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本編
無人島生活
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無人島といえば重要な事の一つが火起こしです。
火が無ければ魚を焼く事も出来ません。
という訳で山育ちが長い三巳が先陣切って火起こしをしています。
(((魔法で火を起こせるけど)))
見守る人達は心の中だけで思いましたがお口にチャックです。
(((モフモフが火起こし頑張る姿可愛い)))
和んでいるので教える気が起きません。
という訳で三巳は木の板に小さな孔を開け、そこに乾いた燃えやすい屑を置き、そして長い木の棒を両手で挟んで一心不乱に回していました。
「にゅおぉぉぉ!」
超高速回転で行われた火起こしは直ぐに火が点きます。
すかさず枯枝や屑を積み重ねた場所に移動して息を吹き掛けます。
「ふーっ!ふーっ!」
息を吹く度に尻尾が膨らみ真後ろに伸びるのが可愛くて、一部このまま点かなくても良いと思う人が出ています。
しかし神気を抑えていても神の息吹です。火は直ぐに燃え広がりました。
「点いたー!」
やり切った感満載の三巳は万歳して大喜びです。
そしてドヤ顔で褒めて褒めてとクロに飛び掛かりました。
「良く出来たねぇ。凄いよ三巳」
勿論すかさず褒めちぎるのがクロです。
モフモフがモフモフをヨシヨシしている姿に見守っていた人達もニッコリです。
(ありがとう台風)
(ありがとう無人島)
初めは台風に流されて気分が悪かった事なんて最早きれいさっぱり忘れ去っています。何故か拝んでいる人までいます。
「それで、船の修繕は終わりそうなのか?」
皆が揃った所で三巳の配ったレキュ水を飲みつつ商人の男性が船員に聞きました。トワイニーが三巳に自分の所属する商会の会長でパドウィックという名だと紹介してくれます。
「ああ、腕の良い裁縫師が乗り合わせてくれていてな。明日、明後日には終わりそうだ」
そう言って紹介されたのはクロと、パドウィック商会の女性職員です。
三巳は父親が褒められて嬉しそうにニマーッと口に弧を描きます。尻尾も振っちゃいます。耳もピコピコ動いちゃいます。
「ならそれまでは島の探索を兼ねた食料探しは必要だな」
パドウィックとは別の冒険者の男性が明日からの班分けを相談し始めます。
三巳もすかさずその輪に入りに行きました。
「三巳もっと木の実探すんだよ」
「勿論頼りにしてるぜ」
「にゅふふふふ~♪任せるんだよっ」
頭をポンポンされてご満悦で座ります。三巳のポジションが決まった所で女性陣も決まった事になるので、仲良く採れた木の実の活用法を話し合います。
男性陣は奥へ進みながら水と動物やモンスターを探す班と、近くの安全を確保しながら食べられる物を探す班の采配を話し合います。
(母ちゃんいる限り近場は安全だけどなー)
耳の良い三巳は男性陣の会話を聞きながら思いましたが神バレしない為にお口にチャックしました。
実際に怖い生き物達も獣神2柱分の気配を敏感に察知して震えて出てくる様子はありません。じっと嵐が過ぎるのを待っています。
(怖がらせちゃった子達には後でゴメンねしてこよー。手土産は木の実で良いかなぁ。でも肉食の子にはジャーキーあげとこうか。塩分無いのも確か持ってた筈……)
レキュの使い道を話しながらツラツラ考えていた三巳は、山の民の味付けに魅入られたモンスター達がその後、人間からジャーキーを貰う為に島を開拓していくことになるとは梅雨とも思わないのでした。
そしてこの無人島はコミュ力高い系モンスター島として地図に載ることになるのは、それよりさらに未来のお話です。
火が無ければ魚を焼く事も出来ません。
という訳で山育ちが長い三巳が先陣切って火起こしをしています。
(((魔法で火を起こせるけど)))
見守る人達は心の中だけで思いましたがお口にチャックです。
(((モフモフが火起こし頑張る姿可愛い)))
和んでいるので教える気が起きません。
という訳で三巳は木の板に小さな孔を開け、そこに乾いた燃えやすい屑を置き、そして長い木の棒を両手で挟んで一心不乱に回していました。
「にゅおぉぉぉ!」
超高速回転で行われた火起こしは直ぐに火が点きます。
すかさず枯枝や屑を積み重ねた場所に移動して息を吹き掛けます。
「ふーっ!ふーっ!」
息を吹く度に尻尾が膨らみ真後ろに伸びるのが可愛くて、一部このまま点かなくても良いと思う人が出ています。
しかし神気を抑えていても神の息吹です。火は直ぐに燃え広がりました。
「点いたー!」
やり切った感満載の三巳は万歳して大喜びです。
そしてドヤ顔で褒めて褒めてとクロに飛び掛かりました。
「良く出来たねぇ。凄いよ三巳」
勿論すかさず褒めちぎるのがクロです。
モフモフがモフモフをヨシヨシしている姿に見守っていた人達もニッコリです。
(ありがとう台風)
(ありがとう無人島)
初めは台風に流されて気分が悪かった事なんて最早きれいさっぱり忘れ去っています。何故か拝んでいる人までいます。
「それで、船の修繕は終わりそうなのか?」
皆が揃った所で三巳の配ったレキュ水を飲みつつ商人の男性が船員に聞きました。トワイニーが三巳に自分の所属する商会の会長でパドウィックという名だと紹介してくれます。
「ああ、腕の良い裁縫師が乗り合わせてくれていてな。明日、明後日には終わりそうだ」
そう言って紹介されたのはクロと、パドウィック商会の女性職員です。
三巳は父親が褒められて嬉しそうにニマーッと口に弧を描きます。尻尾も振っちゃいます。耳もピコピコ動いちゃいます。
「ならそれまでは島の探索を兼ねた食料探しは必要だな」
パドウィックとは別の冒険者の男性が明日からの班分けを相談し始めます。
三巳もすかさずその輪に入りに行きました。
「三巳もっと木の実探すんだよ」
「勿論頼りにしてるぜ」
「にゅふふふふ~♪任せるんだよっ」
頭をポンポンされてご満悦で座ります。三巳のポジションが決まった所で女性陣も決まった事になるので、仲良く採れた木の実の活用法を話し合います。
男性陣は奥へ進みながら水と動物やモンスターを探す班と、近くの安全を確保しながら食べられる物を探す班の采配を話し合います。
(母ちゃんいる限り近場は安全だけどなー)
耳の良い三巳は男性陣の会話を聞きながら思いましたが神バレしない為にお口にチャックしました。
実際に怖い生き物達も獣神2柱分の気配を敏感に察知して震えて出てくる様子はありません。じっと嵐が過ぎるのを待っています。
(怖がらせちゃった子達には後でゴメンねしてこよー。手土産は木の実で良いかなぁ。でも肉食の子にはジャーキーあげとこうか。塩分無いのも確か持ってた筈……)
レキュの使い道を話しながらツラツラ考えていた三巳は、山の民の味付けに魅入られたモンスター達がその後、人間からジャーキーを貰う為に島を開拓していくことになるとは梅雨とも思わないのでした。
そしてこの無人島はコミュ力高い系モンスター島として地図に載ることになるのは、それよりさらに未来のお話です。
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