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第34話
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なんだか色々あってすっかり流れてしまっていたが、未菜と零斗はバースデーパーティを行なっていた。
「遅れてしまって申し訳ありません、未菜様。」
私のリクエストで、いつものきちっとした執事服に、パーティスタイルの三角帽を被らされている零斗がもうしわけなさそうにいう。
「いいよー、お陰でそんなパーリーピーポーな零斗見れたもん。」
クスクス笑いながらいうと、零斗は決まり悪そうに
「しかし、ちゃんとしたプレゼントを用意出来なかったので。
ご両親とのお電話をプレゼントにしようと思っていたのですが……」
「いやいや、それ達成したから充分だよ。っあ、だった、イギリスに行く予定聞かなきゃ!お母さん達に電話電話っ!!」
零斗を引きずるようにしながら彼の部屋へと向かう。
ところが電話は繋がらず、届いていたのは一件のメールのみ。
そこには
『明日そっちから朝イチの便で来て。手続きはもう済ませてる。
明日じゃないと、受け付けないからね!
あ、ちなみに零斗は大学受験してもらうから、受験勉強するんだよ!
じゃあ、急いで準備してね!』
思わず2人で顔を見合わせる。
「明日って…急過ぎない?」
「……いや、そういう人達でした、そういえば。」
珍しく零斗が頭を抱えた。
そこからは2人共大忙しだった。
未菜は必要な身の回りの最低限の準備。零斗は未菜の全般的な引っ越し準備に加え、様々な手続き。
ある程度目処がたってくると、
「残りは私がしておきますので、未菜様はご学友に連絡なさってください。」
そう言われたので、ご厚意に甘えてまずは親友の聖羅に電話することにした。
「えっ!?待って、全然展開がついて行けないっ!!」
もちろん零斗がアンドロイドであったことなどは伏せたが、零斗が大学に行くことになったので、私は両親がいるイギリスに行くことになった、と事情説明をしていると、知らぬ間に涙が溢れ始めた。
本当に日常から離れて、会えなくなるんだってことを実感した。
それは聖羅も同じみたいでなかなかお互い電話を切ることが出来ず、結局かれこれ1時間程度話し込んでしまった。
「離れていても、ずっと、友達なんだからねっ…!」
最後はもう涙でぐちゃぐちゃになりながら電話を切った。
本当はこのまま悲しみに浸ってしまいたいが、まだひと仕事私にはすべきことが残っている。
時計はもうすでに12時を回っている。
ー続いて私はある番号に電話をかけた。
「遅れてしまって申し訳ありません、未菜様。」
私のリクエストで、いつものきちっとした執事服に、パーティスタイルの三角帽を被らされている零斗がもうしわけなさそうにいう。
「いいよー、お陰でそんなパーリーピーポーな零斗見れたもん。」
クスクス笑いながらいうと、零斗は決まり悪そうに
「しかし、ちゃんとしたプレゼントを用意出来なかったので。
ご両親とのお電話をプレゼントにしようと思っていたのですが……」
「いやいや、それ達成したから充分だよ。っあ、だった、イギリスに行く予定聞かなきゃ!お母さん達に電話電話っ!!」
零斗を引きずるようにしながら彼の部屋へと向かう。
ところが電話は繋がらず、届いていたのは一件のメールのみ。
そこには
『明日そっちから朝イチの便で来て。手続きはもう済ませてる。
明日じゃないと、受け付けないからね!
あ、ちなみに零斗は大学受験してもらうから、受験勉強するんだよ!
じゃあ、急いで準備してね!』
思わず2人で顔を見合わせる。
「明日って…急過ぎない?」
「……いや、そういう人達でした、そういえば。」
珍しく零斗が頭を抱えた。
そこからは2人共大忙しだった。
未菜は必要な身の回りの最低限の準備。零斗は未菜の全般的な引っ越し準備に加え、様々な手続き。
ある程度目処がたってくると、
「残りは私がしておきますので、未菜様はご学友に連絡なさってください。」
そう言われたので、ご厚意に甘えてまずは親友の聖羅に電話することにした。
「えっ!?待って、全然展開がついて行けないっ!!」
もちろん零斗がアンドロイドであったことなどは伏せたが、零斗が大学に行くことになったので、私は両親がいるイギリスに行くことになった、と事情説明をしていると、知らぬ間に涙が溢れ始めた。
本当に日常から離れて、会えなくなるんだってことを実感した。
それは聖羅も同じみたいでなかなかお互い電話を切ることが出来ず、結局かれこれ1時間程度話し込んでしまった。
「離れていても、ずっと、友達なんだからねっ…!」
最後はもう涙でぐちゃぐちゃになりながら電話を切った。
本当はこのまま悲しみに浸ってしまいたいが、まだひと仕事私にはすべきことが残っている。
時計はもうすでに12時を回っている。
ー続いて私はある番号に電話をかけた。
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