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第24話
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「まず、うちのセルバを見てほしい。」
彼の指差す方を言われた通りに見ると、屋上で何やら先ほど画面にうつっていた執事服の男性ーきっと彼の名前がセルバというのだろうーが私達に手を振っている。
だが、翔平が手を振り返すと、突然手を下げてしゃがんだ。
そして。そのまま彼は屋上から飛び降りた。
未菜の口から声にならない悲鳴が出る。
がしかし、セルバは平然と着地した。
「へへへっ、凄いでしょ。ちなみに、さっきの光もセルバが出したよー。
つまりこれ、俺が作ったアンドロイドってわけ。
…どう?……賢い未菜ちゃんなら、本当はどっかでわかってたんじゃないのぉ~??」
私の前で、現れたセルバを警戒するように立っている零斗を眺める。
ー今まで一緒だった彼が、人ではないって言いたいのか?
ずっと一緒に生活してきたのに?
残念ながらどんなにそれを信じたくなくても、さっきまでが嘘のようにピッタリと止まってしまった血や、おかしな方向に曲がっていても何事もない様に平然と動く腕を見れば、疑いようがなかった。
ーいや、本当は。
もっと前からおかしな所に気づいていた。
出会った時から全くと言ってもいいほど見た目が変わらない所。
何をやらせても人間離れしてできる所。
そして、零斗が来る前に度々やって来ていた他の執事たちへの違和感。
何も知らない零斗の過去。
でも、それに気づいてしまったら、聞いちゃったら、何かが終わっちゃう気がして。
2人で誤魔化しあっていたんだ。…いや?2人?
私が一緒にいたのは零斗って人?
それとも、両親の作ったプログラム?
だんだんと頭が真っ白になっていく。
そんな私に向かって、少しずつ翔平が近づいて来ているのを感じた。
だが、私はそこから何かに絡みつかれているかの様に一歩も動くことが出来ない。
「あぁ、なんてかわいそうな未菜ちゃん。…安心して?
君の執事はちゃんと、世界を救う素晴らしい研究に役立てるよ。
それに、被害者の未菜ちゃんにはきちんとした人間の執事をあげよう。」
まだ、私の前に立っている零斗はこっちへ近づいて来る翔平に警戒を続けている。
ー私のことなんて、見向きもしないで。
れいとー…ねぇ、れい…と、おねがいっ……たす…っ、け…てっ……
私の意識はそこで途切れた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎翔平side♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
トサリと音を立てて未菜が倒れたのに気づいた標的は、ずっと俺を見張っていたのからようやく目を離した。
「安心して。未菜には何もしてないから。キャパオーバーで倒れたんだよ、色々ありすぎてさ。
…さあ、次は君の番だ。
…いやぁ、でもしかし、非常事態になると限られた機能をフル活用して守りに特化するんだな。未菜を未菜として認識してなかったよね。君らしくもなくさ。
やっと君がアンドロイドだって心から認識出来たよ。
…何?話が長いって?…うん、でしょうよ。
でも、もういいよ。俺も大変だったよ、わかる?
君を自然に、確実に。俺の前に留めておくこと。
あ、気づいた?逃げようとしてる?…もう無理でしょ。時間かかったよやっぱ。
君が犯した1つのミス。
さっき開けた脳内フォルダ。あれさぁ……」
ドサッ
MO-18は音を立てて地面に崩れ落ちた。
地面に落ちたままの未菜の携帯の画面では、セルバがにっこりと微笑んでいた。
彼の指差す方を言われた通りに見ると、屋上で何やら先ほど画面にうつっていた執事服の男性ーきっと彼の名前がセルバというのだろうーが私達に手を振っている。
だが、翔平が手を振り返すと、突然手を下げてしゃがんだ。
そして。そのまま彼は屋上から飛び降りた。
未菜の口から声にならない悲鳴が出る。
がしかし、セルバは平然と着地した。
「へへへっ、凄いでしょ。ちなみに、さっきの光もセルバが出したよー。
つまりこれ、俺が作ったアンドロイドってわけ。
…どう?……賢い未菜ちゃんなら、本当はどっかでわかってたんじゃないのぉ~??」
私の前で、現れたセルバを警戒するように立っている零斗を眺める。
ー今まで一緒だった彼が、人ではないって言いたいのか?
ずっと一緒に生活してきたのに?
残念ながらどんなにそれを信じたくなくても、さっきまでが嘘のようにピッタリと止まってしまった血や、おかしな方向に曲がっていても何事もない様に平然と動く腕を見れば、疑いようがなかった。
ーいや、本当は。
もっと前からおかしな所に気づいていた。
出会った時から全くと言ってもいいほど見た目が変わらない所。
何をやらせても人間離れしてできる所。
そして、零斗が来る前に度々やって来ていた他の執事たちへの違和感。
何も知らない零斗の過去。
でも、それに気づいてしまったら、聞いちゃったら、何かが終わっちゃう気がして。
2人で誤魔化しあっていたんだ。…いや?2人?
私が一緒にいたのは零斗って人?
それとも、両親の作ったプログラム?
だんだんと頭が真っ白になっていく。
そんな私に向かって、少しずつ翔平が近づいて来ているのを感じた。
だが、私はそこから何かに絡みつかれているかの様に一歩も動くことが出来ない。
「あぁ、なんてかわいそうな未菜ちゃん。…安心して?
君の執事はちゃんと、世界を救う素晴らしい研究に役立てるよ。
それに、被害者の未菜ちゃんにはきちんとした人間の執事をあげよう。」
まだ、私の前に立っている零斗はこっちへ近づいて来る翔平に警戒を続けている。
ー私のことなんて、見向きもしないで。
れいとー…ねぇ、れい…と、おねがいっ……たす…っ、け…てっ……
私の意識はそこで途切れた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎翔平side♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
トサリと音を立てて未菜が倒れたのに気づいた標的は、ずっと俺を見張っていたのからようやく目を離した。
「安心して。未菜には何もしてないから。キャパオーバーで倒れたんだよ、色々ありすぎてさ。
…さあ、次は君の番だ。
…いやぁ、でもしかし、非常事態になると限られた機能をフル活用して守りに特化するんだな。未菜を未菜として認識してなかったよね。君らしくもなくさ。
やっと君がアンドロイドだって心から認識出来たよ。
…何?話が長いって?…うん、でしょうよ。
でも、もういいよ。俺も大変だったよ、わかる?
君を自然に、確実に。俺の前に留めておくこと。
あ、気づいた?逃げようとしてる?…もう無理でしょ。時間かかったよやっぱ。
君が犯した1つのミス。
さっき開けた脳内フォルダ。あれさぁ……」
ドサッ
MO-18は音を立てて地面に崩れ落ちた。
地面に落ちたままの未菜の携帯の画面では、セルバがにっこりと微笑んでいた。
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