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第27話
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2人は頷き合うと、楓の方が口を開いた。
「…えっとね。正直、私達も戸惑っているの。零斗に機械の使い方なんてプログラムしてないもの。だって、自分で勝手にプログラムいじられたら困るじゃない?
しかも、未菜の話を聞いてると、零斗ったら沢山命令違反してるわ。
翔平って子の話、一切報告受けてないもの。」
「あれだけは成功作だと思ってたんだけど…」と言い合いながらまた2人はあっちで喋り出している。
…成功作?今の言い方だと、今回の件で 零斗は失敗作認定されたということだろうか。
確かに2人が言うように、零斗は自身に入れられた命令に背くという通常では絶対にありえない行動を取っている。
しかし。零斗の目的が1人になった私を育てることであるのならば、結果的に良かったのではないか。
さらに、私に命の危険が及んだ時の緊急システムは悲しくなるほど完璧に作動している。
私には、零斗が失敗作というレッテルを貼られる意味がわからなかった。
私のために今まできっと必要最低限以上のことをしてくれた零斗を悪く言われるのは悔しかった。
「…ねぇ、今までの執事と零斗は一体どこが違ったの?」
まだまだ話し合っている2人に問いかける。
「えぇ…とそれは…逆に何だか言いにくいんだけど…もう、どうしていいのかわからなくなっちゃってね。」
『王子様モード』を取り付けたの。彼女は至って真面目な顔でそう言った。
「女の子って、王子様に憧れるじゃない?だから、王子様が迎えに来たらきっと未菜も喜ぶかなって思って。」
「それまでは足りない機能の補充や優しさなんかを重視していたんだけどな。」
さっきから黙っていた哲也も口を開く。
王子様?いや、なんか違う気が……
まぁ、確かに最初の頃は王子様らしかったのかもしれない、うん。
私も一発で落ちたし。
私のために作られた零斗ー。
本物の王子様になることを、命令より優先したんだね。
ブーッ
突然未菜の携帯が鳴る。
メールだ。翔平からの。
『ボタンは見つけた。未菜ちゃん、本当に役に立ってくれたよ。ありがとう。
お幸せにね。』
メールを一緒に見ていた2人は大きくため息をつく。
「もう、なに、ボタンってなに!?」
もう何度目かわからない重いから口が開かれた。
ーロボットには絶対、メンテナンス用のシャットダウンスイッチがつけられているの。
アンドロイドの心臓とも言える部分。そのボタンが見つかったのかもしれない。
一度押されると、もう一度そこを押されないと動かない上に、脳内プログラム改造も行える。零斗はそのまま奴らに利用されるかもしれない…ー
それはー零斗が零斗で無くなるのと同じ。
確かに、零斗はプログラムなのかもしれない。
でもー
私と零斗の約束だけは、嘘じゃないって信じたい。
「…2人とも。零斗の居場所は調べられる?」
覚悟は決まった。
「本気…なんだな?」
頷くと、2人は近くのコンピュータを凄い勢いで叩き始めた。
私は零斗の部屋をでて、自分の準備を始めた。
「…えっとね。正直、私達も戸惑っているの。零斗に機械の使い方なんてプログラムしてないもの。だって、自分で勝手にプログラムいじられたら困るじゃない?
しかも、未菜の話を聞いてると、零斗ったら沢山命令違反してるわ。
翔平って子の話、一切報告受けてないもの。」
「あれだけは成功作だと思ってたんだけど…」と言い合いながらまた2人はあっちで喋り出している。
…成功作?今の言い方だと、今回の件で 零斗は失敗作認定されたということだろうか。
確かに2人が言うように、零斗は自身に入れられた命令に背くという通常では絶対にありえない行動を取っている。
しかし。零斗の目的が1人になった私を育てることであるのならば、結果的に良かったのではないか。
さらに、私に命の危険が及んだ時の緊急システムは悲しくなるほど完璧に作動している。
私には、零斗が失敗作というレッテルを貼られる意味がわからなかった。
私のために今まできっと必要最低限以上のことをしてくれた零斗を悪く言われるのは悔しかった。
「…ねぇ、今までの執事と零斗は一体どこが違ったの?」
まだまだ話し合っている2人に問いかける。
「えぇ…とそれは…逆に何だか言いにくいんだけど…もう、どうしていいのかわからなくなっちゃってね。」
『王子様モード』を取り付けたの。彼女は至って真面目な顔でそう言った。
「女の子って、王子様に憧れるじゃない?だから、王子様が迎えに来たらきっと未菜も喜ぶかなって思って。」
「それまでは足りない機能の補充や優しさなんかを重視していたんだけどな。」
さっきから黙っていた哲也も口を開く。
王子様?いや、なんか違う気が……
まぁ、確かに最初の頃は王子様らしかったのかもしれない、うん。
私も一発で落ちたし。
私のために作られた零斗ー。
本物の王子様になることを、命令より優先したんだね。
ブーッ
突然未菜の携帯が鳴る。
メールだ。翔平からの。
『ボタンは見つけた。未菜ちゃん、本当に役に立ってくれたよ。ありがとう。
お幸せにね。』
メールを一緒に見ていた2人は大きくため息をつく。
「もう、なに、ボタンってなに!?」
もう何度目かわからない重いから口が開かれた。
ーロボットには絶対、メンテナンス用のシャットダウンスイッチがつけられているの。
アンドロイドの心臓とも言える部分。そのボタンが見つかったのかもしれない。
一度押されると、もう一度そこを押されないと動かない上に、脳内プログラム改造も行える。零斗はそのまま奴らに利用されるかもしれない…ー
それはー零斗が零斗で無くなるのと同じ。
確かに、零斗はプログラムなのかもしれない。
でもー
私と零斗の約束だけは、嘘じゃないって信じたい。
「…2人とも。零斗の居場所は調べられる?」
覚悟は決まった。
「本気…なんだな?」
頷くと、2人は近くのコンピュータを凄い勢いで叩き始めた。
私は零斗の部屋をでて、自分の準備を始めた。
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