33 / 368
本編
変〜身♪
しおりを挟む
最近の三巳のマイブームは、変身です。
前世の少女時代に憧れてた変身です。
年を経て憧れが憧れで無くなった今、三巳を縛る常識という名の枷は無いのです。
それはもう、手を変え品を変えの如くです。
今日も今日とて三巳は変身しました。
「にゃおーん♪」
どうやら今日はニャンコな気分の様ですね。
「にゃふー」
三巳はニャンコ姿をクルクル回りながら観察しています。
(うーん、ちゃんと猫の尻尾だなー。
コアラになった時は獣神の尻尾付いてたし、尻尾無い生き物になると獣神の尻尾が残るのかな?)
クルクル、クルクル。ニャンコな細長いフサフサ尻尾を追い掛けながら、三巳は考えます。
途中で何でも良くなって辞めました。
因みにどんな変身をしても瞳は一緒ですが、鏡を見ていないので気付いていません。
「にゃー」
三巳はニャンコならではの動きを再現すべく、駆け出しました。
ニャンコになったらやってみたい事その1。
「にゃん」
高い木に駆け登ってから飛び降りてくるりんぱ。
三巳は綺麗に着地しました。
「にゃふー」
三巳は満足そうに猫胸を反らしました。
尻尾も誇らしそうにペシペシ地面を叩いています。
自己自慢に満足したら次に行きます。
ニャンコになったらやってみたい事その2。
「にゃにゃにゃにゃ」
鋭い爪をシャキーン!と出してカリカリカリカリ。
三巳は近くの木で思いっきり爪研ぎをしています。
三巳の周りには削られて鰹節の様になっていく木がこんもりと溜まっていきます。
キシ……メキメキ……。
三巳が夢中になって研いでいると、不穏な音がしてきました。
それでもなお、爪研ぎをしています。
むしろどんどん速くなって、最早残像しか見えません。
少し離れて見ると木が斜めになっていきます。
けれど夢中になっている三巳は気付きません。
次の瞬間。
バキバキバキー!ど―――ん!!
木は倒れてしまいました。三巳の方へと。
勿論夢中になり過ぎて周りが見えていなかった三巳は、諸に頭上に直撃しました。
これがギャグマンガだったら目ん玉飛び出ている事でしょう。
「みゃふー!?」
三巳はビックリして肉球で頭を抑えて飛び上がりました。
ちっとも痛くは有りませんでしたが、頭を抑えたままあちこち飛び跳ねます。
そしてササっと木陰に隠れて、そろりと倒れた木を覗きました。
(にゃはー。ビックリしたー。削り過ぎたのかー。木には悪かったなー)
三巳は木陰から出ると残った根元にまた大きく育つ様、魔力を込めました。
これで太陽の光が上手く入らなくても、また大きく育つ事でしょう。
(倒れた木は後で大工か家具屋にでも持ってこー)
三巳は次行こー次。の精神で、別の場所に移動しました。
ニャンコになったらやってみたい事その3。
「にゃふ~ん」
狩り……はネズミさんが可哀想なのでパスです。
三巳は村の陽当たりの良い縁側までやって来ました。
縁側ではお婆さんが座ってお茶を飲んでいます。
「おやまあ、三巳かい?」
「にゃ」
「何だい?猫の真似事かい?」
「にゃ」
どうやらお婆さんは目が良く見えない様です。
神気と気配だけで三巳が近くに来た事を感じ取ります。
そんなお婆さんの膝上に三巳はピョンと軽快に飛び乗りました。
そして暫く膝上をクルクル回って、ココと決めた処でストンとまぁるく寝転びました。
「おやおや、ずいぶん小さくなったねえ」
お婆さんは膝の上で欠伸をかく三巳猫の頭を撫でました。
三巳はポヤポヤしながら穏やかに撫でるお婆さんをチラリと仰ぎ見て、直ぐに顔をクロスした腕に乗せて目を閉じました。
陽射しはポカポカ暖かく、お婆さんのお膝もポカポカ暖かく、撫でり撫でりと撫でてくれるお婆さんの手もポカポカ暖かく、三巳はうつらうつらとして次第に夢の中に旅立って行きました。
目が覚めたのは空が橙色に染まってからでした。
お婆さんを仰ぎ見ると、お婆さんもすっかり寝てしまっていました。
このままでは風邪をひいてしまうと思った三巳は、人型に戻ってお婆さんを起さない様に布団まで運んであげました。
「ミーちゃんこれからも長生きしてなー」
そう言って三巳はそっと部屋を後にしました。
前世の少女時代に憧れてた変身です。
年を経て憧れが憧れで無くなった今、三巳を縛る常識という名の枷は無いのです。
それはもう、手を変え品を変えの如くです。
今日も今日とて三巳は変身しました。
「にゃおーん♪」
どうやら今日はニャンコな気分の様ですね。
「にゃふー」
三巳はニャンコ姿をクルクル回りながら観察しています。
(うーん、ちゃんと猫の尻尾だなー。
コアラになった時は獣神の尻尾付いてたし、尻尾無い生き物になると獣神の尻尾が残るのかな?)
クルクル、クルクル。ニャンコな細長いフサフサ尻尾を追い掛けながら、三巳は考えます。
途中で何でも良くなって辞めました。
因みにどんな変身をしても瞳は一緒ですが、鏡を見ていないので気付いていません。
「にゃー」
三巳はニャンコならではの動きを再現すべく、駆け出しました。
ニャンコになったらやってみたい事その1。
「にゃん」
高い木に駆け登ってから飛び降りてくるりんぱ。
三巳は綺麗に着地しました。
「にゃふー」
三巳は満足そうに猫胸を反らしました。
尻尾も誇らしそうにペシペシ地面を叩いています。
自己自慢に満足したら次に行きます。
ニャンコになったらやってみたい事その2。
「にゃにゃにゃにゃ」
鋭い爪をシャキーン!と出してカリカリカリカリ。
三巳は近くの木で思いっきり爪研ぎをしています。
三巳の周りには削られて鰹節の様になっていく木がこんもりと溜まっていきます。
キシ……メキメキ……。
三巳が夢中になって研いでいると、不穏な音がしてきました。
それでもなお、爪研ぎをしています。
むしろどんどん速くなって、最早残像しか見えません。
少し離れて見ると木が斜めになっていきます。
けれど夢中になっている三巳は気付きません。
次の瞬間。
バキバキバキー!ど―――ん!!
木は倒れてしまいました。三巳の方へと。
勿論夢中になり過ぎて周りが見えていなかった三巳は、諸に頭上に直撃しました。
これがギャグマンガだったら目ん玉飛び出ている事でしょう。
「みゃふー!?」
三巳はビックリして肉球で頭を抑えて飛び上がりました。
ちっとも痛くは有りませんでしたが、頭を抑えたままあちこち飛び跳ねます。
そしてササっと木陰に隠れて、そろりと倒れた木を覗きました。
(にゃはー。ビックリしたー。削り過ぎたのかー。木には悪かったなー)
三巳は木陰から出ると残った根元にまた大きく育つ様、魔力を込めました。
これで太陽の光が上手く入らなくても、また大きく育つ事でしょう。
(倒れた木は後で大工か家具屋にでも持ってこー)
三巳は次行こー次。の精神で、別の場所に移動しました。
ニャンコになったらやってみたい事その3。
「にゃふ~ん」
狩り……はネズミさんが可哀想なのでパスです。
三巳は村の陽当たりの良い縁側までやって来ました。
縁側ではお婆さんが座ってお茶を飲んでいます。
「おやまあ、三巳かい?」
「にゃ」
「何だい?猫の真似事かい?」
「にゃ」
どうやらお婆さんは目が良く見えない様です。
神気と気配だけで三巳が近くに来た事を感じ取ります。
そんなお婆さんの膝上に三巳はピョンと軽快に飛び乗りました。
そして暫く膝上をクルクル回って、ココと決めた処でストンとまぁるく寝転びました。
「おやおや、ずいぶん小さくなったねえ」
お婆さんは膝の上で欠伸をかく三巳猫の頭を撫でました。
三巳はポヤポヤしながら穏やかに撫でるお婆さんをチラリと仰ぎ見て、直ぐに顔をクロスした腕に乗せて目を閉じました。
陽射しはポカポカ暖かく、お婆さんのお膝もポカポカ暖かく、撫でり撫でりと撫でてくれるお婆さんの手もポカポカ暖かく、三巳はうつらうつらとして次第に夢の中に旅立って行きました。
目が覚めたのは空が橙色に染まってからでした。
お婆さんを仰ぎ見ると、お婆さんもすっかり寝てしまっていました。
このままでは風邪をひいてしまうと思った三巳は、人型に戻ってお婆さんを起さない様に布団まで運んであげました。
「ミーちゃんこれからも長生きしてなー」
そう言って三巳はそっと部屋を後にしました。
21
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる