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本編
学校を作ろう♪
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山の民の村では冬だというのに皆元気に動いています。
雪が降り積もると出来なくなる事が多いので、今の内にやれる事はやるのです。
そんな中、ハンナは村を散策していました。
「ここは広くて良いのですが、皆様が集まる憩いの場ですね」
大きな広場を見つけては考察していきます。
「うにゅ。ここは特にじっちゃやばっちゃが集まってるんだよ」
ハンナの考察に補足をするのは一緒について歩く三巳です。
三巳は
(じっちゃとばっちゃと言えばゲートボールだけど、三巳はお婆ちゃんになってもたまに誘われてやる位だったからなー。道具とかルールとかうろ覚えですら擦れてるや。たしか長い柄のトンカチみたいな……)
と思いながら、集まって日向ぼっこを楽しむ年配の山の民達を見ました。
ハンナも杖を片手にホケホケ会話を楽しむ年配の方々にニコリと微笑みを向けます。
「ここは必要な場所ですね。他を見てみましょう」
そうしてハンナは歩き出します。
三巳もピョコピョコ尻尾を揺らしながら横を歩きます。
移住してもう大分経つハンナは村の地理を大体把握していました。迷いない足取りで空き地になっている場所を目指します。
「しかし山の民は本当に無駄をしないですね」
歩きながらハンナは感心しています。
知り得る空き地は空き地であって空き地でない場所ばかりです。
「にゅ。山は資源は豊富だけど開けた場所は限られてるからなー」
村の外は動物やモンスターの住処です。獣である三巳はそれを犯す事を良しとしません。三巳だって大自然を駆け回りたいですしね。
ハンナも共存の大切さを学んでいます。そこに否やは有りません。
「小さな空き地ならと思っても資材が置いてあったりしますし」
「特に冬前は多いなー。備蓄庫とか薪とか」
とはいえ全てを余す事なく使っていたなら空き地は無いでしょう。空き地の概念があるなら何処かにある筈と諦めずに探し続けます。
「村の外れだと子供達が心配ですし、出来れば中程に良い場所が有れば良いのですが」
「うーにゅぅ……。突発的に温泉施設作る位だし、探せばある筈なんだよ」
「あら。そういえばとても立派な施設が有りましたね」
空を仰いで記憶を探る三巳の言葉にハンナが反応を示します。もう何度も利用している温泉ですが、余りにも日常的に利用し過ぎていて考えにも及びませんでした。
そこでハンナはふと考えます。
「確かあちらはまだ利用出来そうな広さが残っていましたね」
「にゅ?うにゅ。そーいえば完成記念式典するのに大分広めの広場があったんだよ。今はそんなに使ってないかも」
温泉施設は施設内に休む所が有りますし、汗を洗い流したばかりでまた汗を掻く人は少数派です。
結果的に温泉前にはポカンと空間が出来ていました。
ハンナは三巳と視線を合わせて頷きます。
「行ってみましょう」
「うにゅ!ついでに入って行くんだよ!」
「あらまあそれは素敵です」
という訳で三巳とハンナは浮き足立って温泉に向かいました。
温泉施設前には入って行く人と出て行く人とが挨拶を交わしています。寒くなったこの頃は利用する人も増えていました。
ハンナは温泉前の広場を見渡します。
「住宅地から離れていなく、またそれ程村外れでもない」
「うぬ。じっちゃやばっちゃが通い易い場所を選んだって言ってたんだよ」
「ご年配の方の目も多いという事ですね。良いです。とても良い場所です」
そう言ったハンナの目はとてもキラキラと輝き活き活きとしています。
三巳は嬉しそうなハンナを見て嬉しそうに尻尾を一振りしました。
「村の規模と増えるだろう留学生の数を考えても充分に広さを保てそうです。しかも運動場も確保出来そうですね」
「!運動!大事なんだよ!運動会でパン食い競争するんだよ!」
ハンナは頭の中で計画を練り始め、三巳は運動会=パン食べる日と目をあんパンに変えてよだれが溢れそうになっています。
「運動会……とは何でしょう?」
「子供達が楽しく競うスポーツの祭典でパンが食べれる日なんだよ」
「スポーツで……パン???」
三巳の説明にハンナは訳がわからなくなっています。
三巳も上手く伝わっていない事に気付いて眉根を寄せて腕を組んでしまいます。
「うぬ……ぬぅ……パンはな、吊るされててな、そんで走ってって口だけで咥えて取ってゴールまで走ってってそんでゴールしたら食べて良いんだよ」
「成る程。途中の障害を超え、且つ食料を確保する。まるで軍事演習ですね」
三巳の一生懸命な説明に、ハンナなりに理解を示そうとしてくれています。
「ぬ。うぬ」
三巳も何で運動会でパン食べられるのかは知らないので取り敢えずしたり顔で頷いておきました。
「他にも三巳の知る学校は何があるのでしょうか」
質問された三巳は嬉しそうに耳をピコンと立てて尻尾の先を揺らしています。
「にゅ!あとな文化祭が楽しいんだよ!それとな!音楽祭とかあってなっそれでなっ遠足とか修学旅行とかワクワクしたんだよ!」
三巳が一生懸命に大きく身振り手振りで説明するのを、ハンナはまるで保護者な顔でゆったりと微笑み相槌を打ちながら聞いてくれるのでした。
雪が降り積もると出来なくなる事が多いので、今の内にやれる事はやるのです。
そんな中、ハンナは村を散策していました。
「ここは広くて良いのですが、皆様が集まる憩いの場ですね」
大きな広場を見つけては考察していきます。
「うにゅ。ここは特にじっちゃやばっちゃが集まってるんだよ」
ハンナの考察に補足をするのは一緒について歩く三巳です。
三巳は
(じっちゃとばっちゃと言えばゲートボールだけど、三巳はお婆ちゃんになってもたまに誘われてやる位だったからなー。道具とかルールとかうろ覚えですら擦れてるや。たしか長い柄のトンカチみたいな……)
と思いながら、集まって日向ぼっこを楽しむ年配の山の民達を見ました。
ハンナも杖を片手にホケホケ会話を楽しむ年配の方々にニコリと微笑みを向けます。
「ここは必要な場所ですね。他を見てみましょう」
そうしてハンナは歩き出します。
三巳もピョコピョコ尻尾を揺らしながら横を歩きます。
移住してもう大分経つハンナは村の地理を大体把握していました。迷いない足取りで空き地になっている場所を目指します。
「しかし山の民は本当に無駄をしないですね」
歩きながらハンナは感心しています。
知り得る空き地は空き地であって空き地でない場所ばかりです。
「にゅ。山は資源は豊富だけど開けた場所は限られてるからなー」
村の外は動物やモンスターの住処です。獣である三巳はそれを犯す事を良しとしません。三巳だって大自然を駆け回りたいですしね。
ハンナも共存の大切さを学んでいます。そこに否やは有りません。
「小さな空き地ならと思っても資材が置いてあったりしますし」
「特に冬前は多いなー。備蓄庫とか薪とか」
とはいえ全てを余す事なく使っていたなら空き地は無いでしょう。空き地の概念があるなら何処かにある筈と諦めずに探し続けます。
「村の外れだと子供達が心配ですし、出来れば中程に良い場所が有れば良いのですが」
「うーにゅぅ……。突発的に温泉施設作る位だし、探せばある筈なんだよ」
「あら。そういえばとても立派な施設が有りましたね」
空を仰いで記憶を探る三巳の言葉にハンナが反応を示します。もう何度も利用している温泉ですが、余りにも日常的に利用し過ぎていて考えにも及びませんでした。
そこでハンナはふと考えます。
「確かあちらはまだ利用出来そうな広さが残っていましたね」
「にゅ?うにゅ。そーいえば完成記念式典するのに大分広めの広場があったんだよ。今はそんなに使ってないかも」
温泉施設は施設内に休む所が有りますし、汗を洗い流したばかりでまた汗を掻く人は少数派です。
結果的に温泉前にはポカンと空間が出来ていました。
ハンナは三巳と視線を合わせて頷きます。
「行ってみましょう」
「うにゅ!ついでに入って行くんだよ!」
「あらまあそれは素敵です」
という訳で三巳とハンナは浮き足立って温泉に向かいました。
温泉施設前には入って行く人と出て行く人とが挨拶を交わしています。寒くなったこの頃は利用する人も増えていました。
ハンナは温泉前の広場を見渡します。
「住宅地から離れていなく、またそれ程村外れでもない」
「うぬ。じっちゃやばっちゃが通い易い場所を選んだって言ってたんだよ」
「ご年配の方の目も多いという事ですね。良いです。とても良い場所です」
そう言ったハンナの目はとてもキラキラと輝き活き活きとしています。
三巳は嬉しそうなハンナを見て嬉しそうに尻尾を一振りしました。
「村の規模と増えるだろう留学生の数を考えても充分に広さを保てそうです。しかも運動場も確保出来そうですね」
「!運動!大事なんだよ!運動会でパン食い競争するんだよ!」
ハンナは頭の中で計画を練り始め、三巳は運動会=パン食べる日と目をあんパンに変えてよだれが溢れそうになっています。
「運動会……とは何でしょう?」
「子供達が楽しく競うスポーツの祭典でパンが食べれる日なんだよ」
「スポーツで……パン???」
三巳の説明にハンナは訳がわからなくなっています。
三巳も上手く伝わっていない事に気付いて眉根を寄せて腕を組んでしまいます。
「うぬ……ぬぅ……パンはな、吊るされててな、そんで走ってって口だけで咥えて取ってゴールまで走ってってそんでゴールしたら食べて良いんだよ」
「成る程。途中の障害を超え、且つ食料を確保する。まるで軍事演習ですね」
三巳の一生懸命な説明に、ハンナなりに理解を示そうとしてくれています。
「ぬ。うぬ」
三巳も何で運動会でパン食べられるのかは知らないので取り敢えずしたり顔で頷いておきました。
「他にも三巳の知る学校は何があるのでしょうか」
質問された三巳は嬉しそうに耳をピコンと立てて尻尾の先を揺らしています。
「にゅ!あとな文化祭が楽しいんだよ!それとな!音楽祭とかあってなっそれでなっ遠足とか修学旅行とかワクワクしたんだよ!」
三巳が一生懸命に大きく身振り手振りで説明するのを、ハンナはまるで保護者な顔でゆったりと微笑み相槌を打ちながら聞いてくれるのでした。
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