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本編
お披露目したいんだよ
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「じゃーん!」
オープンカフェの直ぐ横の道で、ピョンと飛んでやって来てチョコンと着地と同時にクルンと回って両手足を大きく広げる三巳がいます。
オープンカフェの道側端っこでお茶を飲んでいたロウ村長一行は、三巳が近づいている事に気付いていました。しかしビックリしています。それ程迄にウキウキした姿だったのです。
「あら~!とっても可愛いわね~。元気な三巳に良く似合っているわ~」
直ぐに反応を返してくれたのはミズキです。
いの一番に誉めてくれたミズキに、三巳はニマ~ッと笑みを深めてその場でポーズを決めました。そしてクフクフ笑いながら踊り出します。パメに教わった南の国のダンスです。
フラダンスの様でサンバっぽさも入った中々に難しいダンスでしたが、三巳は持ち前の運動神経でマスターしていたのです。
両手は横にユラユラ揺らし、足元はタンタタタン!と軽快にステップを刻みます。途中に入れる腰振りも忘れません。腰を振ると尻尾も大きく振られるので豪快さが際立っています。
「おお!元気な踊りだな!」
ロウ村長はガッハッハと豪快に笑います。
ロザイヤもニコリと優しく微笑みコクンコクンと2度頷きます。
ロンは先程の挽回とばかりに拍手で「可愛い」「モフリー」などなど褒めちぎっています。
そんなロンをミズキは横目を細くして見てから自分も三巳を褒めます。
皆に褒められて満足メーターがはち切れた三巳は更にキレを良くして最後まで踊り切りました。
「にゅふー。大満足なんだよ。強いて上げるならウクレレとアコーディオンが欲しい」
大満足の息を鼻から大きくフスーッ!と吐いて尻尾も上下にブンブカ振ります。
対してロウ村長達は目をパチクリさせていました。
「「「うくれれ?あこーでおん?」」」
どうやら初めて聞いた言葉に反応した様です。
三巳が突然何かを言い出すのは今に始まった事ではありません。慣れきっている山の民はそれでもそれは楽しい事に違いないと目を輝かせます。
「え?山の民でも知らない物なの?」
反応が鈍いのはリファラの民です。
「うわっいつの間に」
背後から掛かった声にロンが振り向きビクリと肩を震わせました。
それにミズキはジト目で返し、ロザイヤはヤレヤレと首を横に振り、ロウ村長はガッハッハと笑いました。
「何だ気付かなかったのかロン」
「え?え?ミズキもロザイヤも気付いていたのか?」
「ロンは~三巳を褒めるのに夢中だったから~気付かなかったのね~」
「うぐっ」
不甲斐なさに息を詰ませるロンを他所に、三巳は皆に手を振ってご挨拶しています。三巳からは勿論集まっているのは見えていたのです。
「だがこれだけの人数を気付かんとはな。それだけリファラは気が抜ける良い場所という事だろう」
ロウ村長が目線をグルリと回した先にはリファラの民がゴチャッとしていました。オープンカフェがギュウギュウです。
「そう!そうだよ!リファラが過ごし易いんだ!」
そしてロンはその言葉に全力で乗っかりました。
「で!?三巳っ、うくれれとあこーでおんを教えてくれっ」
そしてそして話を全力で逸らしにきました。
三巳はカラカラ笑って「いーよー」と魔法を練り練りし始めます。
作り出すのは幻影です。とある梅雨の日に村中に絵を描いて遊んだ魔法です。
「ウクレレはこんな形でポロンポロンて可愛い音がするやつ。んで、アコーディオンはこんな形で、ここをプカプカさせると鍵盤から音が鳴るんだよ」
ピカピカカラフルな光の幻影が演奏している様子を映し出しています。
三巳は音も再現出来ないかな?とテレビやラジオを思い出しながら四苦八苦します。そしてそれは出来ました。原理を理解している訳ではないので神様的な力技ですが三巳は気付いていません。これからも気付かないでしょう。
集まった人達は「ほ~」と関心して見ています。ウクレレやアコーディオンだけでなく、映像技術や音響技術にもです。
「このうくれれとやらはギターと似ているが見た目も音も可愛らしいな」
「このあこーでおんは他国の教会で見たパイプオルガンに似ているが随分小さい」
「しかし人の手で持ち運んで演奏出来るのは素晴らしいぞ」
皆が楽しそうに考察してくれるので、三巳は嬉しくなって映像と音楽に合わせてまた踊り出しました。
音に合わせてフラフラタタン♪クルクルタン♪
すると見ていた人達の中にもウズウズしだす人が現れました。
『俺も踊るっ』
「じゃあ私も♪」
オープンカフェから飛び出して、皆で音に合わせてフラフラタタン♪クルクルタン♪
楽しい音楽と踊りに釣られて更に人が増えていき、オープンカフェは満員御礼で長蛇の列が出来ていました。
「ひーっっ!手が足りないよう!」
普段はゆったりとしたカフェですが、ロウ村長によるリリ語りに続きこの日も大忙しで嬉しい悲鳴が響くのでした。
オープンカフェの直ぐ横の道で、ピョンと飛んでやって来てチョコンと着地と同時にクルンと回って両手足を大きく広げる三巳がいます。
オープンカフェの道側端っこでお茶を飲んでいたロウ村長一行は、三巳が近づいている事に気付いていました。しかしビックリしています。それ程迄にウキウキした姿だったのです。
「あら~!とっても可愛いわね~。元気な三巳に良く似合っているわ~」
直ぐに反応を返してくれたのはミズキです。
いの一番に誉めてくれたミズキに、三巳はニマ~ッと笑みを深めてその場でポーズを決めました。そしてクフクフ笑いながら踊り出します。パメに教わった南の国のダンスです。
フラダンスの様でサンバっぽさも入った中々に難しいダンスでしたが、三巳は持ち前の運動神経でマスターしていたのです。
両手は横にユラユラ揺らし、足元はタンタタタン!と軽快にステップを刻みます。途中に入れる腰振りも忘れません。腰を振ると尻尾も大きく振られるので豪快さが際立っています。
「おお!元気な踊りだな!」
ロウ村長はガッハッハと豪快に笑います。
ロザイヤもニコリと優しく微笑みコクンコクンと2度頷きます。
ロンは先程の挽回とばかりに拍手で「可愛い」「モフリー」などなど褒めちぎっています。
そんなロンをミズキは横目を細くして見てから自分も三巳を褒めます。
皆に褒められて満足メーターがはち切れた三巳は更にキレを良くして最後まで踊り切りました。
「にゅふー。大満足なんだよ。強いて上げるならウクレレとアコーディオンが欲しい」
大満足の息を鼻から大きくフスーッ!と吐いて尻尾も上下にブンブカ振ります。
対してロウ村長達は目をパチクリさせていました。
「「「うくれれ?あこーでおん?」」」
どうやら初めて聞いた言葉に反応した様です。
三巳が突然何かを言い出すのは今に始まった事ではありません。慣れきっている山の民はそれでもそれは楽しい事に違いないと目を輝かせます。
「え?山の民でも知らない物なの?」
反応が鈍いのはリファラの民です。
「うわっいつの間に」
背後から掛かった声にロンが振り向きビクリと肩を震わせました。
それにミズキはジト目で返し、ロザイヤはヤレヤレと首を横に振り、ロウ村長はガッハッハと笑いました。
「何だ気付かなかったのかロン」
「え?え?ミズキもロザイヤも気付いていたのか?」
「ロンは~三巳を褒めるのに夢中だったから~気付かなかったのね~」
「うぐっ」
不甲斐なさに息を詰ませるロンを他所に、三巳は皆に手を振ってご挨拶しています。三巳からは勿論集まっているのは見えていたのです。
「だがこれだけの人数を気付かんとはな。それだけリファラは気が抜ける良い場所という事だろう」
ロウ村長が目線をグルリと回した先にはリファラの民がゴチャッとしていました。オープンカフェがギュウギュウです。
「そう!そうだよ!リファラが過ごし易いんだ!」
そしてロンはその言葉に全力で乗っかりました。
「で!?三巳っ、うくれれとあこーでおんを教えてくれっ」
そしてそして話を全力で逸らしにきました。
三巳はカラカラ笑って「いーよー」と魔法を練り練りし始めます。
作り出すのは幻影です。とある梅雨の日に村中に絵を描いて遊んだ魔法です。
「ウクレレはこんな形でポロンポロンて可愛い音がするやつ。んで、アコーディオンはこんな形で、ここをプカプカさせると鍵盤から音が鳴るんだよ」
ピカピカカラフルな光の幻影が演奏している様子を映し出しています。
三巳は音も再現出来ないかな?とテレビやラジオを思い出しながら四苦八苦します。そしてそれは出来ました。原理を理解している訳ではないので神様的な力技ですが三巳は気付いていません。これからも気付かないでしょう。
集まった人達は「ほ~」と関心して見ています。ウクレレやアコーディオンだけでなく、映像技術や音響技術にもです。
「このうくれれとやらはギターと似ているが見た目も音も可愛らしいな」
「このあこーでおんは他国の教会で見たパイプオルガンに似ているが随分小さい」
「しかし人の手で持ち運んで演奏出来るのは素晴らしいぞ」
皆が楽しそうに考察してくれるので、三巳は嬉しくなって映像と音楽に合わせてまた踊り出しました。
音に合わせてフラフラタタン♪クルクルタン♪
すると見ていた人達の中にもウズウズしだす人が現れました。
『俺も踊るっ』
「じゃあ私も♪」
オープンカフェから飛び出して、皆で音に合わせてフラフラタタン♪クルクルタン♪
楽しい音楽と踊りに釣られて更に人が増えていき、オープンカフェは満員御礼で長蛇の列が出来ていました。
「ひーっっ!手が足りないよう!」
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