102 / 136
ヒルクライムについて思うこと
しおりを挟む
渋山峠ヒルクライムのスタート地点から少しの区間は緩いカーブ、そして比較的緩い勾配だ。『緩い勾配』だと言ってもそれはあくまで『比較的緩い勾配』で、その比較対象はこの先の10%超の勾配だ。普通の感覚だと十分キツい勾配であることは間違い無い。
実際、スタートしてからものの数分で二人の足は急に重くなり始めた。もちろんギアはとっくの昔にインナーローだ。
だがそれは百も承知の上だ。今まで平地を走っていたのが上りに入った事で身体が少しびっくりし、その違いに身体の対応が追いつかないでいるだけだ。もう少し上れば身体が上りの感覚を思い出してくれる。
もちろんだからと言って上るのが楽になるワケでは無い。急に足が重くなったのが少しずつ足が重くなる様になるだけだ。しかもこの先で勾配は更にキツくなるのはわかっている。ココで心が折れてしまえばゲームオーバーだ。
「マサオ~しんどいなぁ~」
トシヤが間延びした声でマサオに声をかけた。折れそうな心をリラックスさせる為の敢えての間延びした喋り方だ。
「ああ、しんどいなぁ」
トシヤに返したマサオの言葉も間延びしたものだった。もっともマサオの場合、トシヤとは違って何も考えていない。ただ、マサオの言葉のリズムとケイデンス、わかりやすく言えば『ペダルを回すスピード』はほぼ一致していた。
身体を動かすにあたって呼吸は非常に重要な役割を担っている。必要な酸素を取り入れ、不必要な二酸化炭素を排出するという呼吸本来の目的はもちろんだが、そのリズムが実に大切だ。
空手という武道がある。その空手には『型』というものがあり、その『型』の三要素として『力の強弱』・『技の緩急』・『呼吸(いき)の調整』という三つのポイントがある。
『力の強弱』は力を入れる所と脱力する所のメリハリ、『技の緩急』は早く動く所とゆっくり動く所とのメリハリ。そして『呼吸の調整』は説明は難しいが、端的に言えば型の中のどの動きで息を吸い、どの動きで息を吐くかだ。この三つがリンクする事によって型のキレが全く違ってくる。
つまり、長い歴史を持つ空手の世界でも重要視される程に呼吸は身体の動きを支配しているという事だ。
話が逸れたのでロードバイクに話を戻そう。ロードバイクのヒルクライム中にペダルを回す時の呼吸はどうすれば効率が良いか……って、そんなの筆者が教えて欲しいです。いやいや、そんな事を言ってると話が進まない。とりあえず一般的に力を入れる時は息を吐くものだから、ペダルを踏み込む時に息を吐くべきではないかと思う。だが、ペダルはクランクに付いていて、一方のペダルが12時の地点、いわゆる上死点にあるともう片方のペダルは6時の地点、いわゆる下死点にある。という事は二つのペダルを上死点から下死点までペダルを踏み続けるとすれば息は吐きっぱなし、吸う暇が無い。となればいつ息を吸うかだ。諸説あるが、下死点までペダルを踏み込むのでは無く12時の位置から踏み始め、3時から4時ぐらいの位置で踏む力を最大にすれば効率が良いらしい。とすると踏むペダルが4時から6時の位置の時に息を吸えば良いのではないか。
だがこれではいくらケイデンスが低くても短く浅い呼吸になってしまう。深い呼吸をする為に左右のペダルを一回ずつ踏む、つまりクランクが一回転する間に長く息を吐き、次に長く息を吸いながら左右のペダルをやはり一回ずつ踏んでクランクを一回転させる。これだとクランクが二回転するのに2秒、ケイデンスにすれば毎秒60回転だ。完成車に多いフロント34T、リア28Tのギア比だと時速は約9キロになる計算だ。このペースで上り続けると渋山峠が4キロとすると27分弱でゴールする事が出来る。
これはあくまで机上の空論でしか無い。実走だと勾配が緩い所では回せるし、勾配がキツい所では回せ無い。要は本人の頑張り次第なのだから。
実際、スタートしてからものの数分で二人の足は急に重くなり始めた。もちろんギアはとっくの昔にインナーローだ。
だがそれは百も承知の上だ。今まで平地を走っていたのが上りに入った事で身体が少しびっくりし、その違いに身体の対応が追いつかないでいるだけだ。もう少し上れば身体が上りの感覚を思い出してくれる。
もちろんだからと言って上るのが楽になるワケでは無い。急に足が重くなったのが少しずつ足が重くなる様になるだけだ。しかもこの先で勾配は更にキツくなるのはわかっている。ココで心が折れてしまえばゲームオーバーだ。
「マサオ~しんどいなぁ~」
トシヤが間延びした声でマサオに声をかけた。折れそうな心をリラックスさせる為の敢えての間延びした喋り方だ。
「ああ、しんどいなぁ」
トシヤに返したマサオの言葉も間延びしたものだった。もっともマサオの場合、トシヤとは違って何も考えていない。ただ、マサオの言葉のリズムとケイデンス、わかりやすく言えば『ペダルを回すスピード』はほぼ一致していた。
身体を動かすにあたって呼吸は非常に重要な役割を担っている。必要な酸素を取り入れ、不必要な二酸化炭素を排出するという呼吸本来の目的はもちろんだが、そのリズムが実に大切だ。
空手という武道がある。その空手には『型』というものがあり、その『型』の三要素として『力の強弱』・『技の緩急』・『呼吸(いき)の調整』という三つのポイントがある。
『力の強弱』は力を入れる所と脱力する所のメリハリ、『技の緩急』は早く動く所とゆっくり動く所とのメリハリ。そして『呼吸の調整』は説明は難しいが、端的に言えば型の中のどの動きで息を吸い、どの動きで息を吐くかだ。この三つがリンクする事によって型のキレが全く違ってくる。
つまり、長い歴史を持つ空手の世界でも重要視される程に呼吸は身体の動きを支配しているという事だ。
話が逸れたのでロードバイクに話を戻そう。ロードバイクのヒルクライム中にペダルを回す時の呼吸はどうすれば効率が良いか……って、そんなの筆者が教えて欲しいです。いやいや、そんな事を言ってると話が進まない。とりあえず一般的に力を入れる時は息を吐くものだから、ペダルを踏み込む時に息を吐くべきではないかと思う。だが、ペダルはクランクに付いていて、一方のペダルが12時の地点、いわゆる上死点にあるともう片方のペダルは6時の地点、いわゆる下死点にある。という事は二つのペダルを上死点から下死点までペダルを踏み続けるとすれば息は吐きっぱなし、吸う暇が無い。となればいつ息を吸うかだ。諸説あるが、下死点までペダルを踏み込むのでは無く12時の位置から踏み始め、3時から4時ぐらいの位置で踏む力を最大にすれば効率が良いらしい。とすると踏むペダルが4時から6時の位置の時に息を吸えば良いのではないか。
だがこれではいくらケイデンスが低くても短く浅い呼吸になってしまう。深い呼吸をする為に左右のペダルを一回ずつ踏む、つまりクランクが一回転する間に長く息を吐き、次に長く息を吸いながら左右のペダルをやはり一回ずつ踏んでクランクを一回転させる。これだとクランクが二回転するのに2秒、ケイデンスにすれば毎秒60回転だ。完成車に多いフロント34T、リア28Tのギア比だと時速は約9キロになる計算だ。このペースで上り続けると渋山峠が4キロとすると27分弱でゴールする事が出来る。
これはあくまで机上の空論でしか無い。実走だと勾配が緩い所では回せるし、勾配がキツい所では回せ無い。要は本人の頑張り次第なのだから。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる