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本編
リリの大好き
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今日のリリは機嫌が良いです。
三巳の事が前よりは知る事が出来て仲良くなれた気がするからです。
三巳には心身共に助けて貰った恩があります。
心が挫かれていた時に優しく受け入れてくれた三巳。しかも大好きなモフモフ。
これで好きにならない理由はありません。
「三巳だ~い好きよ」
触り心地の良いフワフワ尻尾と耳をうっとり撫で撫でしながらつい言葉にしてしまう位には大好きになっていました。
「三巳もリリが大好きだぞー」
恍惚と撫で撫でされながら三巳が返してくれたものですから、リリは嬉しくて嬉しくてモフモフムギューと抱きしめました。その光景をついうっかり見てしまったロダが、物陰からショックを受けて立ち尽くしているのも気付かずに。
撫で撫でタイムが終われば朝の薬草摘みです。
最近は独り立ちしてロキ医師無しで摘みに来ます。勿論帰ったらしっかり選別してもらいますが。
「うふふ。好き。だ~い好き」
リリは軽くメロディを口遊みながら軽快なスキップで散策に向かいます。
「リリっ、山はモンスターがいるから1人は危険だよっ」
これ以上リリの好きを三巳に取られたく無いロダは、必死でリリを追い掛けます。
「あら、ロダおはよう」
「はうっ!」
ロダの呼び声に、薬草を入れる籠を両手で持ってくるりと振り返るリリです。
スカートも髪もくるりと翻って一枚の絵の様です。
ロダは余りの可愛らしさに心臓を撃ち抜かれました。
真っ赤に茹るロダの脳内では、今のシーンがリフレインしています。
「?ロダ?大丈夫?顔が赤いわ」
ロダの内心なんて全く気付かないリリは、様子のおかしいロダに近付くとおデコに手のひらをピトっとつけます。
「はっ!?はひゃっ!?」
ロダはリリの心地良い手の感触を感じ、ビックリして高く飛び上がりました。
そんなロダの様子にリリの方がビックリします。
「やっぱり何かの病気なんじゃ」
「だだだだっ、大丈夫!超元気!凄く元気!人生で一番元気だから!」
心配するリリに、ロダはワタワタしながら『元気』をアピールします。
余りの勢いにリリは若干引き気味です。
「そ、そう?無理はしないでね?」
「う、うん」
少し後退しつつ言われたロダは、ショックと己の情けなさに涙目で頷きました。
「それじゃ私は薬草取りに行くから」
「待ってっ、子供は一人で山に入らないんだ」
「?そうなの?」
一人でひょいひょい山の天辺から底辺まで遊びに行く三巳を知っているリリです。首を傾げるのも無理はありません。
(でも生きた年数自体は誰よりも年長だから良いのかしら)
傾げましたが直ぐに思い至って納得しました。
獣人の寿命は種族によって違います。そしてまだ知られていない種族も多いです。
お陰でリリはちっとも三巳に対して何の疑問も抱いていません。
「でも危険な場所なら三巳一人なのはやっぱり心配だわ」
「え?何で今三巳なの?」
三巳の事を考え過ぎてつい口に出して心配してしまうリリに、脈絡を見出せないロダは首を捻ります。嫉妬もします。
「だって三巳みたいなモフモフでフワフワの可愛い獣人、きっと誰だって放って置かないわ」
肉食獣に食べられちゃう哀れな三巳ワンコを想像するだけで、リリは涙目です。
多くを失ったリリは、もう大切な者達を失いたくありません。
「うう~ん?モフモフでフワフワは確かだけど……。
三巳はああ見えて山の誰より強いから、寧ろ理不尽に強すぎて一番怒らせたくない獣神だから」
悲しそうなリリに、ロダの方が胸を締め付けられて、三巳への嫉妬心なんて簡単に吹き飛びました。
兎に角安心させようとリリの肩をポンと掴んで、リリの目をしっかり見つめて真顔で三巳の強さを伝えます。
そんなロダの心は、
(うきゃああっ、リリの肩に触れちゃった!リリと見つめ合っちゃってるよ!うきゃあああ!!)
という嬉し恥ずかしに悶える心と、
(ああ、あの時の三巳はヤバかった!本当の姿も家よりデカイし!そういえばあの時も!)
という三巳の理不尽な強さを思い出して身震いする心がせめぎ合っていました。
尤も一応アレでも神様の一員です。大抵相手が平伏するか近寄らないので滅多にその凄さは見れませんが。
「ふわ~三巳って凄いのね!」
何がどう凄いのかわかりませんが、ロダの真剣な表情から兎に角凄い事だけは伝わって、リリは尊敬と敬愛の眼差しでキラキラと輝いています。
お陰で更に三巳が好きになったリリですが、ロダの事は今までと一緒です。山の民の子供達の年長さんで、リリを保護してくれた人の一人で、最近は良く薬草取りに一緒に来る人。それだけです。
残念ながらまだ、ロダの想いは届いていません。あれで届く訳も無いかもしれませんが。
「リっリリリリリリの事は僕が守りましゅ!」
涙目で対抗心を燃やしたロダは格好付けようとして、どもった挙句最後に噛みました。
更に涙目になるロダに、リリはキョトンと瞬きをしてからクスリと笑いました。
「ふふ。ありがとうロダ。
貴方って優しくて面白い人ね」
「はわっ!」
思い掛けず花が咲き乱れる様な天使の微笑み(ロダ視点)でお礼を言われ、更に褒められた事で、ロダは天にも登る気持ちで舞い上がりました。
(リリ可愛い!!絶対に僕が守ってみせるからね!)
その日のロダの張り切りようは、動物達でさえ遠巻きにするレベルでしたとさ。
三巳の事が前よりは知る事が出来て仲良くなれた気がするからです。
三巳には心身共に助けて貰った恩があります。
心が挫かれていた時に優しく受け入れてくれた三巳。しかも大好きなモフモフ。
これで好きにならない理由はありません。
「三巳だ~い好きよ」
触り心地の良いフワフワ尻尾と耳をうっとり撫で撫でしながらつい言葉にしてしまう位には大好きになっていました。
「三巳もリリが大好きだぞー」
恍惚と撫で撫でされながら三巳が返してくれたものですから、リリは嬉しくて嬉しくてモフモフムギューと抱きしめました。その光景をついうっかり見てしまったロダが、物陰からショックを受けて立ち尽くしているのも気付かずに。
撫で撫でタイムが終われば朝の薬草摘みです。
最近は独り立ちしてロキ医師無しで摘みに来ます。勿論帰ったらしっかり選別してもらいますが。
「うふふ。好き。だ~い好き」
リリは軽くメロディを口遊みながら軽快なスキップで散策に向かいます。
「リリっ、山はモンスターがいるから1人は危険だよっ」
これ以上リリの好きを三巳に取られたく無いロダは、必死でリリを追い掛けます。
「あら、ロダおはよう」
「はうっ!」
ロダの呼び声に、薬草を入れる籠を両手で持ってくるりと振り返るリリです。
スカートも髪もくるりと翻って一枚の絵の様です。
ロダは余りの可愛らしさに心臓を撃ち抜かれました。
真っ赤に茹るロダの脳内では、今のシーンがリフレインしています。
「?ロダ?大丈夫?顔が赤いわ」
ロダの内心なんて全く気付かないリリは、様子のおかしいロダに近付くとおデコに手のひらをピトっとつけます。
「はっ!?はひゃっ!?」
ロダはリリの心地良い手の感触を感じ、ビックリして高く飛び上がりました。
そんなロダの様子にリリの方がビックリします。
「やっぱり何かの病気なんじゃ」
「だだだだっ、大丈夫!超元気!凄く元気!人生で一番元気だから!」
心配するリリに、ロダはワタワタしながら『元気』をアピールします。
余りの勢いにリリは若干引き気味です。
「そ、そう?無理はしないでね?」
「う、うん」
少し後退しつつ言われたロダは、ショックと己の情けなさに涙目で頷きました。
「それじゃ私は薬草取りに行くから」
「待ってっ、子供は一人で山に入らないんだ」
「?そうなの?」
一人でひょいひょい山の天辺から底辺まで遊びに行く三巳を知っているリリです。首を傾げるのも無理はありません。
(でも生きた年数自体は誰よりも年長だから良いのかしら)
傾げましたが直ぐに思い至って納得しました。
獣人の寿命は種族によって違います。そしてまだ知られていない種族も多いです。
お陰でリリはちっとも三巳に対して何の疑問も抱いていません。
「でも危険な場所なら三巳一人なのはやっぱり心配だわ」
「え?何で今三巳なの?」
三巳の事を考え過ぎてつい口に出して心配してしまうリリに、脈絡を見出せないロダは首を捻ります。嫉妬もします。
「だって三巳みたいなモフモフでフワフワの可愛い獣人、きっと誰だって放って置かないわ」
肉食獣に食べられちゃう哀れな三巳ワンコを想像するだけで、リリは涙目です。
多くを失ったリリは、もう大切な者達を失いたくありません。
「うう~ん?モフモフでフワフワは確かだけど……。
三巳はああ見えて山の誰より強いから、寧ろ理不尽に強すぎて一番怒らせたくない獣神だから」
悲しそうなリリに、ロダの方が胸を締め付けられて、三巳への嫉妬心なんて簡単に吹き飛びました。
兎に角安心させようとリリの肩をポンと掴んで、リリの目をしっかり見つめて真顔で三巳の強さを伝えます。
そんなロダの心は、
(うきゃああっ、リリの肩に触れちゃった!リリと見つめ合っちゃってるよ!うきゃあああ!!)
という嬉し恥ずかしに悶える心と、
(ああ、あの時の三巳はヤバかった!本当の姿も家よりデカイし!そういえばあの時も!)
という三巳の理不尽な強さを思い出して身震いする心がせめぎ合っていました。
尤も一応アレでも神様の一員です。大抵相手が平伏するか近寄らないので滅多にその凄さは見れませんが。
「ふわ~三巳って凄いのね!」
何がどう凄いのかわかりませんが、ロダの真剣な表情から兎に角凄い事だけは伝わって、リリは尊敬と敬愛の眼差しでキラキラと輝いています。
お陰で更に三巳が好きになったリリですが、ロダの事は今までと一緒です。山の民の子供達の年長さんで、リリを保護してくれた人の一人で、最近は良く薬草取りに一緒に来る人。それだけです。
残念ながらまだ、ロダの想いは届いていません。あれで届く訳も無いかもしれませんが。
「リっリリリリリリの事は僕が守りましゅ!」
涙目で対抗心を燃やしたロダは格好付けようとして、どもった挙句最後に噛みました。
更に涙目になるロダに、リリはキョトンと瞬きをしてからクスリと笑いました。
「ふふ。ありがとうロダ。
貴方って優しくて面白い人ね」
「はわっ!」
思い掛けず花が咲き乱れる様な天使の微笑み(ロダ視点)でお礼を言われ、更に褒められた事で、ロダは天にも登る気持ちで舞い上がりました。
(リリ可愛い!!絶対に僕が守ってみせるからね!)
その日のロダの張り切りようは、動物達でさえ遠巻きにするレベルでしたとさ。
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