134 / 368
本編
復興のお手伝い?
しおりを挟む
三巳は今、リリともロダとも別れて建築現場に来ています。
「うーにゅ。三巳は建築関係は手をつけた事ないから指示が欲しいんだよ」
「指示ってもなー。俺達も建築関係は門外漢だから取り敢えず住める家さえ出来りゃ良いんだがよ」
「大工は手が足りてないのか」
「そういうこってい。なにせこの有り様よ。開放されてからコツコツやっててもまだ半分も出来ちゃいねぇ」
「家ばっか作ってる訳にもいかないしな」
指示できる人達はみんな大きな建物に携わっていて三巳にまで手がまわりません。
仕方がないから三巳は持ち前の身体能力を使って木材の運搬と加工のお手伝いを始めました。
初めて日曜大工的な工程をする三巳は、それがとても新鮮で、DIYを趣味とする人達の気持ちがとても良くわかりました。
「丸太~の皮~を剥いて~♪むきっむきっむきっ♪
剥い~た丸太~の表面~をならすよ~♪しゃっしゃっしゃっ♪」
テンション上げ上げになった三巳はいつもの調子っ外れな歌を歌いながら作業に没頭しています。
切り倒して干されていた大きな丸太をヒョイと持ち上げて、広い作業場でソッと下ろしてまずは皮剥きします。皮が無くなったらデコボコしている表面を風刃魔法で平にしたら次の工程は別の人にバトンタッチです。
軽快な足取りで次々と成形された丸太を作り出す三巳に、周りの漢達もビビビっと触発されました。
野太い声で豪快な歌を響かせて、まるでミュージカルの様に流れ作業をこなしていきます。それはもう、ウッカリ三巳の歌声が掻き消えてしまう位の大音量になりました。
「にゃはー。なんだかとっても生きてるー!って感じだ♪」
その生命力溢れる輝く命達に、三巳の神力は研ぎ澄まされて、ドンドンと元気が溢れ出してきます。
ウズウズ。ウズウズ。三巳の耳と尻尾が落ち着きなく揺れています。
ウズウズ。ウズウズ。けれども今はお手伝い中です。三巳は一生懸命我慢している顔をしています。
ウズウズ。ウズウズ。けれども三巳の我慢は保ちません。
「ふな―――!!」
到頭我慢がはち切れた三巳はその場で大きく踊り出してしまいました。
耳をピーン!と立たせ、尻尾はクルクルリと踊りに合わせて縦横無尽に動き回ります。
「「「あははは!」」」
作業をほっぽり出して急に踊り出した三巳に、けれどもみんなは怒るどころか大口開けて楽しく大笑いしました。
『こりゃいいや!やる気が満ちてくらぁ!』
「だな!やあ三巳ちゃんよ、そのまま踊って場を盛り上げてくれ!」
そして囃し立てる人やモンスター達に、三巳はニコーっと満面の笑顔を咲き誇らせます。
「にゃはははははっ!」
嬉しくって楽しくって、みんなの歌に合わせてピョンピョコひらりと飛び跳ね踊ります。そして気付かないうちに三巳からは燐光が漏れ出てしまいました。
折角隠していた神力ですが、夢中になって踊る三巳は気付きません。
「にゃはっ!ひふふー♪」
けれどもみんなはそうもいきません。
ザワリ。ザワザワリとさざなみは広がり歌も作業の手もピタリと止まってしまいました。
「うにゅ?」
流石に歌が止んでは三巳も気付きました。
キョトリと首を傾げてキョロキョロ辺りを見回します。
視線が自分に集中しているのにビクリと毛を逆立てると、どうしたものかと自分の体を確認しました。
「ふにゃ―――!?」
そうしてやっとこ漏れ出た神力に気付いた三巳は、ピョーンと高く高く飛び上がって屋根の上に隠れてしまいました。
「どどどどどーしよー!?」
暫く狼狽え右往左往していた三巳ですが、起こってしまった事は取り返せません。
一度遠い目で気を遠くにやって、ふと自嘲の笑みを漏らした三巳は、
「まーいっか」
開き直りました。
「リリの国の人達だし。モンスターとも仲良しだし。大丈夫だろ。多分!」
屋根の上からチラリと広場を覗くと、下ではみんなが隠れてしまった三巳を呼び戻そうと色々やっていました。
ある人は魚を焼いて匂いを送っていたり、ある人は漫画肉を焼いて匂いを送っていたり、ある人は三巳の姿が見えた途端「ちっちっちっ」と猫を呼び寄せる動作をしていたり。あまりに神様相手にしている風でないリファラの民達に、三巳は可笑しくってケラケラ笑ってしまいます。
「好きだなー。リファラ!」
三巳はもう一切を気にしませんでした。
ピョーンと飛び降りた三巳は、一目散に「ちっち」とやっていた人の懐にタックルしました。
「ちっち」としていた人は「う゛」と呻きましたが、スリスリ頭を擦り付ける三巳にほにゃんと相合を崩します。
「はははっ、甘えん坊だな。三巳ちゃんは」
「ふひひー♪」
撫でろ撫でろと言わんばかりに耳をピクピクさせて擦り寄られ、「ちっち」としていた人だけでなく、近くにいた人達も一緒に頭の毛並みを撫で撫でしてくれました。
他所の国二つ目にして二日目で、三巳はもうすっかり神力を隠すのを止めるのでした。
「うーにゅ。三巳は建築関係は手をつけた事ないから指示が欲しいんだよ」
「指示ってもなー。俺達も建築関係は門外漢だから取り敢えず住める家さえ出来りゃ良いんだがよ」
「大工は手が足りてないのか」
「そういうこってい。なにせこの有り様よ。開放されてからコツコツやっててもまだ半分も出来ちゃいねぇ」
「家ばっか作ってる訳にもいかないしな」
指示できる人達はみんな大きな建物に携わっていて三巳にまで手がまわりません。
仕方がないから三巳は持ち前の身体能力を使って木材の運搬と加工のお手伝いを始めました。
初めて日曜大工的な工程をする三巳は、それがとても新鮮で、DIYを趣味とする人達の気持ちがとても良くわかりました。
「丸太~の皮~を剥いて~♪むきっむきっむきっ♪
剥い~た丸太~の表面~をならすよ~♪しゃっしゃっしゃっ♪」
テンション上げ上げになった三巳はいつもの調子っ外れな歌を歌いながら作業に没頭しています。
切り倒して干されていた大きな丸太をヒョイと持ち上げて、広い作業場でソッと下ろしてまずは皮剥きします。皮が無くなったらデコボコしている表面を風刃魔法で平にしたら次の工程は別の人にバトンタッチです。
軽快な足取りで次々と成形された丸太を作り出す三巳に、周りの漢達もビビビっと触発されました。
野太い声で豪快な歌を響かせて、まるでミュージカルの様に流れ作業をこなしていきます。それはもう、ウッカリ三巳の歌声が掻き消えてしまう位の大音量になりました。
「にゃはー。なんだかとっても生きてるー!って感じだ♪」
その生命力溢れる輝く命達に、三巳の神力は研ぎ澄まされて、ドンドンと元気が溢れ出してきます。
ウズウズ。ウズウズ。三巳の耳と尻尾が落ち着きなく揺れています。
ウズウズ。ウズウズ。けれども今はお手伝い中です。三巳は一生懸命我慢している顔をしています。
ウズウズ。ウズウズ。けれども三巳の我慢は保ちません。
「ふな―――!!」
到頭我慢がはち切れた三巳はその場で大きく踊り出してしまいました。
耳をピーン!と立たせ、尻尾はクルクルリと踊りに合わせて縦横無尽に動き回ります。
「「「あははは!」」」
作業をほっぽり出して急に踊り出した三巳に、けれどもみんなは怒るどころか大口開けて楽しく大笑いしました。
『こりゃいいや!やる気が満ちてくらぁ!』
「だな!やあ三巳ちゃんよ、そのまま踊って場を盛り上げてくれ!」
そして囃し立てる人やモンスター達に、三巳はニコーっと満面の笑顔を咲き誇らせます。
「にゃはははははっ!」
嬉しくって楽しくって、みんなの歌に合わせてピョンピョコひらりと飛び跳ね踊ります。そして気付かないうちに三巳からは燐光が漏れ出てしまいました。
折角隠していた神力ですが、夢中になって踊る三巳は気付きません。
「にゃはっ!ひふふー♪」
けれどもみんなはそうもいきません。
ザワリ。ザワザワリとさざなみは広がり歌も作業の手もピタリと止まってしまいました。
「うにゅ?」
流石に歌が止んでは三巳も気付きました。
キョトリと首を傾げてキョロキョロ辺りを見回します。
視線が自分に集中しているのにビクリと毛を逆立てると、どうしたものかと自分の体を確認しました。
「ふにゃ―――!?」
そうしてやっとこ漏れ出た神力に気付いた三巳は、ピョーンと高く高く飛び上がって屋根の上に隠れてしまいました。
「どどどどどーしよー!?」
暫く狼狽え右往左往していた三巳ですが、起こってしまった事は取り返せません。
一度遠い目で気を遠くにやって、ふと自嘲の笑みを漏らした三巳は、
「まーいっか」
開き直りました。
「リリの国の人達だし。モンスターとも仲良しだし。大丈夫だろ。多分!」
屋根の上からチラリと広場を覗くと、下ではみんなが隠れてしまった三巳を呼び戻そうと色々やっていました。
ある人は魚を焼いて匂いを送っていたり、ある人は漫画肉を焼いて匂いを送っていたり、ある人は三巳の姿が見えた途端「ちっちっちっ」と猫を呼び寄せる動作をしていたり。あまりに神様相手にしている風でないリファラの民達に、三巳は可笑しくってケラケラ笑ってしまいます。
「好きだなー。リファラ!」
三巳はもう一切を気にしませんでした。
ピョーンと飛び降りた三巳は、一目散に「ちっち」とやっていた人の懐にタックルしました。
「ちっち」としていた人は「う゛」と呻きましたが、スリスリ頭を擦り付ける三巳にほにゃんと相合を崩します。
「はははっ、甘えん坊だな。三巳ちゃんは」
「ふひひー♪」
撫でろ撫でろと言わんばかりに耳をピクピクさせて擦り寄られ、「ちっち」としていた人だけでなく、近くにいた人達も一緒に頭の毛並みを撫で撫でしてくれました。
他所の国二つ目にして二日目で、三巳はもうすっかり神力を隠すのを止めるのでした。
11
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる