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本編
リリの帰る場所
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リファラ王国を改めたリファラ国。
数年前までは君主制だったこの国は、今は国民の支持によって代表者が決められる民主制国家となっています。共和制とは言わない理由として、国民のほぼ全ての民、それもモンスターの全てがリファラの要はリリにあると思っているからです。
そんなリファラから、今日。リリが旅立ちます。
「今までありがとう姫様。あちらでも元気で過ごしてくださいね」
「いつでも帰って来てください。ここはずっとあなたの国でもあるのですから」
門前では多くの民が別れを惜しんで集まっています。
その民達が花束やら果物やらをリリに贈るものだから、リリの両手は沢山の物で溢れかえっています。零れ落ちた物は地面に付く前に三巳が尻尾でキャッチしてそのまま収納していきました。
「ありがとう皆。また帰って来るし、もしも私に子供が出来たらここの学校にも通わせたいから、その時はよろしくね」
正式にロダとお付き合いを始めたリリは、隣のロダをチラリと見てから言いました。
勿論リリの視線は逃さないロダは、ニコッと嬉しそうに笑って頬を赤らめました。
集まった民達皆と話していたらいつまで経っても終わりません。
名残は惜しいですが到頭、本当に、自分の意思で国を出る時が来たのです。
追われて出ざるを得なかったあの時とは違う。清々しい気持ちでリリはリファラの民達を、景色を、その目に映る全てを感慨深く見廻します。
そして誇りを胸に深く、深く一礼をしました。
「本当に、今までありがとうございました」
顔を上げた時にはもう、リリは山の民としてありました。
清々しい風に背中を押され、リリはリファラを後にします。
振り返るのは一度だけ。何度も振り返っては見送ってくれた皆が心配するからです。
真っ直ぐ前を見る瞳は潤むけど、未来を夢見るから泣きません。泣かないったら泣かないのです。
リリはグッと裾を握り締めました。
お口はニッコリ笑みを浮かべて、さあ行こう。
今のリリは何処までだって行けるのだから。
「ロダ」
リリは横を歩くロダを見て手を繋ぎます。
ロダもニコッとして繋ぎます。
「三巳」
今度は反対側にいた三巳を見て手を繋ぎました。
三巳もニハッと笑って繋ぎます。
「これからもよろしくね」
「うん。いっぱい色んなことしよう」
「あっちこっち遊びに行こうな」
3人でニコッと笑い合ったら次はハンナとネルビーを見ました。
「ネルビーもハンナも、私の我儘に付いて来てくれてありがとう」
『おれはリリとずっと一緒だぞ!』
「姫様……いえ、リリはまだ子供です。ロキお義祖父様がおられるとはいえ、母代わりとは言わなくとも姉代わりはまだまだ必要です。
ハンナにとってもリリは大切な大切な家族なのですから」
「ええ、ありがとうハンナ。
でもハンナはオーウェンギルド長が好きなんだと思っていたわ」
「まあ!それはもう憧れてはいますけれどね。
でもわたくしにとってはリリの方がもっと大切なんですよ」
そう言ったハンナは本当にリリが大好きだとわかる優しい笑みを浮かべたのでした。
数年前までは君主制だったこの国は、今は国民の支持によって代表者が決められる民主制国家となっています。共和制とは言わない理由として、国民のほぼ全ての民、それもモンスターの全てがリファラの要はリリにあると思っているからです。
そんなリファラから、今日。リリが旅立ちます。
「今までありがとう姫様。あちらでも元気で過ごしてくださいね」
「いつでも帰って来てください。ここはずっとあなたの国でもあるのですから」
門前では多くの民が別れを惜しんで集まっています。
その民達が花束やら果物やらをリリに贈るものだから、リリの両手は沢山の物で溢れかえっています。零れ落ちた物は地面に付く前に三巳が尻尾でキャッチしてそのまま収納していきました。
「ありがとう皆。また帰って来るし、もしも私に子供が出来たらここの学校にも通わせたいから、その時はよろしくね」
正式にロダとお付き合いを始めたリリは、隣のロダをチラリと見てから言いました。
勿論リリの視線は逃さないロダは、ニコッと嬉しそうに笑って頬を赤らめました。
集まった民達皆と話していたらいつまで経っても終わりません。
名残は惜しいですが到頭、本当に、自分の意思で国を出る時が来たのです。
追われて出ざるを得なかったあの時とは違う。清々しい気持ちでリリはリファラの民達を、景色を、その目に映る全てを感慨深く見廻します。
そして誇りを胸に深く、深く一礼をしました。
「本当に、今までありがとうございました」
顔を上げた時にはもう、リリは山の民としてありました。
清々しい風に背中を押され、リリはリファラを後にします。
振り返るのは一度だけ。何度も振り返っては見送ってくれた皆が心配するからです。
真っ直ぐ前を見る瞳は潤むけど、未来を夢見るから泣きません。泣かないったら泣かないのです。
リリはグッと裾を握り締めました。
お口はニッコリ笑みを浮かべて、さあ行こう。
今のリリは何処までだって行けるのだから。
「ロダ」
リリは横を歩くロダを見て手を繋ぎます。
ロダもニコッとして繋ぎます。
「三巳」
今度は反対側にいた三巳を見て手を繋ぎました。
三巳もニハッと笑って繋ぎます。
「これからもよろしくね」
「うん。いっぱい色んなことしよう」
「あっちこっち遊びに行こうな」
3人でニコッと笑い合ったら次はハンナとネルビーを見ました。
「ネルビーもハンナも、私の我儘に付いて来てくれてありがとう」
『おれはリリとずっと一緒だぞ!』
「姫様……いえ、リリはまだ子供です。ロキお義祖父様がおられるとはいえ、母代わりとは言わなくとも姉代わりはまだまだ必要です。
ハンナにとってもリリは大切な大切な家族なのですから」
「ええ、ありがとうハンナ。
でもハンナはオーウェンギルド長が好きなんだと思っていたわ」
「まあ!それはもう憧れてはいますけれどね。
でもわたくしにとってはリリの方がもっと大切なんですよ」
そう言ったハンナは本当にリリが大好きだとわかる優しい笑みを浮かべたのでした。
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