アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家

文字の大きさ
上 下
15 / 121

レッスン14「ホーンラビット再び (2/3)」

しおりを挟む
「どうしよう……1本も採取できなかった」

「しーっ! マジックバッグの中に未納品のが1本ある。どうせあいつらは0本なんだ。これをさっき採取したって言えば――」

「ちょっとエンゾ、いくらクリス相手だからって、もしバレたらどうするつもり!?」

 お師匠様の【万物解析アナライズ】は遠い場所の音すら拾う。
 そして、【聴覚共有シンクロナイズド・イヤー】でお師匠様の聴覚を借りれば、エンゾたちの悪だくみを聞き出すこともできる。

 しばらく森の外で待っていると、果たしてエンゾたちが出てきた。
 3人そろって露骨にこちらから視線をそらしている。
 3人は同い年――つまり僕よりいくつか年下だ。こうやって落ち着いて見てみると、まだまだガキなんだなって思える。

「よ、よぉクリス……お前、相変わらず0本なんだろう? こっちは――」

「――【収納アイテム空間・ボックス】」

 手のひらに、治癒ヒール・一角兎ホーンラビットのツノを1本、出して見せる。

「えっ!? ……は、はん! まぐれか何かで1本手に入れられたみたいだけど、こっちだって――」

「【収納アイテム空間・ボックス】」

 もう1本。

「えっ――」

「【収納アイテム空間・ボックス】」

 足元に数十本のツノを出現させる。

「なっ――」

「……【収納アイテム空間・ボックス】」

 エンゾたち3人を取り囲むようにして、残りの数百本を出現させる。

「合計、349本だよ。――それで? 君たちの成果は?」

「「「――――……」」」

 ドナとクロエは、エンゾの後ろで震えている。
 一方、呆然自失、といった様子のエンゾが、

「~~~~~~~~ッ!!」

 やがて顔を真っ赤にしてから、










「……………………――――すみま、せん、でした」










 頭を、下げた。

「――――ッ!!」

 全身に鳥肌が立つ。
 脳がしびれる。
 この感覚は、いったい何なんだろうか。
 とにもかくにも、エンゾの一言で、いままでずっと胸の奥底でもやもやしていた感覚がすっと晴れたのは確かだった。

「はぁ、もういいのかい?」

 隣ではお師匠様が呆れている。

「人がいいと言うか何と言うか……もっとこう、頭を踏みつけてやったりとか、蹴飛ばしてやったりとかさ、そういうのはないのかね、この子は」

「…………物騒なこと言わないでくださいよ、お師匠様」

 ほら、エンゾが泣き出しそうになってる。
 ……いきがって見せても、所詮は僕より数歳年下の、まだまだ子供なんだから。


   ■ ◆ ■ ◆


「そ、それで……このツノはどうやって集めやがった……んですか、クリスさん?」

 エンゾがビビって敬語を使ってくる。

「お師匠様が探査系の魔法が得意でね。お師匠様が探査した結果を共有して、僕の【無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】でこう、がばっと」

「「が、がばっと……」」

 ドナとクロエが呆然と呟く。

「それで、勝負の結果についてなんだけど……」

「ひっ……」

 エンゾの悲鳴。

「こっちもツノがたくさんあって実入りは十分だから、銀貨は要らない。代わりにちょっと手伝って欲しいことがあって」

「な、なんだよ……ですか?」

「【目録カタログ】――ほらここ、生きたままのヒール・ホーンラビットが300匹以上【収納アイテム空間・ボックス】の中に入ったままなんだよ」

「「「い、生きたまま……ッ!?」」」

 目を剥くエンゾたち。

「さ、さ、最高級のマジックバッグだって生物は入れられねぇんだぞ!?」

「わ、私、本で読んだことがある……聖級に至った【収納アイテム空間・ボックス】使いは、生物をも【収納】できるって」

「じゃ、じゃあクリスは聖級魔法使い様!?」

「お~い」

「「「は、はいっ!」」」

 直立不動の3人。ちょっと面白い。

「それで、キミたちも知っての通り、僕って……ほら、狩りとか、苦手だろう? だから、こいつらをちょっとずつ取り出すから、狩るのを手伝って欲しくて」

「え!? いや、その……クリス、さんの頼みならその、できれば聞きたいっすけど」

 エンゾがもじもじしてる。こうして見てみると、可愛いもんだね。

「300匹以上ってのはさすがに……その、タダ働きってのは……ねぇ? 小銀貨5枚に見合わないと言いますか――」

「あぁ、それは心配しないで。肉は、とどめを刺した人の取り分にしていいよ」

「「「――えっ!?」」」

 喜色満面の3人。
 ま、そりゃそうだろう。食ってよし卸してよし、300匹のうちの何十匹になるか百何十匹になるかは現段階で分からないにせよ、それだけの肉が手に入れば、当分、食の心配は無くなる。

「その代わり……その、僕にさ、ホーンラビットの狩り方を、教えてもらいたいんだよ」

「「「喜んでッ!!」」」



***********************
 ここまでお付き合いくださり、誠にありがとうございます!
 ご覧頂いた通り、本作は『基本的には』爽やかな『ざまぁ』を決めていく作品となっております。
 とは言えそれも、主人公・クリスや世間が許容できる範囲内の悪事に関して言えることで……。

 本作は『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』に参戦しております。
 カップ終了の5月15日まで毎日19~20時頃に更新し、5月15日をもって完結となる予定です。

 痛快な「ざまぁ」と、あっと驚く極上のどんでん返しをお約束します!
 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

 少しでもご興味を抱いて下さいましたら、毎日お越し下さいませ!!m(_ _)m
 
 次回、クリスがエンゾたちパーティーに狩りを学びつつイチャイチャする。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...