが、切り替える際の精神的消耗が馬鹿にならなかった。
以前に生命力が強いキメラ系の討伐対象と長期戦になり、部位ごとに相当する魔獣の弱点が異なるのでそれぞれに武器を使い分けて戦ったのだが、やはりタイミングを計るためには余計に集中力を消耗してしまうと戦闘終了後に痛感したのだ。
ゆえに反射神経で対応して、相手に合わせて変形させる武器を開発する方を選んだのだが、実は単に“ぼくのかんがえたさいきょうのぶき”の魅惑に抗えなかったのでは? という説もある。
そんな勇者の器用さと六歳児の発想の自由さが合わされば、玩具のブロックと組子細工の匠の技の垣根すらパッと越えてしまうのだった。
まず勇は社の見本である3D画像の細かい個所を、彼の両手に余る大きのタブレットで上下左右にぐるぐると回して確認した。
それから空間で両手を伸ばしたり上げ下げしたりしながら、「うーん、これっくらい?」と脳内で完成品の予想をしてから板を一枚手にする。
すると、『ちょっと待て。まず扉は引き戸にするとか、観音開きにするとか決めないとダメだろう?』と勇者に止められてハッとした。
「水晶玉入れるって言ってたんだもんね」『屋根の部分を蓋にするのが楽だけどな』と改めて、脳内でシミュレーションしてみる。
「何か問題でもあるのかい? 問題があるなら別のデザインに変えてもいいのだけど」
「んーん、あのね、扉付けるのと蓋にするのと、どっちがいいのかなーって考えてたの」
「ああ、そうか。術で出し入れできるから深く考えていなかったが――いや、状況によっては純粋な力の塊に、別の力で触れるのは……」
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