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夏休み前はみんなソワソワ
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その理由とは、いよいよ夏休みが始まる事だ。
ハルカといい感じになっているトシヤにとっては勝負の夏休み、マサオにとってはルナとの距離を少しでも縮め、出来ることならいい感じになって最終的には結果を出したい……やはりマサオにとっても勝負の夏休みだという事だ。
マサオはトシヤに頼み込んだ。
「いつ行くんだ? ハルカちゃんに聞いてみてくれよ」
実はマサオはルナの連絡先をまだ聞いていない。トシヤとしてはハルカと二人でどこかへ行って、良い空気になったところで告白しよう……などと考えていたりしていたのだが、マサオの頼みを無下にするわけにもいかない。
「わかったわかった。出来たら早い方が良いんだよな」
苦笑いしながら答えたトシヤはスマホをポケットから取り出しハルカにメッセージを送った。
『やっと期末試験終わったねー 早く渋山峠上りに行きたいんだけど、いつ行けるかな?』
せっかく良い感じになったのだから、素直に『一緒に走りたい』とか打てば良いのに渋山峠の事しか打たない……トシヤもちょっと残念な男だ。すると少し経ってハルカから返信が来た。
『そうね。試験勉強でストレス溜まってるし、夏休み始まったらすぐにでも行きたいわね』
これはなかなか好感触な返事だ。トシヤはニヤついた顔で更に返信をハルカに送った。
『じゃあ夏休み初日の朝から渋山峠に行こうよ』
トシヤの頭の中は高校一年生の夏休みをハルカと楽しく過ごすことで一杯だ。早くハルカと正式な彼氏彼女の関係になり、あわよくば大人の階段を……などと考えてたりしてしまったりもするが、それはトシヤが健康な男子だという証だ。
もちろんそれはハルカも同じ気持ちだろう。もっともハルカは女の子なので『大人の階段』についてはどんな風に考えているかは定かでは無い。だが、少なくともトシヤからの告白を待っていることだけは間違い無いと言えよう。
そんなニヤついた顔のトシヤにマサオが縋る様に言った。
「もちろんルナ先輩も誘ってくれるんだろうな? まさかお前とハルカちゃんの二人だけで行こうってんじゃ無いだろうな?」
マサオも情けないことを言う男だ。しかしまあ気持ちは分からないでも無い。トシヤは少し考えたが、結局はマサオのリクエストに応えるべくハルカに「ルナも誘って欲しい」という旨のメッセージを送った。
*
一方、ハルカはハルカで夏休みを楽しみにしていた。今までその男っぽい性格から周囲の男子に女の子として見られる事が無く、またハルカ自身が恋愛にはまだ興味が無いと言うか疎かったので浮いた話の一つも無かった。しかし今年の夏はいつもの夏とは違う。トシヤと良い雰囲気になり、告白される寸前まで行ったのだ。これはもう、夏休みに告白されて、人生初の彼氏のいる夏休みをと……なんてことはない、トシヤと同じ様な事を考えていたのだった。
ニコニコしながらスマホでトシヤとメッセージのやり取りをしているハルカをからかう様にカオリが話しかけた。
「ハルカ、さっきからスマホ見て楽しそうね。トシヤ君と進展あった?」
「そ……そんな事ないわよ」
「隠さなくって良いじゃない。私とハルカの仲なんだから。大丈夫、誰にも言わないって」
ニヤニヤしながら言うカオリは以前ちょろっと登場した、学食でトシヤとマサオと遭遇したハルカのクラスメイトだ。実は彼女もハルカと同じく彼氏いない歴=年齢なのだが、ハルカとは違い恋愛の話は大好物で、学食での一件以来ハルカとトシヤの進展に興味津々だった。
「べ……別に隠してなんか無いわよ」
「またまた~、そんな言い方しなくってもて良いのに~」
照れた様に言うハルカをカオリが肘で突っつくと、ハルカは寂しそうな顔になってボソッと呟く様に言った。
「だって、本当に何も無いんだもん……」
そう言ったハルカの目は寂しそうで、さすがのカオリもニヤニヤしてはいられなくなり、真顔になってしまった。
その時、ハルカのスマホにメッセージが入った。
ハルカといい感じになっているトシヤにとっては勝負の夏休み、マサオにとってはルナとの距離を少しでも縮め、出来ることならいい感じになって最終的には結果を出したい……やはりマサオにとっても勝負の夏休みだという事だ。
マサオはトシヤに頼み込んだ。
「いつ行くんだ? ハルカちゃんに聞いてみてくれよ」
実はマサオはルナの連絡先をまだ聞いていない。トシヤとしてはハルカと二人でどこかへ行って、良い空気になったところで告白しよう……などと考えていたりしていたのだが、マサオの頼みを無下にするわけにもいかない。
「わかったわかった。出来たら早い方が良いんだよな」
苦笑いしながら答えたトシヤはスマホをポケットから取り出しハルカにメッセージを送った。
『やっと期末試験終わったねー 早く渋山峠上りに行きたいんだけど、いつ行けるかな?』
せっかく良い感じになったのだから、素直に『一緒に走りたい』とか打てば良いのに渋山峠の事しか打たない……トシヤもちょっと残念な男だ。すると少し経ってハルカから返信が来た。
『そうね。試験勉強でストレス溜まってるし、夏休み始まったらすぐにでも行きたいわね』
これはなかなか好感触な返事だ。トシヤはニヤついた顔で更に返信をハルカに送った。
『じゃあ夏休み初日の朝から渋山峠に行こうよ』
トシヤの頭の中は高校一年生の夏休みをハルカと楽しく過ごすことで一杯だ。早くハルカと正式な彼氏彼女の関係になり、あわよくば大人の階段を……などと考えてたりしてしまったりもするが、それはトシヤが健康な男子だという証だ。
もちろんそれはハルカも同じ気持ちだろう。もっともハルカは女の子なので『大人の階段』についてはどんな風に考えているかは定かでは無い。だが、少なくともトシヤからの告白を待っていることだけは間違い無いと言えよう。
そんなニヤついた顔のトシヤにマサオが縋る様に言った。
「もちろんルナ先輩も誘ってくれるんだろうな? まさかお前とハルカちゃんの二人だけで行こうってんじゃ無いだろうな?」
マサオも情けないことを言う男だ。しかしまあ気持ちは分からないでも無い。トシヤは少し考えたが、結局はマサオのリクエストに応えるべくハルカに「ルナも誘って欲しい」という旨のメッセージを送った。
*
一方、ハルカはハルカで夏休みを楽しみにしていた。今までその男っぽい性格から周囲の男子に女の子として見られる事が無く、またハルカ自身が恋愛にはまだ興味が無いと言うか疎かったので浮いた話の一つも無かった。しかし今年の夏はいつもの夏とは違う。トシヤと良い雰囲気になり、告白される寸前まで行ったのだ。これはもう、夏休みに告白されて、人生初の彼氏のいる夏休みをと……なんてことはない、トシヤと同じ様な事を考えていたのだった。
ニコニコしながらスマホでトシヤとメッセージのやり取りをしているハルカをからかう様にカオリが話しかけた。
「ハルカ、さっきからスマホ見て楽しそうね。トシヤ君と進展あった?」
「そ……そんな事ないわよ」
「隠さなくって良いじゃない。私とハルカの仲なんだから。大丈夫、誰にも言わないって」
ニヤニヤしながら言うカオリは以前ちょろっと登場した、学食でトシヤとマサオと遭遇したハルカのクラスメイトだ。実は彼女もハルカと同じく彼氏いない歴=年齢なのだが、ハルカとは違い恋愛の話は大好物で、学食での一件以来ハルカとトシヤの進展に興味津々だった。
「べ……別に隠してなんか無いわよ」
「またまた~、そんな言い方しなくってもて良いのに~」
照れた様に言うハルカをカオリが肘で突っつくと、ハルカは寂しそうな顔になってボソッと呟く様に言った。
「だって、本当に何も無いんだもん……」
そう言ったハルカの目は寂しそうで、さすがのカオリもニヤニヤしてはいられなくなり、真顔になってしまった。
その時、ハルカのスマホにメッセージが入った。
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