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25「いいね❤ × 1分 = 余命」
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💭 🔁 ❤×? 325
『いいね❤ × 1分 = 余命』という、絶望的な文字が、目の前にある。
【セミプロダンサー】舞姫「え、そ、そんな……ウソでしょ!?」
【映えの権化】蝿塚「い、嫌ぁぁあああああッ!! 何か映える物、映える物は無いの!?」
【犬可愛がり】犬飼「ポチ、ポチが居ないんだ!! ポチが居ないんだよ!!」
【猫可愛がり】猫目「タマ、あぁぁああ……タマ、何処に居るの!?」
自宅のペットでいいねを稼いでいる2人が、半狂乱になっている。
【クラス委員長】長々「み、みんな落ち着くんだ!! とにかく相互でいいねをして――」
【映えの権化】蝿塚「1日に付き1,440いいねが必要なのよ!? ――あぁあぁあああ……減ってる! 私のいいねが減ってる!!」
【クラス委員長】長々「落ち着きたまえ! 1,440 ÷ 28は――」スマホを操作する。「51! ほ、ほら、クラス全員が51いいねをすれば生き延びられるだろう!?」
【映えの権化】蝿塚「51回!? クラス全員が? 毎日全員分を51回!? そんなのするわけ無いじゃない!! それにもう、28人も居ない! 28人も居ないのよ!? 何か、何か映える物は――」旅館の外に出ようとする。
【陽キャリーダー】蹴鞠「落ち着けって! もう深夜だぞ!?」そんな蝿塚さんを押し戻す。「今から何かツイートしたところで、いいねなんてもらえないだろうし、今日はひとまず休んで――」
【映えの権化】蝿塚「アンタと違って私にはもう余裕が無いの!! 離してよ――」
旅館の外から、千鳥足の【下種野郎】種田が入って来た。顔が真っ赤だ。種田はエントランスを見回して、ふらふらと【エロ垢】江口さんのところへ行く。
【エロ垢】江口「ちょっと下太郎、アンタもしかして飲んでる?」
【下種野郎】種田「艶子、ホテル行くぞ」強引に江口さんの手を引く。
【エロ垢】江口「ちょっと痛いってば」
【下種野郎】種田「さっさ歩けやゴラァ」
【エロ垢】江口「痛いッ! もぅマジぴえんなんだけど」
あちこちで悲鳴や怒号が上がる中、僕は頼々子さんへSOSのメールを送信する。
僕はまだ数日は大丈夫だろうと思う……残いいねの千の位が液晶の傷で読み取れないのがちょっと怖いけど、過去1年の活動から、まだ数千いいねはあるはずだから。
けど、Twittooをやっていなかった勢だと、今日中に死んでしまう人が出て来かねない。
もうこれ以上、今出来る事は何もない。狂乱するクラスの連中を尻目に、僕は自室に戻る。
💭 🔁 ❤×? 207
真夜中、ふと目覚めてメールを確認すると、頼々子さんから『今日の午後合流する』との返事が来ていた。流石、頼々子さんは頼りになる。
手癖でTwittooを確認すると、僕の残いいねが120個ほど減っていた。
は、ははは……2時間ほど眠っていたもの、ね。改めて、本当に『いいね❤ × 1分 = 余命』になってしまったんだと思い知らされる。
そして、さらに手癖でクラスの連中のアカウントを巡回していくと、
「長々くん――」
【クラス委員長】長々くんのアカウントに――――……1分間動画がUPされていた。
そ、そうか……長々くんが、し、し、死んだのか……。
彼はTwittoo未経験のクセに真面目なところがあって、決して死体晒しでいいねを稼ぐような事はしなかった。
星狩さんへの無視に加担――もとい見て見ぬ振りさえしていなければ、友達になりたかった。
動画を見ても、大して意味は無いかもしれない……けど、僕は1分間動画を再生せずにはいられない。
【クラス委員長】長々『あぁ、あぁああああ!! 頼む、いいねを押してくれ!!』騒然としたエントランスの中で、必死になっていいねをせがむ長々くんの姿が映る。『頼む、頼むよ!!』
【撮り鉄】寄道『押してる! もう押したって!!』
【クラス委員長】長々『もう1個、頼むから、お願いだから!!』寄道くんにすがり付く。
【撮り鉄】寄道『いい加減にしろよ! こっちだって余裕無いんだよ!!』
長々くんは払いのけられる。誰からも相手をしてもらえず、長々くんはふらふらと通路の方へ歩いて行く。スマホを覗き込み、
【クラス委員長】長々『あと――――……1つ』
――その時、画面奥の方、通路の奥から赤黒い靄が姿を現した。
やがてソレは、人型になる。
【クラス委員長】長々『……あぁ、そうか。やっぱり君だったか』
ソレが、通路の奥から長々くんの方へと、ゆっくりと歩み寄って来る。
赤黒く不吉なオーラを纏った人影が。
一歩、一歩と歩く度に、ソレの頭が不自然なほど、
カクン、
カクン、
カクン、
カクン、
と左右に揺れる。
【クラス委員長】長々『クラス委員長として、私はもっとしっかり、君を説得すべきだったんだ』
人影が、赤黒い手を、長々くんの首に伸ばす。
そして、
『すまない、ほし――』
動画が、終わった。
「――――……」
あの赤黒い靄、何だか見覚えがある……。
「――――あっ!?」
思い出した!
昨日の夕方、友樹くんの交差点で見掛けた悪霊! あの悪霊が『呪い』の原因――犯人なのか?
でも、分からない。あれは、あの交差点で亡くなった人の霊なんじゃないのか? 交通事故の被害者が何故、Twittooに呪いを掛けるんだ?
分からない……分からない……。
『いいね❤ × 1分 = 余命』という、絶望的な文字が、目の前にある。
【セミプロダンサー】舞姫「え、そ、そんな……ウソでしょ!?」
【映えの権化】蝿塚「い、嫌ぁぁあああああッ!! 何か映える物、映える物は無いの!?」
【犬可愛がり】犬飼「ポチ、ポチが居ないんだ!! ポチが居ないんだよ!!」
【猫可愛がり】猫目「タマ、あぁぁああ……タマ、何処に居るの!?」
自宅のペットでいいねを稼いでいる2人が、半狂乱になっている。
【クラス委員長】長々「み、みんな落ち着くんだ!! とにかく相互でいいねをして――」
【映えの権化】蝿塚「1日に付き1,440いいねが必要なのよ!? ――あぁあぁあああ……減ってる! 私のいいねが減ってる!!」
【クラス委員長】長々「落ち着きたまえ! 1,440 ÷ 28は――」スマホを操作する。「51! ほ、ほら、クラス全員が51いいねをすれば生き延びられるだろう!?」
【映えの権化】蝿塚「51回!? クラス全員が? 毎日全員分を51回!? そんなのするわけ無いじゃない!! それにもう、28人も居ない! 28人も居ないのよ!? 何か、何か映える物は――」旅館の外に出ようとする。
【陽キャリーダー】蹴鞠「落ち着けって! もう深夜だぞ!?」そんな蝿塚さんを押し戻す。「今から何かツイートしたところで、いいねなんてもらえないだろうし、今日はひとまず休んで――」
【映えの権化】蝿塚「アンタと違って私にはもう余裕が無いの!! 離してよ――」
旅館の外から、千鳥足の【下種野郎】種田が入って来た。顔が真っ赤だ。種田はエントランスを見回して、ふらふらと【エロ垢】江口さんのところへ行く。
【エロ垢】江口「ちょっと下太郎、アンタもしかして飲んでる?」
【下種野郎】種田「艶子、ホテル行くぞ」強引に江口さんの手を引く。
【エロ垢】江口「ちょっと痛いってば」
【下種野郎】種田「さっさ歩けやゴラァ」
【エロ垢】江口「痛いッ! もぅマジぴえんなんだけど」
あちこちで悲鳴や怒号が上がる中、僕は頼々子さんへSOSのメールを送信する。
僕はまだ数日は大丈夫だろうと思う……残いいねの千の位が液晶の傷で読み取れないのがちょっと怖いけど、過去1年の活動から、まだ数千いいねはあるはずだから。
けど、Twittooをやっていなかった勢だと、今日中に死んでしまう人が出て来かねない。
もうこれ以上、今出来る事は何もない。狂乱するクラスの連中を尻目に、僕は自室に戻る。
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真夜中、ふと目覚めてメールを確認すると、頼々子さんから『今日の午後合流する』との返事が来ていた。流石、頼々子さんは頼りになる。
手癖でTwittooを確認すると、僕の残いいねが120個ほど減っていた。
は、ははは……2時間ほど眠っていたもの、ね。改めて、本当に『いいね❤ × 1分 = 余命』になってしまったんだと思い知らされる。
そして、さらに手癖でクラスの連中のアカウントを巡回していくと、
「長々くん――」
【クラス委員長】長々くんのアカウントに――――……1分間動画がUPされていた。
そ、そうか……長々くんが、し、し、死んだのか……。
彼はTwittoo未経験のクセに真面目なところがあって、決して死体晒しでいいねを稼ぐような事はしなかった。
星狩さんへの無視に加担――もとい見て見ぬ振りさえしていなければ、友達になりたかった。
動画を見ても、大して意味は無いかもしれない……けど、僕は1分間動画を再生せずにはいられない。
【クラス委員長】長々『あぁ、あぁああああ!! 頼む、いいねを押してくれ!!』騒然としたエントランスの中で、必死になっていいねをせがむ長々くんの姿が映る。『頼む、頼むよ!!』
【撮り鉄】寄道『押してる! もう押したって!!』
【クラス委員長】長々『もう1個、頼むから、お願いだから!!』寄道くんにすがり付く。
【撮り鉄】寄道『いい加減にしろよ! こっちだって余裕無いんだよ!!』
長々くんは払いのけられる。誰からも相手をしてもらえず、長々くんはふらふらと通路の方へ歩いて行く。スマホを覗き込み、
【クラス委員長】長々『あと――――……1つ』
――その時、画面奥の方、通路の奥から赤黒い靄が姿を現した。
やがてソレは、人型になる。
【クラス委員長】長々『……あぁ、そうか。やっぱり君だったか』
ソレが、通路の奥から長々くんの方へと、ゆっくりと歩み寄って来る。
赤黒く不吉なオーラを纏った人影が。
一歩、一歩と歩く度に、ソレの頭が不自然なほど、
カクン、
カクン、
カクン、
カクン、
と左右に揺れる。
【クラス委員長】長々『クラス委員長として、私はもっとしっかり、君を説得すべきだったんだ』
人影が、赤黒い手を、長々くんの首に伸ばす。
そして、
『すまない、ほし――』
動画が、終わった。
「――――……」
あの赤黒い靄、何だか見覚えがある……。
「――――あっ!?」
思い出した!
昨日の夕方、友樹くんの交差点で見掛けた悪霊! あの悪霊が『呪い』の原因――犯人なのか?
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