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そして日常へ
耳がきーんってするんだぞ!
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おれはネルビー。リリの守護獣だ。ドヤア。
おれは今威嚇をしてる。
「う゛う゛~……」
犬歯を剥き出しにして低い唸りを上げてるのに、
「ピーヒョロロロクィックイックィ~チュチチチピーチョッチョッチョ!」
何でもっとおっきな声で鳴き出すんだ!?
ことの始まりは……よく覚えてないぞ?
でもおれが唸るの止めないのはコイツがずっとおっきい声で鳴いてるからだ!
「凄く綺麗な鳴き声ね。カナリア、だったかしら」
「おー、こんな冬は寒い場所にいるのは珍しいんだよ」
おれが頑張って威嚇してるのに、リリはちっとも加勢してくれない。それどころか天井の出っ張りに止まって鳴き続けるカナリアに夢中だ。寂しくなって拗ねそうだぞ。
おれだって動物達は友達だから仲良くしたい。でも、
「ピッピッピ!ピーヒョロロロ!!」
うあー!また!
さっきから鳴き続ける声が甲高すぎておれ、耳がねじ曲がりそうだ。三巳だっておれと同じ三角耳なのに、キーンって来ないのか?
恨めしくなって見上げたら三巳と目が合った。
「はは~ん。ネルビー、全部聞こえるままに聞いてるだろ。ただでさえ守護獣に進化して耳が良くなってるんだ。そのままだと聞こえすぎて辛いだろ」
『三巳は違うのか?』
「三巳はちゃんと聞くべき音量を調節してるんだよ」
!?
こともなげに言う三巳は、三角耳をピーンって立たせてる。おれは耐えられなくて耳をペタンって伏せて塞いでるのに。
どういうことかわからなくて首を傾げたおれは、
「きゅ~ん?」
ってないた。鼻もきゅって締まっちゃってるぞ。
「にゃはははっ、そっかーちょっと難しかったかな?
んー、耳の奥んところをキュって絞って膜を張る感じ」
身振り手振り耳振りで教えてくれるのは有り難いがやっぱりよくわからない。
見兼ねた三巳がおれの耳の回りを押したり揉んだりして、
「こんな感じ何だよ。それでな、いきなり山の高いところ登ったり、水の深いとこ潜ると耳がおかしくなるだろ。そんな感じの膜を内側に張る感じ。でも同じに張ると今度は聞こえ辛いから調節するんだよ」
言われた通りにしたら、んお?聞こえない?んあ?三巳が何か喋ってるぞ?でも聞こえないぞ。
首を振っても、聞こえない。
「バウ!ワウ!」
思いっきり吠えても、聞こえない。
どったん!ばったん!ずりりりり!
飛んで跳ねて体の半分地面に滑らせても、聞こえない。
ど、どうなっちゃったんだ!?
「……ビー!ネルビー!聞こえるか!?」
混乱して荒く息してたおれの体に温もりが巡って、そしたら急に三巳の声が聞こえてきた。
良かった!治ったぞ!
はふーって息を吐き出したおれを見て、三巳は困ったように頭を掻いてる。
その隣でリリも眉毛下げてて悲しそうだ。
『ごめんリリ、おれもう大丈夫だぞ』
「よかった……。でもネルビーが辛い思いするなら、可哀想だけどカナリアさんにはお外に出て貰うしかないわね」
だ、ダメだっ!リリはもうそんな悲しい顔したらダメだぞっ!
「残念だけどネルビーが音量調節能力を身に付けられないならお別れするしかないなー。ネルビーが習得出来たら平気だったんだけどなー」
三己の言葉にズガ――――ンって雷に打たれた!お、おれがっ、おれがリリを悲しませてるっ!そんなの許せるわけないぞ!!
気合いでムギギギギって奥歯噛み締めて頑張ったら、
「ぴっぴぴ、ひょろろろ、ちゅんちゅんっち」
おお!おれ頑張れた!
「やったじゃないか!」
「凄いわネルビー!」
リリがいっぱいの笑顔でわしゃわしゃって撫でてくれた。むふーん、おれゆうのーだからちょっと頑張ればこれ位出来るんだぞ。リリの為ならおれいっぱい頑張れるからなっ。
胸をめいっぱい逸らしてふすんって鼻息もらすんだぞ。
そしたら見えた三巳のニマって顔。
含みがありそうだけどおれにはわからないし、いっか。リリが嬉しそうだからなっ。
おれは今威嚇をしてる。
「う゛う゛~……」
犬歯を剥き出しにして低い唸りを上げてるのに、
「ピーヒョロロロクィックイックィ~チュチチチピーチョッチョッチョ!」
何でもっとおっきな声で鳴き出すんだ!?
ことの始まりは……よく覚えてないぞ?
でもおれが唸るの止めないのはコイツがずっとおっきい声で鳴いてるからだ!
「凄く綺麗な鳴き声ね。カナリア、だったかしら」
「おー、こんな冬は寒い場所にいるのは珍しいんだよ」
おれが頑張って威嚇してるのに、リリはちっとも加勢してくれない。それどころか天井の出っ張りに止まって鳴き続けるカナリアに夢中だ。寂しくなって拗ねそうだぞ。
おれだって動物達は友達だから仲良くしたい。でも、
「ピッピッピ!ピーヒョロロロ!!」
うあー!また!
さっきから鳴き続ける声が甲高すぎておれ、耳がねじ曲がりそうだ。三巳だっておれと同じ三角耳なのに、キーンって来ないのか?
恨めしくなって見上げたら三巳と目が合った。
「はは~ん。ネルビー、全部聞こえるままに聞いてるだろ。ただでさえ守護獣に進化して耳が良くなってるんだ。そのままだと聞こえすぎて辛いだろ」
『三巳は違うのか?』
「三巳はちゃんと聞くべき音量を調節してるんだよ」
!?
こともなげに言う三巳は、三角耳をピーンって立たせてる。おれは耐えられなくて耳をペタンって伏せて塞いでるのに。
どういうことかわからなくて首を傾げたおれは、
「きゅ~ん?」
ってないた。鼻もきゅって締まっちゃってるぞ。
「にゃはははっ、そっかーちょっと難しかったかな?
んー、耳の奥んところをキュって絞って膜を張る感じ」
身振り手振り耳振りで教えてくれるのは有り難いがやっぱりよくわからない。
見兼ねた三巳がおれの耳の回りを押したり揉んだりして、
「こんな感じ何だよ。それでな、いきなり山の高いところ登ったり、水の深いとこ潜ると耳がおかしくなるだろ。そんな感じの膜を内側に張る感じ。でも同じに張ると今度は聞こえ辛いから調節するんだよ」
言われた通りにしたら、んお?聞こえない?んあ?三巳が何か喋ってるぞ?でも聞こえないぞ。
首を振っても、聞こえない。
「バウ!ワウ!」
思いっきり吠えても、聞こえない。
どったん!ばったん!ずりりりり!
飛んで跳ねて体の半分地面に滑らせても、聞こえない。
ど、どうなっちゃったんだ!?
「……ビー!ネルビー!聞こえるか!?」
混乱して荒く息してたおれの体に温もりが巡って、そしたら急に三巳の声が聞こえてきた。
良かった!治ったぞ!
はふーって息を吐き出したおれを見て、三巳は困ったように頭を掻いてる。
その隣でリリも眉毛下げてて悲しそうだ。
『ごめんリリ、おれもう大丈夫だぞ』
「よかった……。でもネルビーが辛い思いするなら、可哀想だけどカナリアさんにはお外に出て貰うしかないわね」
だ、ダメだっ!リリはもうそんな悲しい顔したらダメだぞっ!
「残念だけどネルビーが音量調節能力を身に付けられないならお別れするしかないなー。ネルビーが習得出来たら平気だったんだけどなー」
三己の言葉にズガ――――ンって雷に打たれた!お、おれがっ、おれがリリを悲しませてるっ!そんなの許せるわけないぞ!!
気合いでムギギギギって奥歯噛み締めて頑張ったら、
「ぴっぴぴ、ひょろろろ、ちゅんちゅんっち」
おお!おれ頑張れた!
「やったじゃないか!」
「凄いわネルビー!」
リリがいっぱいの笑顔でわしゃわしゃって撫でてくれた。むふーん、おれゆうのーだからちょっと頑張ればこれ位出来るんだぞ。リリの為ならおれいっぱい頑張れるからなっ。
胸をめいっぱい逸らしてふすんって鼻息もらすんだぞ。
そしたら見えた三巳のニマって顔。
含みがありそうだけどおれにはわからないし、いっか。リリが嬉しそうだからなっ。
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