80 / 136
誤解 ~ハルカはトシヤのプライドを傷付けた?~
しおりを挟む
「いやー、まさか俺達と上る前に一度上ってたとは……」
コンビニに着き、ハルカから事情を聞いたマサオは感嘆の声を上げた。
「だから近くじゃ無く、麓のコンビニで集合だったんだ」
トシヤがボソっと言うと、ハルカはもじもじしながら頭を下げた。
「うん。ごめんね、黙ってて」
謝られてトシヤは返答に困ってしまった。集合時間に集合場所に来れば、その前に何をしていようが自由だ。だからハルカが謝る必要など無いのだから。そもそもハルカとルナがトシヤ達と四人で上る前に二人だけで上る理由はトシヤ自身が身に染みる程わかっている。
「いや、ハルカちゃんが謝る事なんて無いよ。こっちこそごめんね、迷惑かけちゃって」
トシヤの口から出た迷惑という言葉にハルカの顔が暗くなった。
「そんな……迷惑だなんて……」
迷惑だなんて思って無い。それどころかトシヤと走るのが楽しい。それがハルカの本当の気持ちだった。だがそんな事は恥ずかしくて口には出せない。口篭ってしまったハルカにトシヤは言ってはならない事を言ってしまった。
「俺達の事なんて気にしないで先に上って、ゴールで待っててくれても良いんだぜ。おっと、いつになったら上って来るかわからない俺達なんか待ってられないか」
もちろんそれは本心では無い。それどころかペースを併せて上ってくれているハルカとルナに感謝している。それぐらいの事はハルカも冷静になればわかりそうなものだが、思いもしなかったトシヤの言葉にハルカは冷静でなどいられなかった。
「私……帰る……」
震える声で言うとエモンダに跨った。
「ごめんね、トシヤ君。プライドを傷付ける様な事しちゃって」
ハルカは言い残すと逃げる様に走って行ってしまった。慌てて追いかけようとリアクトに跨ろうとしたトシヤをルナが止めた。
「待ってトシヤ君。ココは私に任せて」
確かにココはトシヤより付き合いの長いルナに任せた方が良いだろう。黙って頷くトシヤにルナは優しく言葉をかけた。
「こんな事になっちゃったけど、ハルカちゃんを嫌いにならないであげてね」
もちろんトシヤがこんな事でハルカを嫌いになる事などあり得ない。トシヤの言葉がハルカを傷付けてしまった事はトシヤ自身が一番よくわかっているのだ。トシヤが大きく頷くとルナは満足そうに微笑むと、言い残してハルカを追って走り出した。
「ありがとう。とりあえず今日はこれで解散。ごめんね、また一緒に走りましょうね」
ルナが走り去る背中を見送りながらマサオがトシヤに尋ねた。
「今日は解散か……で、どうする?」
「決まってんだろ」
間髪を入れずトシヤが答えるとマサオはニヤリと笑った。
「だな。じゃあ行くとするか」
トシヤとマサオはハルカが走って行った逆の方向、渋山峠に向かって走り出した。
コンビニに着き、ハルカから事情を聞いたマサオは感嘆の声を上げた。
「だから近くじゃ無く、麓のコンビニで集合だったんだ」
トシヤがボソっと言うと、ハルカはもじもじしながら頭を下げた。
「うん。ごめんね、黙ってて」
謝られてトシヤは返答に困ってしまった。集合時間に集合場所に来れば、その前に何をしていようが自由だ。だからハルカが謝る必要など無いのだから。そもそもハルカとルナがトシヤ達と四人で上る前に二人だけで上る理由はトシヤ自身が身に染みる程わかっている。
「いや、ハルカちゃんが謝る事なんて無いよ。こっちこそごめんね、迷惑かけちゃって」
トシヤの口から出た迷惑という言葉にハルカの顔が暗くなった。
「そんな……迷惑だなんて……」
迷惑だなんて思って無い。それどころかトシヤと走るのが楽しい。それがハルカの本当の気持ちだった。だがそんな事は恥ずかしくて口には出せない。口篭ってしまったハルカにトシヤは言ってはならない事を言ってしまった。
「俺達の事なんて気にしないで先に上って、ゴールで待っててくれても良いんだぜ。おっと、いつになったら上って来るかわからない俺達なんか待ってられないか」
もちろんそれは本心では無い。それどころかペースを併せて上ってくれているハルカとルナに感謝している。それぐらいの事はハルカも冷静になればわかりそうなものだが、思いもしなかったトシヤの言葉にハルカは冷静でなどいられなかった。
「私……帰る……」
震える声で言うとエモンダに跨った。
「ごめんね、トシヤ君。プライドを傷付ける様な事しちゃって」
ハルカは言い残すと逃げる様に走って行ってしまった。慌てて追いかけようとリアクトに跨ろうとしたトシヤをルナが止めた。
「待ってトシヤ君。ココは私に任せて」
確かにココはトシヤより付き合いの長いルナに任せた方が良いだろう。黙って頷くトシヤにルナは優しく言葉をかけた。
「こんな事になっちゃったけど、ハルカちゃんを嫌いにならないであげてね」
もちろんトシヤがこんな事でハルカを嫌いになる事などあり得ない。トシヤの言葉がハルカを傷付けてしまった事はトシヤ自身が一番よくわかっているのだ。トシヤが大きく頷くとルナは満足そうに微笑むと、言い残してハルカを追って走り出した。
「ありがとう。とりあえず今日はこれで解散。ごめんね、また一緒に走りましょうね」
ルナが走り去る背中を見送りながらマサオがトシヤに尋ねた。
「今日は解散か……で、どうする?」
「決まってんだろ」
間髪を入れずトシヤが答えるとマサオはニヤリと笑った。
「だな。じゃあ行くとするか」
トシヤとマサオはハルカが走って行った逆の方向、渋山峠に向かって走り出した。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる