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1章
シナリオの改変
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イブリンと魔法を使った後、なんだかんだでイグリムは約束通り競技場に来てはくれた。
「申し訳ない!生徒会の仕事が思いのほか長引いてしまったんだ」
ユーリアスとイグリムは生徒会の一員なので、あながち嘘とも言えない。「気にするな」と言っておいた。
「じゃあシアン、俺は行くよ。練習頑張って」
イブリンは濡れた髪をかき上げながら言うと、イグリムの顔をチラッと見てから去っていった。
(今、イグリムを睨んでいたような…?)
「確か、彼は隣国から来た特待生…。別のクラスなのに、仲が良いようだね」
「そう見えるか?まとわりつかれて困っているんだ」
「そうか。なら、生徒会役員の1人として僕から注意しようか?」
「……いや、いいよ。それよりも、早く実践してみよう」
早速、俺とイグリムは基本魔法の実践に取り組むこととなった。
そしてここ1週間は放課後に魔法の練習をイグリムと行い、いよいよ実技試験当日を迎えた。
「それでは次、シアン・シュドレーとイグリム・マークハルト」
実技担当教師であるユラ先生に呼ばれた俺たちは前に出て手を取り合い、杖を振りながら次々に呪文を詠唱する。
すると、俺とイグリムを円で囲むように炎を出現させ、生い茂っていた足元の芝生が燃え尽きるまで火力を上げる。次の呪文を唱え、地面から土を盛り上げさせ、周りの炎を包み混むように操り、消化する。土魔法の出番はこれだけではない。水魔法を併用しシャワーのように土に水を与えることで植物の成長が促進され、地面から鮮やかな青々とした草花が生えてくる。さて、最後は、風魔法の見せどころだ。
イグリムと頷き合い、最後の呪文を唱える。
「「クリスタル」」
詠唱すると、一点に集められた水は一瞬で飛び散り、細やかな美しい結晶へと変化した。
「なんて美しい」
「すごい…」
「さすがのお2人ね…」
俺たちが披露し終えると、真っ先に同級生たちから驚嘆と賛美の声が上がった。
ユラ先生はというと、少し唖然とした表情を見せた後、いつもの元気な声で「素晴らしいですっ!お2人とも合格ですー!」と拍手をしながら褒めそやしてきた。
「もしや最後の魔法は、水魔法と火魔法によって生まれた水蒸気が風魔法で一気に空気中で冷やされたことによって結晶化したのですか?」
ユラ先生が聞いた事のない早口で尋ねてきて驚いたが、イグリムが得意げに黒縁メガネを上にあげ、答える。
「はい、自然現象でいうダイヤモンドダストみたいなものです。3つの魔法を一度に使うのは大変でしたが、成功出来て何よりです。今日はとても晴れているので、美しかったですね。シアン、君のアイディア通りに任せてよかった。それに、ペアになれたことで僕自身とても勉強になったよ。ありがとう」
「…俺の方こそ、ありがとうな」
こんなことで俺の死が免れる事にはならないだろうが、初めてシナリオを変えられたことに悪くない気分だった。
こうして、初めての実技試験は何とか合格して終えられたのである。
グーパーグーパーグーパー
「何してるの?」
「うおっ」
急に背後から話しかけて来たやつ、もう顔を見ずとも分かる。
「お前っ、だから気配消すなよ…」
「手。握ったり開いたりしてるけど、痛いの?」
イブリンは俺の言葉に反応せず、一直線に俺の手を掴み、パチパチと目を見開いて怪我がないか探し始める。
(たまにこの顔だ。本気で心配しているみたいなそんな顔。ほんと、変なやつ)
「はぁ、怪我とか別にしてない」
「そうなの?じゃあ、何してたの?」
「…お前さ、俺と……」
「…?」
「いや、なんでもない。ただの指のストレッチ!」
「なるほど?あ、そういえば聞いたよ。実技試験上手くいったんだってね。うちのクラスまで評判が広がってきたよ」
そう言って笑うこいつの顔を見て、どこか安心したような気持ちを覚える。
結局、「俺ともう1回魔法使ってみるか?」という言葉は言うことが出来なかった。
日が経つのはあっという間で、いよいよコンパネロ制度が始まるまであと1週間だ。
だからなのか、ここ1ヶ月は周りが何かと騒がしい。廊下を歩けば2人1組で行動しているものが多かったり、かと思えば1人を巡って2人や3人で言い争っている場面を見かけたりする。静かな場所を求め人気がない空き教室に入れば、情事に耽っている最中に遭遇することも多々あった。
ゲームで見ていたからこうなることは分かっていたが、実際に見るとまるで発情期に番を探し回る獣だな、と思う。早くこの異常が元に戻ることを願うばかりだ。
「シアンー!」
廊下で歩く俺の元へ嬉しそうに駆け寄ってくるイブリン。さすがにこの光景には慣れてしまった。
「いよいよコンパネロの誓いが結べるようになるね」
「そうだな。言っておくけど、お前と誓いは立てないからな」
俺はすかさずきっと睨みつけて言った。
「分かってる、分かってる。ただね、俺が心配なの は、変な奴に言い寄られてないかなぁってこと」
「変な奴…?」
…。
「んー…俺以外でね?」
言いたいことが伝わったらしい。
だが頭を撫でられるのは不服だ。なんだかこいつは、魔法を一緒に使った時からやたら俺に触れてくるようになった気がする。
「シアン、俺以外とコンパネロになっちゃダメだよ」
珍しく真剣な顔で言ってきた。
「お前にそんなこと決める権利ないだろ」
頭に置かれている手を払い除け、俺は自分の教室に戻る。
教室に入ると、中は女生徒の悲鳴やらこそこそと話す声やらでいつもよりも煩かった。
クラスメイト達の注目の的に目を向けると、席に座るシュレイの前に第一王子ユーリアスが緊張した面持ちで立っていた。
ここで思い出した、重要なイベント。
以前の競技場での出会いをきっかけに、ユーリアスはシュレイが気にかかるようになり、何かと大変なことがあれば手助けするようになる。そこから、ユーリアスの紹介でイグリムなどの幼なじみ(攻略対象)3人とも仲良くなっていく。もう少しで入学して半年が経つ訳だから、今はかなり4人との距離が縮まっている状態だろう。そんな所で、重要なイベントがある。コンパネロの誓いを結べるのにあと1週間となったのだ、ユーリアスたち4人はシュレイのことが気になって内心穏やかではなくなってくる。それも、4人ともシュレイと魔法を使ったことがあり、相性の良さが今までにない程であることをもう知ってしまっているため、そういう意味でも魅力的に感じてしまう訳だ。シナリオ通りであれば、ここ1週間は幼なじみの仲は1人の男を巡ってギスギスするようになり、戦いが始まる。その開始のゴングを鳴らすのが、ユーリアス。つまり、今これから見せられるものがそれなのだ。
「どうしたの、ユーリアス?珍しいね、僕のクラスにわざわざ来るなんて…」
「あ、ああ…そういえば初めてだな。その、今日は聞きたいことがあって来た。お前は…コンパネロの誓いを立てる相手はいるのか?」
「…!…う、ううん、いないよ。でも、いつかはそんな人が出来たらなって思うよ」
「ふっ、そうか」
第一王子ともあろう人間が、こんな公然とした場で1人の男、それも貧民街出身の侯爵家の養子に、恋人の契りとも呼ばれるコンパネロの相手はいるのかと聞くのはいささか安直すぎるなと思うが、これはこっそりやっていたら意味がない。学園生活に暇を持て余したゴシップ大好き令嬢たちなんかは噂を広めるのが早いのなんの。この噂を聞いた攻略対象3人は、王子に勝てる訳が無いと思いながらも心をやきもきさせ、主人公への想いを明確に行動に移すようになっていく。
ここまで来たと言うことはこれからはR18の場面も増えてくるということだ。実際に男と男のそれを見てしまう想像をして、俺は小さく震える右手を左手で強く掴んだ。
さて、これからは己の身の心配もしなければいけない。ゲームのシナリオでは、先程のユーリアスとシュレイの一件を見たことで、悪役令息シアンは2人がただならぬ関係であることを感じ取る。そして、取り巻き(実は反逆派の貴族の令息)たちとシュレイに近づき、攫う。そうなればもうお分かりだろう。シュレイを攻略対象4人が探すことで、俺と4人はようやく対面し、お互いに宣戦布告を行う。ここからユーリアスだけでなく4人が、シュレイを傷つける悪逆非道な男として俺を認識するようになるのだ。だが、当の俺は取り巻きもいないし当然そんな事をする気はないため、心配する必要はないはずなののだが…。
シュレイとユーリアスの出会いの場面で、俺の名が挙がったので恐らく俺が放っておいても、また他の反逆派の貴族令息たちが好き放題やるだろう。そうなると、ゲームのシナリオとは違う展開で俺が巻きこまれていくかもしれない。予測不可能な面倒ごとになっていけば、己の身に何が起こるか分からない。ここはシナリオ通りに俺がシュレイを攫うか、もしくは好感度を上げるためにシュレイを助けるか…。珍しく色々考えてみたが、俺はやはり結果的に何もしないことに決めた。
そう、決めたのだが…。
「お目にかかれて光栄です、シアン様!私、シアドール侯爵家のマウロ・シアドールと申します」
「シアン様、お会い出来て嬉しいです!私は…」
この調子で10人の挨拶を聞いて気づいたことが、こいつらは反逆派の令息たちだということ。
もしかすると、と嫌な予感を抱いていると…
「実は、シュレイ・アデスを捕まえてあります!」
と場所も弁えずに、最初に名乗ってきたマウロが元気よく言う。
「…やはりそういうことか」
俺は眉間に手を当てる。
つまり、俺がさっぱり行動をしなかったから取り巻きどもの方から俺に悪事しようぜ!と声をかけてきたというわけだ。それもご丁寧にもうシュレイを攫ってしまっているし。
こうなったら、俺が出来ることは1つしかない。
「よくやった。奴を捕らえている所に案内しろ」
「はい!」
待ってましたと言わんばかりに反逆派の令息たちは嬉しがり、俺を案内した。
案内されて着いたのは、ほとんど使われていない第2科学準備室だった。
中に入ると、ネクタイで目隠しされ、頑丈そうな縄で手足を縛られているシュレイが震えていた。
「シアン様、こいつどうしますか?」
「そうだな…」
「シアン様、私に痛めつけさせてください!」
「いえ、私が!」
「いえいえ、私が!もう立ち直れないくらい酷くしてみせます!」
1人が名乗り出ると、どんどん自分がやると言う奴らが増え、シュレイの震えは更に増して身を縮める。
このシーンはかなり鮮明に記憶が残っていた。
こいつらのシュレイを痛めつけたい、と言うのにはただ暴力を振って罵倒をすることだけが含まれているのではない。人の尊厳をもっと砕く、性的な暴力も加わるのだ。正しいシナリオではもちろん、手を出される前にシュレイは助けられたが、さすがBLゲームというだけある。男と男が交わることついてこの世界では違和感が働かないらしい。
俺はクズたちの言葉を聞き流して、注目を促すように咳払いし、声を発した。
「こいつは、俺がやる。俺が楽しんだ後にお前らにくれてやる。だからお前らは外で待ってろ」
「しょっ承知いたしました!先走り、大変申し訳ありません!」
「いいから、早く出ていけ」
そう言って取り巻きたちをなんとか追い出した。
もうこの時点でゲーム通りではないので、上手くこいつを逃がせるかは分からない。
けれど、こんな悪趣味に付き合わされるのはごめんだ。
「おい、お前」
「ひっ…ごっごめんなさい!どっどうか…助けてください!!」
シュレイはこれでもかとくらいに震えており、俺を恐れているようだ。それもそうだ、あんな奴らのお頭らしき人に声を掛けられたら、それはそれは恐ろしいことだろう。
ここは変に怖がらせないように、多くを語ることはやめようと思った。
「恐くないから、じっとしていろ」
そう言って近づき、地面に座る彼の前にしゃがみこんだ。
恐る恐る俺は彼の手に触れる。
すると…
「嫌っ嫌だ!怖いっ、やめて」
シュレイは急に触れられたことで暴力をふるわれると恐れたのか暴れ出し、俺は体制を崩した。
《バンッ》
「シュレイ!!!」
タイミングが悪かった。
攻略対象の第一王子ユーリアスたち4人組がドアを突き破って入ってきた。
彼らから見た姿を語ろう。
目を塞がれ、手足を縛られた愛しのシュレイが悪名高きかの公爵令息シアン・シュドレーに押し倒されている。そう、タイミングが悪かったのだ。
こんなの俺だって勘違いするだろう。
「貴様っ、シアン・シュドレー!」
ユーリアスはすぐさま俺をシュレイから引き離し、凄まじい形相で胸ぐらを掴んできた。
「ごっ誤解です」
俺はなるべく笑顔を振りまきながら、そう言った。
しかし、ユーリアスだけでなく他の3人も俺を見る目は厳しいものだった。騎士団長の息子サイラス・ドグナー、タイル公爵家の跡取り息子スヴェン・タイルは初めて対面する。イグリムとは少し仲が良くなったと思っていたが、この状況を見れば疑わしい目で見てくるのも仕方がないのか。
「やはり、お前には用心しておくべきだった」
「ユーリアス、まずは落ちついて。話を聞こう」
冷静なイグリムがシュレイの目隠しや手足の縄を解きながら言う。
ユーリアスがはっとなり、やっと手を離して貰うと、シュレイに寄り添ってそっと触れる。
「シュレイ、怪我はないか?」
「ユーリアス…、僕怖くて…」
「ああ、もう大丈夫だ」
涙を流すシュレイを見て、ユーリアスは大事そうに彼の瞳を見つめ、ガラスに触れるかのような手つきで抱きしめた。
何を見せられているんだろう、と思いながら俺は今のうちに逃げてしまおうかと突き破られたドアに視線を向けた。
「聞きたいことがあります」
そんな俺を阻むようにしてイグリムが俺の前に出てくる。
「あなたがこんなことを?」
「い、いやっ…俺はこんなつもりじゃ!助けようと、してたんです…」
「はっ、助ける?外にいる子分たちはお前に命令されたと言っていた」
サイラス・ドグナーが正義感のある琥珀色の瞳をギラつかせて言う。
何故こういう時、子分の方が信じられるのか分からないなと思いながらも、なんて言えばいいのか分からなくて結局押し黙ることに。
「何も弁明は無いのか?もういい、これ以上は時間の無駄だ。行こう、シュレイ」
ユーリアスはそうシュレイの手を取ってこの場を去り、他の3人も2人に続いた。
ぽつねんと残された俺も第2科学準備室を出ると、外にはまだ取り巻き達がいた。
「シアン様!通してしまい申し訳ありません…!」
みんなが口々に俺に謝罪の言葉を向けるが、俺は無視する。
「シアン様、次はどういたしましょうか?」
「何か別の計画があればお手伝いいたします!」
無視しても着いてくる取り巻きたち。何故ここまで俺に悪事のリーダー役をやらせたいのか考えるが、それはやはり俺の家がそうだからだとしか思えなかった。もうこうなったら…
「黙れ」
「シアン様?」
「もうお前たちとは一緒にいたくない。父にも、お前たち役立たずとは付き合いたくないと言っておく。それでは失礼」
「…調子に乗りやがって」
「何?」
後ろからマウロのポロッと低い呟きが聞こえて、振り返ると…
《ビリッ》
首に電流が流れ、俺は気を失った。
目を開けると、暗い部屋だった。
動こうとすると、シュレイを捕らえた時と同じ縄で手足は縛られていた。
「やっと起きたか」
上を見上げると、マウロを先頭に取り巻きたちがニヤニヤと不気味な笑みを浮かべて見下ろしていた。
「なぜこんなことを」
俺はマウロに問いかける。
「決まっているだろ。あなたの父君に知られないためだ。困るんだよ、いろいろと悪い風に言われると。俺たち反逆派は階級主義だろ?貴族の中でも絶大な権力を持つシュドレー公爵に嫌われたら困る」
「くだらないな。しかし、いいだろう。そもそも端からお前たちを父に悪く言うつもりはない。だからその代わり、もう俺とは関わるな。俺の名を勝手に使うことも禁じる」
「ぷっ…あはははは!本当にどうしちまったんだ?シアン・シュドレー!あんなにも悪行に勤しんでいたあなたが改心のつもりか?今更女神を信仰するようになったのか?」
下品に笑うこの男を見て、俺はひとつため息をつく。
「それで、解放してくれるのか?」
「いや、しない。やはりあなたは悪者でなければいけない。あなたの父君のためにもね。ということで、また元のあなたに戻って貰えるように少し痛い目にあっていただこう」
もはや二重人格なのか疑いたくなるような、さっきの高笑いの時とはまた違う雰囲気でマウロは笑った。
「痛い目って…」
「ああ、痛い目だ」
不気味に微笑んだマウロに手元のデザートナイフで制服に切り込みを入れられ、胸元が明け透けにされる。
「綺麗な顔が歪む姿を見せてください」
マウロはデザートナイフに口付けながら頬を染めて嬉しそうに言うと、後ろで笑う令息たちに合図を出した。
すると、男たちは獣のように豹変した目で俺を見下ろして、無数の手で無遠慮に俺の体を拘束し触り始めた。夢中で男たちは俺の制服を引きちぎり、肌に音を立て吸い付き舐り、俺の体を見ながら自分の性器を擦っている。
ベタベタベタベタ
クチャクチャ
パチュパチュ
耳を塞ぎたくなるような不快な音が狭い部屋に響く。
「…はっ、ははははっ」
俺は笑う。
遠く、遠くを見つめて。
久方ぶりのこの感覚に少し戸惑っているのかもしれない。でも、大丈夫だ。俺の中にあるあの箱の鍵は開くことはない。なんてことはない、なるようになる。なるようになるのさ。俺はずっとそうしてきた。
そうだろ…?
「…たすけて」
「申し訳ない!生徒会の仕事が思いのほか長引いてしまったんだ」
ユーリアスとイグリムは生徒会の一員なので、あながち嘘とも言えない。「気にするな」と言っておいた。
「じゃあシアン、俺は行くよ。練習頑張って」
イブリンは濡れた髪をかき上げながら言うと、イグリムの顔をチラッと見てから去っていった。
(今、イグリムを睨んでいたような…?)
「確か、彼は隣国から来た特待生…。別のクラスなのに、仲が良いようだね」
「そう見えるか?まとわりつかれて困っているんだ」
「そうか。なら、生徒会役員の1人として僕から注意しようか?」
「……いや、いいよ。それよりも、早く実践してみよう」
早速、俺とイグリムは基本魔法の実践に取り組むこととなった。
そしてここ1週間は放課後に魔法の練習をイグリムと行い、いよいよ実技試験当日を迎えた。
「それでは次、シアン・シュドレーとイグリム・マークハルト」
実技担当教師であるユラ先生に呼ばれた俺たちは前に出て手を取り合い、杖を振りながら次々に呪文を詠唱する。
すると、俺とイグリムを円で囲むように炎を出現させ、生い茂っていた足元の芝生が燃え尽きるまで火力を上げる。次の呪文を唱え、地面から土を盛り上げさせ、周りの炎を包み混むように操り、消化する。土魔法の出番はこれだけではない。水魔法を併用しシャワーのように土に水を与えることで植物の成長が促進され、地面から鮮やかな青々とした草花が生えてくる。さて、最後は、風魔法の見せどころだ。
イグリムと頷き合い、最後の呪文を唱える。
「「クリスタル」」
詠唱すると、一点に集められた水は一瞬で飛び散り、細やかな美しい結晶へと変化した。
「なんて美しい」
「すごい…」
「さすがのお2人ね…」
俺たちが披露し終えると、真っ先に同級生たちから驚嘆と賛美の声が上がった。
ユラ先生はというと、少し唖然とした表情を見せた後、いつもの元気な声で「素晴らしいですっ!お2人とも合格ですー!」と拍手をしながら褒めそやしてきた。
「もしや最後の魔法は、水魔法と火魔法によって生まれた水蒸気が風魔法で一気に空気中で冷やされたことによって結晶化したのですか?」
ユラ先生が聞いた事のない早口で尋ねてきて驚いたが、イグリムが得意げに黒縁メガネを上にあげ、答える。
「はい、自然現象でいうダイヤモンドダストみたいなものです。3つの魔法を一度に使うのは大変でしたが、成功出来て何よりです。今日はとても晴れているので、美しかったですね。シアン、君のアイディア通りに任せてよかった。それに、ペアになれたことで僕自身とても勉強になったよ。ありがとう」
「…俺の方こそ、ありがとうな」
こんなことで俺の死が免れる事にはならないだろうが、初めてシナリオを変えられたことに悪くない気分だった。
こうして、初めての実技試験は何とか合格して終えられたのである。
グーパーグーパーグーパー
「何してるの?」
「うおっ」
急に背後から話しかけて来たやつ、もう顔を見ずとも分かる。
「お前っ、だから気配消すなよ…」
「手。握ったり開いたりしてるけど、痛いの?」
イブリンは俺の言葉に反応せず、一直線に俺の手を掴み、パチパチと目を見開いて怪我がないか探し始める。
(たまにこの顔だ。本気で心配しているみたいなそんな顔。ほんと、変なやつ)
「はぁ、怪我とか別にしてない」
「そうなの?じゃあ、何してたの?」
「…お前さ、俺と……」
「…?」
「いや、なんでもない。ただの指のストレッチ!」
「なるほど?あ、そういえば聞いたよ。実技試験上手くいったんだってね。うちのクラスまで評判が広がってきたよ」
そう言って笑うこいつの顔を見て、どこか安心したような気持ちを覚える。
結局、「俺ともう1回魔法使ってみるか?」という言葉は言うことが出来なかった。
日が経つのはあっという間で、いよいよコンパネロ制度が始まるまであと1週間だ。
だからなのか、ここ1ヶ月は周りが何かと騒がしい。廊下を歩けば2人1組で行動しているものが多かったり、かと思えば1人を巡って2人や3人で言い争っている場面を見かけたりする。静かな場所を求め人気がない空き教室に入れば、情事に耽っている最中に遭遇することも多々あった。
ゲームで見ていたからこうなることは分かっていたが、実際に見るとまるで発情期に番を探し回る獣だな、と思う。早くこの異常が元に戻ることを願うばかりだ。
「シアンー!」
廊下で歩く俺の元へ嬉しそうに駆け寄ってくるイブリン。さすがにこの光景には慣れてしまった。
「いよいよコンパネロの誓いが結べるようになるね」
「そうだな。言っておくけど、お前と誓いは立てないからな」
俺はすかさずきっと睨みつけて言った。
「分かってる、分かってる。ただね、俺が心配なの は、変な奴に言い寄られてないかなぁってこと」
「変な奴…?」
…。
「んー…俺以外でね?」
言いたいことが伝わったらしい。
だが頭を撫でられるのは不服だ。なんだかこいつは、魔法を一緒に使った時からやたら俺に触れてくるようになった気がする。
「シアン、俺以外とコンパネロになっちゃダメだよ」
珍しく真剣な顔で言ってきた。
「お前にそんなこと決める権利ないだろ」
頭に置かれている手を払い除け、俺は自分の教室に戻る。
教室に入ると、中は女生徒の悲鳴やらこそこそと話す声やらでいつもよりも煩かった。
クラスメイト達の注目の的に目を向けると、席に座るシュレイの前に第一王子ユーリアスが緊張した面持ちで立っていた。
ここで思い出した、重要なイベント。
以前の競技場での出会いをきっかけに、ユーリアスはシュレイが気にかかるようになり、何かと大変なことがあれば手助けするようになる。そこから、ユーリアスの紹介でイグリムなどの幼なじみ(攻略対象)3人とも仲良くなっていく。もう少しで入学して半年が経つ訳だから、今はかなり4人との距離が縮まっている状態だろう。そんな所で、重要なイベントがある。コンパネロの誓いを結べるのにあと1週間となったのだ、ユーリアスたち4人はシュレイのことが気になって内心穏やかではなくなってくる。それも、4人ともシュレイと魔法を使ったことがあり、相性の良さが今までにない程であることをもう知ってしまっているため、そういう意味でも魅力的に感じてしまう訳だ。シナリオ通りであれば、ここ1週間は幼なじみの仲は1人の男を巡ってギスギスするようになり、戦いが始まる。その開始のゴングを鳴らすのが、ユーリアス。つまり、今これから見せられるものがそれなのだ。
「どうしたの、ユーリアス?珍しいね、僕のクラスにわざわざ来るなんて…」
「あ、ああ…そういえば初めてだな。その、今日は聞きたいことがあって来た。お前は…コンパネロの誓いを立てる相手はいるのか?」
「…!…う、ううん、いないよ。でも、いつかはそんな人が出来たらなって思うよ」
「ふっ、そうか」
第一王子ともあろう人間が、こんな公然とした場で1人の男、それも貧民街出身の侯爵家の養子に、恋人の契りとも呼ばれるコンパネロの相手はいるのかと聞くのはいささか安直すぎるなと思うが、これはこっそりやっていたら意味がない。学園生活に暇を持て余したゴシップ大好き令嬢たちなんかは噂を広めるのが早いのなんの。この噂を聞いた攻略対象3人は、王子に勝てる訳が無いと思いながらも心をやきもきさせ、主人公への想いを明確に行動に移すようになっていく。
ここまで来たと言うことはこれからはR18の場面も増えてくるということだ。実際に男と男のそれを見てしまう想像をして、俺は小さく震える右手を左手で強く掴んだ。
さて、これからは己の身の心配もしなければいけない。ゲームのシナリオでは、先程のユーリアスとシュレイの一件を見たことで、悪役令息シアンは2人がただならぬ関係であることを感じ取る。そして、取り巻き(実は反逆派の貴族の令息)たちとシュレイに近づき、攫う。そうなればもうお分かりだろう。シュレイを攻略対象4人が探すことで、俺と4人はようやく対面し、お互いに宣戦布告を行う。ここからユーリアスだけでなく4人が、シュレイを傷つける悪逆非道な男として俺を認識するようになるのだ。だが、当の俺は取り巻きもいないし当然そんな事をする気はないため、心配する必要はないはずなののだが…。
シュレイとユーリアスの出会いの場面で、俺の名が挙がったので恐らく俺が放っておいても、また他の反逆派の貴族令息たちが好き放題やるだろう。そうなると、ゲームのシナリオとは違う展開で俺が巻きこまれていくかもしれない。予測不可能な面倒ごとになっていけば、己の身に何が起こるか分からない。ここはシナリオ通りに俺がシュレイを攫うか、もしくは好感度を上げるためにシュレイを助けるか…。珍しく色々考えてみたが、俺はやはり結果的に何もしないことに決めた。
そう、決めたのだが…。
「お目にかかれて光栄です、シアン様!私、シアドール侯爵家のマウロ・シアドールと申します」
「シアン様、お会い出来て嬉しいです!私は…」
この調子で10人の挨拶を聞いて気づいたことが、こいつらは反逆派の令息たちだということ。
もしかすると、と嫌な予感を抱いていると…
「実は、シュレイ・アデスを捕まえてあります!」
と場所も弁えずに、最初に名乗ってきたマウロが元気よく言う。
「…やはりそういうことか」
俺は眉間に手を当てる。
つまり、俺がさっぱり行動をしなかったから取り巻きどもの方から俺に悪事しようぜ!と声をかけてきたというわけだ。それもご丁寧にもうシュレイを攫ってしまっているし。
こうなったら、俺が出来ることは1つしかない。
「よくやった。奴を捕らえている所に案内しろ」
「はい!」
待ってましたと言わんばかりに反逆派の令息たちは嬉しがり、俺を案内した。
案内されて着いたのは、ほとんど使われていない第2科学準備室だった。
中に入ると、ネクタイで目隠しされ、頑丈そうな縄で手足を縛られているシュレイが震えていた。
「シアン様、こいつどうしますか?」
「そうだな…」
「シアン様、私に痛めつけさせてください!」
「いえ、私が!」
「いえいえ、私が!もう立ち直れないくらい酷くしてみせます!」
1人が名乗り出ると、どんどん自分がやると言う奴らが増え、シュレイの震えは更に増して身を縮める。
このシーンはかなり鮮明に記憶が残っていた。
こいつらのシュレイを痛めつけたい、と言うのにはただ暴力を振って罵倒をすることだけが含まれているのではない。人の尊厳をもっと砕く、性的な暴力も加わるのだ。正しいシナリオではもちろん、手を出される前にシュレイは助けられたが、さすがBLゲームというだけある。男と男が交わることついてこの世界では違和感が働かないらしい。
俺はクズたちの言葉を聞き流して、注目を促すように咳払いし、声を発した。
「こいつは、俺がやる。俺が楽しんだ後にお前らにくれてやる。だからお前らは外で待ってろ」
「しょっ承知いたしました!先走り、大変申し訳ありません!」
「いいから、早く出ていけ」
そう言って取り巻きたちをなんとか追い出した。
もうこの時点でゲーム通りではないので、上手くこいつを逃がせるかは分からない。
けれど、こんな悪趣味に付き合わされるのはごめんだ。
「おい、お前」
「ひっ…ごっごめんなさい!どっどうか…助けてください!!」
シュレイはこれでもかとくらいに震えており、俺を恐れているようだ。それもそうだ、あんな奴らのお頭らしき人に声を掛けられたら、それはそれは恐ろしいことだろう。
ここは変に怖がらせないように、多くを語ることはやめようと思った。
「恐くないから、じっとしていろ」
そう言って近づき、地面に座る彼の前にしゃがみこんだ。
恐る恐る俺は彼の手に触れる。
すると…
「嫌っ嫌だ!怖いっ、やめて」
シュレイは急に触れられたことで暴力をふるわれると恐れたのか暴れ出し、俺は体制を崩した。
《バンッ》
「シュレイ!!!」
タイミングが悪かった。
攻略対象の第一王子ユーリアスたち4人組がドアを突き破って入ってきた。
彼らから見た姿を語ろう。
目を塞がれ、手足を縛られた愛しのシュレイが悪名高きかの公爵令息シアン・シュドレーに押し倒されている。そう、タイミングが悪かったのだ。
こんなの俺だって勘違いするだろう。
「貴様っ、シアン・シュドレー!」
ユーリアスはすぐさま俺をシュレイから引き離し、凄まじい形相で胸ぐらを掴んできた。
「ごっ誤解です」
俺はなるべく笑顔を振りまきながら、そう言った。
しかし、ユーリアスだけでなく他の3人も俺を見る目は厳しいものだった。騎士団長の息子サイラス・ドグナー、タイル公爵家の跡取り息子スヴェン・タイルは初めて対面する。イグリムとは少し仲が良くなったと思っていたが、この状況を見れば疑わしい目で見てくるのも仕方がないのか。
「やはり、お前には用心しておくべきだった」
「ユーリアス、まずは落ちついて。話を聞こう」
冷静なイグリムがシュレイの目隠しや手足の縄を解きながら言う。
ユーリアスがはっとなり、やっと手を離して貰うと、シュレイに寄り添ってそっと触れる。
「シュレイ、怪我はないか?」
「ユーリアス…、僕怖くて…」
「ああ、もう大丈夫だ」
涙を流すシュレイを見て、ユーリアスは大事そうに彼の瞳を見つめ、ガラスに触れるかのような手つきで抱きしめた。
何を見せられているんだろう、と思いながら俺は今のうちに逃げてしまおうかと突き破られたドアに視線を向けた。
「聞きたいことがあります」
そんな俺を阻むようにしてイグリムが俺の前に出てくる。
「あなたがこんなことを?」
「い、いやっ…俺はこんなつもりじゃ!助けようと、してたんです…」
「はっ、助ける?外にいる子分たちはお前に命令されたと言っていた」
サイラス・ドグナーが正義感のある琥珀色の瞳をギラつかせて言う。
何故こういう時、子分の方が信じられるのか分からないなと思いながらも、なんて言えばいいのか分からなくて結局押し黙ることに。
「何も弁明は無いのか?もういい、これ以上は時間の無駄だ。行こう、シュレイ」
ユーリアスはそうシュレイの手を取ってこの場を去り、他の3人も2人に続いた。
ぽつねんと残された俺も第2科学準備室を出ると、外にはまだ取り巻き達がいた。
「シアン様!通してしまい申し訳ありません…!」
みんなが口々に俺に謝罪の言葉を向けるが、俺は無視する。
「シアン様、次はどういたしましょうか?」
「何か別の計画があればお手伝いいたします!」
無視しても着いてくる取り巻きたち。何故ここまで俺に悪事のリーダー役をやらせたいのか考えるが、それはやはり俺の家がそうだからだとしか思えなかった。もうこうなったら…
「黙れ」
「シアン様?」
「もうお前たちとは一緒にいたくない。父にも、お前たち役立たずとは付き合いたくないと言っておく。それでは失礼」
「…調子に乗りやがって」
「何?」
後ろからマウロのポロッと低い呟きが聞こえて、振り返ると…
《ビリッ》
首に電流が流れ、俺は気を失った。
目を開けると、暗い部屋だった。
動こうとすると、シュレイを捕らえた時と同じ縄で手足は縛られていた。
「やっと起きたか」
上を見上げると、マウロを先頭に取り巻きたちがニヤニヤと不気味な笑みを浮かべて見下ろしていた。
「なぜこんなことを」
俺はマウロに問いかける。
「決まっているだろ。あなたの父君に知られないためだ。困るんだよ、いろいろと悪い風に言われると。俺たち反逆派は階級主義だろ?貴族の中でも絶大な権力を持つシュドレー公爵に嫌われたら困る」
「くだらないな。しかし、いいだろう。そもそも端からお前たちを父に悪く言うつもりはない。だからその代わり、もう俺とは関わるな。俺の名を勝手に使うことも禁じる」
「ぷっ…あはははは!本当にどうしちまったんだ?シアン・シュドレー!あんなにも悪行に勤しんでいたあなたが改心のつもりか?今更女神を信仰するようになったのか?」
下品に笑うこの男を見て、俺はひとつため息をつく。
「それで、解放してくれるのか?」
「いや、しない。やはりあなたは悪者でなければいけない。あなたの父君のためにもね。ということで、また元のあなたに戻って貰えるように少し痛い目にあっていただこう」
もはや二重人格なのか疑いたくなるような、さっきの高笑いの時とはまた違う雰囲気でマウロは笑った。
「痛い目って…」
「ああ、痛い目だ」
不気味に微笑んだマウロに手元のデザートナイフで制服に切り込みを入れられ、胸元が明け透けにされる。
「綺麗な顔が歪む姿を見せてください」
マウロはデザートナイフに口付けながら頬を染めて嬉しそうに言うと、後ろで笑う令息たちに合図を出した。
すると、男たちは獣のように豹変した目で俺を見下ろして、無数の手で無遠慮に俺の体を拘束し触り始めた。夢中で男たちは俺の制服を引きちぎり、肌に音を立て吸い付き舐り、俺の体を見ながら自分の性器を擦っている。
ベタベタベタベタ
クチャクチャ
パチュパチュ
耳を塞ぎたくなるような不快な音が狭い部屋に響く。
「…はっ、ははははっ」
俺は笑う。
遠く、遠くを見つめて。
久方ぶりのこの感覚に少し戸惑っているのかもしれない。でも、大丈夫だ。俺の中にあるあの箱の鍵は開くことはない。なんてことはない、なるようになる。なるようになるのさ。俺はずっとそうしてきた。
そうだろ…?
「…たすけて」
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