10 / 121
レッスン9「ドブさらい (2/5)」
しおりを挟む
「な、なんてこと……」
呆然と、真っ平らな石の断面を見つめる。
「お師匠様、できた、できまし……」
そのとき急に、膝の力が抜けた。
「おっとっと!」
お師匠様が抱き留めてくれる。
「よし、よし! それが魔法の行使による『疲労』さね」
「ひ、疲労……?」
言われた通り、確かにものすごく疲れた感じがする。
気がつけば僕は、肩で息をしていた。
「そうやって疲労を感じるってことは、お前さんのスキルに負荷がかかったってこと。つまり石を切断し続けることで、【無制限収納空間】のスキルレベルを伸ばすことができるってわけさね。もしかしたら、すでにレベル2に上がってるかもしれないよ? 見てみな」
「は、はい……」
自分の足で立ちつつ、
「【ステータス・オープン】!」
*****************************************************
【名前】 クリス
【年齢】 16歳
【職業】 冒険者
【称号】 (なし)
【契約】 アリス・アインス・フォン・ロンダキアの弟子
【LV】 7 ←UP!!
【HP】 179/179 ←UP!!
【MP】 428/579 ←UP!!
【力】 28 ←UP!!
【魔法力】 57 ←UP!!
【体力】 31 ←UP!!
【精神力】 40 ←UP!!
【素早さ】 37 ←UP!!
【加護】
無制限収納空間LV2 ←UP!!
【戦闘系スキル】
短剣術LV1 弓術LV1 盾術LV1 体術LV1
【魔法系スキル】
魔力感知LV1 魔力操作LV1 時空魔法LV1
【耐性系スキル】
威圧耐性LV1 苦痛耐性LV5
睡眠耐性LV3 空腹耐性LV5
【生活系スキル】
ルキフェル王国語LV3 算術LV3 野外生活LV3
料理LV3 野外料理LV3
*****************************************************
「わっわっわっ! お、お師匠様! スキルレベルが上がってます!」
「それは良かったねぇ」
頭を撫でられてしまう。
「ほら、【目録】と唱えてみな」
「はい! 【目録】!」
ブン……と、目の前に【ステータス・ウィンドウ】に似た画面が表示される。
「見てもいいかい?」
「もちろんです!」
「ここ、そう、このボタンをタッチしてみな。そう、それで【収納】日時順に並ぶから、ほれ、『半分になった石』をタッチしてみな」
「はい」
タッチすると、手の上に石の片割れが現れる。
いままで、中に手を突っ込んで取り出したいものを探していたことを思うと、びっくりするほど便利になった。
「石はもう捨てちまいな。で、続いて……これだ、『吐瀉物と汚泥にまみれたグラス』」
「うえぇ……」
「これを、長押しする」
「はい」
「すると、細分化されて表示される」
「わっ、本当です!」
『吐瀉物と汚泥にまみれたグラス』の右隣に、『グラス』と『吐瀉物』と『汚泥』が表示された。
「で、その中の『グラス』をタッチしてみな」
「はい」
言われるがままタッチすると、手の上に綺麗な状態のグラスが現れた!
「これが強いんだ。めちゃくちゃ強い。【目録】と【万物解析】の合わせ技は、世界最強の魔法と言っても過言じゃぁない」
「え、えぇ……」
「その威力の一端を、いまここで見せてやろう」
お師匠様が、その手でもって僕の両目をふさぐ。
「な、何ですか急に!?」
「いまからお前さんに、儂の視界を貸してやる」
「視界を、貸す?」
「【視覚共有】」
「わわわっ!?」
急に、視界に僕が映った!
いや、この視界は――
「お師匠様の、視界?」
「そうさね。目は閉じたまま、儂の視界に集中おし」
「は、はい」
お師匠様の視界で、お師匠様が杖を側溝に向けてかざし、
「【赤き蛇・神の悪意サマエルが植えし葡萄の蔦・アダムの林檎――万物解析】」
真っ赤な魔法陣が溝の上で一瞬だけ展開され、消える。
そして、側溝の表面が青白く輝き出す。
「目を開いて、溝を見てみな」
言われて目を開くと、自分の視界が戻る。
その目で側溝を見るも、お師匠様の視界のようには光っていない。
「いま光って見えたのは、儂の視界の中だけのこと。光っているのは、【万物解析】によって導き出された『除去すべき汚れ』さね」
な、なんと便利な……ッ!!
「じゃあ、溝に手をかざして、目を閉じ、こう唱えるんだ」
言われるがまま手をかざし、目を閉じる。
「【万物解析】によりて導き出されし」
「……あ、【万物解析】によりて導き出されし」
「『除去すべき汚れ』を【収納】せよ」
「『除去すべき汚れ』を【収納】せよ」
「「【無制限収納空間】」」
…………後には、ありとあらゆる汚れが綺麗さっぱりなくなった、磨き立てのような側溝があった。
***********************
いつもありがとうございます!
もしよろしければ、『お気に入り』への登録をよろしくお願い致します。m(_ _)m
次回、【無制限収納空間】と【万物解析】を合わせたチート技によって、城塞都市中の汚泥が一掃!?
呆然と、真っ平らな石の断面を見つめる。
「お師匠様、できた、できまし……」
そのとき急に、膝の力が抜けた。
「おっとっと!」
お師匠様が抱き留めてくれる。
「よし、よし! それが魔法の行使による『疲労』さね」
「ひ、疲労……?」
言われた通り、確かにものすごく疲れた感じがする。
気がつけば僕は、肩で息をしていた。
「そうやって疲労を感じるってことは、お前さんのスキルに負荷がかかったってこと。つまり石を切断し続けることで、【無制限収納空間】のスキルレベルを伸ばすことができるってわけさね。もしかしたら、すでにレベル2に上がってるかもしれないよ? 見てみな」
「は、はい……」
自分の足で立ちつつ、
「【ステータス・オープン】!」
*****************************************************
【名前】 クリス
【年齢】 16歳
【職業】 冒険者
【称号】 (なし)
【契約】 アリス・アインス・フォン・ロンダキアの弟子
【LV】 7 ←UP!!
【HP】 179/179 ←UP!!
【MP】 428/579 ←UP!!
【力】 28 ←UP!!
【魔法力】 57 ←UP!!
【体力】 31 ←UP!!
【精神力】 40 ←UP!!
【素早さ】 37 ←UP!!
【加護】
無制限収納空間LV2 ←UP!!
【戦闘系スキル】
短剣術LV1 弓術LV1 盾術LV1 体術LV1
【魔法系スキル】
魔力感知LV1 魔力操作LV1 時空魔法LV1
【耐性系スキル】
威圧耐性LV1 苦痛耐性LV5
睡眠耐性LV3 空腹耐性LV5
【生活系スキル】
ルキフェル王国語LV3 算術LV3 野外生活LV3
料理LV3 野外料理LV3
*****************************************************
「わっわっわっ! お、お師匠様! スキルレベルが上がってます!」
「それは良かったねぇ」
頭を撫でられてしまう。
「ほら、【目録】と唱えてみな」
「はい! 【目録】!」
ブン……と、目の前に【ステータス・ウィンドウ】に似た画面が表示される。
「見てもいいかい?」
「もちろんです!」
「ここ、そう、このボタンをタッチしてみな。そう、それで【収納】日時順に並ぶから、ほれ、『半分になった石』をタッチしてみな」
「はい」
タッチすると、手の上に石の片割れが現れる。
いままで、中に手を突っ込んで取り出したいものを探していたことを思うと、びっくりするほど便利になった。
「石はもう捨てちまいな。で、続いて……これだ、『吐瀉物と汚泥にまみれたグラス』」
「うえぇ……」
「これを、長押しする」
「はい」
「すると、細分化されて表示される」
「わっ、本当です!」
『吐瀉物と汚泥にまみれたグラス』の右隣に、『グラス』と『吐瀉物』と『汚泥』が表示された。
「で、その中の『グラス』をタッチしてみな」
「はい」
言われるがままタッチすると、手の上に綺麗な状態のグラスが現れた!
「これが強いんだ。めちゃくちゃ強い。【目録】と【万物解析】の合わせ技は、世界最強の魔法と言っても過言じゃぁない」
「え、えぇ……」
「その威力の一端を、いまここで見せてやろう」
お師匠様が、その手でもって僕の両目をふさぐ。
「な、何ですか急に!?」
「いまからお前さんに、儂の視界を貸してやる」
「視界を、貸す?」
「【視覚共有】」
「わわわっ!?」
急に、視界に僕が映った!
いや、この視界は――
「お師匠様の、視界?」
「そうさね。目は閉じたまま、儂の視界に集中おし」
「は、はい」
お師匠様の視界で、お師匠様が杖を側溝に向けてかざし、
「【赤き蛇・神の悪意サマエルが植えし葡萄の蔦・アダムの林檎――万物解析】」
真っ赤な魔法陣が溝の上で一瞬だけ展開され、消える。
そして、側溝の表面が青白く輝き出す。
「目を開いて、溝を見てみな」
言われて目を開くと、自分の視界が戻る。
その目で側溝を見るも、お師匠様の視界のようには光っていない。
「いま光って見えたのは、儂の視界の中だけのこと。光っているのは、【万物解析】によって導き出された『除去すべき汚れ』さね」
な、なんと便利な……ッ!!
「じゃあ、溝に手をかざして、目を閉じ、こう唱えるんだ」
言われるがまま手をかざし、目を閉じる。
「【万物解析】によりて導き出されし」
「……あ、【万物解析】によりて導き出されし」
「『除去すべき汚れ』を【収納】せよ」
「『除去すべき汚れ』を【収納】せよ」
「「【無制限収納空間】」」
…………後には、ありとあらゆる汚れが綺麗さっぱりなくなった、磨き立てのような側溝があった。
***********************
いつもありがとうございます!
もしよろしければ、『お気に入り』への登録をよろしくお願い致します。m(_ _)m
次回、【無制限収納空間】と【万物解析】を合わせたチート技によって、城塞都市中の汚泥が一掃!?
1
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……
石のやっさん
ファンタジー
虐められ自殺までした僕が異世界転移......もう知らない。
主人公である竜崎聖夜はクラスで酷いイジメにあっていた。
その執拗なイジメに耐えかねて屋上から飛び降り自殺をした瞬間。
聖夜のクラスが光輝き女神イシュタスの元に召喚されてしまう。
話しを聞くと他の皆は既に異世界ルミナスに転移ずみ。
聖夜は自殺し、死んでいたので蘇生したぶん後になったのだと言う。
聖夜は異世界ルミナスに行きたくなかったが、転移魔法はクラス全員に掛かっているため、拒否できない。
しかも、自分のジョブやスキルは、クラスの情報でイシュタスが勝手に決めていた。
そのステータスに絶望したが……実は。
おもいつきで書き始めたので更新はゆっくりになるかも知れません。
いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……
からタイトルを『ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……』に変更しました。
カクヨムコン9に出品予定でしたが、期間内に10万文字まで書けそうも無いのでカクヨムコン出品取り消しました。
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜
平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。
途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。
さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。
魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる