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本編
観光プランB~リリとロダの進展?②~
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リリは今葛藤しています。
(ロダはミナミを好きじゃない。ミナミとは兄弟同然。つまりは私とネルビーみたいな関係って事で。
ロダのミナミに対するのが兄弟に対するものだとしたら、私に優しくしてくれていつも一緒にいてくれるのは?
あれ?そもそもなんで私はこんなにロダの事気になっているのかしら?)
グルグルグルグル。リリの頭は今ロダの事でいっぱいです。ロダが知ったら喜びに咽び泣きそうです。
そんなロダは真っ赤になって黙り込んでしまったリリの反応をどう解釈したら良いかで悩んでいました。
(誤解解けたのかな!?解けたよね!?それで赤いのは少しは期待して良いってことかな!?それともただ単に勘違いが恥ずかしかっただけかな!?)
お互い意識し過ぎて動けずにいます。
「おーい。……オイラの声聞こえてないのかな」
橙の妖精がリリの耳元で話しても、心の迷宮に入り込んだリリには全く聞こえていない様です。
橙の妖精は詰まらなそうにリリの肩から飛び立って、三巳の頭の上に陣取りました。
「うーん。ロダが告れば早そうなんだがなー」
「オイラの声も聞こえてないのに告って意味あるの?」
「がうっ!ぐるるる!」
「案外ロダの声なら届くかもだぞ、だいやん。
そんで熊五郎は今は混乱するからロダに喧嘩売らないでなー。リリが欲しければ俺を倒せって、何処の熱血パパだー?今時逸んないぞー、そゆの」
蚊帳の外な三巳達は簡単に言ってのけますが、当事者はなかなか理想通りに行動に移せないものです。特にロダは事リリに関しては好きが暴走して頭が働かなくなります。暴れる熊五郎を両腕で抑えつつ三巳は(ここは頑張り所だぞー)と心の中で叱咤激励しました。
「リ、リリっ!聞いて欲しい!」
「ふぁ!?ふぁい!」
三巳の心の応援が聞こえたのか、悩みに悩んで悩み過ぎたロダは、聴けぬなら言ってしまえホトトギスとばかりに開き直りました。
リリの両肩に手を乗せたロダは、リリの意識を自分に向けさせる事に成功しました。可愛く驚きの声で返事をするリリに、熱意の込めた眼で見つめます。
リリもその真剣で熱く潤む瞳に吸い寄せられるかの様に見つめ返します。
「!こりゃいかん」
三巳は告白秒読み体勢を悟り、急いで熊五郎とタウろんを連れて棚田の奥に引っ込みました。フラッシュモブでも無いなら知人な第三者はいない方が良いと判断したのです。
素早く音も無く行われた神業に気づく事なく、ロダは震える喉で想いの丈をぶつけます。
「僕はリリが好きですっ」
一瞬の静寂。
その一瞬の間に一連の流れからロダの好きの種類を読み取って、リリはグルグルと目を回しました。
口をハクハク開閉させて、意味も無く指を動かしながらリリは考えます。
(こっ、コレってそれよね。こ、告白っされたのよね。ロダが、私を好き)
改めてロダの想いを反芻したところで、自身に芽生えていた淡い想いに気付かされます。
ロダの想いが嬉しくて叫び出したい衝動に駆られたのです。けれども同時に怖くもなりました。
(嬉しい。でも怖い。また、失ったら……今度こそ生きて行ける自信が無いわ)
未だに悪夢に見る光景が、その想いに重く蓋をします。
どうしたら良いかわからなくて、リリは赤いのに青いという器用にも不思議な顔で困った様な、泣きそうな笑みを見せました。
リリの最悪の怪我を目の当たりにしていたロダは、リリを安心させる様に柔らかく、そしてなるべく気が抜けてくれる様に微笑みます。
「ありがとう。僕の気持ちを聞いてくれて」
答えは無くても良い。そんな気持ちを込めて、ロダはお礼を言いました。拒絶されなかっただけ大の字だと胸を撫で下ろします。
リリは答えたい気持ちと、答えたくない気持ちがせめぎ合って今にも涙が零れ落ちそうになってしまいます。
「わた、わたしっ……!」
ロダはそんなリリの目元をそっと拭います。
「焦らないで。ゆっくりで、大丈夫たから。
考えるの辛かったら、ずっと言わなくても良いよ。
それでも僕はきっと、ずっとリリが大好きだから」
思いが報われないのは辛いだろう。リリは過去の経験からそれを理解していました。だからこそロダの優しさが胸に沁みます。いつだって山の民達はリリの心の傷に深く入らない様に気を付けてくれています。今回もロダはきっとリリの為に答えを先延ばしにしたのだと感じました。
(!ああ、なんてロダは優しいんだろう。
ああ、なんて山の民は暖かいんだろう。
そう、まるで生まれ故郷の人々の様に)
リリは今は亡き、赫い炎に沈んだ祖国を思い、震える目蓋をそっと閉じました。
(ロダはミナミを好きじゃない。ミナミとは兄弟同然。つまりは私とネルビーみたいな関係って事で。
ロダのミナミに対するのが兄弟に対するものだとしたら、私に優しくしてくれていつも一緒にいてくれるのは?
あれ?そもそもなんで私はこんなにロダの事気になっているのかしら?)
グルグルグルグル。リリの頭は今ロダの事でいっぱいです。ロダが知ったら喜びに咽び泣きそうです。
そんなロダは真っ赤になって黙り込んでしまったリリの反応をどう解釈したら良いかで悩んでいました。
(誤解解けたのかな!?解けたよね!?それで赤いのは少しは期待して良いってことかな!?それともただ単に勘違いが恥ずかしかっただけかな!?)
お互い意識し過ぎて動けずにいます。
「おーい。……オイラの声聞こえてないのかな」
橙の妖精がリリの耳元で話しても、心の迷宮に入り込んだリリには全く聞こえていない様です。
橙の妖精は詰まらなそうにリリの肩から飛び立って、三巳の頭の上に陣取りました。
「うーん。ロダが告れば早そうなんだがなー」
「オイラの声も聞こえてないのに告って意味あるの?」
「がうっ!ぐるるる!」
「案外ロダの声なら届くかもだぞ、だいやん。
そんで熊五郎は今は混乱するからロダに喧嘩売らないでなー。リリが欲しければ俺を倒せって、何処の熱血パパだー?今時逸んないぞー、そゆの」
蚊帳の外な三巳達は簡単に言ってのけますが、当事者はなかなか理想通りに行動に移せないものです。特にロダは事リリに関しては好きが暴走して頭が働かなくなります。暴れる熊五郎を両腕で抑えつつ三巳は(ここは頑張り所だぞー)と心の中で叱咤激励しました。
「リ、リリっ!聞いて欲しい!」
「ふぁ!?ふぁい!」
三巳の心の応援が聞こえたのか、悩みに悩んで悩み過ぎたロダは、聴けぬなら言ってしまえホトトギスとばかりに開き直りました。
リリの両肩に手を乗せたロダは、リリの意識を自分に向けさせる事に成功しました。可愛く驚きの声で返事をするリリに、熱意の込めた眼で見つめます。
リリもその真剣で熱く潤む瞳に吸い寄せられるかの様に見つめ返します。
「!こりゃいかん」
三巳は告白秒読み体勢を悟り、急いで熊五郎とタウろんを連れて棚田の奥に引っ込みました。フラッシュモブでも無いなら知人な第三者はいない方が良いと判断したのです。
素早く音も無く行われた神業に気づく事なく、ロダは震える喉で想いの丈をぶつけます。
「僕はリリが好きですっ」
一瞬の静寂。
その一瞬の間に一連の流れからロダの好きの種類を読み取って、リリはグルグルと目を回しました。
口をハクハク開閉させて、意味も無く指を動かしながらリリは考えます。
(こっ、コレってそれよね。こ、告白っされたのよね。ロダが、私を好き)
改めてロダの想いを反芻したところで、自身に芽生えていた淡い想いに気付かされます。
ロダの想いが嬉しくて叫び出したい衝動に駆られたのです。けれども同時に怖くもなりました。
(嬉しい。でも怖い。また、失ったら……今度こそ生きて行ける自信が無いわ)
未だに悪夢に見る光景が、その想いに重く蓋をします。
どうしたら良いかわからなくて、リリは赤いのに青いという器用にも不思議な顔で困った様な、泣きそうな笑みを見せました。
リリの最悪の怪我を目の当たりにしていたロダは、リリを安心させる様に柔らかく、そしてなるべく気が抜けてくれる様に微笑みます。
「ありがとう。僕の気持ちを聞いてくれて」
答えは無くても良い。そんな気持ちを込めて、ロダはお礼を言いました。拒絶されなかっただけ大の字だと胸を撫で下ろします。
リリは答えたい気持ちと、答えたくない気持ちがせめぎ合って今にも涙が零れ落ちそうになってしまいます。
「わた、わたしっ……!」
ロダはそんなリリの目元をそっと拭います。
「焦らないで。ゆっくりで、大丈夫たから。
考えるの辛かったら、ずっと言わなくても良いよ。
それでも僕はきっと、ずっとリリが大好きだから」
思いが報われないのは辛いだろう。リリは過去の経験からそれを理解していました。だからこそロダの優しさが胸に沁みます。いつだって山の民達はリリの心の傷に深く入らない様に気を付けてくれています。今回もロダはきっとリリの為に答えを先延ばしにしたのだと感じました。
(!ああ、なんてロダは優しいんだろう。
ああ、なんて山の民は暖かいんだろう。
そう、まるで生まれ故郷の人々の様に)
リリは今は亡き、赫い炎に沈んだ祖国を思い、震える目蓋をそっと閉じました。
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