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本編
それぞれのお知らせ
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三巳とリリはリファラに戻る事になりました。
けれども戻る前にロウ村長と相談しないといけない事があります。
「そんな訳で三巳としてはお友達にはいつでも遊びに来て欲しいし、移住したい人は受け入れたいんだよ」
いつものロウ村長宅で、三巳とロウ村長はお煎餅を挟んで向かい合って座っています。
三巳はお煎餅をボリンボリンと食べながら相談しました。
「三巳に友人が増えた事は嬉しい。リファラの事はロダに報告を受けたしな。……ふむ」
山は三巳の縄張りです。山の民は許可を得て住まわせて貰っている認識なので、三巳が是と言えば是なのです。しかし村長としては無責任に是とは言えません。
ロウ村長は腕を組んで考え込みました。何せ村が始まって以来初めての交流です。前例が無い分不安があります。
「いやしかし、三巳も逃げずに人族と関わり始めた事だしなぁ。ワシ等が逃げ腰になる訳にもいくまい」
うんうん頷いたロウ村長は、
「よし」
と言って腿をバンと叩くとキリッとした目で三巳を見ました。
「緊急会議を開く。結果が出るまでお出掛けは待って貰えるか?」
「いーともー♪」
受け入れるならば、村の平穏を守る為に決めたり整備したりしないといけない事が出てくるでしょう。政治に疎い三巳は手を元気良く上げて快く快諾しました。
さてはて時間が出来たので三巳は山を離れる前に山を堪能しに出掛けました。
所変わってリリはロダの家に向かっていました。
(ロダの家に行くの初めてね。場所はお義祖父様に聞いたけど、迷わず辿り着けるかしら)
なんとリリは村のお友達の家に行った事がありませんでした。リリ自身リファラから帰って来て初めて気付いたのです。
(ええっと……次のひまわり畑を左に行って、最初の十字路を右に真っ直ぐ進んだ先)
言われた通りにひまわり畑を見つけると、キョロキョロ辺りを確認してから左に折れます。少し歩いた先の十字路も確認してから右に折れます。
(あの十字路は帰りに迷いそうね……)
十字路は四方八方が高いひまわりで覆われていて、目印になるものがありません。リリは帰りは左折れと頭の中で唱えながら真っ直ぐ進みました。
いくつかあった分岐点も真っ直ぐ進んだ先に家が見えてきました。ロダの家です。
「良かったわ、迷わず来れた」
リリにも直ぐにわかりました。
何故なら家の前ではロダが家の手伝いをしていたからです。
「ロダ!」
リリは安堵と達成感から満面の笑みで大きく手を振り駆け寄ります。
それを直ぐに見つけたロダは真っ赤な顔で惚けました。
それはそうでしょう。大大大好きな女の子が、とっても魅力的な笑顔で自分の家に来てくれたんです。天にも登る気分になるってものです。
「リリ!嬉しいよ、リリから遊びに来てくれるなんて」
直ぐに駆け寄り体いっぱいに喜びを表しています。
「ふふふ、私も何だか嬉しい」
リリもコロコロと可愛らしく笑います。ほんの少し前までは同じログハウスや宿屋で過ごしていたので面映い感じがしています。
「わーうわー、何?何かあったの?何もなくてもいっぱい遊びに来て欲しいけど」
お手伝い途中のロダは片手に箒を持ったままリリを家の中に案内します。
リリはその箒にちゃんと気付いていました。
「お仕事の途中よね、私も手伝う?」
「大丈夫だよ、直ぐに終わらせるから。ありがとうリリ」
ロダはその言葉の通りに恋の力でマッハで仕事を終わらせるのでした。
リリはその様子を窓から具に見ていて、
(ロダ凄い!とってもテキパキしてる!)
とほほを赤らめて尊敬の眼差しです。
「お待たせ」
カタリと箒を玄関に片付ける姿すら恰好良く見えました。
ロダはそんなリリの視線に気付いてポッと顔を赤らめます。
「あ、お、お茶も出さずにごめんね」
「ううん、大丈夫よ」
お互いに顔をポッポと湯気を出してモジモジする様は、この場に三巳がいたならばニヤリと笑みを深めていた事でしょう。
「それで、今日は如何したの?」
改めてお茶を出してテーブルに着いたら仕切り直しです。
ロダの問いにリリもニコリとして答えます。
「リファラに戻るわ」
と。
けれども戻る前にロウ村長と相談しないといけない事があります。
「そんな訳で三巳としてはお友達にはいつでも遊びに来て欲しいし、移住したい人は受け入れたいんだよ」
いつものロウ村長宅で、三巳とロウ村長はお煎餅を挟んで向かい合って座っています。
三巳はお煎餅をボリンボリンと食べながら相談しました。
「三巳に友人が増えた事は嬉しい。リファラの事はロダに報告を受けたしな。……ふむ」
山は三巳の縄張りです。山の民は許可を得て住まわせて貰っている認識なので、三巳が是と言えば是なのです。しかし村長としては無責任に是とは言えません。
ロウ村長は腕を組んで考え込みました。何せ村が始まって以来初めての交流です。前例が無い分不安があります。
「いやしかし、三巳も逃げずに人族と関わり始めた事だしなぁ。ワシ等が逃げ腰になる訳にもいくまい」
うんうん頷いたロウ村長は、
「よし」
と言って腿をバンと叩くとキリッとした目で三巳を見ました。
「緊急会議を開く。結果が出るまでお出掛けは待って貰えるか?」
「いーともー♪」
受け入れるならば、村の平穏を守る為に決めたり整備したりしないといけない事が出てくるでしょう。政治に疎い三巳は手を元気良く上げて快く快諾しました。
さてはて時間が出来たので三巳は山を離れる前に山を堪能しに出掛けました。
所変わってリリはロダの家に向かっていました。
(ロダの家に行くの初めてね。場所はお義祖父様に聞いたけど、迷わず辿り着けるかしら)
なんとリリは村のお友達の家に行った事がありませんでした。リリ自身リファラから帰って来て初めて気付いたのです。
(ええっと……次のひまわり畑を左に行って、最初の十字路を右に真っ直ぐ進んだ先)
言われた通りにひまわり畑を見つけると、キョロキョロ辺りを確認してから左に折れます。少し歩いた先の十字路も確認してから右に折れます。
(あの十字路は帰りに迷いそうね……)
十字路は四方八方が高いひまわりで覆われていて、目印になるものがありません。リリは帰りは左折れと頭の中で唱えながら真っ直ぐ進みました。
いくつかあった分岐点も真っ直ぐ進んだ先に家が見えてきました。ロダの家です。
「良かったわ、迷わず来れた」
リリにも直ぐにわかりました。
何故なら家の前ではロダが家の手伝いをしていたからです。
「ロダ!」
リリは安堵と達成感から満面の笑みで大きく手を振り駆け寄ります。
それを直ぐに見つけたロダは真っ赤な顔で惚けました。
それはそうでしょう。大大大好きな女の子が、とっても魅力的な笑顔で自分の家に来てくれたんです。天にも登る気分になるってものです。
「リリ!嬉しいよ、リリから遊びに来てくれるなんて」
直ぐに駆け寄り体いっぱいに喜びを表しています。
「ふふふ、私も何だか嬉しい」
リリもコロコロと可愛らしく笑います。ほんの少し前までは同じログハウスや宿屋で過ごしていたので面映い感じがしています。
「わーうわー、何?何かあったの?何もなくてもいっぱい遊びに来て欲しいけど」
お手伝い途中のロダは片手に箒を持ったままリリを家の中に案内します。
リリはその箒にちゃんと気付いていました。
「お仕事の途中よね、私も手伝う?」
「大丈夫だよ、直ぐに終わらせるから。ありがとうリリ」
ロダはその言葉の通りに恋の力でマッハで仕事を終わらせるのでした。
リリはその様子を窓から具に見ていて、
(ロダ凄い!とってもテキパキしてる!)
とほほを赤らめて尊敬の眼差しです。
「お待たせ」
カタリと箒を玄関に片付ける姿すら恰好良く見えました。
ロダはそんなリリの視線に気付いてポッと顔を赤らめます。
「あ、お、お茶も出さずにごめんね」
「ううん、大丈夫よ」
お互いに顔をポッポと湯気を出してモジモジする様は、この場に三巳がいたならばニヤリと笑みを深めていた事でしょう。
「それで、今日は如何したの?」
改めてお茶を出してテーブルに着いたら仕切り直しです。
ロダの問いにリリもニコリとして答えます。
「リファラに戻るわ」
と。
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