私が、望むのは…

アリス

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プロローグ:道明寺万理と言う女

どうして無視するんですか!?…いや、知らんし

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 「──どうして、無視するんですか!?」

開口一番そんな事を言われた…おお、誰かと思えば──

 「昨日のゲーム少年!」
 「は?違いますよ!何なんですか何なんですか!貴女、何なんですか!?」
ぷりぷりと怒る金髪に碧眼の半袖シャツに短パン少年は120㎝くらいしかない背丈で詰め寄って来る。

…随分とご立腹のようだ。

 「他人ひとの話は最後まで聞いてくださいよ!僕はこう見えても貴女よりずっと年上なんですよ!?」
…え、そこ……?

 「僕は貴女に助けて欲しいと願った!」
 「え、聞くつもりないよ?ゲームの話なら──」
 「の話です!…昨日、僕は貴女に僕が管理する異世界──フロイアへ赴いて邪神ヴァルバを抹殺を依頼する予定でした…それを貴女は!」
 「いや、知らんし。私と貴方──赤の他人、どうして聞く必要が?」
 「!!!」
ピシャーーンッ!!
雷にでも撃たれたかのように硬直する男の子ショタ…それをしらーっと白けた眼で眺める万理。

…因みに、日曜日のこの日は昨日同様“バイト”があり、今はその前の朝の散歩の時だ──ん?ああ…黒猫の「りつ」と柴犬子犬の「はち」を飼っているのでその2匹の散歩である。

片方は鈴付の首輪のみ、片方は赤色の首輪にリードを着けて。

日中家にいる事の多い翼が餌やりを、バイトや学校関連で朝早い万理が散歩に連れていく。

夜の散歩は流石に翼が…ないし、万理も着いていく。

 「にゃ~」
 「きゅぅ~ん」

…ああ、かわいい。
小首を傾げる2匹がそっくりでかわいい。

 「ちょっと待っててね、今このショタに道理を説くから」
 「わぅ!」
 「にゃ!」
ビシッと敬礼でもしそうな──って、本当にしてる!?
うちの子、かわいいんですけど!!?

 「かわいいかわいいかわいい…♡♡」
 「うにゃ~~」
 「きゅぅん~~」
思わず撫でくりまわす。
頬擦りしてハスハス…はっ!?私は一体何を──!?
…いかん。つい癖で。
…まあ、いいか。取り繕うほど親しい間柄でもないし。

 「…取り敢えず、何か知らんけどは散歩の後でもいい?もう行くから。」
 「…」

ショックから立ち直れていないショタの横を通り過ぎる。

スタスタスタ…。



男の子が現実に帰ってきた時にはもう、万理の姿も2匹のペットの姿もなかったのである…。




──そして、無事散歩を終わらせたミッションコンプリート 万理は、自宅へと帰ってきた。

 「ただいま~」
 「うにゃぁ~」
 「きゅぅん~」

自棄に人間臭い2匹の足を濡れタオルで拭いて、部屋へと。

リビングへと向かい餌皿にそれぞれ猫缶とドックフードを入れて、2匹の前に差し出す。

 「よし!二人とも、食べていいよー」
 「わぅ!」
 「にゃ!」
ビシッと敬礼?して2匹ふたりは餌へとがっついて行く…。
この2匹は種を越えた兄弟に見えるから不思議である。
…妙に人間臭い?し。
覚えのない、敬礼?はしてくるし。
前世軍人だったのか、と言いたい。言ったけど首を傾げてかわいいかったなぁ~、じゃない!!
この2匹は食事の時は全力でがつがつと貪る。
水を入れた皿もこの隙に用意すると…暫くは大丈夫だろう。
はちのリードも外して、手を洗う。
エプロン着けて、冷蔵庫に入れた昨日の残り──肉じゃがを取り出し、ボールに半分ほど穴空きお玉で装って、残りはラップを戻し冷蔵庫に。

…ボールにはザルが予めセットされているのでヘラで押し潰すようにする。
水分と具材を分け、汁は捨てる。

ガットにパン粉と小麦粉を混ぜたものを用意しているので、肉じゃがをほどよい大きさに握って形を整え、粉に掛ける。
油をとくとくと注いだ鍋を火に掛け180℃~200℃くらいの温度になると卵に潜らせたコロッケをそっと油の中へ。
パチパチ、と小気味良い音が耳を楽しませる。
次々と整形したコロッケを油の中へ投下しながら、キッチンペーパーを敷いた平皿をスタンバイ。

菜箸で先に入れたコロッケをひっくり返し、しばらく放置。
こんがりきつね色になったら順次取り出していく。
…万理の弁当分と翼の昼御飯分のコロッケ──8個揚げると火を止めた。

隣のコンロには豆腐とワカメの味噌汁が入っている小鍋がある。
2人しかいないので、そんなに量も要らない──おかず以外は適量なのだ。

 「うん、完成!」

ご飯は毎日多めに炊いているので足りなくなる事はない。
3合ずつで十分。
…今日は肉じゃが(残り)と肉じゃがコロッケ、それに沢庵とイワシの甘酢漬け(缶詰)、豆腐とワカメの味噌汁にご飯…と言う組み合わせだ。
余れば翼の昼御飯に、それでも余れば晩御飯に加えればいい。
…どれだけ夜遅くても、食事の用意は欠かさない──料理が壊滅的な兄を飢えさせる訳にはいかないからだ。

 「…出来たよ~!兄さん、起きて。」
 「…」
ゆさゆさと揺すっても起きない──仕方ない。

チュッ。

寝ている兄の唇にキスを落とす…起きない。

舌を差し入れてクチャクチャ…起きないようなので、ベッドの中に。

トランクス越しの完全勃起状態の逸物を撫でる。
…ディープキスは続けたまま──身体を密着させる。

するすると下着だけを脱いで兄のトランクスも剥がし、硬いをナカへと挿入する。

 「…んっ、は…ぁっ。」

すんなり咥えたのは昨日の名残かまだ濡れていたから。

 「…起きて…はぁっ、兄さん…朝ごはん…ぁぁっ!」

起床を促す言葉とは裏腹に肉棒を咥えるナカはとても居心地良さそうに肉棒を受け入れている。

じゅぷじゅぷと卑猥な水音とくぐもった万理の吐息が翼の耳元に掛かる。

夜這い──いや、朝這い?──を兄へと仕掛け、自身も性欲に火が点いた。
向き合っての挿入、抽挿に悦びの声をあげる。

 「ぁぁっ!起きて…兄さん…っ、動いて」
 「…分かったよ、万理。」
 「…ぁっ♡」
向き合った体勢からぐりん、と仰向けにされ、正常位の形で真正面から見詰め合う。

 「おはよう、万理…うん、こんなエッチな起こし方もいいね」
 「…ぁっ、ぁぁ……っ!お、はよ…う…ぁあんっ!!」

途切れ途切れに朝の挨拶を交わし、ギアを上げてきた翼に成す術もなくナカを蹂躙される。

昨日も…そのまた一昨日の夜も抱いたと言うのに──翼は足りないのだ。
勿論、万理も──。
揃いの左手薬指の結婚指輪ダイヤが光る。
学校へは華美な装飾品は禁止されているので──登校時以外は基本それぞれの指に嵌められた永遠の愛の証。

通学中はネックレスに通して服の中に仕舞っている。

グチャグチャ、パンパン…と腰を打ち付けて視線を絡める。

 「愛しているよ、万理…はぁ、かわいい、なぁ…ッ!」
 「兄、さん…っ!ぁぁ……っ!!」

どれだけ抱かれても──足りない。足りないのだ。
幾度ナカを熱いモノで埋められても。
この人に──この愛にいつまでもいつまででも溺れたい。

 「手遅れでいいから、溺れたいの…っ!兄さんとなら何処までだって…っ♡」

愛したい──愛されたい。
この恋の続きを日々繰り返していても…足りない、と。

 「ああ!溺れろ。俺に!
そして──俺だけを見詰めて、愛してくれ…俺も万理だけに愛を捧げるから──ッ!!」

果てなんてない──それでも。

この人を、自身を抱き締めるこの腕の中で…いつまでも囚われていたいと思うのだから。

12歳の時に想いを受け入れた時から──自分は、万理はこの兄をどうしようもなく愛してしまった。

兄妹としての情ではなく──もっと濃い、どろどろしたモノ──男女の情を。
兄の話す幼馴染みの女の子の話も、学生時代の話も…楽しくも面白かったけれど──私は、その“彼女達”に苛々した。
特に──幼馴染みの女の子──マキさんの話は。
彼女に告白され、断ったと聞かされても。
どろどろとした、モヤモヤとした感情が胸中に渦巻いて─…。

自分の知らない──自分が居ない時の話を聞かされても楽しいとは思えなかった。──特に女の話は。

 『嫉妬しているの?万理』
 『嫉妬…このモヤモヤが?──そっか。私…兄さんに他の女の話は聞きたくないんだ…』
 『俺も万理の口から俺以外の男の名は聞きたくないんだ──これで分かった?』
 『あ──ごめんなさい、兄さん…』
 『うん、許すよ』
───。

その時は自分も同じように幼馴染みの男の子の話を楽しそうに話していたのを思い出して──極力異性の話は二人っきりの時はしない取り決めになった。

 「好き…っ、愛しているの……っ!!」
 「万理…万理──ッ!」
ドクン、ドクン…ッ。

解き放たれた子種は粘度を以て万理の子宮口いっぱいに満たされる。

…挿入から10分の早抜きである。
それも仕方ない。
万理には今日もバイトがあるのだから。
今日の撮影は下着の撮影はないので、このままパンティを履いていく。
…膣内に兄の精液を溜めたまま撮影に挑むのは──なんだか、ちょっと…エッチくて、マーキングされたように感じる。

 「…顔洗ってくるよ」
 「う、うん…///」
頭を撫でられ、額にキスを落とされる。
そのまま部屋を出ていく兄の後ろ姿をポゥーッと惚けて見送る──場合では無いことに気付いたのは遠くで含み笑いする兄の笑い声が耳に届いてからだった…。
……。

 「…ごちそうさまでした」
 「ごちそうさま」
食後の挨拶の後──暗転して気付けば白い空間に居た。

天井も床も壁も──真っ白な空間に…金髪&碧眼の男の子ショタが対面に立っていた。

 「…食事が終わるまで待ってあげた僕に感謝しなよ?──道明寺万理」
 「!ショタ!?」
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