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ドラゴニアでの日々
ガルフがバードリバーに帰ってしまう?
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「明日の土曜日、学校が終わったらバードリバーに帰ろうと思うんだ」
学校の帰り道、ティアはガルフからショッキングな事を打ち明けられた。
《ガルフが帰ってしまう。二ヶ月は居る筈だったのにどうして……?》
ストレートに「帰っちゃ嫌だ」と言いたかったティアだが、そんな事言えはしない。かと言って、ガルフが帰っ
てしまうのを指を咥えて見ているだけなんて出来っこ無い。
「メアリーはどうするの? バードリバーで療養させるの? もう少しドラゴニアに居た方が良いんじゃない?」
メアリーを引き合いに出してガルフを引き留めようという作戦。ティアはこんな言い方しか出来ない自分が悲しかった。こんな思いをするなら、いっそはっきり言ってしまってすっきりしようか。結果はどうあれ……
「あのね、ガルフ……」
彼女は思い切って言おうとした。しかし、その先はガルフの言葉によって遮られた。彼はメアリーをドラゴニアに残して一旦バードリバー帰るが、すぐにドラゴニアに戻るつもりだと。と言うのもメアリーが母親が顔を見に来ないのを気に病んでいるので母を一度ドラゴニアに連れて来るつもりだと言う。それを聞いたティアは、ほっとしたと同時に口に出して言ってしまった。
「私もバードリバーに行きたい!」
そんな事言われても……ガルフは困る。他国の王女を自国に連れて行くなんて、結婚話が決まってでもしない限りあり得ない。ましてやドラゴニアからバードリバーまでは二人で飛べば半日はかかる。学校が終わって昼一番にドラゴニアを出発しても、バードリバーに到着するのは夜になってしまう。つまり泊まりとなるわけで、ジェラルドが何と言うか。
「大丈夫よ。だって、今だって同じお城に住んでるじゃない。寝る所がドラゴニアのお城がバードリバーのお城に替わるだけよ」
ティアは何の問題も無さそうに言うが、そんな単純な話では無い。嫁入り前の娘が男の家に泊まりに行くと言うのを止めない父親は居ないだろう。こうなったら学校をサボって朝から出発して、その日のうちになんとか戻ってくるしか無い。そう思ったガルフだったが、ジェラルドに話をしたところ、あっさりと許しが出た。
「ああ、気を付けて行っておいで、月曜の学校には間に合う様、帰って来るんだよ」
しかも、泊まりまで容認されたのだった。
学校の帰り道、ティアはガルフからショッキングな事を打ち明けられた。
《ガルフが帰ってしまう。二ヶ月は居る筈だったのにどうして……?》
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てしまうのを指を咥えて見ているだけなんて出来っこ無い。
「メアリーはどうするの? バードリバーで療養させるの? もう少しドラゴニアに居た方が良いんじゃない?」
メアリーを引き合いに出してガルフを引き留めようという作戦。ティアはこんな言い方しか出来ない自分が悲しかった。こんな思いをするなら、いっそはっきり言ってしまってすっきりしようか。結果はどうあれ……
「あのね、ガルフ……」
彼女は思い切って言おうとした。しかし、その先はガルフの言葉によって遮られた。彼はメアリーをドラゴニアに残して一旦バードリバー帰るが、すぐにドラゴニアに戻るつもりだと。と言うのもメアリーが母親が顔を見に来ないのを気に病んでいるので母を一度ドラゴニアに連れて来るつもりだと言う。それを聞いたティアは、ほっとしたと同時に口に出して言ってしまった。
「私もバードリバーに行きたい!」
そんな事言われても……ガルフは困る。他国の王女を自国に連れて行くなんて、結婚話が決まってでもしない限りあり得ない。ましてやドラゴニアからバードリバーまでは二人で飛べば半日はかかる。学校が終わって昼一番にドラゴニアを出発しても、バードリバーに到着するのは夜になってしまう。つまり泊まりとなるわけで、ジェラルドが何と言うか。
「大丈夫よ。だって、今だって同じお城に住んでるじゃない。寝る所がドラゴニアのお城がバードリバーのお城に替わるだけよ」
ティアは何の問題も無さそうに言うが、そんな単純な話では無い。嫁入り前の娘が男の家に泊まりに行くと言うのを止めない父親は居ないだろう。こうなったら学校をサボって朝から出発して、その日のうちになんとか戻ってくるしか無い。そう思ったガルフだったが、ジェラルドに話をしたところ、あっさりと許しが出た。
「ああ、気を付けて行っておいで、月曜の学校には間に合う様、帰って来るんだよ」
しかも、泊まりまで容認されたのだった。
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