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本編
ライドゥーラの民達
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崖の中腹には少し開けた場所があります。
そこには雨が何とか凌げる程度の小屋がポツンポツンと建っています。
「なんだ……。あれは……」
その小屋に隠れ、視線だけを上空に向ける人々がいました。
ライドゥーラの民達です。
隠れる人々は千差万別の顔をしていました。
恐れる者が多い中、一部武装をした人達だけが怖い目で見上げていました。戦う気でいる様です。
「ちょっと!止めとくれよ!」
機会を伺う者達を、けれど恐れる者達が決死の表情で止めに入ります。
「何をする!」
武装した者は般若の形相で怒り狂いますが、恐れる者達にとってそれは上空に突如現れたモノより怖くはありませんでした。
「あれはきっと天罰だよ!神が怒っていらっしゃるんだ!」
大きくて見た事もない姿。その体からは確かな神気が溢れていました。
「何を言う!これは神からの祝福ではないのか!?
神が私達の正当性を認め、降りて来て下さっているんだ!」
様々な意見が飛び交いました。
けれどもその間にもそれは確実に彼等の元へと近付いていました。
そしてそれはとっても良い耳を持っていました。
『あや。神気隠しゅのわしゅれてたんだよ』
一種間の抜けた声がそこから聞こえました。
人々はハッとして思った以上に近くに来ていたそれを改めて見ました。
大きな鳥の姿をしたそれは、しかしやはり見た事が無い鳥でした。
大きな体に鋭い嘴があると、それだけで丸呑みされてしまいそうで怖いです。
けれどそれより怖いのは、風切羽を広げるその後ろ。扇状に広がる飾り羽根。虹色に輝くそれは体よりずっと大きくて、所々にみえる濃い色の模様が目の様にも見えて更なる恐怖を与えます。
それが間の抜けた声を出したのです。人々の混乱は行動を阻害するには十分なものでした。
『こんにちわー!三巳は三巳なんだよ。みんなとおしゃべりちたいリリを連れて来たんだよ』
「今日は!お邪魔します!」
しかも彼等にとって天敵と言えるリリを連れてきていました。
逆恨みではあるのですが、双方のニコヤカさが今は怖くて仕方がありません。
『およー?みんな怖がってるんだよ?何で?』
「そりゃ怖いだろうよ。こんな見た事もない化け物が神気背負ってやってくりゃ」
『怖くないんだよ!?クジャクなんだよ!?綺麗なんだよ!?』
そう。崖の上で自由な羽を求めた三巳は、動物園の鳥さんコーナーで最も目を奪われたクジャクに変身していたのです。
ただ残念な事に三巳はクジャクの正しい生態を知りませんでした。会う時は何時もその綺麗な飾り羽根に目を奪われていたからです。
三巳は雌なのに雄の姿をしていました。しかもどうやってか羽を全部広げて飛んだのです。
そしてそれを突っ込める者は誰もいませんでした。突っ込めるのは地球人だけだからです。
知らない大きな派手な獣は、いきなり現れると怖いだけだったのです。
慌ててみんなを降ろした三巳は、人型に戻ると一生懸命に弁明するのでした。
そこには雨が何とか凌げる程度の小屋がポツンポツンと建っています。
「なんだ……。あれは……」
その小屋に隠れ、視線だけを上空に向ける人々がいました。
ライドゥーラの民達です。
隠れる人々は千差万別の顔をしていました。
恐れる者が多い中、一部武装をした人達だけが怖い目で見上げていました。戦う気でいる様です。
「ちょっと!止めとくれよ!」
機会を伺う者達を、けれど恐れる者達が決死の表情で止めに入ります。
「何をする!」
武装した者は般若の形相で怒り狂いますが、恐れる者達にとってそれは上空に突如現れたモノより怖くはありませんでした。
「あれはきっと天罰だよ!神が怒っていらっしゃるんだ!」
大きくて見た事もない姿。その体からは確かな神気が溢れていました。
「何を言う!これは神からの祝福ではないのか!?
神が私達の正当性を認め、降りて来て下さっているんだ!」
様々な意見が飛び交いました。
けれどもその間にもそれは確実に彼等の元へと近付いていました。
そしてそれはとっても良い耳を持っていました。
『あや。神気隠しゅのわしゅれてたんだよ』
一種間の抜けた声がそこから聞こえました。
人々はハッとして思った以上に近くに来ていたそれを改めて見ました。
大きな鳥の姿をしたそれは、しかしやはり見た事が無い鳥でした。
大きな体に鋭い嘴があると、それだけで丸呑みされてしまいそうで怖いです。
けれどそれより怖いのは、風切羽を広げるその後ろ。扇状に広がる飾り羽根。虹色に輝くそれは体よりずっと大きくて、所々にみえる濃い色の模様が目の様にも見えて更なる恐怖を与えます。
それが間の抜けた声を出したのです。人々の混乱は行動を阻害するには十分なものでした。
『こんにちわー!三巳は三巳なんだよ。みんなとおしゃべりちたいリリを連れて来たんだよ』
「今日は!お邪魔します!」
しかも彼等にとって天敵と言えるリリを連れてきていました。
逆恨みではあるのですが、双方のニコヤカさが今は怖くて仕方がありません。
『およー?みんな怖がってるんだよ?何で?』
「そりゃ怖いだろうよ。こんな見た事もない化け物が神気背負ってやってくりゃ」
『怖くないんだよ!?クジャクなんだよ!?綺麗なんだよ!?』
そう。崖の上で自由な羽を求めた三巳は、動物園の鳥さんコーナーで最も目を奪われたクジャクに変身していたのです。
ただ残念な事に三巳はクジャクの正しい生態を知りませんでした。会う時は何時もその綺麗な飾り羽根に目を奪われていたからです。
三巳は雌なのに雄の姿をしていました。しかもどうやってか羽を全部広げて飛んだのです。
そしてそれを突っ込める者は誰もいませんでした。突っ込めるのは地球人だけだからです。
知らない大きな派手な獣は、いきなり現れると怖いだけだったのです。
慌ててみんなを降ろした三巳は、人型に戻ると一生懸命に弁明するのでした。
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