上 下
111 / 135

刮目! 夏のコーデのハルカとルナ

しおりを挟む
 顔を洗い、朝食を終えたトシヤは水着やバスタオル等をバッグに詰め込み、ハルカからの連絡を今や遅しと待っていた。もちろんそれはマサオも同じで、トシヤに『ハルカちゃんからの連絡はまだか?』と質問のメッセージを送りたい衝動を必死に抑えていた。

 そしてお昼前、トシヤのスマホにハルカからメッセージが入った。

『お待たせ~ 補習終わったよ~』

 補習が終わったとは言え、今すぐ集合出来るわけでは無い。ハルカは学校に行っていたのだから制服姿なのだから、一度家に帰って着替えなければならない。それを考慮すると集まれるのは午後一時ぐらいか……となると昼ご飯はどうする? などと考えるトシヤのスマホにまたメッセージが入った。

『これから帰って着替えるから、十二時半に駅集合で良いかな?』

 そのメッセージを読んでトシヤは首を捻った。ハルカが昼ご飯を食べる時間を忘れているのではないかと。そこでその旨を確認するメッセージを送ったところ、すぐに返事が来た。

『大丈夫。私のせいで遅くなっちゃんたんだから、お昼なんて食べなくても平気! トシヤ君達はお昼食べといてね』

 こんな風に言われて自分だけ昼ご飯を食べる男など存在しないだろう。もちろんハルカはそれを狙ったわけでは無く、本気で言っているのだが、トシヤは極々当たり前な反応を示した。

『じゃあ、みんなでご飯食べようよ。マサオには言っておくからルナ先輩にはハルカちゃんから言っといてくれるかな』

 皆で昼ご飯を食べようというのだ、たとえ時間が少々遅くなっても……いや、それどころか家で既に昼ご飯を食べ始めてしまっていたとしてもマサオは喜んで箸を置くだろう。それよりもルナがまだお昼ご飯を食べていなければ良いのだが……などと考えながらトシヤがマサオにメッセージを送るとマサオからすぐに『了解した』と返事が返って来た。後はルナがまだ昼ご飯を食べていない事を祈るだけだ。まあ、もしルナが昼ご飯を済ませていたとしてもお茶でも飲んで付き合ってくれるとは思うのだが。

          *

 十二時十五分、トシヤは集合場所である駅に着いたのだが、そこには既にマサオの姿があった。

「おう、早いな」

 トシヤが声をかけるとマサオは『何を言ってるんだ』と言わんばかりの顔で答えた。

「バカ野郎、十分前行動は紳士として当然だろうが」

「何が『紳士として当然』だ、こんな時だけ紳士ぶりやがって……」

 トシヤが呆れた顔で言い返すが、マサオも負けてはいない。

「お前こそ何を言ってるんだ、俺はいつも紳士だろうが」

 などとトシヤとマサオが不毛なやり取りをしているうちにハルカとルナが現れ、二人に気付いた様だ。

「おっ待たせー」

 昨日遊べなかった事もあってかハルカはご機嫌な顔で手を振り、ルナは対照的にたおやかな笑顔で詫びる様に言った。

「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」

 こう聞かれてバカ正直な答えを返す男は恐らくいないだろう。マサオも当然のごとく答えた。

「いやー、今来たトコっすよ」

 言いながらもマサオの視線はルナに釘付けだ。ルナの私服姿を見るのは少し前の雨の日曜日にロードバイクのショップに行った時以来、二回目だ。ちなみに今日のルナの服装は白いTシャツに八分丈のスキニーデニムを合わせ、『清楚な夏のお姉さん』という言葉がピッタリだ。

 トシヤはそんなマサオを「また調子の良い事を抜かしやがって……」と思いつつ、視線は当然ながらハルカに向いていた。ハルカはパンチの効いた黄色のTシャツに裾をロールアップしたデニムのショートパンツで太腿を惜しげもなく顕にしている。
 だが、今日はプールに行く、つまりこの後は水着姿を拝むことが出来るのだ。ショートパンツごときで動揺していては神経が持たない。そこでトシヤはハルカから目を逸らし、ルナに尋ねた。

「ルナ先輩、お昼ご飯どうします?」

 ハルカはトシヤが自分より先にルナに声をかけたのが少々気に入らなかったが、この質問は学年が上のルナにするべきだという事ぐらいは分かる……トシヤがハルカから目を逸らした本当の理由は分かっていない様だが。

「そうね、せっかく『しらパー』に行くんだから、向こうで食べましょうか」

「ルナ先輩もお昼食べるの、待っててくれたんですよね」

 どうやらルナも昼ご飯を食べずにいてくれていたらしい。嬉しそうに言うハルカにルナは恥ずかしい様な困った様な顔で言った。

「そんなに大袈裟に言わなくても……せっかく皆で遊びに行くんだから、それぐらいするわよ」

 まあ、それはそうだろう。だが、マサオはまた調子の良い事を言い出した。

「さすがはルナ先輩。やっぱ人格者は違うっすね」

 言うまでもない事だがお昼ご飯を食べずに待っていたのはルナだけでは無い。トシヤも、そしてマサオ自身もだ。だがそんな事はどうでも良い。マサオにとって大事なのはただ一つ、ルナの気を引く事のみ。それ以外は取るに足りない事でしかないのだ。

「嫌ね、マサオ君。本当に大袈裟なんだから……」

 照れ臭さを振り払う様に歩き出したルナをマサオが慌てて追いかけ、トシヤとハルカも二人の後を追った。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語

瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。 長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH! 途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

処理中です...