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プロローグ:やらかした王子の婚約破棄は思わぬ帰結へ…
王立学園卒業式記念パーティーのダンスパーティーの広場の中心で
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「アンネ・リーク=フリューゲル公爵令嬢、私は貴様との婚約を破棄する!代わりに──このマーロウ男爵令嬢と結婚する!!」
──そんな言葉に卒業式記念パーティーに参加していた学生達とその父兄達がシン、と静まり返る。
「──左様ですか。」
シャン、と鈴が鳴るような澄んだ水面のような透明感のある声がそれに答えた…?答えた──よな…??
にこりともせず真っ直ぐ第2王子だけを射抜いた琥珀色の卵形の流麗な瞳は何の色も感情も示していなかったからだ。
居並ぶ父兄や学生達は曲がりなりにも貴族。
…近年でこそ王立学園に賢ければ平民でも通えるようになった“学園”で彼ら貴族は身分を楯に下の身分の者を虐げてはいけない──とは言え、暗黙のルールの中ではやはり、それらを遵守するもので…まあ、王族や貴族が多く通う王立学園は国内外からそれら“特権階級”の子女を迎えがちなのは仕方ないものである。
取り分け──彼らの寄付で賄っているからでは。
学園長事態先代宰相が勤めているし、教職員のほとんどが貴族──その貴族家の次男や三男、家督を継げない次女や三女が勤めている所を見ても分かる所だ。
「──は?へ…ま、まあ…貴様が今更弁明した所で」
「左様ですか」
……。
またもや同じ声量、トーンで淡々と静々と告げられる。
「左様ですか──と、私は申したのです。
…忙しいので社交に戻っても?」
「…え、いや…あの──ッ!?」
スタスタと歩き去って…40代くらいの紳士&淑女が集まるエリアへと向かったアンネ・リーク。
この呆然自失としている第2王子様よりも自らの社交が大事な彼女の豊かな金の髪、琥珀色の瞳…スッと通った鼻梁、形のいい桜色の唇、出ている所は出て引っ込む所は引っ込んでいる…容姿端麗な美少女は…別名“紫陽花の君”と言われている。
それは──実際彼女と少しでも接して見れば分かると言うもの。
「…あら?宜しかったのかしら?アレ貴女の婚約者でしょう?」
「ミレーヌ夫人…よろしいも何も“元”ですよ。ああ──“候補”でも有りましたが。どうでもいいことです──別段王子と言う身分だけなら他国にも御座いますから」
「!あらあら…なんと恐ろしい事を。」
「おや?珍しいですね。ミレーヌ夫人は何者にも動じない方かと思いました」
「…ほ、ほほ…っ。本当に恐ろしい方ね。私だって恐ろしいと思う事はあるわ」
「左様ですか」
「…ッ、止めて下さいませ…っ」
「…ふふふ。ミレーヌ夫人はお可愛らしい方でしたのですね…私、ミレーヌ夫人の事今なら寝所へお誘いしてみたいかもしれませんね」
「…!?そ、それって…っ!?」
「ふふ…1ヶ月後の第2火曜日の昼13時──お邪魔しても?」
「──ッ!!ぜひっ!お願い…ッ!!お願い致しますわ…!!」
「…ね、ねぇ…ミレーヌ夫人の後は私にの所にも……その…」
「エリザベス第3王女殿下…ええ、構いませんわよ。貴人はおいそれと店まで足を運ばれないものですから」
…。
その後も彼女達の話は続く…。
無論、第2王子だけを放置して楽団の演奏も、パーティーも再開されるのだが…。
当然やらかした第2王子と件の男爵令嬢は近衛が来て裏へと連れてかれ…そのまま王城へ。
…と言っても学園は王都の中央区にあって、王城もまた中央区から北側の吊り橋の先にある。
徒歩なら2時間、馬車なら30分くらいの距離。
…そこの地下に即連行されている事だろう。
──そして、案の定パーティーを終え、帰宅した後日アンネ・リークの元に王宮からの事後報告?事実確認?をしに来た官使に手短に質疑応答を終え
「…どうされますか?」
「どう、とは──?」
「婚約の意思は…」
「ない──と言うかアレと私の性格が合わないのはお前が一番分かっているだろう?──第3王子殿下。…何官使ごっこしてるんです?今日の稽古は?帝王学の座学はどうしました?私はあなたの教育係でもあるのですが、一応。」
「お、終わってるよ」
「本・当・に・?」
「……。」
「……。」
「……っ、」
「……。」
無言の応酬の中で──勝者は当然の如く。
「……い、今は休憩中です…後30分で午後の座学に…」
「左様ですか。なら、構いません」
クスッと笑うアンネ・リークが年下の弟に向けるような温かみのある眼差しを向ける。
「!えへへっ」
「楽しそうですね、ルーク殿下」
「アンネお姉ちゃんは側に居て気持ち悪くならないから好きなんだもん!」
「だもん、って…ルーク殿下…もう16歳になった筈でしょう?些か子供みたいですよ。」
そう言うアンネ・リークも快く応接間のソファに案内して、手ずから紅茶を淹れルーク王子の手前に置いた。
温暖色に統一された壁紙、天井…木目が美しい箪笥、壁に飾った見事な意匠の額縁に納められた一家の肖像画、風景や鳥や猫を描いた水彩画…品良く置かれた調度品の数々はアンネ・リークの趣味の良さを窺わせる。
「…それでアンネお姉ちゃんはどうするの?一応兄上の代理で来ているんだ、僕は」
「……そう、ですね…ギブラスカ王子殿下とは確かに幼馴染みではあるけれど…正直男女の情よりも友情のような関係でしたわ。」
「うん、その辺は兄さんも言っていたよ『俺はあいつを女として見たことはない…どちらかと言うと兄弟のような、従兄弟のような感じた』って。」
因みに王子は4人、王女は6人。
現陛下の長男であり、次代の“王太子”は24歳、次男でありアンネ・リークの元婚約者でもあったギブラスカは18歳、三男のルーク、四男の5歳フォルスは今お勉強中。
彼──ルークが“兄上”と呼ぶのはその王太子殿下だけであり、ギブラスカの事は『兄さん』と気さくなのは…
「僕、兄上の事は支えたいと思うけど“兄さん”はどうでもいいかな。早く廃嫡でもなんでもすればいいのに」
気さくなどではなく──蝎骨の如く嫌っているだけである。
『兄上』と呼び敬愛しているのは王太子殿下──アッシュ・バンダールのみ。
金の髪に翠玉の瞳の美少女──いや、美少年。
その呆気ない外見に反して腹黒い一面を持つ。
嫌いな相手にはトコトン嫌い、辛辣に虚仮下ろす。
反面好きな相手や尊敬する人には好意を隠そうともせず真っ直ぐ伝える純真無垢さ…これで女性アレルギーだとは誰も思わないだろう。
母や姉、アンネ・リークなら平気なのだが──それ以外の女性だと…蕁麻疹が出て酷い場合だと過呼吸になって生死に関わるほど重篤になる──この可愛らしい少年…いや、成人はしているのだが…見た目が…その、幼いので。
…。
…この青年の主治医に薬を調薬し、卸しているのがアンネ・リーク。
…その繋がりでこうして彼が女性アレルギーを緩和する為の話し相手となっているのだ。
「…それについては私の方で提案があります。いいですか?」
「……なにかな?」
「キブリーを私の薬の実験動物に下さい♪」
ギブリー──それは遠い昔…幼馴染みであった頃、アンネ・リークがギブラスカを呼んでいた愛称名。
…今や婚約破棄された相手、婚約破棄した人物……元々無かった情も火種のないままに鎮火した間柄。
それはそれは──とても楽しそうで、だけど…どこか、怒っているような…。
「…アンネお姉ちゃん、怒っているの?」
「当然です!」
「そ、そう…」
「婚約破棄なら何もあの場で言わなくとも──それこそこっそり告げれば良かったのです。あれでは迷惑です(私の社交の)!ギブリーの都合だけにあの卒業記念パーティーがあるのではありません!私の!私の社交の!為にあるのですよ!!」
「…。アンネお姉ちゃんそれ…兄さんと一緒だよ。実は好きでしょ、兄さんのこと…」
「はあ?誰が?あのボンクラの何処を?!」
ギロリ、射抜くような鋭い眼差しがルークに刺さる。
視線で殺せるようなら殺している──そう言う瞳だ。
「こ、恐いよ…アンネお姉ちゃん」
…因みに彼がアンネの事を“アンネお姉ちゃん”と呼んでいるのは甘えているのだ。それこそ本当の兄弟のように。…従兄弟関係なのでギリギリ婚約者候補にもなっているのは本人(ルーク)には内緒にしている。
候補であって…他にもアンネ・リークの夫候補は国内外含めると──100や200は下らないのだ。
…まあ、今の所はそのどれにも承諾はしていないのだが。
王室としてはアンネ・リークの知識や薬師としての腕、錬金術師としての才覚──その身全てを国外に流出したくない。
王室で囲い込んでしまいたい──その欲が透けて見える。
アンネ・リーク自身もこの国──バルハラザーク王国に愛着があるし、領地も領民も愛している。
他国の王子と結婚して祖国を離れるのはちょっと…と言う気持ちもある。
「…分かった。アンネお姉ちゃんの意向は兄上に伝えておく」
「ええ、頼みましたよルーク」
「…えへへっ」
「なんですか、気持ち悪い」
「やっぱりアンネお姉ちゃんには普通にしてくれると嬉しいよ」
「…。困った弟です、あなたは」
慈母の如き慈愛に満ちた笑みを浮かべて、そのサラサラな金髪を撫でる。
…対面に座っていた筈のルークがいつの間にか隣へと移動しているのも…いつもの事だ。
「…アンネお姉ちゃんはいつも飲んでいる薬の…ハーブの薫りがするから…とても落ち着くんだ」
「左様ですか」
その言葉は慈愛に満ちていた。
……。
──そんな言葉に卒業式記念パーティーに参加していた学生達とその父兄達がシン、と静まり返る。
「──左様ですか。」
シャン、と鈴が鳴るような澄んだ水面のような透明感のある声がそれに答えた…?答えた──よな…??
にこりともせず真っ直ぐ第2王子だけを射抜いた琥珀色の卵形の流麗な瞳は何の色も感情も示していなかったからだ。
居並ぶ父兄や学生達は曲がりなりにも貴族。
…近年でこそ王立学園に賢ければ平民でも通えるようになった“学園”で彼ら貴族は身分を楯に下の身分の者を虐げてはいけない──とは言え、暗黙のルールの中ではやはり、それらを遵守するもので…まあ、王族や貴族が多く通う王立学園は国内外からそれら“特権階級”の子女を迎えがちなのは仕方ないものである。
取り分け──彼らの寄付で賄っているからでは。
学園長事態先代宰相が勤めているし、教職員のほとんどが貴族──その貴族家の次男や三男、家督を継げない次女や三女が勤めている所を見ても分かる所だ。
「──は?へ…ま、まあ…貴様が今更弁明した所で」
「左様ですか」
……。
またもや同じ声量、トーンで淡々と静々と告げられる。
「左様ですか──と、私は申したのです。
…忙しいので社交に戻っても?」
「…え、いや…あの──ッ!?」
スタスタと歩き去って…40代くらいの紳士&淑女が集まるエリアへと向かったアンネ・リーク。
この呆然自失としている第2王子様よりも自らの社交が大事な彼女の豊かな金の髪、琥珀色の瞳…スッと通った鼻梁、形のいい桜色の唇、出ている所は出て引っ込む所は引っ込んでいる…容姿端麗な美少女は…別名“紫陽花の君”と言われている。
それは──実際彼女と少しでも接して見れば分かると言うもの。
「…あら?宜しかったのかしら?アレ貴女の婚約者でしょう?」
「ミレーヌ夫人…よろしいも何も“元”ですよ。ああ──“候補”でも有りましたが。どうでもいいことです──別段王子と言う身分だけなら他国にも御座いますから」
「!あらあら…なんと恐ろしい事を。」
「おや?珍しいですね。ミレーヌ夫人は何者にも動じない方かと思いました」
「…ほ、ほほ…っ。本当に恐ろしい方ね。私だって恐ろしいと思う事はあるわ」
「左様ですか」
「…ッ、止めて下さいませ…っ」
「…ふふふ。ミレーヌ夫人はお可愛らしい方でしたのですね…私、ミレーヌ夫人の事今なら寝所へお誘いしてみたいかもしれませんね」
「…!?そ、それって…っ!?」
「ふふ…1ヶ月後の第2火曜日の昼13時──お邪魔しても?」
「──ッ!!ぜひっ!お願い…ッ!!お願い致しますわ…!!」
「…ね、ねぇ…ミレーヌ夫人の後は私にの所にも……その…」
「エリザベス第3王女殿下…ええ、構いませんわよ。貴人はおいそれと店まで足を運ばれないものですから」
…。
その後も彼女達の話は続く…。
無論、第2王子だけを放置して楽団の演奏も、パーティーも再開されるのだが…。
当然やらかした第2王子と件の男爵令嬢は近衛が来て裏へと連れてかれ…そのまま王城へ。
…と言っても学園は王都の中央区にあって、王城もまた中央区から北側の吊り橋の先にある。
徒歩なら2時間、馬車なら30分くらいの距離。
…そこの地下に即連行されている事だろう。
──そして、案の定パーティーを終え、帰宅した後日アンネ・リークの元に王宮からの事後報告?事実確認?をしに来た官使に手短に質疑応答を終え
「…どうされますか?」
「どう、とは──?」
「婚約の意思は…」
「ない──と言うかアレと私の性格が合わないのはお前が一番分かっているだろう?──第3王子殿下。…何官使ごっこしてるんです?今日の稽古は?帝王学の座学はどうしました?私はあなたの教育係でもあるのですが、一応。」
「お、終わってるよ」
「本・当・に・?」
「……。」
「……。」
「……っ、」
「……。」
無言の応酬の中で──勝者は当然の如く。
「……い、今は休憩中です…後30分で午後の座学に…」
「左様ですか。なら、構いません」
クスッと笑うアンネ・リークが年下の弟に向けるような温かみのある眼差しを向ける。
「!えへへっ」
「楽しそうですね、ルーク殿下」
「アンネお姉ちゃんは側に居て気持ち悪くならないから好きなんだもん!」
「だもん、って…ルーク殿下…もう16歳になった筈でしょう?些か子供みたいですよ。」
そう言うアンネ・リークも快く応接間のソファに案内して、手ずから紅茶を淹れルーク王子の手前に置いた。
温暖色に統一された壁紙、天井…木目が美しい箪笥、壁に飾った見事な意匠の額縁に納められた一家の肖像画、風景や鳥や猫を描いた水彩画…品良く置かれた調度品の数々はアンネ・リークの趣味の良さを窺わせる。
「…それでアンネお姉ちゃんはどうするの?一応兄上の代理で来ているんだ、僕は」
「……そう、ですね…ギブラスカ王子殿下とは確かに幼馴染みではあるけれど…正直男女の情よりも友情のような関係でしたわ。」
「うん、その辺は兄さんも言っていたよ『俺はあいつを女として見たことはない…どちらかと言うと兄弟のような、従兄弟のような感じた』って。」
因みに王子は4人、王女は6人。
現陛下の長男であり、次代の“王太子”は24歳、次男でありアンネ・リークの元婚約者でもあったギブラスカは18歳、三男のルーク、四男の5歳フォルスは今お勉強中。
彼──ルークが“兄上”と呼ぶのはその王太子殿下だけであり、ギブラスカの事は『兄さん』と気さくなのは…
「僕、兄上の事は支えたいと思うけど“兄さん”はどうでもいいかな。早く廃嫡でもなんでもすればいいのに」
気さくなどではなく──蝎骨の如く嫌っているだけである。
『兄上』と呼び敬愛しているのは王太子殿下──アッシュ・バンダールのみ。
金の髪に翠玉の瞳の美少女──いや、美少年。
その呆気ない外見に反して腹黒い一面を持つ。
嫌いな相手にはトコトン嫌い、辛辣に虚仮下ろす。
反面好きな相手や尊敬する人には好意を隠そうともせず真っ直ぐ伝える純真無垢さ…これで女性アレルギーだとは誰も思わないだろう。
母や姉、アンネ・リークなら平気なのだが──それ以外の女性だと…蕁麻疹が出て酷い場合だと過呼吸になって生死に関わるほど重篤になる──この可愛らしい少年…いや、成人はしているのだが…見た目が…その、幼いので。
…。
…この青年の主治医に薬を調薬し、卸しているのがアンネ・リーク。
…その繋がりでこうして彼が女性アレルギーを緩和する為の話し相手となっているのだ。
「…それについては私の方で提案があります。いいですか?」
「……なにかな?」
「キブリーを私の薬の実験動物に下さい♪」
ギブリー──それは遠い昔…幼馴染みであった頃、アンネ・リークがギブラスカを呼んでいた愛称名。
…今や婚約破棄された相手、婚約破棄した人物……元々無かった情も火種のないままに鎮火した間柄。
それはそれは──とても楽しそうで、だけど…どこか、怒っているような…。
「…アンネお姉ちゃん、怒っているの?」
「当然です!」
「そ、そう…」
「婚約破棄なら何もあの場で言わなくとも──それこそこっそり告げれば良かったのです。あれでは迷惑です(私の社交の)!ギブリーの都合だけにあの卒業記念パーティーがあるのではありません!私の!私の社交の!為にあるのですよ!!」
「…。アンネお姉ちゃんそれ…兄さんと一緒だよ。実は好きでしょ、兄さんのこと…」
「はあ?誰が?あのボンクラの何処を?!」
ギロリ、射抜くような鋭い眼差しがルークに刺さる。
視線で殺せるようなら殺している──そう言う瞳だ。
「こ、恐いよ…アンネお姉ちゃん」
…因みに彼がアンネの事を“アンネお姉ちゃん”と呼んでいるのは甘えているのだ。それこそ本当の兄弟のように。…従兄弟関係なのでギリギリ婚約者候補にもなっているのは本人(ルーク)には内緒にしている。
候補であって…他にもアンネ・リークの夫候補は国内外含めると──100や200は下らないのだ。
…まあ、今の所はそのどれにも承諾はしていないのだが。
王室としてはアンネ・リークの知識や薬師としての腕、錬金術師としての才覚──その身全てを国外に流出したくない。
王室で囲い込んでしまいたい──その欲が透けて見える。
アンネ・リーク自身もこの国──バルハラザーク王国に愛着があるし、領地も領民も愛している。
他国の王子と結婚して祖国を離れるのはちょっと…と言う気持ちもある。
「…分かった。アンネお姉ちゃんの意向は兄上に伝えておく」
「ええ、頼みましたよルーク」
「…えへへっ」
「なんですか、気持ち悪い」
「やっぱりアンネお姉ちゃんには普通にしてくれると嬉しいよ」
「…。困った弟です、あなたは」
慈母の如き慈愛に満ちた笑みを浮かべて、そのサラサラな金髪を撫でる。
…対面に座っていた筈のルークがいつの間にか隣へと移動しているのも…いつもの事だ。
「…アンネお姉ちゃんはいつも飲んでいる薬の…ハーブの薫りがするから…とても落ち着くんだ」
「左様ですか」
その言葉は慈愛に満ちていた。
……。
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