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11.だって信じたくなかった。〜仁side〜
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父が去ると、周りの大人達がわっと俺の周りに集まってきて口々に言った。
大丈夫だよ、明日はできるよ…
励ましてくれているのはわかる。
でも、そんなこと、できるようになんてなりたくなかった。
自分が周りと違う、小学校の皆と違うバケモノだって信じたくなかった。
明日も、明日もここにいたら、また誰かが…
布団に潜ると涙が溢れた。
どうしようもないくらい、信じられないくらいこぼれた。
次の日学校に行ってから、その家に俺は二度と帰らなかった。
そして、前日家から盗んだありったけの金を持って、この土地まで俺は逃げてきたんだ。
俺は学校に行きもせず、見つけた使われていない古びた建物を拠点に生活を始めた。
その過程で気がついた。
俺は、腹が減っても生きていけるらしい。
ただ、飢えだけはしのぐことができなかった。
血が飲みたい、血が飲みたい。
でも、飲めなかった。飲みたくなかった。
外を歩いていて人間を見ると襲いかかってしまうから、閉じこもるようになった。
でも、それでも何度も何度も声が聞こえる。
ごめんな、ごめんなって。
その度に、俺は恐怖に泣いた。
苦しい中、ずっと涙だけを流し続けていると、ある日、俺は気を失っていた。
…目がさめると飢えは消えていた。
普通に戻ったのか、とその時は死ぬほど喜んだが、どうも違ったらしい。
飢えがきて、また拠点に引きこもってを繰り返すうちに気がついた。
涙を舐めれば、飢えが消えるって。
それから俺は、自分の涙を食うようになった。
でも、最近は何故か泣くことができなかった。
お陰ですぐに、飢えているような感覚に襲われる。
最近の体調不良はそのせいだ。
吸涙鬼。
俺は自分のことをそう名付けた。ー
大丈夫だよ、明日はできるよ…
励ましてくれているのはわかる。
でも、そんなこと、できるようになんてなりたくなかった。
自分が周りと違う、小学校の皆と違うバケモノだって信じたくなかった。
明日も、明日もここにいたら、また誰かが…
布団に潜ると涙が溢れた。
どうしようもないくらい、信じられないくらいこぼれた。
次の日学校に行ってから、その家に俺は二度と帰らなかった。
そして、前日家から盗んだありったけの金を持って、この土地まで俺は逃げてきたんだ。
俺は学校に行きもせず、見つけた使われていない古びた建物を拠点に生活を始めた。
その過程で気がついた。
俺は、腹が減っても生きていけるらしい。
ただ、飢えだけはしのぐことができなかった。
血が飲みたい、血が飲みたい。
でも、飲めなかった。飲みたくなかった。
外を歩いていて人間を見ると襲いかかってしまうから、閉じこもるようになった。
でも、それでも何度も何度も声が聞こえる。
ごめんな、ごめんなって。
その度に、俺は恐怖に泣いた。
苦しい中、ずっと涙だけを流し続けていると、ある日、俺は気を失っていた。
…目がさめると飢えは消えていた。
普通に戻ったのか、とその時は死ぬほど喜んだが、どうも違ったらしい。
飢えがきて、また拠点に引きこもってを繰り返すうちに気がついた。
涙を舐めれば、飢えが消えるって。
それから俺は、自分の涙を食うようになった。
でも、最近は何故か泣くことができなかった。
お陰ですぐに、飢えているような感覚に襲われる。
最近の体調不良はそのせいだ。
吸涙鬼。
俺は自分のことをそう名付けた。ー
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