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本編
子供の日
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今日は村の子供の日です。
昔々にこの位の時期に三巳が
「そういえば子供の日ってこれ位の時期だったなー」
と漏らしたのが始まりです。
正確な日にちは決まっていません。そもそもカレンダーは存在していません。
山の民は季節を肌で感じ取っているのです。
「子供の日って何かしら」
日本独自の風習は、やはりリリの故郷には存在しなかった様です。
新しい話に興味津々、目を輝かせています。
「子供の健康と成長を祈ったり祝ったりする日だぞ」
前世含めて子供を育てた事の無い三巳は、子供の日をアバウトに覚えているだけでした。
なので村の子供の日も独自の発展を遂げています。
「わあ、素敵!どういう事をするの?」
「まずは飾りとして鯉のぼりだなー。子供達が覚えた魔法を駆使して思い思いに作り出すんだ」
鯉のぼりも最初の頃は布で作る事を教えていましたが、布地の余裕が無かったので魔法で代用したのが始まりです。
兜飾りはそもそも兜が山の民に上手く説明出来なかったのでありません。
「なら私は参加出来ないのね……」
現在魔法が使えないリリは落ち込みました。
「魔法使えないのはリリだけじゃないからなー。
そっちは出来る様になったら参加すればいいさー」
三巳は落ち込むリリの頭をよしよしと撫でてあげました。
「うん。早く治る様に頑張るわ」
「焦らずゆっくり程々になー」
苦笑して気を持ち直したリリに、三巳は頭を優しくポンポンと叩きます。
心の病気は焦りは禁物なのです。ショック療法もありますがリリにする気は毛頭ありません。
「他には何をするの?」
「柏餅食べて、最後は菖蒲湯に入る。
鯉のぼりが終わった後に皆で餅ついて柏でくるんだの食べるんだ」
三巳は柏餅を思ってだらしない顔で涎を垂らしました。
尻尾もくねくねとだらしなく動いています。楽しみでしょうがない三巳の心情を如実に表しています。
「かしわ?しょうぶ?」
「うん?リリの育った場所には無かったか?柏と菖蒲」
「?うん。書物なら結構読んだけど、見た事ないわ」
「?ここだけの特産なのかな?」
三巳もリリも首を傾げました。
実は三巳の守る山は三巳の力の影響で地球の植物が育っています。初めからある地球と同じ物もあるので、三巳すら気付いていませんが。
「まあいっかー。楽しみが増えるだけだしな」
「そうね。知らない事ってワクワクするわ」
リリは想像を膨らませてうっとりします。
「おー、それじゃ先ずは鯉のぼり会場に行こうか」
「うん!」
三巳はリリの手を握って診療所を出ました。
外に出ればロダが落ち着きなくウロウロ、モジモジしていました。
ロダはリリに気付くなり、真っ赤になって飛び上がります。
ロダは隠れる場所を探してキョロキョロしましたがそう都合よく隠れる場所なんてありません。
諦めて決意をし、勇気を振り絞る様に両の手をギュッと握りました。
「リリリリリリっいいいいいいいっしょっ」
「あら、ロダおはよう」
ロダの言葉とリリの挨拶が被りました。
勇気も決意も出端を挫かれれば勢いを失います。
ロダは言えなかった自分の不甲斐無さに悲しくなり、リリに声を掛けられた事に喜ぶ器用な顔をしました。
視界外の三巳は半眼で「ヘタレめー」と呟いています。
近くにいたリリは三巳の呟きに首を傾げます。
「へたれ?」
「あははー、こっちの事ー。それよか会場行こう」
「?うん」
三巳は誤魔化しつつリリの手を引いて歩きだします。
リリは深く追求せずに大人しく付いて行きます。そしてロダに振り返りました。
「ロダも行くんでしょう。一緒に行きましょ」
ニッコリと花が咲く様な微笑みで誘われたロダは天にも昇る気持ちです。
「いいの!?」
「?勿論」
ロダはご機嫌になってリリの隣を陣取りました。
結局自分で誘えなかったロダに、三巳は内心呆れ返りましたが黙っていました。
けれど耳も尻尾もヤレヤレという感情が如実に表れています。ロダはそれに気付かなかった事にしました。
三人が会場に着いた時には準備は整っていました。
「おー皆揃ってるなー」
「ふわあ、こんなに子供が居たのね」
村全ての子供達が会場に集まる様は圧巻です。
それぞれの保護者が会場の周囲に集まり微笑ましく見守り、子供達は真ん中でキャイキャイとはしゃいでいます。
「それじゃあ皆ー用意は良いかなー?」
「「「はーい!!」」」
村長の合図で子供達が元気に手を上げます。
「始めー!」
「「「きゃー♪」」」
村長が空に火花を打ち上げると、子供達は一斉に魔法を発動しました。
それぞれの得意分野で作られる鯉のぼりは色取り取り、形も様々で目に楽しいです。
火の鯉のぼり。水の鯉のぼり。土の鯉のぼり。雷の鯉のぼり。風の鯉のぼりは色が無いので判り辛いですが。
兎に角様々な鯉のぼりが子供達に併せて空を地を泳いでいます。
「凄い」
これにはリリも感動で目が離せません。
そんなリリの横顔からロダも目を離せません。
「ロズもロッカもロアもローエンもロマナもミソラもミッシーもミカゲもミリオンもミーサも上達したなー」
三巳は幼年組の子供達を順番に褒めて撫で回りました。
「そういうえば、この村の人達の名前って男の人は『ロ』、女の人は『ミ』が付いてるのね」
「うん。『ミ』は三巳から文字って、『ロ』はオオカミの別呼びのロウから文字ってるんだって」
今更気付いたリリの疑問に、リリに見惚れていたロダが無意識に答えます。
「なんで三巳の名前?」
「三巳が始まりの村からいる獣神だからだよ」
「!?三巳ってそんなに長生きの獣人だったの!?」
ロダは普通に会話できてる事に気付いて途端、真っ赤な顔で手をモジモジし始めました。
神の意で言ったロダですが、リリは全く気付きません。それどころか長生きの所にビックリしてそれ所ではありません。
「どうしよう。すっかり同じ年頃の様に接してしまってるわ」
リリはオロオロします。
ロダはオロオロするリリも可愛いと脳内で悶えています。
「三巳は畏まれるの嫌いだから、そのままで良いんだよ。
実際三巳って子供っぽいしね」
ちゃんと会話出来てる僕凄い!と脳内で自画自賛の嵐のロダは、三巳を出汁に会話を続けます。
耳の良い三巳はちゃんとその会話が聞こえています。
(甘やかすの止めてやろうか)
大人気無く思う三巳ですが、元々そんなに甘やかしていません。
(それにしても始まりの村かー。懐かしいなー)
三巳は子供達を愛でつつ、昔々を思い出すのでした。
昔々にこの位の時期に三巳が
「そういえば子供の日ってこれ位の時期だったなー」
と漏らしたのが始まりです。
正確な日にちは決まっていません。そもそもカレンダーは存在していません。
山の民は季節を肌で感じ取っているのです。
「子供の日って何かしら」
日本独自の風習は、やはりリリの故郷には存在しなかった様です。
新しい話に興味津々、目を輝かせています。
「子供の健康と成長を祈ったり祝ったりする日だぞ」
前世含めて子供を育てた事の無い三巳は、子供の日をアバウトに覚えているだけでした。
なので村の子供の日も独自の発展を遂げています。
「わあ、素敵!どういう事をするの?」
「まずは飾りとして鯉のぼりだなー。子供達が覚えた魔法を駆使して思い思いに作り出すんだ」
鯉のぼりも最初の頃は布で作る事を教えていましたが、布地の余裕が無かったので魔法で代用したのが始まりです。
兜飾りはそもそも兜が山の民に上手く説明出来なかったのでありません。
「なら私は参加出来ないのね……」
現在魔法が使えないリリは落ち込みました。
「魔法使えないのはリリだけじゃないからなー。
そっちは出来る様になったら参加すればいいさー」
三巳は落ち込むリリの頭をよしよしと撫でてあげました。
「うん。早く治る様に頑張るわ」
「焦らずゆっくり程々になー」
苦笑して気を持ち直したリリに、三巳は頭を優しくポンポンと叩きます。
心の病気は焦りは禁物なのです。ショック療法もありますがリリにする気は毛頭ありません。
「他には何をするの?」
「柏餅食べて、最後は菖蒲湯に入る。
鯉のぼりが終わった後に皆で餅ついて柏でくるんだの食べるんだ」
三巳は柏餅を思ってだらしない顔で涎を垂らしました。
尻尾もくねくねとだらしなく動いています。楽しみでしょうがない三巳の心情を如実に表しています。
「かしわ?しょうぶ?」
「うん?リリの育った場所には無かったか?柏と菖蒲」
「?うん。書物なら結構読んだけど、見た事ないわ」
「?ここだけの特産なのかな?」
三巳もリリも首を傾げました。
実は三巳の守る山は三巳の力の影響で地球の植物が育っています。初めからある地球と同じ物もあるので、三巳すら気付いていませんが。
「まあいっかー。楽しみが増えるだけだしな」
「そうね。知らない事ってワクワクするわ」
リリは想像を膨らませてうっとりします。
「おー、それじゃ先ずは鯉のぼり会場に行こうか」
「うん!」
三巳はリリの手を握って診療所を出ました。
外に出ればロダが落ち着きなくウロウロ、モジモジしていました。
ロダはリリに気付くなり、真っ赤になって飛び上がります。
ロダは隠れる場所を探してキョロキョロしましたがそう都合よく隠れる場所なんてありません。
諦めて決意をし、勇気を振り絞る様に両の手をギュッと握りました。
「リリリリリリっいいいいいいいっしょっ」
「あら、ロダおはよう」
ロダの言葉とリリの挨拶が被りました。
勇気も決意も出端を挫かれれば勢いを失います。
ロダは言えなかった自分の不甲斐無さに悲しくなり、リリに声を掛けられた事に喜ぶ器用な顔をしました。
視界外の三巳は半眼で「ヘタレめー」と呟いています。
近くにいたリリは三巳の呟きに首を傾げます。
「へたれ?」
「あははー、こっちの事ー。それよか会場行こう」
「?うん」
三巳は誤魔化しつつリリの手を引いて歩きだします。
リリは深く追求せずに大人しく付いて行きます。そしてロダに振り返りました。
「ロダも行くんでしょう。一緒に行きましょ」
ニッコリと花が咲く様な微笑みで誘われたロダは天にも昇る気持ちです。
「いいの!?」
「?勿論」
ロダはご機嫌になってリリの隣を陣取りました。
結局自分で誘えなかったロダに、三巳は内心呆れ返りましたが黙っていました。
けれど耳も尻尾もヤレヤレという感情が如実に表れています。ロダはそれに気付かなかった事にしました。
三人が会場に着いた時には準備は整っていました。
「おー皆揃ってるなー」
「ふわあ、こんなに子供が居たのね」
村全ての子供達が会場に集まる様は圧巻です。
それぞれの保護者が会場の周囲に集まり微笑ましく見守り、子供達は真ん中でキャイキャイとはしゃいでいます。
「それじゃあ皆ー用意は良いかなー?」
「「「はーい!!」」」
村長の合図で子供達が元気に手を上げます。
「始めー!」
「「「きゃー♪」」」
村長が空に火花を打ち上げると、子供達は一斉に魔法を発動しました。
それぞれの得意分野で作られる鯉のぼりは色取り取り、形も様々で目に楽しいです。
火の鯉のぼり。水の鯉のぼり。土の鯉のぼり。雷の鯉のぼり。風の鯉のぼりは色が無いので判り辛いですが。
兎に角様々な鯉のぼりが子供達に併せて空を地を泳いでいます。
「凄い」
これにはリリも感動で目が離せません。
そんなリリの横顔からロダも目を離せません。
「ロズもロッカもロアもローエンもロマナもミソラもミッシーもミカゲもミリオンもミーサも上達したなー」
三巳は幼年組の子供達を順番に褒めて撫で回りました。
「そういうえば、この村の人達の名前って男の人は『ロ』、女の人は『ミ』が付いてるのね」
「うん。『ミ』は三巳から文字って、『ロ』はオオカミの別呼びのロウから文字ってるんだって」
今更気付いたリリの疑問に、リリに見惚れていたロダが無意識に答えます。
「なんで三巳の名前?」
「三巳が始まりの村からいる獣神だからだよ」
「!?三巳ってそんなに長生きの獣人だったの!?」
ロダは普通に会話できてる事に気付いて途端、真っ赤な顔で手をモジモジし始めました。
神の意で言ったロダですが、リリは全く気付きません。それどころか長生きの所にビックリしてそれ所ではありません。
「どうしよう。すっかり同じ年頃の様に接してしまってるわ」
リリはオロオロします。
ロダはオロオロするリリも可愛いと脳内で悶えています。
「三巳は畏まれるの嫌いだから、そのままで良いんだよ。
実際三巳って子供っぽいしね」
ちゃんと会話出来てる僕凄い!と脳内で自画自賛の嵐のロダは、三巳を出汁に会話を続けます。
耳の良い三巳はちゃんとその会話が聞こえています。
(甘やかすの止めてやろうか)
大人気無く思う三巳ですが、元々そんなに甘やかしていません。
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