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女の子と一緒に滑るウォータースライダーは男の夢
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腹ごしらえを済ませた浩輔達はイートインスペースから出る間際、茜に礼を言おうとしたが、忙しそうに働いている茜の手を止める訳にもいかず、明日学校で改めて礼を言う事にしてその場を後にした。
再度プールに戻った浩輔達は流れるプールでゆっくりした後、ウォータースライダーへ足を向けた。ここのウォータースライダーは二種類。比較的穏やかな初級者用と、結構なスピードで滑り降りる上級者用だ。奈緒と郁雄は上級者用を即決、真由美と信弘はちょっと悩みながらも上級者用にチャレンジする事に決めたが、真白はまだ迷っている。
「うーん、どうしよう……みんな上級者用に行っちゃうし……でも怖いし……」
どうやら上級者用は怖いが、自分だけ初級者用に行くのは恥ずかしい様だ。となれば浩輔は真白にかける言葉は一つしか無い。
「初級者用にしようよ、ボクと一緒に」
「うん!」
真白はほっとした表情で大きく頷き、浩輔と二人で初級用のウォータースライダーへと向かった。
階段を上り、スタート地点に着くとスタッフのお兄さんが男女ペアの浩輔と真白を見て質問してきた。
「ご一緒に滑られますか? お一人ずつ滑られますか?」
そう、上級者用はかなりスピードが乗るので一人ずつしか滑れないが、初級者用は二人一緒に滑れるのだ。浩輔が『信弘が知ったら羨ましがるだろうな』と思いつつ真白をチラッと横目で見ると、恥ずかしそうに俯いている。それはそうだろう、一緒に滑るというからには二人はかなり密着するのだろう、それも水着姿で。二人はまだ手も繋いでいないと言うのにだ。逆に言えばこれは二人の距離を一気に縮めるチャンスでもある。
「一緒に滑ります」
浩輔は真白に尋ねることも無く、思い切って答えた。
「行こう、稲葉さん」
浩輔が先に立ち、スタート位置に座った。さすがに後ろから手を回す勇気までは持ち合わせていなかったのだ。それともう一つ大きな理由があった。そう、健康な男子なら解ると思うが、密着した身体の一部が変化した事を真白に悟られる訳にはいかないからだ。
スタッフのお兄さんに促されて真白は浩輔の後ろに回り、恥ずかしそうに足を開いた。そして腰を屈めて浩輔の肩に手を置き、両足で挟む形で座った。浩輔は真白の太腿の内側の柔らかい感触に目が眩みそうだったが、スタッフのお兄さんはそんな事などお構い無しで事務的に二人をスタートさせた。
初級者用とは言え、ウォータースライダーだからそれなりのスピードは出る。真白が思わず手に力を入れると浩輔と背中に胸が触れたが今の真白にはそれを気にする余裕など無い。いつしか二人は密着し、浩輔はウォータースライダーのスピード感よりも背中の感触に酔いしれた。
浩輔にとって至福の時間、真白にとっては恐怖の時間はほんの十数秒だった。二人は飛沫を上げて水に放り出され、その衝撃で真白は浩輔に完全に後ろから抱き付く形になってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
何故か謝る真白に真っ赤になるばかりで何も言えなかった浩輔だったが、プールから上がる際にまたもや思い切った行動に出た。
「はい、稲葉さん」
先に水から出た浩輔が真白に手を差し出したのだ。真白は一瞬戸惑ったが、浩輔の手をしっかりと握り、プールサイドへと上がった。初めて手を繋いだ二人、歩き出しても浩輔は真白の手を放すことは無く、真白も浩輔の手をしっかりと握ったままだった。すると、上級者用のウォータースライダーを滑り終えた四人が興奮冷めやらぬと言った感じで戻ってきた。浩輔と真白が手を繋いでいるのを見て、奈緒がいきなり冷やかし出した。
「あれっ、手なんか繋いじゃってまぁ、お二人さん仲の良いことで」
「やめんか」
すぐさま郁雄の突っ込みが入る。いつもなら喜ぶ奈緒なのだが、この時ばかりは様子が違った。奈緒の口は止まらなかったのだ。
「だってー、見て下さいよあの二人。手なんか繋いじゃってるんですよ、手! どう思いますぅ?」
奈緒は二人が手を繋いでいる事に妙に執着している。それに気付いた郁雄がボソっと言った。
「羨ましいのか?」
「いえ、別にそう言う訳では無くてですねー、なんと言いますかその……」
郁雄の言葉に何か言いたそうだが、もじもじしてはっきり言わない奈緒。やはり羨ましいのだろう。郁雄はそれを解ってないのか、それとも解った上でか奈緒に背を向けた。
「そっか。んじゃ行くぞ」
その途端、奈緒はこの世が終わったかの様な声を上げた。
「えーーーーーーーっ、私を置いて行っちゃうんですかぁ!? こんなに人がいっぱいいるんですよ! 私、迷子になっちゃいますよぉ!!」
今まで勝手気ままに散々ウロウロしていたくせによくもまあそんな事が言えるものだと郁雄が振り返ったが、奈緒の言葉は止まらなかった。
「あっ、それに私可愛いから男の人にナンパされちゃうかも! 良いんですか? 彼女が知らない男にナンパされちゃって?」
自ら自分の事を可愛いと言う奈緒。女の子は内心自分の事を可愛いと思っていても謙遜(或いは計算)して可愛く無いと言うのが一般的だが、奈緒にはそんな一般論は通用しない様だ。
「……わかったよ。ほれ、行くぞ」
郁雄が奈緒の手を取った。奈緒は満面の笑みを浮かべて郁雄の手を握り、嬉しそうに歩いて行った。それを見た信弘は咳払いを一つして、真由美に手を差し出した。
「俺達も行こうぜ」
真由美は意味ありげに笑いながらも信弘の手を取り、並んで歩き出した。
「あっ、ちょっと待ってよ!」
浩輔と真白は慌てて郁雄達を追いかけた。もちろん手は繋いだままで。
再度プールに戻った浩輔達は流れるプールでゆっくりした後、ウォータースライダーへ足を向けた。ここのウォータースライダーは二種類。比較的穏やかな初級者用と、結構なスピードで滑り降りる上級者用だ。奈緒と郁雄は上級者用を即決、真由美と信弘はちょっと悩みながらも上級者用にチャレンジする事に決めたが、真白はまだ迷っている。
「うーん、どうしよう……みんな上級者用に行っちゃうし……でも怖いし……」
どうやら上級者用は怖いが、自分だけ初級者用に行くのは恥ずかしい様だ。となれば浩輔は真白にかける言葉は一つしか無い。
「初級者用にしようよ、ボクと一緒に」
「うん!」
真白はほっとした表情で大きく頷き、浩輔と二人で初級用のウォータースライダーへと向かった。
階段を上り、スタート地点に着くとスタッフのお兄さんが男女ペアの浩輔と真白を見て質問してきた。
「ご一緒に滑られますか? お一人ずつ滑られますか?」
そう、上級者用はかなりスピードが乗るので一人ずつしか滑れないが、初級者用は二人一緒に滑れるのだ。浩輔が『信弘が知ったら羨ましがるだろうな』と思いつつ真白をチラッと横目で見ると、恥ずかしそうに俯いている。それはそうだろう、一緒に滑るというからには二人はかなり密着するのだろう、それも水着姿で。二人はまだ手も繋いでいないと言うのにだ。逆に言えばこれは二人の距離を一気に縮めるチャンスでもある。
「一緒に滑ります」
浩輔は真白に尋ねることも無く、思い切って答えた。
「行こう、稲葉さん」
浩輔が先に立ち、スタート位置に座った。さすがに後ろから手を回す勇気までは持ち合わせていなかったのだ。それともう一つ大きな理由があった。そう、健康な男子なら解ると思うが、密着した身体の一部が変化した事を真白に悟られる訳にはいかないからだ。
スタッフのお兄さんに促されて真白は浩輔の後ろに回り、恥ずかしそうに足を開いた。そして腰を屈めて浩輔の肩に手を置き、両足で挟む形で座った。浩輔は真白の太腿の内側の柔らかい感触に目が眩みそうだったが、スタッフのお兄さんはそんな事などお構い無しで事務的に二人をスタートさせた。
初級者用とは言え、ウォータースライダーだからそれなりのスピードは出る。真白が思わず手に力を入れると浩輔と背中に胸が触れたが今の真白にはそれを気にする余裕など無い。いつしか二人は密着し、浩輔はウォータースライダーのスピード感よりも背中の感触に酔いしれた。
浩輔にとって至福の時間、真白にとっては恐怖の時間はほんの十数秒だった。二人は飛沫を上げて水に放り出され、その衝撃で真白は浩輔に完全に後ろから抱き付く形になってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
何故か謝る真白に真っ赤になるばかりで何も言えなかった浩輔だったが、プールから上がる際にまたもや思い切った行動に出た。
「はい、稲葉さん」
先に水から出た浩輔が真白に手を差し出したのだ。真白は一瞬戸惑ったが、浩輔の手をしっかりと握り、プールサイドへと上がった。初めて手を繋いだ二人、歩き出しても浩輔は真白の手を放すことは無く、真白も浩輔の手をしっかりと握ったままだった。すると、上級者用のウォータースライダーを滑り終えた四人が興奮冷めやらぬと言った感じで戻ってきた。浩輔と真白が手を繋いでいるのを見て、奈緒がいきなり冷やかし出した。
「あれっ、手なんか繋いじゃってまぁ、お二人さん仲の良いことで」
「やめんか」
すぐさま郁雄の突っ込みが入る。いつもなら喜ぶ奈緒なのだが、この時ばかりは様子が違った。奈緒の口は止まらなかったのだ。
「だってー、見て下さいよあの二人。手なんか繋いじゃってるんですよ、手! どう思いますぅ?」
奈緒は二人が手を繋いでいる事に妙に執着している。それに気付いた郁雄がボソっと言った。
「羨ましいのか?」
「いえ、別にそう言う訳では無くてですねー、なんと言いますかその……」
郁雄の言葉に何か言いたそうだが、もじもじしてはっきり言わない奈緒。やはり羨ましいのだろう。郁雄はそれを解ってないのか、それとも解った上でか奈緒に背を向けた。
「そっか。んじゃ行くぞ」
その途端、奈緒はこの世が終わったかの様な声を上げた。
「えーーーーーーーっ、私を置いて行っちゃうんですかぁ!? こんなに人がいっぱいいるんですよ! 私、迷子になっちゃいますよぉ!!」
今まで勝手気ままに散々ウロウロしていたくせによくもまあそんな事が言えるものだと郁雄が振り返ったが、奈緒の言葉は止まらなかった。
「あっ、それに私可愛いから男の人にナンパされちゃうかも! 良いんですか? 彼女が知らない男にナンパされちゃって?」
自ら自分の事を可愛いと言う奈緒。女の子は内心自分の事を可愛いと思っていても謙遜(或いは計算)して可愛く無いと言うのが一般的だが、奈緒にはそんな一般論は通用しない様だ。
「……わかったよ。ほれ、行くぞ」
郁雄が奈緒の手を取った。奈緒は満面の笑みを浮かべて郁雄の手を握り、嬉しそうに歩いて行った。それを見た信弘は咳払いを一つして、真由美に手を差し出した。
「俺達も行こうぜ」
真由美は意味ありげに笑いながらも信弘の手を取り、並んで歩き出した。
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